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2014.01.29
ついに足利市近辺もインフルエンザの流行期に入りました。
すでに、いくつかの学校で学級閉鎖の措置が取られています。
今年のインフルエンザの流行にはいくつかの特徴がみられます。
まず、A型とB型が同時に流行していること。
今までは流行のピークには時間的なずれがあるのが通常でしたが、
今シーズンはA型、B型がほぼ同数で流行しています。
このような現象は少なくとも最近、簡易キットで
迅速診断ができるようになってからは初めてのことです。
注意すべき点としてはもしA型にかかっても、
そのあとB型の感染者と接触すると、また感染してしまうということです。
2009年以降保険の決まりが改定され、
家族内感染などでインフルエンザ感染が明らかな患者さんについては、
迅速検査をしなくてもタミフルなどの抗ウイルス剤の処方が可能になりました。
ところが、そんな状況ですので、
今年は原則的に患者さんに検査を受けていただいております。
昨日も前日から相次いで発熱した二人の小学生のご兄弟が、
兄はA型、弟がB型という結果でした。
お母さんはお互いにオマエがオレにうつしたんだ、
などと兄弟げんかをしなくて済んだ、と苦笑いをしていましたが。
また、
B型インフルエンザはA型に比べ、発熱の程度が軽かったり、
熱が上がったり下がったりする場合がある
ので診断が遅れたり、
また、
嘔気などの胃腸症状が表立ってしまい胃腸炎と誤解され、
感染が拡大する場合もあるようですので要注意です。
治療は今のところタミフル、リレンザ、イナビルは、ほぼ有効ですが、
A型インフルエンザの一部にタミフル耐性株が見つかっており、
注意が必要です。
インフルエンザはご存知のようにA型に関しては、
H1型とH3型がヒトヒト感染の流行型インフルエンザとされています。
H1型は以前、ソ連型と呼ばれたものでしたが、
2009年の「新型インフルエンザ」の登場により、
現在はpdm09にとってかわられています。
ところが、新型インフルエンザ「pdm09」は全世界に猛威を振るった後、
昨シーズンは姿を消し、2012~2013シーズンのA型インフルエンザは
ほぼすべてが「香港型」とよばれるH3でした。
そのまま消えるのかと思われた「pdm09」ですが、
今シーズンはA型はH1「pdm09」とH3「香港型」が、
これまたほぼ同数で流行しているので、インフルエンザの流行は
Jリーグの優勝チームを予測するよりはるかに予測が難しい。
消滅前の「ソ連型」でタミフル耐性が問題になってきていたので、
新型の登場で耐性型がなくなり、その点は良かったと思っていたのですが。
今回の耐性A型は「ソ連型」ではなく「pdm09」の変異株とみられているので
まだ、ごく一部ですが今後の動向に注意が必要です。
もっともインフルエンザは自然治癒する病気であり、
新型インフルエンザは2010年の世界流行の事情により
日本国民の大多数が予防接種を受け、
また不顕性感染を含めて実際に罹患した人も多かったので、
我が国における抗体保有率は全人口で5割を超えており、
適切な対応さえ怠らなければ重症化することは少ないと思われます。
もちろん、インフルエンザは抗ウイルス剤なしで治る病気ですので。
B型の場合は耐性化の報告はありません。
因みにインフルエンザ薬「イナビル」に予防投与の適応追加がありましたが
適応はインフルエンザを発症している患者の同居家族または共同生活者のうち、
①高齢者②慢性呼吸器疾患または慢性心疾患患者③代謝性疾患患者④腎機能障害患者
に、限られております。
保険給付の適応はなく保険外扱いになります。
子供や、健常者は対象になりませんし、
抗ウイルス剤の乱用は新たな耐性ウイルスの出現の種
ともなりうるので、
厳に慎むべきです。
インフルエンザ予防の基本はワクチン接種と健康管理ですので、
そこをしっかり実践しましょう。
いちばん大事なのは「手洗い」ですよー。
風邪をひいたら、まず早く寝る。
そして症状や、周囲の状況でインフルエンザの疑いがあれば医療機関、
なるべく耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。
2014.01.15
はじめまして。 突然の質問で恐縮ですが、ご意見をお伺いできましたらと思いまして。 私達はイタリア在住です。昨年4月ごろ3歳の娘の夜間の無呼吸に気づき、10月にアデノイドのみの摘出手術を受けました。アレルギー検査は全て陰性でしたが、炎症を抑える効果があるとのことで7~8月にあシングレアを服用していました。9月から術前ということで服用をやめると夜間に鼻水が落ちてか咳込むようになったのですが、術後1週間はそれもなくなり寝息もたてずに眠っていました。
ところがその1週間過ぎるとまたイビキをかきはじめ無呼吸になるようになりました。また夜間の咳も酷く殆ど眠れない状況です。
12月に一ヶ月点鼻薬を使いましたが改善されず、小児科医からは、アデノイドがすぐ再肥大したか、アレルギー反応があるのかもしれないと言われ、3日前から再度シングレア2ヶ月とジルテック15日間で様子を見るようにと診察されました。
苦渋の決断での手術の効果がたった1週間しかみられず、毎晩寝苦しく咳こみすぐに病気になる娘がとても不憫です。
他に考えられる病気がございますでしょうか?
日中は全く咳もなく、鼻水もでませんが、術後からよく指を鼻に入れるようになりました。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご意見を頂ければ嬉しいです。宜しくお願いします。
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ということで、新ブログになって初めてご質問いただきました。
しかも、イタリア!
ガンバレ、本田!
・・・の話はあとでするとして、このご質問。
症状は夜間の無呼吸、イビキ、鼻水が落ちて咳き込む、
日中は咳もなく、アレルギー検査は陰性。
アデノイド術後1週間ほどよかったが、また再発。
さあ、ナニが考えられるでしょう?
専門医の試験問題になりそうですね。
まあ、第一候補は副鼻腔炎の存在を疑う、でしょうね。
鼻の中、すなわち鼻腔に連続する空洞である副鼻腔は、
新生児、乳児にはありませんが、3歳過ぎ、体重にして12kgを超えるころから
目の下の上顎洞や、目と目の間の篩骨洞などが形成され始めます。
ここに炎症が及ぶと副鼻腔炎といい、
膿性鼻汁がたまった状態を俗に「蓄膿症」と呼びます。
症状は、鼻閉のほか後鼻漏によるタンがらみのセキが特徴で、
昼間よりもとくに夜間、寝入りばな、明け方、起床時、
また、走った後などに悪化します。
アデノイド肥大がある子は合併しやすいです。
術後の抗生剤投与により一時的に改善したものが、
完治してなかったために後に再燃した、という可能性はありそうです。
鼻のレントゲンで副鼻腔陰影の有無を確認する必要はあるでしょう。
そうでなかった場合、
喘息の合併発症、
検査項目になかった未知のアレルギーの存在、
いわゆるアレルギーの機序を介さない血管運動性鼻炎などの気道過敏症の存在、
扁桃肥大の影響、感冒の反復罹患による咳嗽の遷延、
等々、いろいろ可能性は考えられますので
一つ一つ確認する必要があります。
また、大きな声では言えないが「アデノイドの取り残し」ということも
ないとは言えない。
アデノイドは扁桃腺と違って被膜におおわれていないので、全摘出ではなく、
「削り取る」手術をします。
減量が不十分だと、すぐ再増殖で上咽頭をふさいでしまう、
という残念な結果も無きにしも非ず。
まあ、アデノイドは年齢とともに退縮するので、
少しでも減量できた、ということで再手術はしないことが多いですが。
レントゲンは簡単に撮れるので
手術後に検査をしてないのなら、一度確認してみてもいいでしょうね。
では、お大事に。
2013.12.18
ちょっと前にいただいたご質問です。
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初めまして。
耳鼻科医さんのブログを見つけて少しお答え頂きたいと思い、コメをしました。
他覚的耳なりの治療法の事ですが答えられる範囲でお願いします。
蝦牛形メニエールの後遺症と思われますね。と耳鼻科医に言われました。治療法はないですとも言われました。
24時間バキバキやボキボキと鳴っております。
はや1年になります。
一般的に、他覚的耳なりの治療法はないのでしょうか?
もし、治療法があるようならば、どういった病院で通院したらよいですか?
なにか、アドバイスがあれば、頂きたいです。
お答え、宜しくお願いします。
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さて、他覚的耳鳴りとは一般の方には耳慣れない言葉かもしれません。
耳鳴り自体はポピュラーな現象で
多くの難聴の方が悩まされていますし、
大きな音を聞いたあとなどには健常耳の人でも「キーン」という耳鳴りを経験することが
しばしばあります。
しかしそれらは自分では聞こえても、
周囲の人にはわからない感覚です。
これに対し、他の人にも認識できるような耳鳴りを
「他覚的耳鳴り」と呼ぶことがあります。
多くの耳鳴りはこれに対し「自覚的耳鳴り」と言えますが、
耳鳴りは本来「自覚的」なのであえてこの言い方はしません。
「他覚的耳鳴り」を他人が聴く方法は、
その人の外耳道に耳を寄せて聴きとりますが、
耳鼻科では耳管通気に使うオトスコープというゴムのチューブがありますので、
これを患者さんと自分の耳に入れて確認します。
「自覚的」耳鳴りはキーン、ジーン、ゴーゴー、ジージーなどさまざまな音ですが
一般的には金属音にしろモーター音にしろ「連続的」な音です。
これに対し「他覚的耳鳴り」としては、
パキパキ、ピチピチ、サッザッ、などの断続音、クリック音がほとんどです。
多角的耳鳴りは耳の周囲の音が
外耳道経由でも聞き取れるわけで、
その原因はいくつか考えられます。
一つは筋肉由来。
口の開け閉めや、嚥下による耳管の開閉音が
鼓膜に反響して聴こえるもの。
これらは多くは「随意的」で自分で鳴らすことができます。
ただ、鳴らしたくないのに鳴っちゃうわけで、
不快に感じる方もいらっしゃいます。
また、耳管周囲筋や顔面筋、耳小骨についているアブミ骨筋の
「けいれん」でもカチカチ音、クリック音がします。
こちらは「不随意的」で24時間連続の方もいますし、
なったり治ったりという方もいます。
しゃっくりとか、疲れるとまぶたの筋肉がピクピク痙攣する、
あの現象を考えてもらうとわかりやすいです。
もうひとつのメジャーな要因は「血管性」です。
耳の近くには動脈が走っており、この血管雑音が聞こえる場合があります。
心臓の鼓動と同期していればそれと確認されます。
これは、自覚的にとどまってる場合が多いですが、
他覚的に感知できるほど大きい場合は、
心臓や脈管の異常がないか内科で調べてもらう必要があります。
その他、以前ブログで紹介した「耳管開放症」でも
まれに他覚的耳鳴りが聴取できる場合があります。
さて、他覚的耳鳴りの治療ですが、これは難しい。
そもそも、自覚、他覚を含めて耳鳴りの薬というものはありません。
自覚的耳鳴りはそのほとんどが内耳性難聴によるものなので
内耳性難聴が改善すればそれにつれて耳鳴りは改善します。
他覚的耳鳴りのうち、筋肉性、血管性のものはほとんど治療されていないのが現状でしょう。
ご質問の方の場合、どういったものが原因か不明ですが、
蝸牛型メニエールの後遺症で他覚的耳鳴りが起こる、
というのはワタシは聞いたことがないのでさらによくわかりません。
蝸牛型メニエールは内耳の病気なので、
普通、後遺症としての耳鳴りは「自覚的」なものですが。
耳鼻咽喉科で鼓膜の状態、難聴の有無等を調べてもらっているのなら
あとはさしあたって脳内CT,MRI等の画像診断でしょうか。
動静脈瘻や血管性腫瘍などは一応除外しておく必要があるでしょう。
あまりお役に立てずスイマセン。
2013.11.18
このままだと鼓膜切開になるかもと診断されて
中耳炎についての記事を読ませていただきました。
詳しく書いてあるだけでなく、質問にも丁寧に答えて下さるのだと。
お忙しいとは思いますが息子の中耳炎のことで悩んでいるので質問させて下さい。
息子は1歳7ヶ月です。
去年の冬に中耳炎になり治療に1カ月かかりました。でも薬だけで治りました。
今回は鼻水と咳で耳鼻科通いしていて、中耳炎になっちゃったねと診断されました。
なので早期発見です。
去年の耳鼻科と違う耳鼻科に行ったので、去年と違う薬が出ました。
サワシリンと点耳薬です。
翌日サワシリンが合わず、顔に湿疹が出たので、抗生物質はやめて点耳薬とゼスランとシングレアを飲んでと言われました。
そこで点耳薬だけで大丈夫なの?と不安になって調べた結果、先生のところを見つけました。
先生の点耳薬はデメリットのが多いとの内容を見て、昨日他の耳鼻科へ行きました。
そこで、ちょっと名前がわからないのですが…( 薬手帳が手元になくて)
でも確か、メイアクトと同じランクにあった薬でした。
その抗生物質を処方してもらったところ、今回は大丈夫だったみたいで、湿疹も出ませんでした。昨夜と今朝に飲んだ段階でまた診察してもらったところ…
あまりよくなってないから、様子みて切開になるかもなって言われて…。
まだ抗生物質を2回しか飲んでない段階で切開って言葉が出たことにびっくりして、ショックを受けました。
私としては、せめて今週は薬を飲んで…と考えているのですが、切開を先延ばしにしたことで悪化することがあったら困るし。
また切開することで、今後、中耳炎になる度に切開することにならないかと心配です。
息子は熱もなく機嫌もいいです。
診てないのに答えていただくのは申し訳ないのですが、答えてもらえたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
今回はこのようなご質問をいただきました。
鼓膜切開ですね。
鼓膜切開は耳鼻咽喉科外来で行うもっともありふれた手術であり、
大変メリットも多く耳鼻咽喉科医の「武器」だと思います。
鼓膜切開でなければ解決できない場面も時にあります。
ただ、外科的な行為には上手い、下手、得意、不得意があり、
また、鼓膜切開の好きな先生、嫌いな先生もいますので
施設や担当医によって考え方は様々です。
耳鼻咽喉科を標榜しながら、鼓膜切開を全くしない先生もいて
以前、鼓膜切開のためだけに総合病院に紹介する、
という先生がいてびっくりしましたが・・・・。
(しかも、わざわざ、隣の町の病院に紹介していた。)
鼓膜切開の適応については以前のブログで書いています。
「
見えない力」
実際に診察していないとわかりませんが、
今までの経過や鼓膜の状態によっては、
初期の段階で切開の可能性を説明しておく、ということはあると思います。
切開することによってその後中耳炎になりやすくなる、とか
毎回切開になる、ということは一切ありません。
手術はしなくて済めば越したことはないので
無駄な手術は決してするべきではないが、
必要な場合には、ためらわず切る、
というのが外科医のモットーです。
お大事に。
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2013.10.08
教えてください。
幼い頃から、耳垢が湿っています。中耳炎などは患った事がありません。
なので、耳鼻科にお世話になった事がないのですが、
これは一生このままなのでしょうか。
お忙しいところ、すみません。ご教示いただけますか?
いろんなご質問いただきますが、
これは答えやすいです。
耳垢には2種類あって、カサカサした乾いたタイプと、
べとべとした湿ったタイプがあります。
前者は粉耳とか、後者はヤニ耳などと呼ばれることもありますが、
これは遺伝的、生まれつきのもので通常は一生変わりません。
日本人では乾いたタイプのヒトが多く、
湿性のタイプは15,6%といわれていますが、
中国・韓国ではさらに少なく湿った耳垢は5~7%程度といわれています。
逆に欧米では90%以上、特に黒人では99.5%が湿性耳垢です。
英語で耳垢を
「Ear Wax」と呼ぶのもこの辺のイメージです。
ヒトの汗腺にはエックリン汗腺という全身に分布し、
サラサラの汗を出す汗腺と、
アポクリン汗腺といって腋の下などの体の限られた部分に存在し
脂肪たんぱく質を含んだ汗を分泌する2種類の汗腺があります。
このアポクリン汗腺は外耳道内にも存在し、
それが多いヒトとほとんどないヒトがいます。
アポクリン汗腺が多く、活発なヒトは湿った耳垢になります。
腋臭の原因もアポクリン汗腺といわれており、
この2つは合併します。
日本人に比べ欧米人は体臭がキツイのはこの事が原因です。
日本人ではいわゆる
「縄文人」の系統がアポクリン型、
「弥生人」が非アポクリン型ということらしいです。
だから、湿った耳垢はDNAに刻まれた情報なので、
一生変わることはありませんし、
ご両親やお子様に同じ耳垢のヒトがいるはずです。
ちなみにワタシは
「湿ったタイプ」です。
ヒト以外の哺乳類はアポクリン優位なので、
湿った耳垢のヒトはケモノに近いのか。
でもアポクリン汗腺は、いわゆるフェロモンとしての機能なので、
湿性の耳垢のヒトはセクシーだ、
といえない事もない?
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2013.09.10
はじめまして。中1男子の子を持つゴマフアザラシと申します。私自身は38歳女性です。中耳炎のことをいろいろ調べているうちにここに辿りつきました。業務のお邪魔をしてすみません。皆さんの質問にわかりやすいアドバイスをされているので甘えさせてくださいm(_ _)m
質問は二つあります。
1)息子
昨日急な発熱(39度)があり、学校を早退しました。前日に耳の奥が痛いとつぶやいていたのを思い出し、私自身が中耳炎をよく患うのですぐ耳鼻科に連れて行きました。
担任からは2日前に溶連菌が出ていますと言われたので、検査してもらい陰性でした。鼓膜が少しだけ赤いのでおそらく中耳炎ということで、ファロムとビオフェルミンを5日分、頓服の解熱鎮痛剤を3回分処方されました。
これは、溶連菌の検査は陰性でも潜伏期を踏まえてどちらにも対応出来る処方だったのでしょうか。というのは、私の中耳炎のときの処方にはないお薬だったので、参考までに教えていただけると嬉しいです。ちなみに、私はクラビットを処方されます。ちなみに低用量ピル服用歴10年です。
2)私
子供の頃も中耳炎にはなっていたようです。しばらく忘れていましたが、20代半ばになってから、風邪=中耳炎で、耳が痛くなります。中耳炎って、大人でも頻発するのでしょうか。たいていはかなり早めに受診するので投薬だけで治ります。切開したのは6年前の一度だけです。出産後(13年前)から5年くらいは3~4ヶ月に1回くらい、その後~現在は一年に1回くらいです。
5年ほど前に、普通子供の頃は耳管はまっすぐだけど、大人になればカーブがかかる?ので中耳炎にはなりにくくなる。あなたは大人だけどまっすぐだね、と言われました。(その時はすごく遠回りにいい歳して大人になれてないと言われたと凹みました(笑))それが、風邪=中耳炎の原因なのでしょうか?
最近40歳近くになり、何となく耳の聞こえが悪くなってきたような自覚があり、中耳炎ばかりしてたからかと不安です。
予防は可能なのでしょうか?
ご参考まで、今飲んでいる薬は、ハウスダストや花粉のアレルギーでアレロック1錠/日と、片頭痛予防薬としてセレニカ400mg/日です。ピルはマーベロンです。
長文失礼いたしました。業務の差し障りのない時にでもお目通し頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
と、このようなご質問いただきました。
まず、「ファロム」についてですね。
結論から言うとこの薬を中耳炎の治療に使う事は問題ありません。
溶連菌は耐性菌があまりないのでクラリスなどのマクロライド以外なら何でも効きますし、
ファロムも当然効きます。
ただし溶連菌はウイルス感染でなく細菌感染なので
潜伏期はほとんどなく熱出てる時に検査すれば
インフルエンザのように擬陰性に出ることはまずないので
この場合は除外してもいいのではないでしょうか。
ファロムはインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスではない)などの
グラム陰性菌にはやや弱いですが、
それも通常の中耳炎ならまず問題なく
グラム陽性菌の肺炎球菌には逆に非常によく効きます。
一般的に肺炎球菌の方がインフルエンザ菌に比べて臨床症状が強いので
肺炎球菌感染を考えてファロムを投与したのかもしれません。
一般には急性中耳炎の第一選択はアモキシシリン等のペニシリン製剤です。
さて、次に大人の中耳炎ですが、
中耳炎は耳管機能の関係で幼小児に多く、
小学校中学年を過ぎると激減します。
大人の反復する急性中耳炎の最大の要因は
慢性鼻疾患の存在です。
花粉症を含むアレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、反復性副鼻腔炎等の存在は
大人の急性中耳炎を見た時にまず考えねばいけない基礎疾患です。
ご質問の方もアレルギー性鼻炎があるようで、
要因の一つでしょうね。
もちろん、中耳炎を反復した方は、
鼓膜の低緊張や、中耳粘膜のむくみから中耳排せつ機能が劣っているので
中耳炎になりやすいことがあります。
登山や飛行機で耳がつまりやすいタイプではありませんか。
中耳炎の反復により鼓膜が薄く、委縮状になってる場合は
大人でも中耳炎を反復する方がいます。
クラビットは急性中耳炎の第一選択薬ではありませんが、
緑膿菌を含めた耐性菌に広く抗菌力を持ち、
嫌気性菌にも抗菌力があるので副鼻腔炎の合併例や慢性中耳炎にはしばしば用います。
ただグラム陽性菌に若干弱いのと、
連用して菌が耐性化したとき、次に使う薬があまりない、
という事が注意点です。
予防は、風邪をひかない事(笑)ですが、
アレルギー性鼻炎のコントロールは、最も重要でしょう。
また、こいハナが出た時に鼻を強くかみすぎない事は大事です。
鼻をしじゅうすするのも鼓膜を痛める要因です。
聴力に関しては中耳炎が完全に治ってれば問題ありませんし、
鼓膜が薄くなってる程度だけであれば聴力に影響ありません。
ただし、鼓膜が常に内側に陥凹しているような
ぺなぺなの状態になってしまっていると聴力に影響が出てきます。
いつも早めに受診して治ってるとのことですので
それでよろしいかと思います。
秋から冬にかけては、中耳炎になりやすい季節になってきます。
お大事に。
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