ファクトフルネス
NHKの「あさイチ」で紹介されたこの本、
アマゾンで注文したら、しばらく在庫切れでしたが、
先週、入荷し、手に入れました。
実は、読んでた本があり、先に妻によまれてしまった。
やっと読むことができましたが、
これが、実に面白い。
小説以外の、こういったいわゆる実用書って、
あまり読まないのですが、これは読んでよかった。
ファクトフルネスとは
「fact」(事実)と「fullness」(満ちること)を
くっつけた著者の造語ですが、
要するに「データや事実に基づく(理解)」
というような意味です。
最新の数字や統計の基づくデータに基づいて、
先入観を持たず謙虚に事実を認識し、
それによって世界を正しく認識しよう、
ということがこの本の趣旨です。
いいかえれば、我々が過去の知識や、思い込みによって、
いかに誤った認識をしているか、
ということを教えてくれる内容です。
読み進めるごとにいちいち腑に落ちる。
クイズ形式で、ファクトフルネスを読み解いていきますが
例えば、こんなクイズです。
世界の1歳児で、なんらかの予防接種を受けている子供はどのくらいいる?
・A 20%
・B 50%
・C 80%
この手のクイズ、問いかけは、
多くのニュース報道や、ドキュメンタリー番組、
ルポルタージュや、週刊誌、新書などでよく目にする、
常套的な手法です。
そのほぼすべては、
(あなたが考えているより)現状はこんなに深刻なのです、
ということを強調するための問いかけなので、
普通、答えは最悪の事態、
この場合ならAの20%を正解に持ってくるものです。
すると、視聴者、あるいは読者は、
Bの50%くらいかと思ったが、そんなに現状はひどいのか、
と感じ、インパクトを感じます。
それとともに、ワタシが住んでる国は、
みんな予防接種をしているので、良かった、
と思うわけです。
しかし、このクイズの正解はCの80%。
もちろん、予防接種が受けられない地域もありますが、
それは、この10年、20年でどんどん減っている。
世界はあなたが考えているほど悪くない。
むしろここ最近で、どんどん良くなっている、
ということです。
そのことを、イメージや、断片的な情報、過去の知識ではなくて、
最新の公正なデータを正しく読み解くことによって理解する重要さ
を説いています。
また、そういった誤った認識に陥りやすい状況を
10通りのパターンに分けて、解説しています。
この本を書いたハンス・ロスリング氏は
スウェーデンのお医者さんで、公衆衛生学が専門です。
医者というところにも親近感がわきますが、
その語り口もユーモアとウイットに富んでいて
大変好感が持てます。
この手法は、近年、医学の分野でよく言われる
「Evidence Based Medicine」のコンセプトを、
さらに拡大させたものといってもいいでしょう。
ビジネスマンにもジャーナリストにも政治家にも
そして、できればこの本にある「レベル4」の国々の人全員に、
ぜひとも読んでいただきたい名著です。
とくに、新型コロナウイルスの世界的流行によって、
さまざまな情報がマスコミやネットからあふれる今こそ、
一人でも多くの人が、この本を読んで、
データを冷静に分析して、正しく現状を理解するスキルを
身につけなければいけないと思います。
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