ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.08.06

夏に増える耳鼻科の病気


 一般に耳鼻科は夏はヒマな科なのだが、
2つだけこの時期に増加する耳鼻科の病気がある。
 一つは慢性中耳炎、もう一つは外耳炎だ。
 どちらも、耳の外から感染が起こるので、
同じような時期に増えるわけだ。
 急性中耳炎は鼻からの耳管を経由した感染なので、
別にプールや海に入ったからなる、ということは無い。
 ところが、慢性中耳炎は鼓膜に穴があいてる状態なので
普段は乾いていても、プールやシャワーなんかで水が耳に入ると、
感染をおこし、耳だれが出ます。
 夏場は汗かくことも多いので、その辺から感染する場合もある。
 まあ、これはある程度ショウガナイ。
 一方、外耳炎も外耳道経由の感染だが、
ただ、普通に耳が水が入っただけでは、
外耳道に感染をおこすことはまず無い。
 この原因は90%以上が「耳かき」「耳そうじ」です。
 そもそも人間の耳は掃除する必要ない。
 耳かきでも綿棒でも耳そうじによって外耳道の皮膚はダメージを受けます。
 それは、外耳道には皮下組織、すなわち脂肪や筋肉などのクッションが無いから。
 しかも皮膚の上にはもともと「細菌」が常在するわけで、
そのダメージによってそれらが繁殖しやすくなるわけです。
 まあ、硬い地面には草は生えないが、耕すといっぱい雑草が生えてくる、ってイメージだ。
 なかなか、この辺誤解していらっしゃる方が多い。
「耳そうじしてますか?」
 と訊くと、胸を張って、
「一生懸命、毎日お掃除してますよ。」
  
 などと言うヒトがいる。
 まるで、
耳そうじを怠ってたみたいに思われるなんて、心外だなあ、
 という感じで。
 それがダメなんです。
 しかも、毎日のごとく耳そうじすると、だんだん知覚がマヒしてくる。
 耳の半分から奥は、痛みの神経がいっぱいで、
鼓膜なんかは触っただけで飛び上るほど痛いものだ。
 もちろん、損傷を避けるためで、鼓膜破けちゃうとマズイので、
「痛くしてある」わけだ。
 これが耳そうじによって、だんだん鈍麻してしまう。
 鼓膜やその近辺を処置しながら、
「ここ、痛いですか?」
 と訊ねると、誇らしげに
「いやいや、全然。気持ちいいくらいですよ。」
 と、余裕のスマイルで答える人もいる。
 それが、ヤバいのよ。
 そういったヒトビトに、
もう耳そうじは一生禁止です、というと、
多くは
「私から耳そうじを取り上げるなんて・・・・。
   人生の楽しみを返して。」
 などという反応を示しますが、
 ダメなものはダメなのだ。
 でも毎年夏になると、
「先生にダメって言われてたんですが、・・・・・また、やっちゃいました・・・・。」
 と、同じ患者さんが来るんだなあ。
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