ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2020.06.01

影響を受けたレコード(国内編)⑥「1980X/PANTA & HAL」

当初の予定ではあらかじめ10枚を選んで

Facebookの投稿を始めたんだけど、

このあいだ、コメントで「一人忘れてる!」

と気づかされて、のこのアルバム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6枚目「1980X/PANTA & HAL」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PANTAこと中村治雄氏は、「頭脳警察」のリーダーで、

そのバンドの名前は、早くから知っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頭脳警察」という、凄いロックバンドがあるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その音を聴くことはなかなかできませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田舎の中学生にとって、

ロックバンドのライブに行くなどということは

まったく考えられず、

ロックのソースはラジオとレコードのみです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが「頭脳警察」が1972年に製作したファーストアルバムは

いきなり、その過激な内容から発売禁止。

その直後に製作された「頭脳警察セカンド」も3曲が放送禁止だったが

発売後1か月でアルバムそのものも「回収」「発禁」に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ともかく、噂ばかりが先行し、

ライブ中にズボンを下ろしてマスターベーションをしたそうだ、

コンサートが出入り禁止になったらしい、と

いろいろ聞くけど、肝心の音はなかなか聴けなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、「頭脳警察3」が1972年10月に発表されたが、

ワタシが最初に聴いたのは1973年3月に発売された「誕生」からの

「やけっぱちのルンバ」だったような気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとから聴くとこの曲は、

それまでの「頭脳警察」の過激さは消えており、

相次ぐ「発禁」「放禁」にやけっぱちになったPANTAが

カネのためにレコード会社に迎合して書いたような曲にも聞こえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシが「頭脳警察」の曲をまとめて聴いたのは、

NHK-FMで放送された「若いこだまスタジオライブ」だったと思います。

調べてみるとどうも1975年8月の放送だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

記憶が定かではないのですが、

5夜連続で日替わりで日本のロックバンドの

スタジオライブを放送する、というもの。

出たのは「頭脳警察」「クリエイション」「イエロー」

「めんたんぴん」「テツ山内&グッドタイムスロールバンド」だったような。

ひょっとして「四人囃子」も出たかも。

司会は当時「若いこだま」のパーソナリティーをしていた

サンディー・アイさん。

のちに「夕焼け楽団」の久保田真琴氏と結婚(のちに離婚)、

「サンディー&ザ・サンセッツ」を結成します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このとき録音したテープは繰り返し聴きました。

今は、どこへ行ったか・・・。

たぶん相当な「お宝」のはずですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ともかく、この番組で過激だった「頭脳警察」を追体験したわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その直後「頭脳警察」は解散。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PANTAはソロとして「PANTAX’S WORLD」を1976年に発表。

「屋根の上の猫」や「マーラーズ・パーラー」などに

かなり影響を受けました。

今回、これを取り上げようとも思ったのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後1977年の「走れ熱いなら」を経て、

1979年にPANTA& HALとして

ムーンライダースの鈴木慶一プロデュースの

「マラッカ」をリリース。

グループ名の「HAL」は、当然

「2001年宇宙の旅」のコンピューター「HAL9000」

からとったものだと思われます。

名曲「つれなのふりや」を含む名盤ですが、

その翌年1980年に、同じく鈴木慶一プロデュースで発表したのが

今回の「1980X」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たしか、初めて聴いたのはNHK-FMの

渋谷陽一のヤング・ジョッキー、

あるいはその後のサウンド・ストリートで、

PANTA本人をゲストによんで、

曲についてのインタビューをしながらアルバムを紹介する、

という番組だったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのサウンドは前年の「マラッカ」とは全く違うものでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マラッカ」がタイトル通り

東南アジアの赤道直下の海がテーマで、

レゲエや、フュージョン的なサウンドを取り入れていたのに対し

「1980X」は、テーマは「都市」。

演奏は一転してソリッドなロックサウンドでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり変革の1980年を迎え、

パンクからニューウェーブ、テクノポップの台頭を受けて

時代の流れに舵を切った、ということでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロデューサーの鈴木慶一氏は、

「HAL」のメンバーに、もう長髪の時代じゃない、

といって髪を切らせたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アルバムに収録されシングルカットされた「ルイーズ」は

1978年、世界初の体外受精で誕生した女の子の名前。

当時は「試験管ベビー」といわれ、大ニュースでした。

このことは倫理的、宗教的に物議をかもしましたが、

その後不妊治療の決め手として、多くの人に福音を与え、

これを成功させたエドワーズ教授は2010年に

ノーベル医学・生理学賞を受賞しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 バンド「頭脳警察」のネーミングは

フランク・ザッパの「Who Are The Brain Police?」

からとったといわれていますが、

そのザッパの「Brain Police」は

ジョージ・オーウェルが1949年に出版した

小説「1984年」に登場する「Thought Police」(思想警察)

に由来するといわれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1984年が舞台であるこの小説は

近未来の管理社会の恐ろしさを描いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このアルバム「1980X」は小説の舞台となった

1980年代を実際に迎えるにあたって、

「試験管ベビー」のようにかつては想像もできなかった

テクノロジーの進歩とともに

PANTAは「臨時ニュース」や「IDカード」という曲で、

知らず知らずのうちに我々の周囲に忍び寄る

管理社会の危険性を切り取って見せていたかのようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、PANTA氏は反戦や反原発を訴えながら、

70歳を迎えた今も現役のロッカーとして、活躍しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 発禁だった「頭脳警察」のアルバムも

CDの時代になり、相次いで再発売され、全て所有しています。

どちらかというと「頭脳警察」時代の粗削りなサウンドが好きなのですが、

リアルタイムということですと、

この「1980X」が一番かな、ということで選びました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2018年11月この「1980X」を再現したライブが開催され、

あのPANTAを生で見た、ということは

非常に感慨深いものがありました。

 

 

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