ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.08.31

「御机下」と「御侍史」

 内科の先生から紹介で来院された患者さんのお返事を書いていた。
 最近は手紙を書くことってないから、
患者さんの紹介状くらいだろうなあ。
 大概の用事は電話かメール、ファックスで済んじゃうし。
 紹介礼状の一番上に「○○先生 御机下」と書いて、
ふと思った。
 「御机下」とか「御侍史」って、一般に使うもの?
 ネットで調べると、ほとんど医者の間でしか使われない「慣習」みたいだ。
 ああ、そーなのかあ。
 我々が国家試験に受かって医者になると、
当時はまあ大学のどっかの医局にはいるわけだ。
 いきなり、仕事はできないので、
先輩の先生について見習いみたいなことをするわけだ。
 その中で、週2回の教授の外来に必ず横に座って見学をする。
 そして、教授の患者さんは大体紹介患者さんなので、
その返事の「口述筆記」をやらされるわけだ。
 これで、お医者さんの「手紙の書き方」を学ぶので大変勉強になった。
 その時に宛名に必ず○○先生のあとに「御机下」か「御侍史」をつけるように言われたので、
ずーっと、習慣的に書いてたけど、
まさか医者だけとは知らなんだ。
 ちなみに「御机下」は「ごきか」あるいは「おんきか」と読み、
あなた様に直接渡すなど恐れ多いので、
机の下にでも届けて、気が向いたら見てちょ、みたいな意味だと思う。
 同じく「御侍史」(おんじし・ごじし)は、やはり
あなた様に直接読んでいただくなんてモッタイナイので、
そばにいる「侍史」(=召使)にでも読んでおいてもらえばいいです、
という非常にへりくだった表現と思われる。
 「先生」だけでも尊敬語だが、医者は普段からお互いを
目上、目下にかかわらず「~センセイ」と呼び合ってるので、
こんな、メンドクサイ言い回しが定着したんでしょうか。
 これも一種の「医学用語」なのかも。
 医者とか軍隊とか教師とか僧侶とか、
そーいう、閉鎖的な社会だと、
意味もなく伝統が「保存」されてんのかも知れぬ。
 ちなみに、私は最初に「どちらかを書いておくように」と言われた時、
「御侍史」の「侍」が間違えやすそうだったので、
「御机下」を選んでから25年間、ずっと「御机下」ヒトスジです。
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8件のコメント
2010.08.30

目にはさやかに見えねども


 気象情報では、相変わらずの猛暑とか、暑さの記録更新を告げ、
9月もまだまだ暑いですのでご用心、なんていっています。
 しかし、お盆過ぎから外来患者さんには異変が。
「今週になってから、急に鼻水、くしゃみが。」
「この2,3日、妙に目をかゆがっていて。」
 なんてヒトが続出。
 カルテをひっくり返すと、
以前のアレルギー検査で、ブタクサやイエダ二が強く反応している。
 鼻を見ると明らかにアレルギー性鼻炎の所見が。
 ああ、生物学的反応は感覚的印象より正確だ。
 秋来ぬと目にはさやかに見えねども、
   ヒトの鼻にぞおどろかれぬる。

 【解釈】(毎日暑くて)秋が来たという様子ははっきり目には見えないけど、
     (アレルギー性鼻炎の患者さんの)鼻の中を見ると自然にはっと気付いた。
 【解説】 夏の間は花粉症にしろダニ・ハウスダストにしろアレルギー性鼻炎の患者さんは
     症状、所見が軽快する。まだ、夏だと思っていた作者は、
     患者さんの鼻粘膜の状態を見て秋の訪れに気付くのである。
     「ぬる」は、おなじみ「~ぞ」を受けての係り結びである。
    「おどろかれ」は「おどろく」に「られ」がついた形。
     「おどろく」は「はっと気付く」の意。
     「られ」は、可能、尊敬、受身、自発の4種類があるが、
     ここでは「おどろく」の心情表現があるので「自発」である。
     「自然と~」「思わず~」などの訳を当てる。
     「おどろかされる」と受身で訳すと減点ですので気をつけましょう。
     
      <用例>山岸ならPKをとめられると思った。(可能)
         ポンテ様がいい時間帯にゴールを決められた。(尊敬)
         ロスタイムにやられた。(受身)
         サポーターの気持ちがしのばれる。(自発)
        ・・・・・・・なんか、引きずってるなあ。
 
 なんだかんだで、過ぎゆく夏。
 
 そーいや、ツクツクボーシやコオロギの声が・・・。
     (ナニ、コーロギだと?あのやろー)
 まあ、夏休みも終わり。
 この土日は、夏休みの宿題で大変だった、という家も多いんだろうなあ。
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2010.08.29

勝ち点「1」


 実は、夏休みで妻と子供が博多の実家に行っちゃってるので
この週末は「独身」なのだ。
 いや「独身」というより、そろそろ「独居老人」だったりして・・・。(そんなぁ。)
 で、午後6時キックオフの埼玉スタジアムに間に合わすために
午後3時過ぎに柴犬レディアの散歩に行って、晩メシも食わしてしまった。


  2010年J1第21節
  浦和レッズ      1-1      鹿島アントラーズ   (埼玉スタジアム2002)
         (前半  0-0)
         (後半  1-1)


P8280139_convert_20100829104102.jpg
 心配だったのは、フィンケ体制になってから
毎回「同じパターン」で負けているということ。
 ボールポゼッションを「させられ」パスを見きられ、
ブロックから奪ったカウンターで効率よく得点されていた。
 しかし、始まってみると今回はレッズのサッカーは変わっていた。
 逆に鹿島がボールキープをし、レッズのラインは深く、
横パスを減らして縦パスやドリブルで前方に仕掛ける。
 パススピードも意図的に早くしているようだった。
 しかし、その分、受け手が処理しきれずチャンスをつぶす場面がしばしば。
 鹿島は相変わらず、展開力、守備の連携などはすばらしいが、
やはり本調子では、ないという感じ。
 いつもと違うレッズに戸惑いも見せていた。
 全体に双方が「負けないサッカー」をしようという感じだった。
 そして前半を0-0で折り返した後半にPKをくらう。
(遠くてよくわかんなかった。)
 最初は小笠原が蹴りそうだったが、マルキが、交渉して権利をもらったようだった。
 復帰したマルキーニョスは前半から強引なシュートを打っていたが、
明らかにコンディションは良くない。
 実は、焦るマルキがあのコースに蹴って、山岸が止めるのでは、という予感がすごくあったのだ。
(ホントだよ。)
 で、残り10分でのポンテのゴールは、うれしくてうれしくて。
 泣きそうで「ロビー、ビッテゴール」がうまく歌えなかった。
 ・・・・・しかし、ロスタイム。
 スローインがあそこにこぼれた時に、
これはもう、ほぼ5万人が失点の予感を感じただろう。
 うーーーーーーーーん。
 またまた「負の遺産」をため込んだレッズだが、
今回は下を向いてはいけない。
P8280144_convert_20100829115026_20100829115120.jpg
 相手のコンディションが悪いとはいえ、
この2年、歯が立たなかった相手に勝利までもう一歩まで行ったのだ。
 首位を狙い勝ち点3を奪いにきた相手から、
勝ち点2を失わせたのだ。
 しかも、今後のブレイクスルーを予感させる、
フレキシビリティのあるサッカーの片鱗も見せた。
 今後、この「負けなかった」3連戦が、
復活のきっかけだったなー、と思えるといいんだけど。
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 ちょっと、続く。

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3件のコメント
2010.08.27

「見ザル」「聞かザル」「言わザル」そして・・・


 先日、某製薬会社のMRさんの「エリリン竹居」ちゃんと話していたら、
夏休みは友人と日光に行ってきたそうだ。
 お前は小学生か、と思ったが、
東照宮に行って、あの有名な三猿を見てきたが、
ガイドさんに意外な説明を聞いたという。
 もともと猿は、3匹ではなく4匹いたという。
 それが、中国から伝わる時に一つはちょっと卑猥なので、
割愛されたそうだ、というものだ。
 ホンマかいな。
 彼女は山梨出身なので東照宮は初めてらしいが、
この私、栃木県に生まれ育って50年、
そげな話は初めて聞いたとです。
 「見ザル」「聞かザル」「言わザル」のほかに「せザル」がいたというのだ。
 何を「せザル」かって「エッチをしない」ってことで、
なんと「股間」を抑えてるらしい。
 んな、あほな。
 やや「天然」入ってる彼女の事だから
きっと、からかわれたんだろうと思ったら、
実はそうでもないらしい。
 実はネットでこんな画像が。
0169.jpg
 マ、マジすかー。
 しかも、このサイトには「世界の三猿」と称して、
日本、中国、その他アジアの諸国はもちろん、
イギリスやフランス、スイスなどヨーロッパの三猿が数多く紹介されてる。
 これによると三猿はインドが発祥らしい。
(他にもエジプト説や中国説もあるらしい。)
 おお。
 で、世界中に広がったと。
 でも、良く考えると、「さる」と「Don’t~」の「~ザル」をかけられるのは、
日本語だけですよねー。
 だから私は、三猿はずっと日本がルーツだと思ってました。
 
 かの有名な「Intel Inside」を「インテル、入っテル」って訳したヒト
私は常々天才だと思いますけど、
この場合はもともとはそういうのが無くて、
たまたま、日本語でうまく「言葉がハマった」んですかね。
 なんとなく、不思議だなあ。
 ちなみに世界的にも「三匹」が主流ではあるようです。
 「せザル」は、あとからしゃれでついた可能性が高いみたい。
 でも、良かったですね。
 もし、東照宮に「せザル」あったら
小学生が学校の遠足で行った時、
先生やガイドのヒトは、子供たちに対して説明に困るだろうからなあ。
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2010.08.26

続・歌舞伎な耳鼻科

~前回からの続きです。
 そんなわけで、「歌舞伎見物」とあいなったわけだが、
私も、妻も歌舞伎は初体験。
 誰か知ってるヒトの案内なら勝手がわかるが、
いきなり「無作法」をしちゃいけない。
 何事も「しきたり」とか「マナー」とか「常識」「不文律」みたいなものはあるわけである。
 例えば、埼玉スタジアムのレッズのホームゲームで、
闘莉王のグランパスのユニなんか着てていいのは、
アウェイ側ゴール裏だけである。
 メインスタンドでもホーム側ではかなりマズイ。
 本田や遠藤の代表ユニもどうかと思う。
 歌舞伎に行く時、まさか女性は着物でないとダメ、ということは無いだろうが、
ジーパンはどうだとか、上着はいるのかとか、ちょっと気になる。
 最近はインターネットという便利なものがあるので、
ある程度の予備知識を仕込んで、会場に向かった。
 別にジーパン、Tシャツでいいみたいだったけど、
念のため「浮かないように」上着着て行った。
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 席は2階席でこんな感じ。
やっぱ、「お茶漬け海苔」や「歌舞伎揚」げでおなじみの「あの柄」なのだ。
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 3階まで席がある。
P8210112_convert_20100825152650.jpg
 さあ、どんなかなー。
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 上演中はもちろん撮影禁止です。
 実は強い味方がこの「イヤホンガイド」。
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 これを耳に入れとくと解説がナレーションではいるわけだ。
「と、そこに登場したのが先ほどの直助、演じるのは中村獅童です。」
 とか
「この当時江戸ではもっぱらこのような風習があり・・」
 とか
「ここからせりふの無い演技が続き、これをだんまりと呼びます。」
 などと、わかりやすい事この上ない。
 さて、実は楽しみにしてたのが「幕間の食事」だ。
 これも、あらかじめインターネットで「調査済み」なのだが、
歌舞伎は原則的に幕間に「食事タイム」がある。
 この時食べるのが「幕の内弁当」の名前の由来だ。
 お弁当を買って席やロビーで食べてもいいし、
外で買って持ち込んでもいい。
 食堂もいくつかあり、予約もできる。
 ネットでは館内は割高だと書いてあったが、
せっかくなので食堂を予約しておいた。
 時間は30分なので、そんなに余裕は無い。
 インターネットで予約しておくと、こんな札が立っている。
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 これが、ホントの「幕の内」。
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 3000円は高いけど、まあ、場所代ですか。
スキー場のカレー、ホテルのビールみたいなもんだ。
 その後、また2幕あり、休憩を入れて3時間40分ほど。
 いやあ、すっかり楽しめました。
 思ったほど難解ではなかったし、まあ、大衆芸能ですからね。
 演目が「怪談もの」なのも、正解でした。
 幽霊が飛んだりとか、早変わりとか「仕掛け」も多彩で。
 妻が言うには「歌舞伎はミュージカルだ」と。
 なるほど、あのセリフ回しは「歌」なんですね。
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 たまにはライブの「歌舞伎」もいいもんだ、と思ったのでした。
 
 これで「クラシック」に続き「歌舞伎」の扉も開かれた。
 日本の夜明けも近いぜよ。
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2010.08.25

歌舞伎な耳鼻科

 実は、先日、生まれて初めて「歌舞伎」というものを見た。
 このオレが「歌舞伎」なんて、
昨年、初めて「クラシックコンサート」に行ってから、
ペリーの黒船来航後のごとく、
一気に「開国」に向かってるかのようだ。
 ただ、まあ、「ロックな耳鼻科医」としては、
クラシックに比べれば、「歌舞伎」はまだアリかな
などという考えも無きにしも非ず。
 「アリス・クーパー」や「キッス」や
「カブキ・ロックス」なんちゅうバンドもあったしなあ。
 前々から「カブキ」はちょっと興味があったのだが、
先日、うちのバンドのドラムの野口先生が、
「能」を見に行ってハマった、というブログを読んで、
思い切って「チケットぴあ」のサイトを開いたのだった。
 実は、昨年のうちから「歌舞伎」のチケットはチェックしていた。
 ちょうど「歌舞伎座さよなら公演」だったのだが、
なんとなくムズカシソウ、と二の足を踏んでいたのだ。
 そこに、今回、「これだ!」という演目があった。
 さて、少し話が横道にそれますが、
古今東西の歌舞伎に登場するキャラで、もっとも有名なのは誰でしょう。
 実際に、東京で若いギャル100人に訊ねたデータがある。
 歌舞伎に出てくるこのヒト、知ってますか、という。
 「源義経」は100人中52人、
「弁慶」は48人、が知っている。
 ほぼ50パーセントの認知度だ。
 それにしても今どきのムスメは「義経」、「弁慶」のこと半分しか知らねえのかよ。
 「忠臣蔵」の「大石内蔵助」にいたっては2人だったそうだ。
 そんな中、なんと認知度100パーセントの超有名登場人物は誰でしょう?
 答えは 「お岩さん」 なのだ。
 そう、今回「コレダ」と思った演目は「東海道四谷怪談」だったのだ。
 なんか、これなら歌舞伎シロートでも何とかなるのでは。
 いや、もう、これしかないでしょ、真夏だし。
 気持ち的には「浅草花やしきのお化け屋敷」に行く気分。
 ってことで、行ってきました「新橋演舞場」。
 さてさて、その首尾や、いかに?
   ~ってことで、ビミョーに「歌舞伎調」で、後編に続く
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2010.08.24

美黒の夏

 
 この夏は天候に恵まれ、
外来に来る子来る子が、みーんなイイ色に日焼けしていて、
本当に気持ちいい。
 やっぱり、夏の子供はこうでなくっちゃねー。
 冷夏でみんなナマっちろい年もあるが、
かわいそうだよね。
 以前、私が、小学生の頃は、
夏の終わりに学校で「日焼けコンテスト」みたいなのがあった。
 確か、小学校5年生の時、クラスでやった記憶がある。
 学校のプールでやったんだから、
9月の初めだろうか。
 いや「日焼けコンテスト」ではなく確か
「黒んぼ大会」(!)といってたような。
 今では、人種差別反対団体から総攻撃を受けそうな、
ヤバいネーミングだわ。
 この辺、単民族国家のKYぶりが、
まあ、ある意味のどかな時代だったのかも。
 実は、私、かなり黒かった。
 当時は、塾もゲームもないし、
家族旅行も、キャンプもなく、
ひたすら、学校のプールに通っていた。
 家にクーラーなど1台もないし、子供部屋には扇風機すらなかったから、
プールでも行ってないと暑くてしょうがない。
 ほぼ毎日プールに通ったせいで、
元来の「地グロ」も大いに手伝って、
サヌやエジミウソンもかくやというほど黒かったはず。
(当時ならペレやジャイルジーニョ、ですか。)
 水泳大会では優勝できそうにないので、
実はこの大会でひそかに優勝を狙っていた。
(いや、結果的に黒くなっただけで、
最初から優勝を狙ってプール通いしたわけではモチロンありません。)

 しかし、結果は、惜しくも準優勝。
 
 優勝は、女の子だった。
 どこで、本人や知り合いがこのブログを読んでいるやもしれんので、
ここでは、特に名を秘す。
 
 一緒に学級委員やったこともある成績優秀だった彼女は
もともとはるかに私を上回る「地グロ」であった。
 その後「美白」のイイ女になったのかしら。
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2010.08.23

コメント欄のご質問にお答えします。

 ブログのコメントコーナーにこんなコメントをいただきました。
お忙しい中ありがとうございます
あの…前にも聞いてもらったんだけど…
いま、あたしは20代で…今年の4月から看護学校へ入学したため地元を離れて暮らしています
滲出性中耳炎でおととしぐらいから、月に2~3回ぐらい耳鼻科に通ってました
左耳は全く聞こえないわけじゃないけど…あまり聞こえません…
鼻から空気を入れる治療?を先生からすすめられたんだけど…
スッゴく痛くて怖くて、イヤで…
鼓膜切開をしてもらって耳にチューブを入れてもらってました
抜けたりしたんで耳鼻科に通い出して3年ぐらいの間に3回チューブを入れてもらってました
その時はよく聞こえてたんだけど…学校入学する前の3月頃にチューブが外れて…そのまま地元を離れてしまい…7月まで耳鼻科には通っていませんでした…
夏休みに入り…今は地元に帰ってるので耳鼻科に行ってます
先生にまたチューブを入れてほしいと頼んだんだけど…
今は耳には水がたまってないって言われて…鼓膜の傾きがキツイから耳が聞こえにくくなっていると言われて…
痛いけど我慢して…週に2回通い…鼻から空気を通してもらって治療をしてもらっています…
もうすぐ夏休みが終わり…地元を離れるんですけど…場所が変わってもやっぱり定期的に通院したほうが良いですよね?
1番悩んでるのが…交通の便が悪くて病院(クリニック)が遠いことなんです…
学校がある場所が田舎で本当に交通の便が悪く…耳鼻科に通うのが大変なんです…
痛いうえに通院が大変になってくると…耳鼻科に通うのがが苦痛で仕方がないんです…
右耳は普通に聞こえるから…生活には支障はないんだけど…
正直いつまで通院すれば良いのかがわからなくて…
鼻から空気を通してもらって治療をしてても…その時は聞こえるけどまた聞こえにくくなって…
完治するのは難しいんですよね?
やっぱり…定期的これからもずっと通う必要があるんですか?
学校の近くに大きな病院があり…
学校が休みの土曜日も診察しているので…
その病院なら近いから通院はしやすいから…受診してみようか考えてるんだけど…
大きな病院だから…受診をためらってます…
滲出性中耳炎で…大きな病院を受診しても良いんですか?
まだ3年学校へ行くんで…学校がある場所でも耳鼻科に通院して…ちゃんと治したいとは思ってるけれども…
完治するのかしないのか先が見えない…
定期的に通院するとなったら、病院(クリニック)が遠いから月数回であってもしんどい……
それなら近くてすぐ通える大きな病院に行きたいけど…大きな病院だから迷ってます…
自分で言ってて…本当に勝手なわがままな患者だなあって思うけれども…
悩んでます…

 と、こんな内容です。
 「・・・・・」が多いところが、相当悩まれてる感じです。
 実際に診察してないので、正確なお答えはできませんが、
少し検討してみましょう。
 「手掛かり」がいくつかあります。
①3回くらいチューブを入れたが外れてしまった。
②通気した時は良いが、また戻ってしまう。
③今、水はたまっていないが、鼓膜の傾きがキツイ、といわれている。
④今、20代である。
 知りたいことが4つあります。
①小さい頃、中耳炎を繰り返したことは無いですか。
②小さい頃、副鼻腔炎、蓄膿症などと言われたことは無いですか。
③アレルギー性鼻炎、花粉症などはありませんか。
④自分の声が響いたり、鼻をすする癖はありませんか。
 お話を伺うと、なんとなく鼓膜の所見が浮かんできます。
 おそらく、いわゆる「アテレクティック・イヤー」気味の耳なんでしょうね。
 アテレクティック・イヤーとは何か。
 鼓膜は「太鼓」の皮みたいにピンと張った状態が正常です。
 それが、長く滲出性中耳炎が放置され、
中耳に水がたまった状態が続くと、
鼓膜の皮が薄くなってぺナぺナになってしまいます。
 「鼓膜の傾きがキツイ」というのは、
おそらく鼓膜が、向こう側に接着するほど「内陥」しているということだと思います。
(私はこれをいつも「ボディコンの鼓膜」と呼んでましたが「ボディコン」が死語になってしまった。)
 イメージ的にはやけどのあとの水疱を針でついて潰した状態とか。
 汗をかいて、シャツごしに「胸ポチ」がわかっちゃう状態とか。
(どうしてもエロ路線に行ってしまう・・・・。)
 ともかく鼓膜がペチャンコで向こう側にはりついちゃってる状態です。
 耳管といわれる耳と鼻をつなぐ管の機能異常からおこり、
耳管狭窄症でも鼻すすりタイプの耳管開放症でもなります。
 鼓膜はペチャンコなので聞こえが悪く、
通気にて一時的に良くなっても、
またすーっとしぼんでしまいます。
 耳鼻科で通気直後に患者さんにハナすすりをしてもらい、
その様子をファイバーで観察すると、わかります。
 普通はチューブが自然に外れてしまうことは少ないので、
この方のようにすぐ脱落しちゃうのは、
鼓膜に「コシが無い」ことに起因する場合が多いです。
 さて、では治療方針です。
 一般に「耳管機能」は幼小児では悪く、
成長とともに成熟してきます。
 20代、ということであれば、今後加齢による耳管機能の改善は望めません。
 耳管機能は、鼻の病気によって悪化しますから、
アレルギー性鼻炎などの鼻の病気の治療によって、
鼓膜の状態の改善が期待できます。
 アレルギー性鼻炎などがあれば、自覚的な鼻詰まりが無くても、
そちらの治療をしてみるべきです。
  しかし、鼻も悪くない、アレルギー性鼻炎もない、といった時には
事態は深刻です。
 まずその場合、耳管開放症の有無が最も問題になります。
 先ほどの④の質問はそこなのですが。
 それがあれば、そちらの治療ですが、
一応「自分の声が響く」という記載がないので、
耳管狭窄症のみだと考えられます。
 耳管開放症の治療は、またまた難しいので、
別の機会に説明します。
 さて、鼓膜が変化してしまった以上、
通気のみでは治りません。
(もちろん、程度によっては徐々に治るものもないわけではないですが・・・)
 チューブ留置は検討されるべき治療です。
 鼓膜がある程度チューブに耐えられれば、
水がたまっていなくともチューブ留置をすべきです。
 ただし、鼓膜が極端に薄いと脱落、そしてその後の穿孔を残す恐れがあります。
 鼓膜に極端に薄い部分がある時は、比較的厚い部分との境に切開を置き、
厚い部分に「あごを乗せるように」チューブを入れると安定します。
 その辺は、実際に診ないと分かりません。
 では、通気は意味がないのかというと、そうでもありません。
 鼓膜の鼓室への癒着を防ぎ、慢性中耳炎、癒着性中耳炎、真珠腫性中耳炎への移行を
阻止するため、定期的な通気は必要です。
 しかし、週2回は必要ないでしょう。
 具体的な頻度は難しいですが、
乾いている耳ならば大人であれば1~2カ月に一回くらいでいいのでは。
 ただしこれは「完治」を目指すものではなく「増悪、進行を防ぐ」行為です。
 大きな病院は、いろいろですね。
 大学病院とかでは、相手にされないでしょうからやめといた方がいいですね。
そもそも大学病院の先生は「滲出性中耳炎」はあまり詳しくありませんし。
 
 常勤の先生が毎日外来やってる病院ならまあ、大丈夫でしょうが
曜日変わりでパートの先生が来てる病院は
こういう「慢性の経過」をとる病気は、やめといた方がいいかも。
 なかなか、これ以上は実際に診てないのでわかりません。
 セカンドオピニオンとして、
いくつかの医療機関で意見を聞いてみるのもいいかもしれませんね。
 その際、診断、ではなく、
「長期的な今後の見通し、方針」をしっかり聞いてください。
 通気して、また来週来てね、では意味無いですから。
 では、お大事に。
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5件のコメント
2010.08.22

順位と勝敗

 平塚からは、どうやっても終了後足利まで帰ってこれないので、
またまたスカパーのお世話になる。
 昔は泊りで行った覚えがあるが、あれはもう9年も前なのか。


 2010年J1第20節
  湘南ベルマーレ    1-4     浦和レッズ  (平塚競技場)
        (前半    0-0)
        (後半    1-4)


 試合前に画面に現れた両チームの前節までの勝敗。
 に、似とる、そっくりやんけー。
 ワールドカップ明け後、
湘南は1勝2分け5敗、浦和は1勝1分け5敗。
 日程の関係で湘南が1試合多いが、
1勝をあげた相手がともに最下位京都、というとこまで一致してる。
 かたや湘南は、その最下位の「1コ上」。
 いや、ここまで落ちてるか浦和レッズ。
 ということで、例によって前半は0-0のイヤな展開。
 でもやはり状況を打開するのは「得点」だ。
 スピラノビッチの今季初ゴールが
チームに大きな力と勇気を与えたのは間違いのないところだ。
 そして、セルの追加点。
 下位チームはこれでがくんと来る。
 ちょうどあの京都戦と同じムードになり
ゴールも同じ、4点まで積み上げた。
 
 ただ、1点取られたのは、相手が最下位の「1コ上」だから?
 そういう目で見ると、ここんとこのスコアは非常に「几帳面」だ。
 最下位京都に4-0と完封するが、
その1コ上湘南に4-1と失点を許し、
その1コ上仙台には1-1でやっと引き分け、
その1コ上の神戸には0-1で負けてしまう。
 勝てるゾーンが狭すぎっ。
 うーん、じゃあ、今後はもう勝てないってこと?
 少なくとも今の実力は「降格ゾーン」なのか。
 次節、アントラーズ戦、
もちろん「勝ちを信じて」埼スタに行きます。
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6件のコメント
2010.08.21

耳鼻科勤務医の夏


 以前も書いたけれど耳鼻科は夏はヒマだ。
 昨日なんかは、来院患者さんも久々に100人を下回り、
こうなると「待ち人数ゼロ」の時間も出てくる。
 自動ドアーの開く音がして、誰もいない待合室に小さい子が飛び込んでくると
「ナニー、これー、チョー空きすぎー。」
などと歓声を上げるのが診察室にも聞こえたりする。
 じゃあ、耳鼻科がみんなヒマかというと、そうでもない。
 この時期ヒマなのは「開業医」の耳鼻科で、
「病院勤務医」の耳鼻科はそれこそ1年中で一番忙しいはず。
 風邪や中耳炎などの患者さんはほとんど総合病院の耳鼻科には来ません。
 主として、入院、手術が中心でその関連の方が主体です。
 夏休みは、子供の「扁桃腺」や「アデノイド」などの手術が、
数多く「予約」で入り、病院はごった返します。
 夏休みは、通常「手術日」を拡大して手術するのですが、
「予約」は「夏休み期間の沖縄便」並みに6月中には埋まってしまいます。
 それらが通常の業務に乗っかってくるので、
夏休み期間中は大忙しでした。
 もちろん病院は「お盆休み」はありませんから、
働き通しです。
 入院患者さんがいるので、日曜日も少なくとも隔週で出勤です。
 私が2年目で行った病院で、上の先生からもらった夏休みは「1日」でした。
 「非番」の日曜日と続けて「2日間」休んでよいと。
 同じ病院で内科や小児科の先生は交代で1週間も夏休みとるというのに・・・・。
 しかし、数年して今度は自分が「医長」になったら、
7、8月の夏休みは「ゼロ」になっちゃいました。
 通常の手術日以外にも毎日数件の手術してるので、
部下は休んでも自分が休むわけにはいかないのだ。
 まあ、9月になって2,3日休みとりましたが。
 夏の間は毎日午前中外来やって、午後手術。
 お昼食べてる間が無いので、オペ室に運んでもらい、
1件目の手術が終わって麻酔覚ましてる間に食べる、
なんてこともあったなあ。
 手術が終わって病棟に回診に行くと、
病室の窓から「花火」が見える。
 前橋の花火大会は毎年8月15日でした。
 病院が川沿いなので、良く見えるんです。
 まあ、そこでずっと見てるわけにはいかないけど。
(病棟だからビールも飲めんし・・・。)
 あの頃はよく働いたなー、などと思いながら、
午後の時間が過ぎていく・・・。
 もう、今日は来ないかねえ、なんていうと、
受付終了間際になって、どどど、って来たりするのだ。
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