ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.08.31

「御机下」と「御侍史」

 内科の先生から紹介で来院された患者さんのお返事を書いていた。
 最近は手紙を書くことってないから、
患者さんの紹介状くらいだろうなあ。
 大概の用事は電話かメール、ファックスで済んじゃうし。
 紹介礼状の一番上に「○○先生 御机下」と書いて、
ふと思った。
 「御机下」とか「御侍史」って、一般に使うもの?
 ネットで調べると、ほとんど医者の間でしか使われない「慣習」みたいだ。
 ああ、そーなのかあ。
 我々が国家試験に受かって医者になると、
当時はまあ大学のどっかの医局にはいるわけだ。
 いきなり、仕事はできないので、
先輩の先生について見習いみたいなことをするわけだ。
 その中で、週2回の教授の外来に必ず横に座って見学をする。
 そして、教授の患者さんは大体紹介患者さんなので、
その返事の「口述筆記」をやらされるわけだ。
 これで、お医者さんの「手紙の書き方」を学ぶので大変勉強になった。
 その時に宛名に必ず○○先生のあとに「御机下」か「御侍史」をつけるように言われたので、
ずーっと、習慣的に書いてたけど、
まさか医者だけとは知らなんだ。
 ちなみに「御机下」は「ごきか」あるいは「おんきか」と読み、
あなた様に直接渡すなど恐れ多いので、
机の下にでも届けて、気が向いたら見てちょ、みたいな意味だと思う。
 同じく「御侍史」(おんじし・ごじし)は、やはり
あなた様に直接読んでいただくなんてモッタイナイので、
そばにいる「侍史」(=召使)にでも読んでおいてもらえばいいです、
という非常にへりくだった表現と思われる。
 「先生」だけでも尊敬語だが、医者は普段からお互いを
目上、目下にかかわらず「~センセイ」と呼び合ってるので、
こんな、メンドクサイ言い回しが定着したんでしょうか。
 これも一種の「医学用語」なのかも。
 医者とか軍隊とか教師とか僧侶とか、
そーいう、閉鎖的な社会だと、
意味もなく伝統が「保存」されてんのかも知れぬ。
 ちなみに、私は最初に「どちらかを書いておくように」と言われた時、
「御侍史」の「侍」が間違えやすそうだったので、
「御机下」を選んでから25年間、ずっと「御机下」ヒトスジです。
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