2023.11.02
朝のニュースを横目で見て、オヤッと思った。
「PFAS」?

このニュースは、これでした。

実は、ワタシがこのニュースに反応したのは、
耳鼻咽喉科医としては「PFAS」は有機フッ素化合物ではなく、
「Pollen Food Allegy Syndrom」のこと、
日本語で言うと「花粉・食物アレルギー症候群」だったからです。
野菜や果物を生で食べた時に
唇・口・喉などにイガイガ感やかゆみ・腫れなどアレルギー症状を引き起こす、
口腔アレルギー症候群(Oral allergy syndorome-OAS)のうち、
花粉に対する感作が原因になるものを
PFASと呼びます。
花粉の表面抗原と、
ある種の野菜、果物の表面のたんぱく質の形が似ているので、
花粉に対する抗体が野菜・果物に対して反応してしまう現象で、
強い花粉症体質を持っている方に
しばしば現れる病気です。
通常、アレルギーは抗原物質が繰り返し体内に入ることで、
身体が反応し、それに対する抗体がつくられるのですが、
この場合は花粉で感作されるので、
仮にその食物を食べたことがなくても
アレルギー反応を起こす可能性があります。
読みは「ピーファス」ですが、
フッ素の方もアナウンサーは「ピーファス」と言ってたから
混乱しそうだ。
ところで、この間の津市での鼻科学会で面白い話を聴きました。
カバノキ科花粉によって引き起こされるPFASの代表的なものに
リンゴアレルギーがありますが、
このアレルゲンの強さがリンゴの品種によって違うそうです。

具体的には、欧州の研究では、
ゴールデンデリシャスは抗原となる Mal d 1 量が多く
ほぼ全ての OAS 患者が症状を示すいっぽう、
サンタナは Mal d 1 量が少なく半数の患者は無症状で食べられるようです。
日本の品種でも同じ研究が行われ
「こうとく」「シナノレッド」のアレルゲン量は
「サンふじ」「サンつがる」に比べて数倍高いことがわかったとのこと。
また、抗原となるMal d 1 量は、
もぎたては少ないが、貯蔵、輸送のストレスにより
同じ個体内でも増加するそうです。
ということは、PFASでリンゴが食べたい人は、
サンつがるのリンゴ狩りでもぎたてを食べれば、
安全に食べられる可能性が高いわけだ。
でも、リンゴ狩りに行って入園料を払って、
リンゴをひと欠け、ふた欠けしか食べない、
ということはあり得ないから、
その作戦はやっぱ、ダメですね。
以上、花粉・食物アレルギーのPFASのお話でした。

2023.09.02
度々ブログを読ませていただいています
耳鼻科医の小倉先生に質問なのですが、
小2の子供の持久力をあげるためにスイミングを考えています。
ですが、息子は花粉症もハウスダストなどのアレルギーも強くあり、
スイミングにより悪化することもあるとネットの記事で読み心配です。
現在も風邪を引くとアレルギーが強く出て完治までものすごく時間がかかります。
先生はアレルギーのある子のスイミングについてどうおもわれますか?
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コメント欄にこのような質問をいただきました。
実際に診察もしていないし、
検査データもありませんので、
あくまで一般論としてのご回答です。
結論から言えばアレルギー性鼻炎、花粉症の子にスイミングをやらせるのは賛成です。
屋内プールの環境は温度は一定で湿度も高く、
ハウスダストやダニはもちろんスギ花粉症シーズン中であっても
花粉の飛んでいない空間です。
プールの水の塩素が鼻粘膜を刺激する可能性もありますが、
鼻からプールの水を吸引するわけでもなく、
塩素そのものは刺激物質ではありますがアレルゲンではありません。
水泳の上達につれ反応は少なくなることが考えられます。
冬場はプール内外の気温差が大きくなり、
これにより鼻炎症状が惹起されることがありますが
多くは一過性です。
呼吸機能の訓練、免疫機能の改善については、
特に喘息ではその効果が認められ、
小児喘息についてはスイミングの有効性が示されています。
アレルギー性鼻炎、喘息と並ぶ
3大アレルギー疾患のもう一つアトピー性皮膚炎に対しては、
皮膚への直接的な侵襲から、
スイミングは推奨されていないようですが、
ワタシはアレルギー性鼻炎に関しては、
プラス面、マイナス面を考えると
トータルではメリットの方が多いと考えます。
少なくとも、花粉症シーズンに
屋外でサッカーや野球をやらせるよりは
はるかにいい、ということは確実です。
免疫能、呼吸機能の改善により風邪をひきにくくなれば、
それも鼻炎症状の改善につながると思います。
まあ、本人の意思がもっとも重要で、
やりたくないものを無理にさせることはないですが、
本人がやってみたい、というのであれば
アレルギー性鼻炎を理由にスイミングをあきらめさせる理由はないでしょう。
以上、ご参考までに。

2023.05.12
2023年のスギ・ヒノキ花粉飛散量は
かつてないほどの大量飛散だったようです。
ようやくスギ、ヒノキともに飛散が終了しましたが
この前書いたように、その余波はまだ続いています。
「アフターマス」
この前書かなかった、もう一つの「余波」に
アレルギーの連鎖があります。
スギ、ヒノキの飛散が終わったこの時期になっても
くしゃみ、鼻水などアレルギー症状が続いてる人がいます。
イネ科の花粉症を持ってる方がいるので、
それらがすでに始まっていますが、
ダニ、ホコリのアレルギーの方も反応しています。
たとえば血液検査のRASTのスコアがクラス2くらいだと、
通常は大掃除でもしないかぎり
ダニ、ハウスダストのアレルギーの症状は出ない場合が多い。
抗原としてのハウスダストは1年を通じてそれほど量の変動はなく、
ダニに関しては、ダニのアレルゲンは、ダニの死骸とフンなので、
ダニの増殖期である夏前にフン関連の抗原が増え、
ダニの大量死滅期である秋口に市街が増えるので
抗原量が増加します。
では、なぜ今の時期に
ダニ、ホコリのアレルギー症状が増悪するのか?
スギ花粉症の人はスギ花粉に対するIgE抗体を持っていますが、
スギ花粉は侵入するとマスト細胞にとりついたこのIgE抗体と反応し、
マスト細胞から化学伝達物質が放出されます。
それらが粘膜を刺激して
クシャミ、ハナミズなどの発作をおこすのですが、
さらに放出された化学物質の中には、
次の花粉侵入に備えて、
免疫細胞を動員してくる働きを持つものがあります。
シーズン初めにスギ花粉症が発症するまでには、
ある程度の量のスギ花粉の侵入が必要ですが、
いったん「スイッチが入る」と、
今度は少量の花粉、場合によっては
温度、気圧、湿度の変化などの非特異的刺激によっても
容易にアレルギー症状が導かれることになります。
鼻の中が「臨戦態勢」になるので、
ちょっと草むらでウサギがガサッと音を立てても
敵襲かと思って、マシンガンを乱射する感じです。
このような仕組みで、
花粉症のコントロールが不良で
ハウスダストやイエダニのアレルギーを持ってる方は、
普段症状を起こさないようなレベルのダニやホコリの侵入に対しても
激しいアレルギー発作を起こしてしまうのです。
ほかにも、1,2か月花粉症でハナがずっと出ていると
鼻粘膜が荒れて表面の線毛機能が低下するため、
抗原が長く鼻粘膜にとどまりがちになり
アレルギー細胞との接触時間が増えるため、
少量の抗原暴露でも多量の抗原が侵入したのと
同等の反応が出ることも考えられます。
いずれにせよ、そんな状態にしないために、
花粉症はきちんと治療しておきましょう。

2023.05.01
お医者さんはどうしても自分の使い慣れた薬を使う傾向にあります。
例えば、小児科のセンセイは、
大人のセキの患者さんに咳止めとして
「アスベリン」という薬を出すことが多い。
しかし、内科のセンセイは、
おそらく「メジコン」が第一選択薬でしょう。
どちらも「中枢性鎮咳薬」で作用機序は同じですが、
「メジコン」は1~12歳の子どもに使うと
3人に1人の割合で副作用が出るとの報告があり
また、海外では市販薬を高用量に改造したものが年少者に濫用され、
「危険ドラッグの入り口」になっていることもあり、
日本でも注意喚起が行われています。
いっぽうアスベリンには、そのような副作用がなく、
0歳の子供から安心して使用できるので、
メジコンも小児用製剤があり、
能書き的には0歳3か月から使用可能ですが、
小児科のセンセイの咳止めはほぼアスベリン一択です。
アスベリンは散剤とシロップ、ドライシロップがあります。
なのでたまにお母さんが咳の風邪でかかった場合、
小児科医はつい使い慣れたアスベリンを
大人用の錠剤で処方するのです。
ところが、大人ではメジコンに目立った副作用は認められず、
鎮咳薬としての効果はアスベリンよりかなり強いので
内科医は迷わずメジコンを処方するのです。
これぐらいでは、さしたる問題はないのですが、
他科の疾患に対し無理やり当てはめようとすると、
上手くいかないこともあります。
皮膚科の先生は抗ヒスタミン剤を多用します。
抗ヒスタミン剤とはかゆみの原因となる
ヒスタミンという化学物質をブロックする薬ですが、
花粉症の第1選択薬も第2世代の抗ヒスタミン剤とされています。
なので、皮膚科のセンセイの中には、
今出してるクスリが花粉症の薬でもあるので、
耳鼻科にかからなくてもいい、
と患者さんに説明する方もあるようです。
これは必ずしも間違っていないし、
それで済むならワレワレも助かります。
薬の効果が不十分だと、
皮膚科医は別の抗ヒスタミン剤をもう1剤加えます。
この処方はアトピー性皮膚炎などでは
普通に行われることのようですが、
耳鼻科医はこのような処方をしません。
そもそも耳鼻科の「アレルギー性鼻炎」の病名では
抗ヒスタミン剤の2剤併用は保険診療上認められていないので
査定されてしまいます。
抗ヒスタミン剤はその構造式から
「三環系」「ピペラジン系」「ピペリジン系」
「アゼパン系」「ジアゼパン系」「フェノチアジン系」
といくつかのグループに分類されます。
「三環系」はアレロック、クラリチン、アレジオン、ルパフィン、デザレックス、
「ピペリジン系」はアレグラ、エバステル、タリオン、ビラノア、
「ピペラジン系」はジルテック、ザイザル、
「アゼパン系」はアゼプチン、
「ジアゼパン系」はレミカット
「フェノチアジン系」はゼスランなどが代表的な薬です。
ここで注意していただきたいのは、
これはあくまで構造式の違いによる分類であって、
薬効の強さのグループ分けではありません。
花粉症の抗ヒスタミン剤として
一番効果の強い薬のアレロック、ルパフィンと、
一番弱いクラリチンはともに同じ三環系です。
さて、皮膚科のセンセイは、
このグループ分けを考慮し、
アレジオンに加えて、アレグラ、
それでもダメならゼスランも入れとけ、
みたいな抗ヒスタミン剤のてんこ盛りで
攻めてくることがあるようです。
しかし、これでは花粉症は抑えられません。
花粉症の症状を起こす主たる物質は
抗原抗体反応により
鼻粘膜に浸潤したマスト細胞から放出されるヒスタミンなのですが、
ほかにも様々なケミカルメディエイターが放出、産生されます。
その中でロイコトリエンという物質が特に重要です。
大ざっぱに言ってヒスタミンはクシャミ鼻水の主因となり、
ロイコトリエンが鼻詰まりをきたす、と考えていいでしょう。
ヒスタミンの反応は即時的でロイコトリエンのそれは遅発型、
という特徴もあります。
なので中等症以上の花粉症の治療は
抗ヒスタミン剤と抗ロイコトリエン剤を併用する、
というのが基本です。
皮膚科のセンセイは
この抗ロイコトリエン剤の使用経験があまりないので、
花粉症の治療を失敗することがあります。
逆に小児科のセンセイは抗ロイコトリエン剤が大好きです。
ロイコトリエンという物質は喘息において
気管支を収縮させる作用をもつため、
気管支喘息の予防薬として抗ロイコトリエン剤を
普段から多用しているからです。
いっぽうで抗ヒスタミン剤に関しては、
気道の杯細胞からの粘液分泌を抑制し、
痰の排出を困難にさせる、
痰の粘稠度を高めるという作用があるために、
これを嫌う小児科医もいます。
今年は抗ヒスタミン剤を用いず、
抗ロイコトリエン剤だけで、花粉症の治療を試みた
小児科のセンセイの処方もお薬手帳で見ましたが、
やはりこれも無理です。
「アトピー性皮膚炎」「気管支喘息」「アレルギー性鼻炎」は
同じメカニズムで起こる類縁疾患で、
クスリも共通に用いられるものがかなり多いですが、
やはり「アトピー性皮膚炎」や「気管支喘息」の枠組みで
中等症以上の「花粉症」を正しく治療することはできません。
花粉症は効能が「花粉症、アレルギー性鼻炎」と
書いてある薬だけ飲んでれば済む、
ということではない。
整形外科のセンセイが、
じゃあ、ついでに花粉症のお薬も出しとくね、
ってのは、もう全然ダメってことです。

2023.04.29
今年の花粉症が大量だったので、
他院から薬をもらっていたが
症状がひどくてこちらに受診、
という方を今シーズンは数多く見ました。
一応「花粉症の薬」が出ているのですが、
なるほど、これではダメだろうというケースが多いです。
まず何でもアレグラを出す医者が多い。
アレグラ、一般名フェキソフェナジンは、
市販薬の強力なCMキャンペーンにより、
もっとも知名度が高い花粉症の薬だと思います。
だが、その効果はあらゆる薬の中で最も弱いランキングです。
スギ花粉のスコアがクラス4以上の人には、
今年の飛散量だとこの薬ではまず無理でしょう。
だが、もっと問題なのは、薬だけ出して何の説明もしない医者が多い。
例えば、内科のセンセイが、糖尿病の患者さんを治療するとき、
薬を出すときに、必ず生活指導をするはずです。
食事の量や内容、時間などのほか、
運動や体重のコントロールなど、
いろいろ細かく指導、指示をするはずです。
だが、花粉症の患者さんに対してはそれらを行わない医者が多い。
例えば糖尿病の薬を毎日かかさず飲んでいても、
朝昼晩と糖質たっぷりの食事をとり、
間食にケーキや甘いものを食べていたら
血糖値は改善されないでしょう。
花粉症も同じこと。
薬を飲んでいるからと言って、
外遊びをしたり、布団洗濯物を外に干してしまっては、
症状がひどくなるに決まっています。
耳鼻科だからといって
花粉症の患者さんのハナを吸引したり、
鼻にスプレーをしたりの治療をすることはありません。
鼻粘膜の過敏性をきたしている花粉症患者さんに
鼻処置を行えば、数時間は鼻水クシャミが止まらないでしょう。
当院で行っていることは、
体質に合った薬の選択と、その人にあった生活指導です。
多分、花粉の少ない年はテキトーなクスリ出してしておけば
患者さんは症状が出ても、こんなものか、仕方がないと
シーズンが過ぎるまで我慢していたのでしょうが、
今年はどうも我慢しきれなくなった方が多かったようです。
今年「破綻」しちゃった方は、来年は早めにご相談ください。

2023.04.28
今年2023年のスギ・ヒノキ花粉は
過去最大級の飛散量を記録し、
また例年に比べてかなり早い時期に飛散開始、終息、
となったとみられます。
最近は、もはやヒノキの花粉もほぼ終了とみていいと思いますが、
それで外来がヒマになったかと思いきやさにあらず。
最近、目立つのは猛威を振るった花粉症の余波です。
花粉症が未治療であった、
あるいは耳鼻科に受診せず
内科、小児科、アレルギー科などを受診したため
適切に治療されなかった患者さんの
合併症、後遺症が非常に多い。
代表的なのが、中耳炎と、副鼻腔炎です。
ことに副鼻腔炎に関しては、
患者さんが花粉症との関連を気付いていない場合が多いので
注意が必要です。
主な訴えはタンのからむセキ、
のどの痛み、イガイガ、声枯れなど。
鼻の症状の訴えはあまりありません。
本人は「風邪をひきまして」といって来院されるのですが、
話を聞くと、2,3週間前に花粉症がひどかったが、
今はもう大丈夫、とのこと。
たしかにハナはかんでも全く出ないし、
鼻詰まりもない場合も多い。
鼻内を見ると鼻腔からのどにかけて粘稠な鼻汁が流れており、
レントゲンを撮ると副鼻腔に陰影が認められます。
鼻から流れた「後鼻漏」は食道ではなく、
声帯から気管に流れ込むので、
これが、たんが絡むセキ、のどの痛み、
声枯れの原因になっています。
ここのところこればっかし。
耳鼻科の病気と思わず内科で
風邪です、とか、咳喘息です、などといわれ
延々と咳止めや吸入薬もらってる人も
世の中には多いだろうなあ。

2023.04.17
先週は全国的に黄砂が飛んで大変だったようです。
九州地方や関西、日本海側に比べれば、
関東地方は黄砂の量はだいぶ少ないですが、
それでも黄砂にやられた、
というアレルギー性鼻炎の方を何人か診ました。
「黄砂アレルギーです。」
といってこられる患者さんもいますが、
そもそも黄砂にアレルギー性はありません。
黄砂の主体は二酸化ケイ素という物質で、
砂なので鉱物のカケラですから、
それ自体にアレルギー反応たる
抗原抗体反応を起こす抗原性はありません。
黄砂は微細な粒子なため、
鼻から気道の奥深くまで吸引され、
その気道粘膜を物理的に刺激します。
例えば、コショウを吸い込むとくしゃみが出たり、
チョークの粉で咳き込んだりすると同じ
「非特異的反応」です。
時期的にスギ・ヒノキ花粉症の終盤の時期に飛来することが多いので
それまでにスギ、ヒノキの花粉症で
鼻粘膜、咽喉頭、眼の粘膜にダメージを受けた方は、
そこにまだアレルギーの細胞が滞在しているので、
それらが再活性し、アレルギー的な症状を起こすのです。
黄砂に付着した化学物質や花粉、
はたまたウイルスまでもが危険、
という人もいますが、
可能性はゼロではないとはいえ、
量的にはまず問題にはならないでしょう。
黄砂にくっついて何千キロも飛んできたウイルスが、
いったい何個生きたまま人体に侵入することができるのか。
また粉状の二酸化ケイ素を多量に吸入すると、
塵肺の一種である珪肺の原因となったり、
また発がん性のある物質でもあるので、
長期にわたって吸入するとアレルギーがなくても危険ですが、
鉱山で働く労働者の労働災害と違って
黄砂を数日間吸入する場合に問題になるのは、
花粉症患者さんのアレルギー的症状だけでしょう。
ネットのニュースである耳鼻科のセンセイが、
「黄砂がぶつかり、花粉が傷つくと花粉が破裂するんですね。
破裂した花粉はアレルギー物質をたくさん放出するので、
より症状が強くなってしまいます」
と、見てきたようなコメントをしていましたが、
黄砂で本当に花粉が破裂するかは疑問だし、
そもそも花粉がアレルギー物質を放出するわけではないので
この説はちょっとマユツバです。
だが、花粉症の方、特に花粉症のコントロールが不良だった人は
黄砂に対しても十分な防御をしたほうがいいのは事実です。
こういった「盛った話」、
マスコミがホント好きだからなあ。

2023.04.02
今年の花粉症は過去10年で最多ですが、
ことによると過去最高かも知れません。
少なくとも当院では、開院以来最多の患者数を記録し、
1日あたり来院者数、3月の月別レセプト枚数も
過去最多となりました。
前回の大量飛散は11年前の東日本大震災の年だったので、
原発事故で外出制限が起き、
花粉症の患者さんは増悪しませんでした。
1月、2月中から毎年薬を取りに来院される患者さんには、
今年の花粉は相当多いですからね、
例年以上に注意してくださいね、
と念を押し、注意事項の紙もお渡ししたうえで
シーズン分2か月、3か月分をまとめて処方したのですが、
無事花粉のシーズンを乗り切られていたでしょうか。
新規の患者さんも多く、今年花粉症デビューの人も数多くいました。
残念ながら、今のところ一度なってしまうと
元に戻れないのが花粉症です。
舌下免疫療法で緩解に導けるケースもありますが。
ここに来て来院される方の中には、
内科や小児科で花粉症の薬をもらっていたが、
症状が悪化して当院受診、という方もよくいらっしゃいます。
おくすり手帳や治療内容を見ると、
やはり内科、小児科の先生は花粉症に関しては素人なんだな、
ということがよくわかります。
そして、そうした方の中には
中耳炎や、副鼻腔炎などの合併症を併発されている方も少なくありません。
ともかく花粉症は我慢してはいけない病気、
症状が思わしくなければ手遅れにならないうちに
専門医への受診をお勧めします。

2023.03.31
先日受診したアラブ系外国人の患者さん、
日本語はホント片言です。
主な訴えは「発熱」「咳」「のどの痛み」「息が苦しい」。
半月前に内科を受診し、コロナの検査をして陰性で
ペニシリン系抗生物質と咳止め、去痰剤、解熱鎮痛剤。
1週間後、改善がないため、
24時間やってるクリニックを受診し、
コロナとインフルエンザの検査をして陰性で、
抗生剤がクラリスに変更、あとはほぼ同じ処方。
改善ないため、1週間後当院に受診。
問診だけでほぼ診断はついていましたが、
鼻の中をちらっと見て、診断確定、
重度のスギ花粉症でした。
日本人だと、スギ花粉症はなじみ深いですが、
外国にはないため、その方も自分が花粉症であるとは
考えつかなかったようです。
花粉症の治療を行い、無事改善。
最初から耳鼻科に来れば、どうってことはなかったのに。
風邪症状はまず絶対耳鼻科に行くべし、
ということは大変重要なことです。
目で見て診断できる耳鼻咽喉科は、
やはり風邪症状を訴える症例には最強です。
それにしてもロクに診察もしないで
風邪の診断で、なおかつ
風邪には全く無効な抗生物質を出すバカ医者が、
まだ世の中にはいるということだ。

2023.03.26
連日花粉症の患者さんを診てます。
小学生の女の子のアレルギー検査の結果説明をして
「○○ちゃんは、やっぱりアレルギーありましたねー。」
と言いながらその子の服の胸のロゴを見てビックリ。
ナニ?Allegy Girl(アレルギー・ガール)ですと?
これはいわゆるこういったプーマやラコステのようなジョークシャツか?

と思いきや、よく見ると
スペリングは「Algy Girl」で、
れっきとした女の子の子供服のブランドらしい。

あー、ビックリした。
とんだ自虐ネタかと思いました。
ちなみにこのブランド、読みは「アルジー・ガール」。
「Allegy」は日本語では「アレルギー」ですが、
英語の発音は「アレジー」ですので
やっぱ、似てるわ。
