ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2020.06.25

感染地図

 新型コロナウイルス騒動で、

感染症や疫学関係の本が

目につきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何冊か読んだのですが、

これは以前4月のブログで書いた「コレラ」の本。

まずは、この本。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 150年前のイギリス、ロンドンで、

原因不明の病気「コレラ」が

糞尿に汚染された水を摂取することが原因であるということを

予測し、実証した2人の男の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人のジョン・スノウは無口な麻酔科医、

そしてもう一人のホワイトヘッドは地区の教会の牧師で

この無関係の2人が別々のルートで、

コレラの原因を探るうちにお互いの存在を知り、

最初は意見の対立もあるが、

事実に基づいた検証を重ねながら、

真実をつきとめる、というストーリーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 読んで思ったことは、やはりヒトヒト間の伝染病というのは

当然ながら、都市部で爆発的にはやりやすい。

しかも、衛生状態が悪く、いわゆる三密を強いられる

居住空間、生活空間を共有する貧困層に起こりやすい。

これは、今の新型コロナウイルスも同じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、コレラが経口感染であり、

新型コロナウイルスが飛沫・接触感染であることからわかるように、

いや、それ以前に「病原性微生物」というものを知っている我々には

当然理解できることなのですが、

不衛生や密集や、ましてや貧困は病因ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドイツの細菌学者ロベルト・コッホにより

コレラ菌が発見されたのは1884年のことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この物語の時代、1856年当時は、

コレラの原因は不衛生な環境から立ち上るニオイの中にある、

という「瘴気説」が正しいとされていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 医者や学者や衛生局の役人が、

当時の常識である「瘴気説」をふりかざすなか、

仮説と証明を繰り返し、これをくつがえして、

その後、何千、何万人もの命を救ったこの彼らの功績は大きい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翻って現代の社会を見ると、

新型コロナウイルスに対し、さまざまな仮説や憶測、推論が

医学界のみならずマスコミやインターネットでも議論されていますが、

真実は、どこにあるかわからない、とも言えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 150年前と比べれば、この2020年現在は

細菌学、ウイルス学、免疫学などの進歩は著しく、

さまざまな事実が明らかになってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、我々はウイルスのすべてはもちろん、

自分たちの体の仕組みのすべてさえ、

完全に理解しているわけではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当時の知識ではまったく正しいように見えた「瘴気説」が、

実は誤りであったように、

我々も事実を見極める目や耳をもって、

さまざまな情報を吟味しなければならないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、本筋とは無関係なのですが、

18世紀のロンドンの医者事情がちょっと興味深かったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それによると、医療行為を行う資格には3つあるそうで。

まずは薬剤師の徒弟になって修行し、

薬剤師協会の免状をもらってクスリを称する資格を得たのち、

いくらか現場経験を積んで独立開業し、

簡単な外科手術や歯科治療を行いながら、

効き目不詳(笑)のクスリを患者に与えるというもの。

もう少し野心があるものは医学校に入って勉強し、

王立外科医師会の認可を受けて正式な一般開業医、「外科医」になる。

で、これより上に医学博士という大学の学位があり、

これを取得すると外科医より上の「内科医」を名乗れることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「薬剤師」はともかく

「内科医」は「外科医」のさらに上のステイタスだったんですねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、今でも医師会なんかでは、

やっぱりワレワレ外科医より、

内科のセンセイが幅を利かせているような気が・・・。(^^;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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