ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.03.12

セカンド・ウェーブ

 花粉症、多いですねー[emoji:v-356]。今年は、平成17年以来の流行で、カルテを見ると、3年ぶりって方が結構多いです。
 さて、タイトルの「セカンド・ウェーブ」、って何のこっちゃ、と思うでしょうが、これは私が勝手に名づけたものです。
 花粉症の推奨される治療は、花粉が飛び出す、約2週間前を目安に、いわゆる抗アレルギー剤(現在は第2世代の抗ヒスタミン剤といいます)を飲み始めます。このことによって、アレルギー症状の発現を抑制したり、遅らせたりすることができます。これを、初期治療といいます。
 その後、症状に応じて治療をステップ・アップしながら、シーズンを通して薬を飲んでいく、というものです。これと、適切な防御を行うことによって、8割程度の方は、かなり快適にシーズンを送れます[emoji:e-278]。
 この治療をするために1月下旬から2月上旬にかけて、たくさんの患者さんが訪れ、2~3か月分薬を持って行きます。よって、年一回しかお会いしない「常連さん」がいっぱいいるわけです。
 または、レーザー治療をするために12月~1月に来院する方も多いです。
 この方たちの来院が「ファースト・ウェーブ」です。まだ、症状が出てないので、その年の傾向や、飛び始めの予測日を説明し、新しい知見や最新の花粉予防テクニックなどについて、アドバイスをします。花粉症の治療に、まじめに取り組む「よい患者」[emoji:v-290]さんたちです。
 さて、現在来られているのが「セカンド・ウェーブ」、第2波です。花粉症の症状が、いよいよ本格化してきたから、病院に来ました、という方たちです。多くは、発症して数日間という方が多いので、すこし強めの薬を出したり、回避、防御をする上での生活上の注意を説明し(多くの方はきちんとした防御をしていません。)、来年は、もうちょっと早く来てね、と、初期治療の重要性を説明します。
 この時期からだと、治療開始によって、症状は軽くなりますが、症状を完全にコントロールすることは、困難なことが少なくありません。まあ、毎年花粉症に悩まされる、「普通の患者」[emoji:v-291]さんたちです。
来院日から計算して、およそ花粉飛散の終わりまでの日数の薬を出します。
 その次に来院されるのが、私が最も恐れている「サード・ウェーブ」です。
この群は、「まったく治療をせず、根性でがんばってきたが、もう限界だ、何とかしてくれ[emoji:e-270]。」といったスポ根挫折型の方や
「甜茶や、カテキン、サプリメント、鼻に塗る軟膏、漢方薬や鍼、灸、整体、お札やまじない、加持祈祷?」といった、あまり効果のはっきりしないモノに頼ったがダメだったという、民間療法破綻型
(ちなみにこの手のものの中で、唯一ヨーグルトだけはエビデンスがあります。別にカスピ海でなくても、可です。)
また「内科、小児科、アレルギー科など花粉症専門でない病院で治療したが、やっぱりダメだ。」と気づいて、あわてて耳鼻科の門をたたく、かかる病院間違えた型
それから「中耳炎や、副鼻腔炎(蓄のう症)などを合併した。」ので来院した合併症型、などがあります。
 この方たちの、治療と説明が一番大変です。一回の治療では、到底改善しませんし、生活指導も非常に、初歩的なレベルから説明しなきゃならない場合が多く、時間がかかり、骨が折れます。
この群がいわゆる「困った患者」[emoji:v-292]さんたちです。
 皆さん、まだ間に合います。取り返しのつくうちに早く来院してください。で、我慢するなら最後まで我慢してくれ[emoji:e-2]

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2008.03.11

中耳炎

 本日来院した1歳の子供[emoji:e-260]。週末に、熱が出て、小児科受診。右の耳は赤く、左は水がたまってているといわれ、抗生剤などが出てる。昨日見てもらって、やはり同じ所見なので、耳鼻科に行くように言われた、とのこと。
 フムフム、診てみましょう。てな感じで耳を覗いて、思わずふきだした。
 耳垢でいっぱいで、ぜんぜん見えねーじゃん。[emoji:e-451]いったい、ナニ見てたんでしょう。
 でも、こんなことはぜんぜん珍しくありません。
 皆さん、小児科で中耳炎といわれたとき、あまり信用しないように。私の経験では、診断的中率は、ベテランの先生で5~6割、下手すると3割を切ります。まあ、私が心臓の聴診できないのと同じように(心室中隔欠損だのⅡ音の分裂だのわかんねー。)小児科医に鼓膜の所見を求めるのは、不可能でしょうけどね。
 
 それにしても、わかんないときはわかんないって言えばいいのに(それとも、わかったと思ってるのか)。でも、耳鼻科に行くように言っただけ、この先生は良心的だったかも。
 でも、意味のない抗生剤を4日間も飲まされちゃったわけだ。
 外来の患者さんには、よくお話してるのですが、
「風邪のときは、(本当に風邪であれば)熱が39度でも40度でも抗生剤は、いりません!」
 風邪ってウイルスだから、抗生剤は無効です。しかも、いらない抗生剤飲むと耐性菌(薬の効かない菌)が増えるので、本当に抗生剤が必要なときに効かなくなっちゃいます。
 かつては、毎年のように抗生剤の新薬が出たので、「念のための抗生剤」、でもよかったのだが、もう10年以上抗生剤の新薬は出てないし、今後の発売予定も、とりあえず、ない。
だから「念のために」とか「とりあえず」なんて枕詞のついた抗生剤は飲まないほうがいいのだ。
(「とりあえず、生ビールで、[emoji:v-275]」ってのは好きです。)
 でも、これはただの風邪です、といえることが大事なのだ。
 耳鼻科になって、本当によかったなーと思うことのひとつが、子供の風邪のとき、小児科に比べて、圧倒的に診断力のあることです。得られる情報の量が、小児科とは比較になりません。特に、鼓膜、鼻腔、扁桃などをしっかり見られますし、インフルエンザや溶連菌感染の診断も、はるかに耳鼻科のほうが確実です。
 以前は、耳鼻科の病気で、経過を見ていた子が、「熱が出たので、小児科にかかりました。」
といって、何も考えてないような処方箋を見せられて、がっかりしたものですが、最近は、熱が出たときに、まず耳鼻科に来ていただいて、きちんと診断を受ける患者さんが増えてきて、うれしいことです。
 ともかく、子供の発熱は、まず耳鼻科へ。抗生剤は、風邪薬ではありません!

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2008.03.10

パソコン

 本日来院した患者さんは、ご覧になったと思いますが診察室の院長、副院長のデスクの上にパソコン[emoji:v-216]が設置されました。
 別に、診療時間中に、女性に交際を迫る脅迫メールを送るわけではありません。(あたりめーだ。)
 当院は、インターネットから受付ができるので、患者さんの受付状況、来院情報をチェックするためです。
 実は、暇だったら診察の合間にインターネットしたり、ブログ書いたりできるなーと思いましたが、
やっぱ、この時期は無理ですね[emoji:v-294]。本日も200人を越える来院で、受付ページを見てたら、いったん受付したものの、キャンセルされた方も多数おられ、まことに申し訳ありません[emoji:e-443]。明日は、火曜日なので多少すくかしら・・・。花粉症もすごいけど、インフルエンザもまだ結構多いですね。
 実は当院の受付嬢も一人、本日インフルエンザと診断されました。
「あたし、絶対違うと思います。」
といってましたが、調べたらA型でした。(こっちも、忙しいけどなんとかするからゆっくり休んでね[emoji:v-400]。)
 さて、開院以来13年、当院もだいぶIT化(この言葉って、もう死語?)されてきました。最初はブラウン管のレセコン(受付のコンピューター)のみだったのですが、そのレセコンも液晶化し、電子ファイバースコープを導入し、レントゲンもデジタル化して、フィルムレスになりました。
 そして、今回デスクトップにパソコンが入ったので、次はそろそろ電子カルテですかね。
 まだ、ソフトの「こなれ」が今ひとつなので、導入をためらっていますが、いずれ、カルテも電子化ということに近々なるでしょう。
 問題点としては、打ち込みに時間がかかって、患者さんのほうを見る時間が少なくなってしまう恐れ。
診察中フリーズしてしまった時、どうするか。
トラブルで、データが消失あるいは閲覧できなくなった時どうするか。
あと、訓練の末、せっかく私のカルテの字が読めるようになった、受付の女の子の特殊文字解読技能が生かされなくなってしまうことですかね。
「先生、これってアスベリンですか?」
「えーアクディームって書いてあるじゃん。」[emoji:v-405]

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2008.03.09

開幕戦

 いよいよJリーグが開幕しました。
 やはり、昨日の試合について、コメントせねばならないですかね。(思い出すのもつらいですが・・・。)
J1第1節「日産スタジアム」
 横浜Fマリノス 1-0 浦和レッズ
 
 一言で言うと、チームとして何をやりたいかわかりませんね。フォワードを補強しましたが、高原、エジミウソンともに、コンビネーションやパスをもらって得点するタイプ。預けておけば何とかしてくれるワシントンやエメルソンとも、スペースに飛び出してチャンスメイクをする田中達也や岡野とも違う、過去のレッズで言えば、福田に近いかな。
 福田がバインというパッサーのもとで、花開いたように、やはり2トップを操るトップ下が重要でしょう。ポンテが長期離脱中、伸二、長谷部がドイツ移籍という現状では、ナカナカうまくいかないのもすぐは、仕方がないかも。しかし、そのためにとったはずの、梅崎を起用しなかったオジェックの采配には不満が残ります
 特に後半、山田に変えて永井、堀之内を下げて達也を入れましたが、フォワードが4人もいては、きゅうくつで、かえって打ち消しあってしまいます。しかも、ゲームを作る選手がいない。「あー、ここに伸二がいればなー。」とはスタジアム全体が感じていたのではないでしょうか。ピッチ内で選手が混乱している様子が、テレビからも見て取れました。
 サイド攻撃は、前半わりと機能してたんですが(特に相馬はよかったですね)、最後のフィニッシュが・・・。でも、高原のコンディションだけの問題ではないでしょう
 やっぱ、俺が直接横浜まで行かなかったのがまずかったのか
(昨年の、ホーム最終アントラーズ戦はわざわざ臨時休診にして埼スタまで行ったのだが、結局負けちゃったのだが・・・。)

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2008.03.09

遠距離受診

 いまいましい花粉症のせいで、土曜日の外来は、忙しい忙しい。長くお待たせした患者さんスミマセンでした。平日は比較的すいてるんですけどねー(朝イチと、夕方遅くは別。)
 そんな忙しい日に2時間もかけて、群馬県の中之条というところから通院してくる患者さんがいます。
 K君(といっても今や40過ぎのオヤジですが)は、かつて群馬に私がいたとき、診ていた患者さんです。
 今を去ること17,8年前、K君は群馬大学病院に入退院を繰り返していました。「喉頭蓋のう腫」という、のどに腫れ物ができる病気で手術が必要だったのです。小さいものなら、経過観察でよいのですが、彼の場合は喉頭内を占拠するほど巨大で、食事や、場合によっては呼吸を妨げる恐れがあったのです。
 ところが、何回手術をしても数ヶ月で再発してしまい、再手術が必要になります。喉頭蓋のう腫は、組織の一部が残ると再発しやすい病気ですが、4回やって4回とも再発というのは尋常ではありません。
 このとき、私は担当医ではありませんでした。大学病院にはたくさん医者がいますから、私よりも先輩の医師が執刀し、私は手術室に入ることもありませんでした。もちろん、病棟では顔をあわせますし、話をしたこともありました。そもそも、何回も入院してるので、医局のほとんどの医者と、顔なじみです。症例検討会で、たびたび取り上げらていましたが、おー、大変そうだなーと思っていたものです。
 私が、その後市内の病院に出たのですが、そこに突然K君が手術をしてほしい、と診察に来ました。
 「俺で、いいんかい。」 
正直、そう、思いました。ウチの病院では、私が一番上です。もちろんこの手術の経験はありますが、大学病院で4回やって治らんかったのを、私ができるんかいな。
わざわざ、私を頼ってきてくれたのかと思いましたが、本人は、大学病院の手術では、尿道に管を入れられるのでいやだから、といってました。(もちろん、手術を受けるわけですから、それだけではなかっただろうとは思ってますが。でも、やっぱりそれだけだったかも。)
 ともかく、改めて文献や手術書を調べ、手術法を検討しました。最後の手術は、私が大学病院を出てからだったので、カルテを見に行ったたり、先輩の意見などを聞きました。最後の病理診断には「悪性化の可能性も完全に否定できない。」といった、気になるコメントも。
 結局、完全に取りきることが肝要と結論し、定型的な手術を行いました。
 そして、運がよかったのか、私の手術がよかったのか(やっぱり、運かなー)、これきり彼はこの病気とおさらばできたのです
 最初のうちは、退院後、外来でファイバーを入れるたび、再発してませんようにとドキドキしたものです。3-4年たって、私が病院をやめ、足利で開業することになったとき、
「俺の喉は、先生しかわからないから。」
と、そのときはもう再発の恐れはほとんどなかったのですが、3時間かけて遠距離通院することになりました。その後、北関東自動車道が伊勢崎までできたので、2時間に短縮。
花粉症があるので、その薬をもらうついでに、今でも年一回顔(と喉を)を見せに来ています。
 しかし、K君、惜しかった。今日午後3時から北関東道が太田まで開通し、片道30分、往復で1時間も時間短縮できたのにね

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