ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

ブログトップに戻る

2015.06.16

ロックボーカルと声帯

 

 

はじめまして。
喉頭アレルギー関連で色々調べていて、先生のblogに辿り着きまして、どうしても先生にお訊きしたい事がありまして、コメント致しました。

僕はV系メタルバンドをやっている者なんですが、うちのバンドのVo(女・20代後半)が声帯ポリープを患い、現在活動を休止しています。ポリープの治療に際し、病院で喉の検査をしてもらったところ、「喉頭アレルギー」も患っていると診断され、「今後はバンド活動や歌唱は厳しい」と言われてしまったそうです。

今はポリープの治療に専念し、ポリープが治ったらバンドとして活動を再開するつもりであったがゆえに、診断はショックであり、メンバー全員今後が不安で仕方ありません。
本人はもちろんのこと、僕もバンドのメンバーとして、Voとはずっと一緒に音楽をやっていきたいと考えています。やはり彼女の歌声が好きなので。
(もちろんポリープが治ってからですが)何とか「喉頭アレルギー」と付き合いながら、バンド活動を続けていくことは不可能なのでしょうか。

ちなみにリハーサルは週1で2時間、ライブは月1程で、たまにそれプラスしてレコーディングをしています。

どうか先生のご回答をお待ちしております。
宜しくお願い致します。

*********************************************************************************************

 またまた、ご質問。

 

 

 

 

 

 ワタシは別に音声外科の専門医ではありませんが

 耳鼻科医でかつロックバンドのボーカルやってるとなると

 意外と日本でも数少ないかも、ということで。

 

 

 

 

 

 実は質問の方から直接、お電話いただき今度受診予定とのことです。

 

 

 

 

 

 

 ご質問の「喉頭アレルギー」は確かに疾患としては存在しますが、

 この場合どうなのかなと。

 

 

 

 

 

 一般に認識される「喉頭アレルギー」とは

 主として「花粉」「ハウスダスト」「ダニ」などの「抗原」を吸入した場合に

 その通過点である喉頭粘膜に付着し局所アレルギーを起こすというもの。

 

 

 

 

 

 症状はのどのイガイガ、かゆみ、セキ、異物感などです。

 

 

 

 

 

 

 したがって、喉頭アレルギーがあるからバンド活動は難しい、

 という状態はちょっと理解できません。

 

 

 

 

 

 ワタシの知らない知見や病態もあるのかもしれないので何とも言えません。

 

 

 

 

 

 そこでポイントはロック・ボーカリストの声帯ポリープの話だと思いますので

 それに沿ったお話をします。

 

 

 

 

 

 

 「声帯ポリープ」は歌手をはじめとする声を多く使う人の

 「職業病」ともいえる病気です。

 

 

 

 

 

 声帯は左右にありこれが接触して振動することにより声が出ます。

 

 

 

 

 

 この声帯の状態によって声の質が変わってきます。

 

 

 

 

 

 風邪をひいたり、大声を出したりすると声帯が炎症を起こし

 充血し、腫れぼったくなります。

 

 

 

 

 

 いわゆる「ガラガラ声」の状態になります。

 

 

 

 

 

 

 声帯がきれいに均一に振動しないせいです。

 

 

 

 

 

 しかし、例えばモノにぶつけて内出血した皮膚や、

 ドアに挟んで腫れた指がまた元に戻るように

 時間がたてば声帯のむくみは取れまた声は元に戻ります。

 

 

 

 

 

 

 ところがこの声がれの状態の時に無理に発声をすると、声帯に変化が起きます。

 大きくは「声帯ポリープ」と総称されますが分類すると3つのタイプに分かれます。

 

 

 

 

 

 その一つが狭義の「声帯ポリープ」で、

 充血した声帯を無理に振動させることによる微小な内出血、

 まあ、ちっちゃい血豆が粘膜下にでき、それがさらに育ったものと考えられます。

 

 

 

 

 

 初期には吸収されることもありますが育って茎を持つようになったものは手術適応です。

 

 

   vcp1111   polyp

 

 ただし、これは切る部分が小さいので手術による声の改善は期待できます。

 

 

 

 

 

 

 しかし、場合によっては声帯全体がブヨブヨにむくんでしまう

 「ポリープ様声帯」という状態になることがあります。

 喫煙者はこうなる場合が多い。

 vpd-4o   1223

 

 

 

 こうなると、「かすれ声」というよりはいわゆる「だみ声」になり、

 手術しても回復は難しい。

 

 

 

 

 

 シーナ&ザ・ロケッツのシーナさんはこのタイプでした。

 

 

 

 

 

 

 また、声帯結節というのもあり、これは両側声帯の前1/3にできるやや硬いコブ、

 まあ、ペンダコみたいなもんです。

 歌手の人に多く英語では「Singer’s Nodule」、

 日本語では「歌手結節」「謡人結節」などといいます。

 18957-2tatiwada-befor0_5 voice_illness_slowly_03

 

 

 右のように発声時に声帯がとじないのでハスキーボイスになります。

 大きくなれば手術しますが、発声習慣が改善されないと再発率は高いです。

 

 

 

 

 

 さて、いずれの場合も声帯の酷使が原因、

 ボーカリスト、それもロックとなると声帯への負担は相当なものです。

 

 

 

 

 

 ワタシ自身、ロックバンドで歌ってるので、この辺大変気になる問題です。

 

 

 

 

 

 質問の方は「V系メタルバンド」とのことですので、

 特に声帯へ負担の大きなジャンルです。

 (実はワタシ「V系」苦手(^-^;だったりして・・・)

 

 

 

 

 ざっくり

 HR/HM>R&B>パンク>ブルース>ポップ>ジャズ>フォーク>>ラップ>シャンソン

 くらいの順で声帯への負担が大きいでしょ(笑)。

 (以前やってたハードロック・バンド「Audiometry」では

 パープルやガンズ、オジーなど歌ってました。

 一番きつかったのはロニー・ジェームス・ディオのボーカルパートだった。)

 

 

 

 

 

 ここで、ワタシの経験から。

 

 

 

 

 ともかく、声帯を大事に使う。

 

 

 

 

 

 ライブではともかく、練習では出なくなってきたら休ませる

 不可逆変化ができる前なら時間がたてば回復します。

 

 

 

 

 ライブ前のリハはできるだけ手を抜いて歌う。(ことにしてます。)

 

 

 

 

 週末にライブのある週はバンド練習はしない。

 

 

 

 

 ただ、少しずつ練習すると声帯は「強く」なります。

 いわゆる筋トレと同じですが、発声法も大事。

 声帯に負担をかけない発声法を心掛けることです。

 2時間を超える練習はやめた方がいいでしょうね。

 

 

 

 

 

 多分、プロのボイストレーナーにはいろんなノウハウがあるんでしょうが、

 ワタシは知りません。

 ただ、スポーツでも「フォーム」によって違いが大きいですから、

 そういうことはあるでしょうね。

 

 

 

 

 

 あとは、ボーカリスト本人がタバコを吸わないことは当然ですが、

 バンドの他のメンバーも一緒にいるときはタバコはやめましょう

 

 

 

 

 

 

 ライブのあとの打ち上げで居酒屋でタバコの煙モクモクは、声帯にとって最悪です。

 

 

 

 

 

 てなこと言いながら、ワタシもライブ前に声の調子が悪くなることが多く

 いつもびくびくしてます。

 

 

 

 

 

 

 耳鼻科開業医は声使う職業なのでそこが問題です。風邪も、もらうし。

 

 

 

 

 

 

 でも、ご質問にあるような月1くらいのライブなら普通は何とかなるんじゃないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 コメント欄にyou tubeがはり付けてあったので聴いてみました。

 

 

 

 

 

 

 すごく上手です、いい声です。

 ギターはたしかにメタルだけど、予想より爽やかで

 なんか名探偵コナンのテーマソングになりそうじゃないですか。

 

 

 

 

 

 

 オリジナルなんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 レコーディングではともかくライブでは、半音下げちゃう、ってのも手です。

 

 

 

 

 

 

 けっこうプロのバンドは、やってますね。

 

 

 

 

 

 

 あと、サビの一番高いとこ、自分は歌わずにマイクむけて観客に歌わせるとか。

 これは、アマチュアバンド、とくにオリジナルでは難しいけど。

 

 

 

 

 

 

 

 バンドは楽しいです。

 楽器は買い換えられるけど、声帯はそうはいかないので大事に使いましょう。

 でも人間の「ノド」は最高の楽器だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1件のコメント
2015.06.15

首のしこり

 

 こんにちは。
お忙しいところすみません。
主人の事で悩んでいます。(主人は30代前半です。)
約一年前、喉仏の2センチ上くらい(アゴと首の境目辺り)にコリコリ動くしこりを発見しました。小豆か大豆くらいの大きさです。
その時、大きな病院でちょうど甲状腺エコー検査の機会があったので、その部分も一緒に診てもらいたいと言ったら、検査技師さんには『しこりがないです』と言われ、エコーでも一応みたらしいのですが、何も指摘されませんでした。
主治医の先生(循環器系)に言っても、一秒触ったくらいで、それが何なのか説明もなかったので、問題視しなくてもいいのかなと思い、それから一年以上経ちました。
現在もしこりの大きさに変化はなく、痛みも無いのですが、先日よーく触ってみると、しこりは一個ではなく奥に小さいのもあるような…無いような…気がします。
小さいのは去年気づかなかっただけなのか、それとも最近増えてしまったのか、ちょっと不安になっています。
このまま様子を見ていていいのか、もう一度今度は耳鼻科にかかるべきか悩んでいます。
もしなにか病気で、治療が遅れてしまったらと思うと不安です。
先生のご意見をうかがえたら嬉しいです。よろしくお願いします。

 

何度もすみません、追伸です。
ちなみに、甲状腺には水の袋があり、結構大きいが放っておいて大丈夫だと、二カ所の病院から言われています。自覚症状は何もありません。
何かしこりと関係ありますでしょうか?

*********************************************************************************************

 ご質問がありました。

 

 

 

 

 

 うーーん。

 

 

 

 

 

 まあ、これだけではわかりません、というのが正直なところ。

 

 

 

 

 循環器科の先生ではやはり専門ではないので、首触っても、

 我々耳鼻科医が心臓の聴診やるようなもんですから、

 細かいとこまではわからないでしょうし。

 

 

 

 

 

 1秒触って分かるような重大な異変はなかったということで、

 安心はまあ安心なんですが。

 

 

 

 

 気になるならば、やはり耳鼻科で見てもらった方がいいといわざるを得ません。

 

 

 

 

 30代ですので、非喫煙者ならば悪性腫瘍の可能性は極めて少ないでしょうし、

 頸部には良性のリンパ節の炎症性腫脹が良くみられます。

 

 

 

 

 

 甲状腺の方は診断もついてるみたいですし、

 しこりの場所も甲状腺よりだいぶ上方なので

 関連の可能性は少ないとは思いますが。

 

 

 

 

 

 リンパ節は虫歯、扁桃炎、外耳炎、皮膚のおでき、虫刺され等々

 様々な原因で腫れますが、

 耳鼻科で上咽頭~鼻咽腔、中咽頭、下咽頭に

 何かフォーカスとなる病変がないかどうかを

 チェックしてもらえばひとまず安心でしょう。

 

 

 

 

 

 もちろん、リンパ節ときまったわけでもなく、

 舌骨の一部を自分で触ってしこりがある、と来院される方もいるんですが。

 

 

 

 

 

4件のコメント
2015.06.05

ご質問です~骨導聴力

 

初めまして。
自分の症状で悩んでいたところ小倉先生のブログを見つけて、相談させていただきたいと思いコメントいたしました。
先日、近所の耳鼻科で右耳の「低音障害型難聴」「メニエール病の疑い」と診断されました。
経緯としては頭痛と鼻の閉塞感があり、耳管閉塞症かなーと思い受診しました。
以前耳管閉塞症になったことがあり、今回は耳閉感がなかったものの症状が似ていたため耳鼻科を受診しました。
そして、聴力検査などを受けたところ右耳の低音域に聴力の低下がありました。
聴力検査では、気道聴力が125hz:30、250hz:45、500hz:35、1000hz:25、2000hz:25、4000hz:15、8000hz:30でしたが、骨導聴力は全て20以内の正常値という結果です。チンパノメトリーは山は低いものの正常A型です。ABRはⅣ波がグラフを突き抜けるほど高く異常値ですが、その他は正常値とのことです。
また、診察中に顔面蒼白で眼振あり(ただし、めまいや耳鳴りの自覚症状はなし)のためすぐにベットに寝かされめまい止めの点滴をされました。その他、右耳の外耳道に単純ヘルペスが出来ているとのことです。(こちらも痛みなど自覚症状なしで、発熱もありません)
それに加え、このところ繁忙期で仕事が猛烈に忙しくて1ヶ月間ほぼ休み無しで働いていたこと、睡眠時間が短かかったこと、PC画面が気持ち悪くて見るのが辛いことを問診でお伝えしました。
上記の検査・診察を総合的に判断して「低音障害型難聴」「メニエール病の疑い」とのことでしたが、現在は2週間ほど経過しており、聴力は正常値に回復し、たまに耳が圧迫されるような感覚があるもののその他特段の自覚症状はありません。

前置きが長くなってしまいましたがご相談したいことは、
私のように気骨導差がある場合でも「低音障害型難聴」「メニエール病」ということはあるのでしょうか?ということです。
耳鼻科の先生は初期は気道聴力が落ちてほっておくと骨導も落ちてしまう、ヘルペスも難聴にはつきものとおっしゃていましたが、
やはり診断された「低音障害型難聴」「メニエール病」は神経が侵食されるため骨導聴力も落ちるのでは?と思い腑に落ちていないところがあります。

「メニエール」となるといずれめまいも出てしまうのではと大変不安に思っています。
よろしくお願いいたします。

 

1件のコメント
2015.03.31

ヒノキ花粉症

 

 連日猛威の花粉症ですが、桜が開花したことで

スギ花粉のピークはおそらく越えつつあると思われます。

 

 

 

 

 そして、桜開花とともに増えてくるのがヒノキ花粉。

 

 

 

 

 これから徐々に増え4月上旬にピーク、4月末まで飛びます。

 

 

 

 

 スギが多い年は、ヒノキも多いことが多く注意。

 

 

 

 

 スギ花粉と、ヒノキ花粉には一部共通抗原性があり、

スギ花粉症の方の半分近くの方がヒノキ花粉症を合併しています。

 

 

 

 

 ヒノキ花粉もお持ちの方はなお一層のガードが必要。

 

 

 

 

 ところで、時々外来で患者さんがおっしゃる

「私は、スギよりも、ヒノキの方が強いんです。」

という言葉。

 

 

 

 

 間違いです。

 

 

 

 

 スギ花粉とヒノキ花粉に対するIgE抗体価について、

これまで何千人も調べてきましたが

スギ花粉よりヒノキ花粉の抗体価の方が高い人は、まずいません。

 

 

 

 

 

 もちろん、抗体価そのものが重症度と完全に相関するわけではなく、

現行のIgEの測定法ではヒノキの抗体価が

低く見積もられてる可能性もあるという文献もありますが、

有病率を考えてもスギよりヒノキの方が抗原性が高いとは思えません。

 

 

 

 

 

 

 では、ナゼか?

 

 

 

 

 

 ポイントは、先にスギが飛ぶ、ということ。

 

 

 

 

 

 アレルギーの発症には抗原である花粉の鼻粘膜への侵入がスタートですが

シーズン最初、アレルギー症状が出るまでにはある程度の花粉量が必要です。

 

 

 

 

 

 しかし、いったん症状が出て、鼻粘膜にたくさんのアレルギー細胞が動員されると

今度は、少しの花粉でも発作が出ます。

 

 

 

 

 

 場合によっては、実際に花粉が来なくても温度、気圧、湿度の変化や

埃っぽさなどの機械的刺激でも容易にアレルギー症状が出ます。

 

 

 

 

 

 すなわち、あらかじめスギ花粉で痛めつけられたところに

ヒノキがやってくるので、より症状が強く感じられると考えられます。

 

 

 

 

 

 だから、薬やマスク、生活習慣を管理して

きちっとスギ花粉のコントロールができた人は

ヒノキもそのまましのげますが、

スギ花粉症の治療を怠って症状がひどかった人は

ヒノキはさらにひどく感じられると思います。

 

 

 

 

 

 てな話をこれから一月近く、毎日何回もしゃべるのか―(T_T)

 

 

 

 

 

 

 右手のカテゴリー一覧で「花粉症」をクリックして

他の花粉症の記事も合わせお読みください。

特にページ下の方からの花粉百人一首はおススメです。

 

 

 

 

コメントはまだありません
2015.03.18

粘膜一発注射

 

まさしく鼻に注射を受けて、その副作用なのか、以前よりも鼻の調子が悪くて調べていたところに 先生のブログを拝見しました。 一年中、鼻炎と鼻詰まりに何年も悩まされてレーザー手術も受けましたが、全く効果もなく、お薬もセレスタミンやステロイドの点鼻も含めて、多数試しましたが、どれも効かず、2年半ほど前に最近、派手に宣伝している都内のあります某クリニックでエタノールとステロイドの混合の粘膜注射を受けました。その直後から、後ろに流れることはほとんどなかった前に流れ出ていた鼻水が後ろに流れるようになりました。そのクリニックで先生に話してみましたが、鼻粘膜の腫れも引いていて、見た目もきれいと説明をされました。 鼻をかんでもふさがった感じがしてほとんど出てこず、代わりに喉にずっとたれ流れるというのが続いています。今まで、何とかごまかしごまかしで過ごしていましたが、去年から副鼻腔炎を何度も繰り返し、慢性になったのではと思いCTを撮ってもらいましが、副鼻腔はきれいで、ほぼ完治しているといわれました。副鼻腔炎になる都度、抗生剤クラリスを1か月、ノイチーム、ムコダイン、メジコンなどを処方してもらっています。なんとか、後鼻漏だけの症状まで今までは回復していたのですが、2月中旬よりかかった副鼻腔炎は現在はたまに白っぽい鼻汁と卵白みたいな鼻汁がずっと喉にたれて、咳、喉痛が残っています。 これは、注射により、粘膜の排出機能に異常をきたしているのでしょうか?また、回復の可能性はあるのでしょうか?

************************************************************************************

うわー、すごいの来ましたね。

 

 

 

もともとのワタシの記事はステロイド局注は危険なのでダメですよ、という内容

なのですが、これは良くわかりませんね。

 

 

 

 

ネットでちらっと検索したら多分これだな、というクリニックがあったのですが、

打ってる注射の中身は「エタノールが主成分」と書いてあるけど、詳細不明です。

 

 

 

 

 

ステロイドの鼻腔粘膜注射で失明の事例があったことは事実ですが、

ここの注射がステロイドが入ってるかはちょっとわかりません。

 

 

 

 

 

 そんなに良い治療なら学会で発表され各医療施設で追試がされ、

効果と安全性が明らかになれば、保険適応になるはずですが、

2003年に考案された割にはいまだそこのクリニックでしかできない、

ってとこが謎ですね。

 

 

 

 

しかも、片側10万円、両側だと15万円だそうですが、

まあ、フツーは両側やらないと意味ないから、1回15万、ってことですね。

 

 

 

 

 

中身が15万のアルコールって、ビンテージワインでも打ってるのかなww

 

 

 

 

 

そんなわけで、この件については残念ながらきちんとお答えできません。

 

 

 

 

 

ゴメンナサイ。

 

 

 

 

 

昨日も、今まで花粉症で毎年脂溶性ステロイドのケナコルト打ってたという人が来ました。

 

 

 

 

 

この辺では、どこも打ってくれないので埼玉県まで行って打ってたそうで、

(そりゃ、まともな医者は打ちませんがな)

副作用の説明もなく、今まで運よく何もなくて良かったですね、とお話ししました。

 

 

 

 

 

まあ、いろんな、医者がいるわけだ。

 

 

 

 

 

 

そういや、この間は「レメディ信者」の患者さんが来て困ったなあ。

 

 

 

 

 

 

1件のコメント
2015.02.28

鼻茸について

 

 

いつも楽しく拝見しています。

今日は相談させてください。

75歳になる父が鼻茸の診断を受けました。
症状はひどいらしく鼻の奥まで詰まっているようです。1週間の入院で全身麻酔での手術をすすめられました。

私は、高齢者の父がその手術をうけるべきな疑問です。

ちなみに父は学生時代にもその手術を受けたことがあるようでものすごく嫌がっています。

小倉先生はどうおもいますか?

 

***************************************

 鼻茸(はなたけ)とはいわゆる鼻ポリープのことで

慢性副鼻腔炎の方にできることがあります。

 

 

 

 

 

 キノコというよりプルプルした半透明な寒天とかゼリーみたいな感じで

腫瘍ではなく炎症性の産物です。

 

 

 

 

 

 

 慢性副鼻腔炎の方の全員にできるわけではなく

体質的な素因が関係あります。

 

 

 

 

 

 

 好酸球性副鼻腔炎やアスピリン喘息の患者さんに合併するため

アレルギー性の要因はほぼ確実ですが、正確にはわかっていません。

 

 

 

 

 

 

 大きくなったり、しばしば多発するため、鼻腔に充満して

鼻閉のため呼吸障害や嗅覚障害を起こします。

 

 

 

 

 

 

 薬剤や局所治療により制御できる場合もありますが、

高度のものは切除術を行います。

 

 

 

 

 

 

 外来で切除することも可能ですが、

入院して全身麻酔下に手術することもあります。

 

 

 

 

 

 

 再発性が高く、2回以上手術を受ける方も少なくありません。

 

 

 

 

 

 

 ご質問の件ですが、ポイントがいくつかあります。

 

 

 

 

 

 

 まずは、本人が切除術を望むかどうか。

 

 

 

 

 

 

 鼻茸による症状は先ほど言ったように鼻閉と嗅覚の問題です。

 

 

 

 

 

 

 本人がそれでもいいというのであれば無理に手術する必要はありません。

 

 

 

 

 

 

 ただし、それが、本当にただの鼻茸ならば、という場合に限ります。

 

 

 

 

 

 

 お父様の鼻茸は両側ですか?

 

 

 

 

 

 

 悪性腫瘍であれば放置すると生命にかかわりますが、

がんと鼻茸は視診や画像診断でほぼ鑑別できます。

 

 

 

 

 

 ところが、見た目が鼻茸に似ている内反性乳頭腫という病気があります。

 

 

 

 

 

 実際に、ワタシの経験でも

若いころ他院で鼻茸を手術したが、

数十年して、またできたので手術してほしい、と来院された方の手術をし、

組織検査をしたら内反性乳頭腫だったということがありました。

 

 

 

 

 

 

 乳頭腫は良性腫瘍の一種ですが、このうち内反性乳頭腫は、

良性腫瘍でありながら悪性化する可能性を持った腫瘍です。

 

 

 

 

 

 

 5~20%程度の頻度で悪性化するとの報告があり注意が必要です。

 

 

 

 

 

 ただ、この数字は手術をして鼻副鼻腔乳頭腫と診断された方の悪性化率で、

実際には内反性乳頭腫だったのだが、

鼻茸でしょう、と手術せずに何事もなく一生を終えた方も多いでしょうから、

実際にはもっと低いのかもしれませんが。

 

 

 

 

 

 

 いずれにせよ、その辺のところを含め主治医の先生とよく相談されて

方針を決められた方がよろしいかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントはまだありません
2015.02.27

院内勉強会で花粉症のお話をしてきました

 

 

 先週のことになりますが、市内の長崎病院の院内勉強会に招かれ

花粉症のお話をしてまいりました。

 

 

 

 

 

 院長の長崎先生はフットサルでも普段からお世話になっております。

P2180303

 

 

 

 

 

 あちこちで講演を依頼されることがありますが、

何の話をするときでも、ワタシの講演の最初のスライドは

浦和レッズと決まっております。

今回は昨年11月の佐賀県鳥栖スタジアムに行った時の写真です。

 

P2180307

 

 

 

 

 

 今回は、お医者さんだけでなく

看護婦さんや事務の方もお聞きになるとのことでしたので、

わかりやすい話を心掛けましたが、

P2180312

 

 

 

 

 

 

 うまく伝わったかなあ・・・。

P2180319

 

 

 

 

 

 

 そして、何の話をするときでも

最後のスライドはバンドの宣伝と決まっております。

P2180321

 

 

 

 

 

 みなさん、最後まで真面目に聴いていただき感謝です。

 

 

 

 

 

 ありがとうございました。

 

 

 

 

 

コメントはまだありません
2015.02.08

インターネット医家向けサイト出演

 

 

  2月になり、スギ花粉症のシーズン到来も間近である。

 

 

 

 

 さて、いきなりだが昨年12月のことである。

 

 

 

 

 

 当院は水曜日の午後は休診であるが、

その日は診察室に撮影機材を携えた人々が訪れ、ある撮影を行った。

PC030040

 

 

 

 

 

 インターネットの医家向けサイト「m3.com」の1コーナーに

ワタシが登場することになった。

 

006

 

 

 

 ワタシといえばロックや、バンド、サッカー関係の取材ばかりかと思いきや

本職は医者(!)なのでタマにはこういうこともあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 花粉症のシーズンに合わせて配信されるお医者さん向けのコンテンツで、

患者さんの診察風景も交えて花粉症の薬剤の使い方をコメントする、という内容。

 

 

 

 

 

 インタビュアーのお姉さんと、手前の人が「監督」です。

PC030011

 

 

 

 

 

 セリフ2つだけだけど、撮影機材もスタッフも多く本格的である。

PC030045

 

 

 

 

 

 チョー、キンチョーする。

PC030029

 

 

 

 

 セリフ原稿は一応ワタシが書いたもので、

たった2このセリフなのだが間違わないようにカンペがある。

実は患者さん役の彼女の顔の前にあるのだ。ww

 

PC030018

... 顔、ひきつってんなー。

 

 

 

 

 

 ああ、テレビコマーシャルに出演するスポーツ選手の気持ちがわかるわ。

「やっぱり、ナボナはお菓子のホームラン王です。」

PC030043

 

 

 

 

 

 

 一応、診察してる様なシーンも撮影。

あれ、ちょっと、鼻炎ありますね、マジで。

PC030051

 

 

 

 

 

 

何とか無事撮影終了。

PC030064

 

 

 

 

 

 

 1月末からネットで配信されてます。

008

 

 

 

 

 

 

 しかし、このコンテンツ、シリーズものでワタシは第2回だが,

第1回はナント、日本医大の大久保先生じゃないですか。

我が国のアレルギー性鼻炎関連では、

まず知名度、実力ともにナンバーワンのドクターでしょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 

 

 

 

 

 他にも、有名な先生ばかりで、なんか一人だけ雰囲気が違うような・・・・。

ネクタイしてないし・・・。(そこだけじゃないけど・・・。)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

  バンドでライブの方が、全然ラクでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントはまだありません
2015.01.28

インフルエンザ流行中

 

インフルエンザは連日猛威をふるい、毎日2ケタの陽性者が出てます。

 

 

 

 

 

家族の誰かがかかると予防接種していてもうつる場合が多く

先日は親子3人で受診して全員インフルエンザA型陽性で

トリプルAの最高格付けですね

なんて場合もありましたが・・・・。

 

 

 

 

 

今のところ流行してるのはA香港型で、Bはめったに出ない。

 

 

 

 

 

 

インフルエンザの検査は、発熱してから半日とか1日たたないと陽性に出ない、

といわれたが、最近はそんなことはなく

発熱して2,3時間でもバシバシ強陽性が出ます。

 

 

 

 

 

 

陰性の場合、熱が出て時間が短いと、また明日、もし熱高いようならば来てね、

といって薬なしで帰すが、翌日再検査で陽性が出る例はそれほど多くない。

 

 

 

 

 

ほぼ発熱後2,3時間の検査で判定できるようです。

1時間以内でもちゃんと判定できた人もありました。

 

 

 

 

 

偽陰性も多分ほとんどない印象で、

出るなと思った患者さんからはほぼ間違いなく陽性反応が出る。

 

 

 

 

 

 

もっともこれはこの検査がわれわれ耳鼻科医がする手技だからかも

 

 

 

 

 

 

ポイントは、いきなり綿棒を入れず、

まず鼻汁を十分吸引除去してあげてから、

検査の綿棒を両鼻の奥深く上咽頭に届くまで挿入しぐりぐりやってあげること。

 

 

 

 

 

鼻汁が多いと、綿棒は鼻汁ばかり吸って肝心の上咽頭の粘液をとれないことになる。

 

 

 

 

 

 

まあ、それなりにイタイ検査で、ハナの麻酔はするが子供は泣きますよね。

 

 

 

 

 

でも、早期に診断がついてタミフルやリレンザを使うと

一般の風邪よりむしろ早く症状が取れます。

 

 

 

 

 

 

また、特に大人の場合熱が37℃台前半でも陽性者が出ます。

こういう人が知らずに出勤したり、人と接触して流行が広がるんだなあ。

 

 

 

 

 

ところで、インフルエンザと並行して溶連菌感染症もけっこうはやってます。

 

 

 

 

 

 

のどの所見から見当がつくので、これも迅速検査で確定診断します。

 

 

 

 

 

 

これも、抗生物質がよく効くので普通の風邪よりすぐに症状が取れます。

ちなみに、溶連菌以外の風邪の咽頭炎は抗生物質の適応がありません。

 

 

 

 

 

 

ただし、抗生物質を10日間ほど飲まないと菌が消えず、

また再発したり慢性扁桃炎に移行するので要注意です。

 

 

 

 

 

 

 

溶連菌検査もせずに風邪薬と称して3,4日分づつ抗生剤が出ていて、

薬飲むと良くなるけど、薬が切れてまた悪化を繰り返す

「生殺し」状態の溶連菌の患者さん、昨日もいましたが、時々みます・・・。(+_+)

 

 

 

 

 

 

1件のコメント
2015.01.13

今日の朝日新聞の急性中耳炎の記事

 

 マスコミやジャーナリストは当然事実に基づいた事象を伝えるわけだが、

その伝え方には伝える側の意図が反映する。

 

 

 

 

 

 つまり、ある事象があった時、

そのどの部分をどう受け手に感じ取らせようとするか、

というのは伝える側の書きようなのだ。

 

 

 

 

 

 

 結果、事実を伝えながら真実を伝えていない場合が起こりうる。

 

 

 

 

 

 

 今朝の朝日新聞に

「中耳炎 進化する治療法」

という記事があった。

 

 

 

 

 

 

 読んでみると、伝える「事象」としては

①子供の急性中耳炎に対し2009年からあたらしい抗菌薬が2種類追加になったこと、と

②肺炎球菌に対する迅速検査キットが承認されたこと

の2点であった。

 

 

 

 

 

 

 

 ①については、このブログでも繰り返し書いているが

近年の耐性菌の増加により従来の抗菌薬が効きにくくなっており中耳炎の難治化が進んだ。

そこで耳鼻咽喉科学会が働き掛けて

「オラぺネム」と「オゼックス」という薬が新たに開発、承認されたというものである。

 

 

 

 

 

 

 

 その背景には、1980年代以降、

(かつてのワタシも含めて)抗生物質や感染症に対する知識の乏しい医者が

何でもかんでもばんばん抗生剤を使ったことにより

薬の効かない耐性菌が急激にふえたことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 だから、この新薬だって湯水のように使いまくれば

また、それに対する耐性菌ができ、効かなくなってしまうのである。

 

 

 

 

 

 

 

 ところが、記事の見出しは

「殺菌力の強い新薬」

「『鼓膜切開』減る傾向」で、

これでは、この新薬をどんどん使えば鼓膜切らなくて済みますよ、という文脈に読み取れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 鼓膜切開はしないで済めば越したことがないが、

やはり場合により「必要」な手術であり患者側、

場合によっては非専門医に

間違った印象を抱かせるのはいかがなものか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それによって、安易にこの新薬が乱用されれば、また悲惨な結果になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ②については、肺炎球菌があるかないかを調べるので、

実際にその肺炎球菌にどの抗生物質が効くかはわからない。

肺炎球菌の中でも株によって効く抗生剤が違うし、

それ以外のインフルエンザ菌やブランハメラ菌の存在はわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 でも見出しは「20分で判定 薬を選択」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 参考にはなるけれど、お金もかかるので(もちろん患者負担ではなく国の医療費ということ)

いまのところ、当院では従来の培養検査を主におこなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかも、記事に添付されてる

「ガイドラインをもとにした子どもの急性中耳炎の治療の流れ」

のフローチャートは「軽症」「中等症」「重症」の分類のうちの

「中等症」だけがのっている。

当然、その点についてのことわり書きはない。

 

 

 

 

 

 

 

 ガイドラインでは「軽症」の場合は

まず最初は「抗菌薬非投与で3日間経過観察」だし

 

「重症」の場合は最初から「鼓膜切開」が必須項目に入ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記事の中に出てくる先生方はいずれもワタシも尊敬する小児急性中耳炎の第一人者ではあるが、

おそらく長いインタビューの中の

記者にとって都合のいい部分だけが切り貼りされたコメントになっているのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この結果、

「鼓膜切開は、最近はしなくても済む、ときいたのですが。」とか、

 

 

 記事の切り抜きを持ってきて

「この新薬を、うちの子供にすぐ出してください。」なんて詰め寄る母親が、

全国の真面目な耳鼻科の先生を困らせてるのではないかと心配。

 

 

 

 

 

 

 

 うーむ・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 朝日新聞だから、というわけでもないだろうし

マスコミなんて、所詮、こんなものなのかもなあ。

 

 

 

 

 

 

コメントはまだありません
医療系をまとめました。
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
最近の投稿 最近のコメントカテゴリー アーカイブ