ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

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2014.01.29

2014年1月下旬でのインフルエンザ事情

 ついに足利市近辺もインフルエンザの流行期に入りました。

 

 

 

 

 すでに、いくつかの学校で学級閉鎖の措置が取られています。

 

 

 

 

 

 今年のインフルエンザの流行にはいくつかの特徴がみられます。

 

 

 

 

 

 まず、A型とB型が同時に流行していること。

 

 

 

 

 

 今までは流行のピークには時間的なずれがあるのが通常でしたが、

今シーズンはA型、B型がほぼ同数で流行しています。

 

 

 

 

 

 このような現象は少なくとも最近、簡易キットで

迅速診断ができるようになってからは初めてのことです。

 

 

 

 

 

 

 注意すべき点としてはもしA型にかかっても、

そのあとB型の感染者と接触すると、また感染してしまうということです。

 

 

 

 

 

 2009年以降保険の決まりが改定され、

家族内感染などでインフルエンザ感染が明らかな患者さんについては、

迅速検査をしなくてもタミフルなどの抗ウイルス剤の処方が可能になりました。

 

 

 

 

 

 ところが、そんな状況ですので、

今年は原則的に患者さんに検査を受けていただいております。

 

 

 

 

 

 

 昨日も前日から相次いで発熱した二人の小学生のご兄弟が、

兄はA型、弟がB型という結果でした。

 

 

 

 

 

 お母さんはお互いにオマエがオレにうつしたんだ、

などと兄弟げんかをしなくて済んだ、と苦笑いをしていましたが。

 

 

 

 

 

 

 また、

B型インフルエンザはA型に比べ、発熱の程度が軽かったり

熱が上がったり下がったりする場合がある 

ので診断が遅れたり、

また、

嘔気などの胃腸症状が表立ってしまい胃腸炎と誤解され

感染が拡大する場合もあるようですので要注意です。

 

 

 

 

 

 

 治療は今のところタミフル、リレンザ、イナビルは、ほぼ有効ですが、

A型インフルエンザの一部にタミフル耐性株が見つかっており、

注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

 インフルエンザはご存知のようにA型に関しては、

H1型とH3型がヒトヒト感染の流行型インフルエンザとされています。

 

 

 

 

 

 H1型は以前、ソ連型と呼ばれたものでしたが、

2009年の「新型インフルエンザ」の登場により、

現在はpdm09にとってかわられています。

 

 

 

 

 

 ところが、新型インフルエンザ「pdm09」は全世界に猛威を振るった後、

昨シーズンは姿を消し、2012~2013シーズンのA型インフルエンザは

ほぼすべてが「香港型」とよばれるH3でした。

 

 

 

 

 

 そのまま消えるのかと思われた「pdm09」ですが、

今シーズンはA型はH1「pdm09」とH3「香港型」が、

これまたほぼ同数で流行しているので、インフルエンザの流行は

Jリーグの優勝チームを予測するよりはるかに予測が難しい。

 

 

 

 

 

 消滅前の「ソ連型」でタミフル耐性が問題になってきていたので、

新型の登場で耐性型がなくなり、その点は良かったと思っていたのですが。

 

 

 

 

 

 今回の耐性A型は「ソ連型」ではなく「pdm09」の変異株とみられているので

まだ、ごく一部ですが今後の動向に注意が必要です。

 

 

 

 

 

 もっともインフルエンザは自然治癒する病気であり、

新型インフルエンザは2010年の世界流行の事情により

日本国民の大多数が予防接種を受け、

また不顕性感染を含めて実際に罹患した人も多かったので、

我が国における抗体保有率は全人口で5割を超えており、

適切な対応さえ怠らなければ重症化することは少ないと思われます。

 

 

 

 

もちろん、インフルエンザは抗ウイルス剤なしで治る病気ですので。

 

 

 

 

 

 B型の場合は耐性化の報告はありません。

 

 

 

 

 

 因みにインフルエンザ薬「イナビル」に予防投与の適応追加がありましたが

適応はインフルエンザを発症している患者の同居家族または共同生活者のうち、

①高齢者②慢性呼吸器疾患または慢性心疾患患者③代謝性疾患患者④腎機能障害患者

に、限られております。

 

 

 

 

 

 保険給付の適応はなく保険外扱いになります。

 

 

 

 

 

 子供や、健常者は対象になりませんし、

抗ウイルス剤の乱用は新たな耐性ウイルスの出現の種

ともなりうるので、

厳に慎むべきです。

 

 

 

 

 

 インフルエンザ予防の基本はワクチン接種と健康管理ですので、

そこをしっかり実践しましょう。

 

 

 

 

 いちばん大事なのは「手洗い」ですよー。

 

 

 

 

風邪をひいたら、まず早く寝る。

 

 

 

 

 そして症状や、周囲の状況でインフルエンザの疑いがあれば医療機関、

なるべく耳鼻咽喉科の受診をお勧めします。

 

 

 

 

 

 

 

 

9件のコメント
2014.01.15

アデノイド手術後に起きた夜間の咳嗽

はじめまして。 突然の質問で恐縮ですが、ご意見をお伺いできましたらと思いまして。 私達はイタリア在住です。昨年4月ごろ3歳の娘の夜間の無呼吸に気づき、10月にアデノイドのみの摘出手術を受けました。アレルギー検査は全て陰性でしたが、炎症を抑える効果があるとのことで7~8月にあシングレアを服用していました。9月から術前ということで服用をやめると夜間に鼻水が落ちてか咳込むようになったのですが、術後1週間はそれもなくなり寝息もたてずに眠っていました。

ところがその1週間過ぎるとまたイビキをかきはじめ無呼吸になるようになりました。また夜間の咳も酷く殆ど眠れない状況です。

12月に一ヶ月点鼻薬を使いましたが改善されず、小児科医からは、アデノイドがすぐ再肥大したか、アレルギー反応があるのかもしれないと言われ、3日前から再度シングレア2ヶ月とジルテック15日間で様子を見るようにと診察されました。

苦渋の決断での手術の効果がたった1週間しかみられず、毎晩寝苦しく咳こみすぐに病気になる娘がとても不憫です。

他に考えられる病気がございますでしょうか?

日中は全く咳もなく、鼻水もでませんが、術後からよく指を鼻に入れるようになりました。

お忙しいところ大変恐縮ですが、ご意見を頂ければ嬉しいです。宜しくお願いします。

 

********************************************************************************

ということで、新ブログになって初めてご質問いただきました。

 

 

 

 

しかも、イタリア!

 

 

 

 

ガンバレ、本田!

 

 

 

 

・・・の話はあとでするとして、このご質問。

 

 

 

 

症状は夜間の無呼吸、イビキ、鼻水が落ちて咳き込む、

日中は咳もなく、アレルギー検査は陰性。

アデノイド術後1週間ほどよかったが、また再発。

 

 

 

 

さあ、ナニが考えられるでしょう?

 

 

 

 

専門医の試験問題になりそうですね。

 

 

 

 

 

まあ、第一候補は副鼻腔炎の存在を疑う、でしょうね。

 

 

 

 

 

鼻の中、すなわち鼻腔に連続する空洞である副鼻腔は、

新生児、乳児にはありませんが、3歳過ぎ、体重にして12kgを超えるころから

目の下の上顎洞や、目と目の間の篩骨洞などが形成され始めます。

 

 

 

 

 

ここに炎症が及ぶと副鼻腔炎といい、

膿性鼻汁がたまった状態を俗に「蓄膿症」と呼びます。

 

 

 

 

 

症状は、鼻閉のほか後鼻漏によるタンがらみのセキが特徴で、

昼間よりもとくに夜間、寝入りばな、明け方、起床時、

また、走った後などに悪化します。

アデノイド肥大がある子は合併しやすいです。

 

 

 

 

 

 

術後の抗生剤投与により一時的に改善したものが、

完治してなかったために後に再燃した、という可能性はありそうです。

 

 

 

 

 

鼻のレントゲンで副鼻腔陰影の有無を確認する必要はあるでしょう。

 

 

 

 

 

そうでなかった場合、

喘息の合併発症、

検査項目になかった未知のアレルギーの存在、

いわゆるアレルギーの機序を介さない血管運動性鼻炎などの気道過敏症の存在、

扁桃肥大の影響、感冒の反復罹患による咳嗽の遷延、

等々、いろいろ可能性は考えられますので

一つ一つ確認する必要があります。

 

 

 

 

 

 

また、大きな声では言えないが「アデノイドの取り残し」ということも

ないとは言えない。

 

 

 

 

 

アデノイドは扁桃腺と違って被膜におおわれていないので、全摘出ではなく、

「削り取る」手術をします。

 

 

 

 

 

減量が不十分だと、すぐ再増殖で上咽頭をふさいでしまう、

という残念な結果も無きにしも非ず。

 

 

 

 

 

まあ、アデノイドは年齢とともに退縮するので、

少しでも減量できた、ということで再手術はしないことが多いですが。

 

 

 

 

 

レントゲンは簡単に撮れるので

手術後に検査をしてないのなら、一度確認してみてもいいでしょうね。

 

 

 

 

では、お大事に。

1件のコメント
2013.12.19

反復性中耳炎についてのご質問


 寒くなって濃いハナが出る子供が増えて
それによって中耳炎も増えてきましたね。
 忙しい外来の中、電子カルテで
「ミドリの濃いハナに」
と、記載しようとしたら
「緑の恋は何?」
 といきなり昭和アイドル歌謡曲のタイトルチックな変換されて
ちょっと肩の力が抜けました。
 そんな中、またまた中耳炎についてのご相談ですね。
********************
こんばんは。
中耳炎について調べていたところ、こちらのブログをみつけました。お忙しいとは思いますが、ご相談にのって頂けると助かります。
現在10ヶ月の息子が中耳炎を繰り返しています。10月からすでに5回切開しています。
2回目の時に先生に次に中耳炎になったらチューブをいれた方がいいかもしれないと言われました。しかし、3回目の時は待ち時間がつらくて予約ができる違う病院に変えており、チューブの件を相談したら、まだ入れなくてもよいと言われました。
しかし、それからまた2回切開して、ほぼ毎日病院通いをしているのに中耳炎を繰り返すのが不思議なのと、痛がる子供が可哀そうでチューブを入れた方が良いと言っていた最初の病院に戻った方がいいのか悩んでいます。
それと、最初の病院ではオゼックスをほぼひと月近く処方されていました(うち5日はオラペネム)
2件目の病院ではワイドシリンです。
オゼックスがとても強い薬だと知り、驚いています。
抗生剤の服用を終えるたびに切開しているようで不安です。
こんなに中耳炎の切開を繰り返してもチューブを入れない方が良いのでしょうか…
またオゼックスをひと月以上の長い期間服用していて大丈夫だったんでしょうか…
お正月を前に、また急に中耳炎になってしまったらどうしようと不安です。メールでのご相談で申し訳ないのですが、答えて頂けると嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。
********************

 しかも、これはかなり重症。
 診察してないのでわかりませんが、
0歳の子で、10月から5回切開とはかなりのものです。
 ご質問のうち、オゼックスは大丈夫って言えば多分大丈夫ですが、
それだけのんだとすると
もう崖っぷちで後がありませんね。
 多分、ワタシならチューブ入れます。
 ただ、あくまで状況証拠だけなので、
最終的には主治医の先生とよくご相談なさってください。
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5件のコメント
2013.12.18

他覚的耳鳴りについて


ちょっと前にいただいたご質問です。
********************
初めまして。
耳鼻科医さんのブログを見つけて少しお答え頂きたいと思い、コメをしました。
他覚的耳なりの治療法の事ですが答えられる範囲でお願いします。
蝦牛形メニエールの後遺症と思われますね。と耳鼻科医に言われました。治療法はないですとも言われました。
24時間バキバキやボキボキと鳴っております。
はや1年になります。
一般的に、他覚的耳なりの治療法はないのでしょうか?
もし、治療法があるようならば、どういった病院で通院したらよいですか?
なにか、アドバイスがあれば、頂きたいです。
お答え、宜しくお願いします。
********************

さて、他覚的耳鳴りとは一般の方には耳慣れない言葉かもしれません。
耳鳴り自体はポピュラーな現象で
多くの難聴の方が悩まされていますし、
大きな音を聞いたあとなどには健常耳の人でも「キーン」という耳鳴りを経験することが
しばしばあります。
しかしそれらは自分では聞こえても、
周囲の人にはわからない感覚です。
これに対し、他の人にも認識できるような耳鳴りを
「他覚的耳鳴り」と呼ぶことがあります。
多くの耳鳴りはこれに対し「自覚的耳鳴り」と言えますが、
耳鳴りは本来「自覚的」なのであえてこの言い方はしません。
「他覚的耳鳴り」を他人が聴く方法は、
その人の外耳道に耳を寄せて聴きとりますが、
耳鼻科では耳管通気に使うオトスコープというゴムのチューブがありますので、
これを患者さんと自分の耳に入れて確認します。
「自覚的」耳鳴りはキーン、ジーン、ゴーゴー、ジージーなどさまざまな音ですが
一般的には金属音にしろモーター音にしろ「連続的」な音です。
これに対し「他覚的耳鳴り」としては、
パキパキ、ピチピチ、サッザッ、などの断続音、クリック音がほとんどです。
多角的耳鳴りは耳の周囲の音が
外耳道経由でも聞き取れるわけで、
その原因はいくつか考えられます。
一つは筋肉由来。
口の開け閉めや、嚥下による耳管の開閉音が
鼓膜に反響して聴こえるもの。
これらは多くは「随意的」で自分で鳴らすことができます。
ただ、鳴らしたくないのに鳴っちゃうわけで、
不快に感じる方もいらっしゃいます。
また、耳管周囲筋や顔面筋、耳小骨についているアブミ骨筋の
「けいれん」でもカチカチ音、クリック音がします。
こちらは「不随意的」で24時間連続の方もいますし、
なったり治ったりという方もいます。
しゃっくりとか、疲れるとまぶたの筋肉がピクピク痙攣する、
あの現象を考えてもらうとわかりやすいです。
もうひとつのメジャーな要因は「血管性」です。
耳の近くには動脈が走っており、この血管雑音が聞こえる場合があります。
心臓の鼓動と同期していればそれと確認されます。

これは、自覚的にとどまってる場合が多いですが、
他覚的に感知できるほど大きい場合は、
心臓や脈管の異常がないか内科で調べてもらう必要があります。
その他、以前ブログで紹介した「耳管開放症」でも
まれに他覚的耳鳴りが聴取できる場合があります。
さて、他覚的耳鳴りの治療ですが、これは難しい。
そもそも、自覚、他覚を含めて耳鳴りの薬というものはありません。
自覚的耳鳴りはそのほとんどが内耳性難聴によるものなので
内耳性難聴が改善すればそれにつれて耳鳴りは改善します。
他覚的耳鳴りのうち、筋肉性、血管性のものはほとんど治療されていないのが現状でしょう。
ご質問の方の場合、どういったものが原因か不明ですが、
蝸牛型メニエールの後遺症で他覚的耳鳴りが起こる、
というのはワタシは聞いたことがないのでさらによくわかりません。
蝸牛型メニエールは内耳の病気なので、
普通、後遺症としての耳鳴りは「自覚的」なものですが。
耳鼻咽喉科で鼓膜の状態、難聴の有無等を調べてもらっているのなら
あとはさしあたって脳内CT,MRI等の画像診断でしょうか。
動静脈瘻や血管性腫瘍などは一応除外しておく必要があるでしょう。
あまりお役に立てずスイマセン。

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2013.11.18

鼓膜切開についてのご質問

このままだと鼓膜切開になるかもと診断されて
中耳炎についての記事を読ませていただきました。
詳しく書いてあるだけでなく、質問にも丁寧に答えて下さるのだと。
お忙しいとは思いますが息子の中耳炎のことで悩んでいるので質問させて下さい。
息子は1歳7ヶ月です。
去年の冬に中耳炎になり治療に1カ月かかりました。でも薬だけで治りました。
今回は鼻水と咳で耳鼻科通いしていて、中耳炎になっちゃったねと診断されました。
なので早期発見です。
去年の耳鼻科と違う耳鼻科に行ったので、去年と違う薬が出ました。
サワシリンと点耳薬です。
翌日サワシリンが合わず、顔に湿疹が出たので、抗生物質はやめて点耳薬とゼスランとシングレアを飲んでと言われました。
そこで点耳薬だけで大丈夫なの?と不安になって調べた結果、先生のところを見つけました。
先生の点耳薬はデメリットのが多いとの内容を見て、昨日他の耳鼻科へ行きました。
そこで、ちょっと名前がわからないのですが…( 薬手帳が手元になくて)
でも確か、メイアクトと同じランクにあった薬でした。
その抗生物質を処方してもらったところ、今回は大丈夫だったみたいで、湿疹も出ませんでした。昨夜と今朝に飲んだ段階でまた診察してもらったところ…
あまりよくなってないから、様子みて切開になるかもなって言われて…。
まだ抗生物質を2回しか飲んでない段階で切開って言葉が出たことにびっくりして、ショックを受けました。
私としては、せめて今週は薬を飲んで…と考えているのですが、切開を先延ばしにしたことで悪化することがあったら困るし。
また切開することで、今後、中耳炎になる度に切開することにならないかと心配です。
息子は熱もなく機嫌もいいです。
診てないのに答えていただくのは申し訳ないのですが、答えてもらえたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。


 今回はこのようなご質問をいただきました。
 鼓膜切開ですね。
 鼓膜切開は耳鼻咽喉科外来で行うもっともありふれた手術であり、
大変メリットも多く耳鼻咽喉科医の「武器」だと思います。
 鼓膜切開でなければ解決できない場面も時にあります。
 ただ、外科的な行為には上手い、下手、得意、不得意があり、
また、鼓膜切開の好きな先生、嫌いな先生もいますので
施設や担当医によって考え方は様々です。
 耳鼻咽喉科を標榜しながら、鼓膜切開を全くしない先生もいて
以前、鼓膜切開のためだけに総合病院に紹介する、
という先生がいてびっくりしましたが・・・・。
(しかも、わざわざ、隣の町の病院に紹介していた。)
 鼓膜切開の適応については以前のブログで書いています。
見えない力
 実際に診察していないとわかりませんが、
今までの経過や鼓膜の状態によっては、
初期の段階で切開の可能性を説明しておく、ということはあると思います。
 切開することによってその後中耳炎になりやすくなる、とか
毎回切開になる、ということは一切ありません。
 手術はしなくて済めば越したことはないので
無駄な手術は決してするべきではないが、
必要な場合には、ためらわず切る、
というのが外科医のモットーです。
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2013.10.23

臨時休診のお知らせ


 先月、日本鼻科学会のため休診を頂きましたが、
明日、10月24日(木)は日本聴覚医学会出席のため
休診になりますので、ご注意ください。
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 受付の上の目立つ所に掲示し、
また、来院された方にもご説明しておりますが・・・・。
004_201310230839323f2.jpg
 おや、横にもう1枚掲示がありますね。
003_2013102308393325d.jpg
 スイマセン、そういう事ですんで・・・・。
 ・・・・・大変ご迷惑おかけいたします。
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2件のコメント
2013.10.11

耳垢の話のついで


 耳垢といえば、よく外来で
「子供の耳垢はどれくらいのペースで取ればいいんでしょう?」
などと尋ねられることがよくある。
 答えは
 「しなくて、イイです。」
 などというと、たいていのお母さんはビックリした顔をする。
 耳垢は汗腺、皮脂腺、、耳垢腺のある外耳道の入り口付近で
作られるため、ほっておいても自然に出てくる。
 見た感じ相当たまっていても、聴こえには支障が無いし
あえて取る必要はない。
 むしろ取ろうとして、奥へ押し込んだり、外耳道や鼓膜を傷つけてしまう場合もある。
 きれいに取れたとしても皮膚のバリアである皮脂層を除去しちゃうと、
かえって外耳道の皮膚で細菌が繁殖して外耳炎の元になる。
 そもそも耳垢は弱酸性で殺菌効果があるのだ。
 そんなわけで、ほっておく、が正しい。
 さて、人間を含めてほとんどの哺乳類の耳垢はほっとけば勝手に出てくるが、
唯一そうでない動物がいる。
 さて、何か?
 答えはクジラ類である。
 彼らの耳垢は年齢とともに堆積し、
年輪のようになるのでクジラの年齢はその耳垢からわかるそうだ。
 博物館で見たことあるが、なかなか立派なものである。
 ところで、クジラは耳垢つまって困らないの?
 これは、全然困らないはずだ。
 次のうち、鼓膜がある生物¥はどれか
1.フナ 2.カエル 3.ワニ 4.スズメ 5.ネズミ
 答え、1以外すべて。
 そもそも、鼓膜というのは生物が進化の過程で陸上に上がったことにより、
空気を伝わる音を聴くために進化したものだ。
 だから、両生類以上にあり、魚類にはない。
 水中は空気中に比べてはるかに音がよく伝わるが、
それをとらえるのに鼓膜は無効で、
頭の骨に伝わる振動が直接内耳に伝わる。
 これを、医学用語で気導聴力に対し骨導聴力という。
(看護学生諸君、テストに出すよ。)
 クジラはいったん陸に上がった哺乳類が再び水中に戻ったモノなので
鼓膜も中耳もあるがつかわれることはなく外耳道は耳垢でふさがれてるわけだ。
 ところで、サーファーなど、通年冷たい海水に入るヒトの外耳道は
骨増殖によって狭小化しこれを「サーファーズ・イヤー」と呼ぶ。
 冷たい水から鼓膜を守るため、といわれてるが、
海洋哺乳類への進化なのだろうか?
 あまちゃんは、どうなのかなあ?
(ちなみに「進化」とは世代を超えて情報が伝達されなければならないので
一代限りの形態的変化は「進化」と呼びません。念のため。)
 
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2件のコメント
2013.10.08

乾いた耳垢、湿った耳垢



教えてください。
幼い頃から、耳垢が湿っています。中耳炎などは患った事がありません。
なので、耳鼻科にお世話になった事がないのですが、
これは一生このままなのでしょうか。
お忙しいところ、すみません。ご教示いただけますか?


 いろんなご質問いただきますが、
これは答えやすいです。
 耳垢には2種類あって、カサカサした乾いたタイプと、
べとべとした湿ったタイプがあります。
 前者は粉耳とか、後者はヤニ耳などと呼ばれることもありますが、
これは遺伝的、生まれつきのもので通常は一生変わりません。
 日本人では乾いたタイプのヒトが多く、
湿性のタイプは15,6%といわれていますが、
中国・韓国ではさらに少なく湿った耳垢は5~7%程度といわれています。
逆に欧米では90%以上、特に黒人では99.5%が湿性耳垢です。
 英語で耳垢を「Ear Wax」と呼ぶのもこの辺のイメージです。
 ヒトの汗腺にはエックリン汗腺という全身に分布し、
サラサラの汗を出す汗腺と、
アポクリン汗腺といって腋の下などの体の限られた部分に存在し
脂肪たんぱく質を含んだ汗を分泌する2種類の汗腺があります。
 このアポクリン汗腺は外耳道内にも存在し、
それが多いヒトとほとんどないヒトがいます。
 アポクリン汗腺が多く、活発なヒトは湿った耳垢になります。
 腋臭の原因もアポクリン汗腺といわれており、
この2つは合併します。
 日本人に比べ欧米人は体臭がキツイのはこの事が原因です。
 日本人ではいわゆる「縄文人」の系統がアポクリン型、
「弥生人」が非アポクリン型ということらしいです。
 だから、湿った耳垢はDNAに刻まれた情報なので、
一生変わることはありませんし、
ご両親やお子様に同じ耳垢のヒトがいるはずです。
 ちなみにワタシは「湿ったタイプ」です。
 ヒト以外の哺乳類はアポクリン優位なので、
湿った耳垢のヒトはケモノに近いのか。
 でもアポクリン汗腺は、いわゆるフェロモンとしての機能なので、
湿性の耳垢のヒトはセクシーだ
といえない事もない?
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2013.09.18

副鼻腔炎と滲出性中耳炎


こんにちは 
5歳の娘が8月の12日に急性中耳炎を発症しました。
帰省中だったので、帰省先の病院でとりあえず薬をもらい、帰って来てから近くの耳鼻科に通院を始めました。
そこでは滲出性中耳炎と蓄膿だと診断され、耳の中の水がひどくたまり、鼓膜の動きがなくなっているといわれました。
その時に処方されたのがクラバモックスドライシロップとビオフェルミンの混合剤、アスベリン酸、ぺリアクチン、ムコサールドライシロップの混合剤でした。(これが8月19日処方)
4日間飲んで、その後は、アスベリン酸、ぺリアクチン、ムコサールドライシロップの混合剤を一週間(8月23日処方)のみ、耳の中の水も良くなりかかってるので、様子を見ましょうと、お薬がいったん終わりました。
この時、自分では切れなかった痰が少しづつ咳の度にでるようになっていました。
その5日後鼻水が出始めたので、受診をし、蓄膿もひどいけど耳の状態も少し悪いね、と言われ、ワイドシリンとビオフェルミンの混合剤と、アスベリン酸、ぺリアクチン、ムコサールドライシロップの混合剤を5日分処方(9月5日処方)していただきました。
飲みきって、受診すると、滲出性中耳炎になってますね、と言われ8月19日処方と同じお薬を3日分飲みました。
再度受診すると耳の中の水が濁って鼓膜も動いてないね、と言われ、今度はメイアクトとビオフェルミンの混合剤と、アスベリン酸、ぺリアクチン、ムコサールドライシロップの混合剤を頂いて今に至るのですが、先ほどおでこが痛いと言い、カロナールを飲ませ寝かせました。蓄膿で処方されたものではないですが、あまり痛がるので今日は土曜日でどこも耳鼻科は休みだし救急で行ったとしても、同じ処方が出るだけだろうと思い、飲ませました。
本題ですが、蓄膿は治るが、子どもに手術はしないので薬治療が中心です。しかし、うちのこの場合は症状がひどいので、半年位かかると思っていたほうがいいですと言われました。
中耳炎の方は蓄膿が治らないとなんともならないと、言われました。
しかし、中耳炎は長引かせると聞こえが悪くなったり、良くない事が多いと聞きました。
中耳炎については切開も何も言われていませんが、このひと月ずっと薬漬けなので心配です。
セカンドオピニオンもしくは転院を考えたほうがいいのでしょうか。
ちなみに、ちくのうは、レントゲンとかは撮らず、所見で診断されました。
信頼してよいのか、先生のお考えをお聞かせください。
********************

 またまた中耳炎のご質問です。
 中耳炎はありふれた病気ですが、近年難治化が問題になっており
このような心配もごもっともだと思います。
 さて、診察しないで書くことですので
毎回ながら参考程度にお読みください。
 子供さんの中耳炎には副鼻腔炎の合併率は非常に高く
中耳炎の発症、反復、治癒の遷延に大きくかかわっています。
 レントゲンを撮れば確認できますが、
撮らなくても鼻咽腔の様子から
(中鼻道よりの膿汁の流下、口蓋垂の裏側に流れ落ちる後鼻漏の存在)
診断は可能です。
 原則的に中学生以下は副鼻腔の発育時期なので
手術はしませんが逆に薬でよくなるものがほとんどです。
 ただ、少なくとも1カ月以上、
なかには半年くらいかかることもないわけではありません。
 鼻が治ってこないと、中耳炎がなかなか治らないのは事実で
鼓膜切開して水を抜いてもまたすぐたまったりします。
 ただ、あまり長く水をためっぱなしにしていると鼓膜の劣化が心配なので
途中で水を抜くことはあります。
 その時期はお医者さんによって差があり様々ですが
ワタシは1カ月くらいは切開せずに経過を見ます。
 もっと待つ先生もいると思いますが、
正直ケースバイケースです。
 私自身、間に急性中耳炎を反復するなら1カ月待たずに切開をしますし、
鼓膜の状態が悪くなければ、逆に長く経過を見ることもあります。
 肝心なのは中断せずに治療を続けることで、
自己判断で通院をやめたりしないことです。
 長くかかるにしても耳鼻科の先生に
心配な点を質問したり、
耳の状態や、今後の見通しをときどき説明してもらうといいでしょう。
 キチンと説明してくれる先生ならまず心配ないと思います。
 ただし、どうなるかはなかなか耳鼻科の専門医でも予想のつかない事も多いので、
分かる範囲での見通しに限られてしまいますが。
 ワタシも、
いよいよ抜けないので、来週切開しましょう、
なんて言うと次の週にはほとんど水抜けてた、
なんてことはしばしば経験します。
 中耳炎はやっかいですがキチンと治療すれば必ず治ります。
 頑張ってください。
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2013.09.10

中耳炎についてのご質問いただきました


はじめまして。中1男子の子を持つゴマフアザラシと申します。私自身は38歳女性です。中耳炎のことをいろいろ調べているうちにここに辿りつきました。業務のお邪魔をしてすみません。皆さんの質問にわかりやすいアドバイスをされているので甘えさせてくださいm(_ _)m
質問は二つあります。
1)息子
昨日急な発熱(39度)があり、学校を早退しました。前日に耳の奥が痛いとつぶやいていたのを思い出し、私自身が中耳炎をよく患うのですぐ耳鼻科に連れて行きました。
担任からは2日前に溶連菌が出ていますと言われたので、検査してもらい陰性でした。鼓膜が少しだけ赤いのでおそらく中耳炎ということで、ファロムとビオフェルミンを5日分、頓服の解熱鎮痛剤を3回分処方されました。
これは、溶連菌の検査は陰性でも潜伏期を踏まえてどちらにも対応出来る処方だったのでしょうか。というのは、私の中耳炎のときの処方にはないお薬だったので、参考までに教えていただけると嬉しいです。ちなみに、私はクラビットを処方されます。ちなみに低用量ピル服用歴10年です。
2)私
子供の頃も中耳炎にはなっていたようです。しばらく忘れていましたが、20代半ばになってから、風邪=中耳炎で、耳が痛くなります。中耳炎って、大人でも頻発するのでしょうか。たいていはかなり早めに受診するので投薬だけで治ります。切開したのは6年前の一度だけです。出産後(13年前)から5年くらいは3~4ヶ月に1回くらい、その後~現在は一年に1回くらいです。
5年ほど前に、普通子供の頃は耳管はまっすぐだけど、大人になればカーブがかかる?ので中耳炎にはなりにくくなる。あなたは大人だけどまっすぐだね、と言われました。(その時はすごく遠回りにいい歳して大人になれてないと言われたと凹みました(笑))それが、風邪=中耳炎の原因なのでしょうか?
最近40歳近くになり、何となく耳の聞こえが悪くなってきたような自覚があり、中耳炎ばかりしてたからかと不安です。
予防は可能なのでしょうか?
ご参考まで、今飲んでいる薬は、ハウスダストや花粉のアレルギーでアレロック1錠/日と、片頭痛予防薬としてセレニカ400mg/日です。ピルはマーベロンです。
長文失礼いたしました。業務の差し障りのない時にでもお目通し頂ければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。


 と、このようなご質問いただきました。
 まず、「ファロム」についてですね。
 結論から言うとこの薬を中耳炎の治療に使う事は問題ありません。
 
 溶連菌は耐性菌があまりないのでクラリスなどのマクロライド以外なら何でも効きますし、
ファロムも当然効きます。
 ただし溶連菌はウイルス感染でなく細菌感染なので
潜伏期はほとんどなく熱出てる時に検査すれば
インフルエンザのように擬陰性に出ることはまずないので
この場合は除外してもいいのではないでしょうか。
 ファロムはインフルエンザ菌(インフルエンザウイルスではない)などの
グラム陰性菌にはやや弱いですが、
それも通常の中耳炎ならまず問題なく
グラム陽性菌の肺炎球菌には逆に非常によく効きます。
 一般的に肺炎球菌の方がインフルエンザ菌に比べて臨床症状が強いので
肺炎球菌感染を考えてファロムを投与したのかもしれません。
 一般には急性中耳炎の第一選択はアモキシシリン等のペニシリン製剤です。
 さて、次に大人の中耳炎ですが、
中耳炎は耳管機能の関係で幼小児に多く、
小学校中学年を過ぎると激減します。
 大人の反復する急性中耳炎の最大の要因は
慢性鼻疾患の存在です。
 花粉症を含むアレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、反復性副鼻腔炎等の存在は
大人の急性中耳炎を見た時にまず考えねばいけない基礎疾患です。
 ご質問の方もアレルギー性鼻炎があるようで、
要因の一つでしょうね。
 もちろん、中耳炎を反復した方は、
鼓膜の低緊張や、中耳粘膜のむくみから中耳排せつ機能が劣っているので
中耳炎になりやすいことがあります。
 登山や飛行機で耳がつまりやすいタイプではありませんか。
 中耳炎の反復により鼓膜が薄く、委縮状になってる場合は
大人でも中耳炎を反復する方がいます。
 クラビットは急性中耳炎の第一選択薬ではありませんが、
緑膿菌を含めた耐性菌に広く抗菌力を持ち、
嫌気性菌にも抗菌力があるので副鼻腔炎の合併例や慢性中耳炎にはしばしば用います。
 ただグラム陽性菌に若干弱いのと、
連用して菌が耐性化したとき、次に使う薬があまりない、
という事が注意点です。
 予防は、風邪をひかない事(笑)ですが、
アレルギー性鼻炎のコントロールは、最も重要でしょう。
 また、こいハナが出た時に鼻を強くかみすぎない事は大事です。
 鼻をしじゅうすするのも鼓膜を痛める要因です。
 聴力に関しては中耳炎が完全に治ってれば問題ありませんし、
鼓膜が薄くなってる程度だけであれば聴力に影響ありません。
 ただし、鼓膜が常に内側に陥凹しているような
ぺなぺなの状態になってしまっていると聴力に影響が出てきます。
 いつも早めに受診して治ってるとのことですので
それでよろしいかと思います。
 秋から冬にかけては、中耳炎になりやすい季節になってきます。
 お大事に。
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