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2013.01.21
先週のスキーツアー、ブログで書いたように
日本海周りで6、7時間ほどかけて帰ってきたわけだが、
日帰り、自家用車参加のモヤシ大原は大変だったらしい。
彼は関越道も止まってると思い高速を使わず、
18号、碓井バイパス経由でのルートを試みた。
結果、午後1時半に斑尾スキー場を出て、
ひたすら渋滞にはまり、深夜12時の時点で
まだ、小諸!
結局、佐久に宿をとり、翌日朝イチで帰ったという。
後で、計算したところスキー場から小諸まで
時速4キロとのこと!
ご苦労さまでしたあ。
さて、話変わりますが、
先日こんなメールを頂きました。
はじめまして。
> ブログからたどり着きました、××と申します。
> もうすぐ2歳になる娘がいます。
>
> 保育園に通ってるのですぐに風邪をひき、ほとんどが鼻水の風邪です。
> 外には出て来ずに溜まってることが多いです。
>
> 病院ではムコダイン、ムコサールの粉の混合薬(2回/日)、ホクナリンテープ、
> ジキリオン3ミリ (夜のみ/日)
> の処方をしてもらってます。
> アレルギー性鼻炎の診断はついてません。
> ジキリオンは朝飲ませると、眠くなって保育園でご飯が食べれなくなることがあ
> るので夜のみです。
>
> ・去痰の薬と抗ヒスタミンの薬を一緒に飲ませると、かえって排出しにくくなる
> とネットで見たことありますが、
> 実際はどうなのでしょうか?
>
> ・鼻水が鼻から外に出ないで喉や奥で溜まってしまうのは何故でしょうか?
> 一見風邪をひいてないように見えます。個性みたいなものでしょうか?
>
> 現在は少し乳白色で喉がガラガラ言うほどではないですが、
> ハァハァしながらご飯を食べてます。
> 元々食に貪欲なタイプではないので、食欲が落ちてるというよりも食べづらくて
> 食べることが落ちてます。
> 夜も寝苦しそうな場面があります。
>
> ご意見頂けたら幸いです。
>
いやあ、大変そうです。
でもこういうのは良くあるんです。
さて、ご質問は
・去痰の薬と抗ヒスタミンの薬を一緒に飲ませると、
かえって排出しにくくなる
とネットで見たことありますが、
実際はどうなのでしょうか?
ジキリオンとはザジテンの後発品で一般名はケトチフェン。
発売当初は抗アレルギー剤の分類でしたが、
今では第2世代の抗ヒスタミン剤に分類されます。
一般に抗ヒスタミン剤は鼻汁の分泌を抑えるので、
鼻汁や痰などの気道分泌液が粘稠になり
喘息などの場合喀痰の排出を妨げる、
という先生もいます。
アクセルとブレーキを同時に踏んでる、などとおっしゃる先生も・・・。
ただ一般的に抗ヒスタミン剤の気道分泌に対する問題点は、
抗ヒスタミン剤が併せ持つ抗コリン作用によることが多いと思われます。
市販の風邪薬や花粉症の薬を飲むとやたら口が乾く、あれです。
古い、いわゆる第1世代の抗ヒスタミン剤にはこのような作用が強く、
痰の排出を妨げる要素はあると思われますが、
新しい世代の抗ヒスタミン剤になればなるほど、
そのような作用は軽減されています。
だから私自身はそれほど大きな影響があると思っていませんが、
どろどろのハナが出ていて、アレルギーでもなければ、
第2世代とはいえ抗ヒスタミン剤の効果はあまり期待できないでしょうね。
(しかも、ザジテンは第2世代の中では最も古いグループなので、
第1世代ほどではないにしろ抗コリン作用はあります。)
・鼻水が鼻から外に出ないで喉や奥で溜まってしまうのは何故でしょうか?
一見風邪をひいてないように見えます。個性みたいなものでしょうか?
個性ってこたあないよね。(笑)
これは、いくつかの事が複合しています。
まず、最初の風邪によりハナの中の粘膜の抵抗力、
具体的には繊毛運動といって粘膜を自分で掃除する力、
が阻害されます。
そのためにハナ水や塵埃がいつまでもハナにとどまり、
ハナの中にもともといるバイ菌が増殖します。
それを白血球が攻撃した残骸がいわゆる青っ洟です。
小さい子はそれを自分でハナをかんで除去することができないので、
またそれによって粘膜があらされ、鼻の繊毛運動が阻害されます。
以下、その繰り返し。
しかも、こういう状態の鼻粘膜は
ウイルスや細菌を自浄する機能が落ちてるわけですから、
またすぐ風邪をもらっちゃう。
寒冷によってハナ水が増えても同じ道をたどります。
乾燥は鼻水の水分を奪いかたいハナになってこれも粘膜を傷害します。
いつまでたっても治らない・・・・。
そこで、対策は
温かく、湿潤な環境をつくり、なるべく鼻汁を吸引除去、
あるいは鼻がかめるように訓練をして、
できるだけ、保育園を休ませる。(笑)
実際、年末年始のお休みで1週間保育園に行かないと、
特に2歳以下の子はぐっと良くなることが多いです。
まあ、ご家庭の事情で難しい面もありますよねー、
ウチだって下の子は6か月前から保育園預けてたし。
風邪も、また人生の経験なので、
そのうちきっとだんだん強くなりますが、
中耳炎だけは知らないうちになってる事もありますので要注意です。
それと、2歳くらいからだとアレルギー性鼻炎の合併、
3歳を過ぎると副鼻腔炎の合併にも気をつけましょう。
てなわけで、まだまだ寒い日が続きます。
みなさま、お大事に。
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2012.12.01
こなさん、みんばんは。
(おー、これ知ってるヒト古いわあ。)
「とりあえず、おぐぐ先生に訊いてみよ」のコーナーです。
こんかいは、これ。
ちょっと教えてください。
急にスイマセン。小児副鼻く炎で検索してたら見つけちゃいました
4歳の子供が副鼻腔炎と診断されて早半年以上
黄色いドロッとした鼻が出たり出なかったりという感じなので
酷くなる時にだけ病院へと言った対応をしています。
あまり私に知識がなく、薬が終われば(7日分)終わりと思っていて
後は、自然に任せて…
最近鼻水でないね♪あぁ治ったのかな?といった具合です
風邪ひきになると、一日目から黄色い鼻水が出だすと言った感じです
一時期は副鼻腔炎が気になり、鼻水が出るとすぐに病院へいっていたのですが
行きつけの先生は副鼻腔炎には触れず、
「はい!風邪だね。たんと鼻水、
咳の薬出すね」
私「あの~前に副鼻腔炎っていわれたんですが…」
と言うと
「ちゃんとその薬に副鼻腔炎にも効くの入ってるからね♪」
という感じで軽い対応だったので、私があまり深刻には考えていないんですが…
また鼻が出だして酷くなったら連れていくと言う対応でいいのでしょうか?
それと、お義母さんから通っているプールはもう辞めた方がいい!副鼻腔炎の原因だと言われたのですが
プールとの関係ってあるのでしょうか?子供も楽しみで行っているので、出来たら辞めたくないんです
実は、小児の副鼻腔炎の取り扱いは、
この投稿のあったブログ「
小児副鼻腔炎の治療について」(←クリック)に詳しく書きましたので、
それをお読みいただくとして、
今回の質問に絞ってお答えしますね。
まず、どういうタイミングで受診するか、
いつまで治療を続けるか、
という点です。
そりゃ、まあ、青パナドロドロで大変なら来てください、
ですが、副鼻腔炎を心配するなら、
痰がらみの咳が続く時は要注意です。
ハナが(前には)出てなくても、
のどにまわって咳の原因になることはきわめて多い。
昼間はそれほどでもなくても、寝入りばな、起きぬけ、
走った後などに咳こむのは重要なサインです。
お母さんが「ハナは全然出ないんです。」といっても、
吸引してみると奥の方に濃いハナが充満、なんてことはざらです。
逆に、ハナが止まっても咳や痰が続いていたら、
副鼻腔炎は治ってないかも、ということです。
そこで、いつまで通院するかですが、
レントゲンで副鼻腔炎が確認されたヒトは、
もう一度レントゲンを撮り、陰影が無くなっていることを確認するまで、
というのが常道です。
もちろん、中断したけど、あとで確認したら治ってましたー、
なんてことは多いんだけど、
本人や家族は治った気になっていたが、
実は治って無かった、なんてことも間々あるので。
以前レントゲンで副鼻腔炎だったなら、
どこかで治っているかどうか確認する必要があります。
以前も書いたけど、子供のうちは治りやすいが、
中学生以上の副鼻腔炎は慢性化するとなかなか治らない場合も多く要注意です。
さて、次に水泳に関してです。
実はこの問題は専門家の間でも意見が分かれるところです。
ワタシは、基本的にはスイミング肯定派ですが、
中にはプールいかんという先生がいる事も事実です。
はっきりしたエビデンスは無いのが現状です。
ワタシとしては、スイミングにより
呼吸器系が鍛えられ、風邪をひきにくくなれば、
副鼻腔炎にかかりにくくなり、また治りも早いと考えています。
喘息の子にスイミングが推奨されるのと同じ理由です。
それに温かい湿度の高いスイミングプールでの環境は、
寒風の中、あるいは花粉がイッパイとんでる中のサッカーに比べると
鼻やのどに対して行って帰ってくるほどプールの方がいいわけです。
ただし、青っパナで完全にふさがってしまうような急性期は、
中耳炎を誘発する恐れも高いのでプールお休みしてもらいます。
寒くなってきて、外来にも急にこの手のお子さんが増えてきました。
何より、風邪をひかない、ひかせない事が、
一番のポイントです。
ま、注意しててもひくときゃ、ひくんだけど。
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2012.11.29
みなさんこんばんは。
お馴染み「耳鼻咽喉科Q&A」のコーナーです。
今日はコメント欄に2つも質問もらっちまって、
まあ、早いもん順に行きますね。
おぐぐー先生、はじめまして。私は5歳と1歳の男の子を育てている母親です。子供は二人とも保育園に通っています。下の子が今年の5月(8ヵ月)で急性中耳炎を発症て以来、先生のブログによく訪れるようになりました。今日は先生に質問があり、初めてコメントさせていただきました。長文、大変申し訳ないのですが、一読いただけると幸いです。
下の子は11月まで13回も急性中耳炎を繰り返しています。9月には両耳にチューブを入れました。チューブを入れた後も6回急性中耳炎にかかっています。最初に急性中耳炎になった時にサワシリンを処方してもらったのですが、サワシリンを飲んでアレルギーを起こし、10月までメイアクト、フロモックス、バナン、テラミロン(トミロンのジェネリック品)とセフェム系の抗生物質を飲み渡り、ついにセフェム系の抗生物質が全く効かなくなったので、11月にオゼックスを飲み始めました。いったんは良くなったのですが、1週間もたたない間に再発し、2回目のオゼックスを1週間飲んで、一昨日ようやく耳だれが止まったばかりです。
かかりつけの耳鼻科医には、オゼックスが効かなくなったらあとはオラペネムしか治療薬がない。オラペネムが効かなくなったら、もう耳だれをとめる事ができないと言われました。
そこで先生に質問なのですが・・・
(1)オラペネムが効かず耳だれを止める手段がなくなってしまった場合、耳はどうなるのでしょうか。
(2)抗生物質は必ず使わなくては治らないのですか。他に治療法はないのでしょうか?
(3)一度効かなくなった抗生物質は二度と使えないのでしょうか?
お忙しい所大変申し訳ありません。このコメントが先生の目にとまってくれることを切に願っております。
コメントありがとうございます。
ま、そりゃ、目にとまりますに決まってますが。
なかなか、大変ですね。
まず最初の質問にあるように
オラペネムが効かず耳だれを止める手段がなくなってしまった場合、耳はどうなるのでしょうか。
これ、心配ですね。
耳だれ止まらないと慢性中耳炎、という事ですね。
難聴が残り耳漏が続きます。
将来手術が必要になり、手術しても聴力は正常化しない場合も少なくありません。
そりゃ、困る。
でも、多分、大丈夫。
そうならないために耳鼻科に行ってるわけですから。
次の質問にも合わせて、ちょっと考えてみます。
まず、オラペネムも効かなくなるともう手は無いのか、
というところです。
おそらく、この方の場合、主治医の先生は耳漏の培養を取ってると思います。
それによって、これが効く、効かなくなってきた、
などと感受性検査を見て抗生剤の選択をしてるわけで、
これは正当です。
薬もペニシリンアレルギーなので、
メイアクト、フロモックス、バナン、トミロンなどを使った、
というのもうなずけます。
ただ、これらはすべて同じセフェム第2世代なので、
菌の感受性も似ており、
メイアクトが効かなければ、まあまずそれより弱いバナンなんかは効かないでしょう。
今回、伝家の宝刀オゼックスの働きで耳漏停止したとのことで、
ひとまず良かったですね。
で、オゼックス、オラペネムが効かなくなった場合です。
この方はチューブが入ってる、というところがポイントです。
菌検査でもしタリビッドに感受性があれば、
耳鼻科に通院しタリビッド点耳による耳浴(洗浄)をしてもらうのは手です。
点耳は穿孔の無い鼓膜につけても意味がありませんが、
チューブが開いてれば中耳に薬液を入れることができます。
ただし、耳だれの上からぽたぽた垂らしても、
中耳には入りませんし、かえってあっという間に耐性化します。
必ず、耳鼻科で顕微鏡下に耳漏を吸引してもらったうえで、
チューブの穴を通って行くように点耳しなければ有効ではありません。
これによって耳漏のコントロールができる場合があります。
いや、そんなことはもうやってる、とか、
もし、点耳薬がすべて耐性だった場合はどうしましょう。
この場合は、生理食塩水で洗います。
もともと我々の体には菌と戦う力があるので、
条件が良ければ抗菌薬なんかなくたって耳漏は止まります。
ばい菌が減って、中耳粘膜が抵抗力を回復し
自力で処理できるくらいになれば、
耳だれは止まってきます。
もともと耐性菌というのは遺伝子を変異させてる分、
菌自体の増殖力は一般の菌より弱いものです。
抗生剤づけにすると、ライバルの菌がいなくなるので、
残った耐性菌が縄張りを広げることができるのです。
だから、抗生剤が効かなくなってきた時、
思い切って抗生剤をやめちゃう、ってのはとこどきやる手です。
いつの間にか感受性菌が耐性菌を駆逐して、
以前効かなくなった抗生剤ですんなり治る、という事もあります。
幸い、肺炎や髄膜炎と違い、中耳炎の場合はチューブさえ入ってれば、
耳だれ以外の症状は無く、危険もありません。
それでも止まらない場合。
チューブを、抜きます。
チューブはしょせん、異物です。
チューブの周りに細菌がバイオフィルムをつくって、
いわゆる「ばい菌のすみか」になってる場合があるのです。
以前、総合病院で中耳炎の治療をし良くならないで全身麻酔で両耳にチューブを入れ、
それでも耳だれが止まらず、お手上げだと言われた幼児が来ました。
何回か治療して菌の感受性などを確認したうえで、
チューブを抜去して洗浄を続けたらきれいに治りました。
耐性菌の問題は日々我々を悩ませている問題です。
もともと、風邪などの抗菌薬のいらない患者さんに、
むやみに抗菌薬を出したことによる一種の医原性疾患です。
これが効かなければ、さらに強い薬を、
という西洋医学的な考え方がもたらした「ひずみ」だと思っています。
薬や治療でで病気を治すのではなく、
いろんな方法で体にとって治りやすい環境を整えてあげる、
ってのが医者の仕事かなあ、と日々考えています。
医者が病気を治すのではなく、
患者さんが勝手に治っていく道すじをつける、
というのがワタシの医者としての持論です。
ええと、あと一つの質問は、またあとで。
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