ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2018.12.28

年末年始の休診のお知らせ

 当院は例年12月30日の午前中まで診療し、

12月31日から1月4日まで休診、ということになっております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今年は、だが、30日が日曜日なので、

年内の診察は29日午前中まで、

30日から1月4日までが年末年始の休診になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、今週は年末とあって連日大混雑、

午前午後ともにそれぞれ100人近い来院で、

連休明けの火曜日などは併せて230人も来て大変でしたが、

きょう、金曜日はここまでわずか140人足らず。

しかも、この時間で一時的に待ち人数ゼロ、になりました。

ちなみに、このレッズのカレンダー、やっと来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まだ、受付時間30分以上あるけど、

多分、みんな明日来るつもりのようだ。

こりゃあ、明日土曜日の外来は修羅場かも、だなあ。

今日、来ちゃえば、待たずにかかれたのに・・・・・。

 

 

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2018.12.22

トローチください

 風邪の患者さん増えていますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風邪は基本的に上気道(ハナやノド)のウイルス感染なので、

「ほっときゃ治る」病気ではあるのですが、

中耳炎や副鼻腔炎などの合併症を起こしたり、

溶連菌感染症やインフルエンザなどの「風邪では無い」よく似た病気も含まれますので

耳鼻科で診ることも意味がないわけではありません。

(内科ではなく、耳鼻科ですよ、風邪は。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よく患者さんに「うがいをください」とか「トローチをください」

とか、言われるのですが、ほとんどの場合お断りしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、意味が無いだけでなく、

かえって症状を悪化させる可能性があるからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 うがいやトローチが対象とする、口腔内には、もともと「微生物」がいます。

それは「口腔常在菌」といわれるもので、生理的に存在するものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中耳や副鼻腔が「無菌的」な場所であるのに対し、

「口腔」「鼻腔」は菌がいる場所です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところが、イソジンなどのうがい薬、お医者さんで処方されるトローチには

「殺菌的な成分」が含まれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これらは、すでに粘膜内に入ってしまった風邪のウイルスには無効です。

そればかりか、もともと口腔内にいる雑菌を減らし、

新たなる微生物の侵入に対する抵抗力を奪ってしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2005年の京都大学の大規模研究で、

水うがいは多少の風邪の予防効果があるが、

ポピドンヨード剤のうがいはまったく効果がない、

というデータが出ています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそもウイルスは20分以内には粘膜に侵入しちゃうので

個人的には水うがいも、どうかな、と思うのですが、

まあ、虫歯の予防にはなるかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 てなわけで、当院ではポピドンヨードのうがいは基本的に出しません。

アズノールのうがいはまあ、気分がイイという人には乞われれば出しますが、

本音ではあまり出したくありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同様にトローチも、ください、というヒトには、

「ホールズ」の方が効きますよ、と説明します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、うがいなどの瞬間的な薬剤と粘膜の接触では

殺菌作用はほとんど発揮されないと思いますが、

それはまあ「意味が無い」ということにもなるわけで。

医療費の無駄に他ならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風邪の予防には手洗いとじゅうぶんな睡眠、マスクです。

マスクは細菌やウイルスの侵入を避けるためではなく、

ハナやノドの粘膜の保温と加湿が目的です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ムカシ、勤務医のころイソジン大好きなおばあちゃんがいて、

うがいはもとより、痛いところに塗ってる(!)とかいってたなあ。

そういや、正露丸を歯に詰めて虫歯が治る、って話もあったような・・・・。

 

 

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2018.12.20

アデノウイルス感染症

滲出性中耳炎、副鼻腔炎でマクロライド少量療法をやっているお子さんが来院。

 

 

 

 

 

 

 

 

お母さんによると先週の金曜日にネツが出まして、

まだ、高いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナルホド、今日が月曜日ですから

滲出性中耳炎が急性中耳炎になっちゃったかなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、ミミは水が溜まっているだけだ。

これはネツの原因ではないですね。

で、ノドを見てみると・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あー、真っ赤っかですね。

これが熱の原因ですね。

考えられる病気はいくつかあります。

まず、考えなければいけないのは溶連菌感染症ですが、

今、マクロライド系の抗生物質を飲んでいるので、

確率は少ないです。

ただし、通常用量の半分以下なので、

絶対にないとは言えません。

でも、まず先にウイルス性の疾患を疑います。

4日目でまだこの状態なので、アデノウイルスを調べましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこまで一気にまくしたてるとお母さんが、

・・・・実は土曜日に小児科にかかって、クスリもらったんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

えー、何が出たの、なんか検査した?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノドが赤いねー、といってクスリ出しておきます、

と言われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アソコの小児科かー、

・・・・・イヤな予感がしてお薬手帳を見ると、

なんとオゼックス(T_T)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここんちはいつもそうなので、

オドロキはしないが・・・・。

何も考えないのにも程がある・・・・。(ーー;)

いつも、セキが出るとセキ止め、下痢するとロペミン、熱が出ると抗生剤・・・・。

セキの原因、下痢の原因、熱の原因にはいっさい関心が無いらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迅速検査の結果は、果たしてアデノウイルス強陽性。

すぐにオゼックスはやめていただき、

保育園に連絡を入れるように指示しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アデノウイルスは一般には夏風邪症候群の一つで、

夏場に多く、結膜炎を合併するとプール熱と呼ばれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

唾液を介して飛沫感染し、5日から1週間の高熱と咽頭痛、

特効薬は無く、無論抗生物質も無効ですので、

対症療法で経過を見ます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校伝染病で解熱後も2日間の出席停止措置になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は最近、すごく多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もはや「夏風邪」とは言えませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風邪ひいてのどが赤い、といわれて抗生剤飲んで

5日後にやっと熱が下がった、

というお子さんは、アデノウイルスだった可能性が高く、

その抗生剤はまったく意味がなかったのですよ。

ご丁寧に途中で抗生剤を変える先生もいて、

その場合には「今度の薬が効いた」などと、親も医者も勘違いしている。

不要な抗生剤は耐性菌を増やすだけなので、

むしろ抗生剤はのまない方が良い。

溶連菌感染症以外の咽頭炎は原則抗生剤不要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、解熱後2日たてば飛沫による感染は無くなってくるのですが、

糞便中には2週間、あるいはそれ以上の期間、ウイルスが出るので、

おむつ交換やトイレのあとの手洗いはその後も重要ですのでお気を付けください。

 

 

 

 

 

 

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2018.12.13

「同じです。」

 初診ではなく、再診の患者さんを診察するとき

「その後、いかがですか?」

とか

「今は、どんな感じですか?」

と、症状を尋ねます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すると、結構多いのが

「同じです。」

という答え。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カルテには「発熱、のどの痛み、セキは出ない」

など書いてあるので、

「熱が、まだあるんですか?」

と訊くと、

「いや、熱はもうありません。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「のどが痛いですか?」

と、尋ねると、

「いえ、今は、のどは痛くありませんが、セキが出ます・」

などと返答がかえってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、医者の側から見たら全然「同じ」じゃないんですけど、

患者さんの側としては、

「風邪でこの病院にかかったが、今も風邪が治ってないので、同じ。」

ということなのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが、医者になってしばらくわからずに苦労しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、メマイやアレルギー性鼻炎などの慢性疾患で、

1,2カ月に一回薬をもらいに来る患者さんでも、

「どんな具合ですか?」

と訊くと

「同じです。」

と答える方は多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これも

「同じく症状が良くならないのでクスリや治療法を変えてほしい」

といっているのか、

「同じような状態で症状が落ち着いているので同じクスリが欲しい」

と言っているのかが、なかなかわかりませんでしたが、

ほぼ後者の場合が多いことが、医者になってしばらくしてからわかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、いちいち確認はするんですけど、

うっかりすると患者さんの病状を見誤ってしまうので、

なるべく単に「同じです。」とだけいうのはやめていただきたい、というのが医者の本音です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2018.12.08

妊婦加算

 最近マスコミで取り上げられて問題になっているのが「妊婦加算」。

知らなかったわ妊婦加算

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 妊婦加算とは

「妊娠している人を診察すると初診、再診で一定の点数が加算できる」

つまり

「妊婦が医療機関にかかると一般の人より余計にお金をとられる」

というものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たしかに妊娠している人への検査や投薬は、

それなりの注意、配慮が必要ですけど、これはどうなんでしょうね。

妊婦に負担させるというのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一説によると、妊娠している人の診察を拒む医者がいるため、という話があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、以前当院にかかった患者さんで、

他院で妊娠しているのでクスリは出せないといわれ、

うがいとトローチだけしか出してもらえなかった

扁桃炎だか、気管支炎だかの患者さんがいたなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても、この制度はどう見ても厚労省のお役人が、

会議室の中で決めたことで、現場の実情に即していないことは明らかですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当院では、子供さんが多いので、そのお母さんで

風邪や、副鼻腔炎でかかる妊婦さんけっこういらっしゃいますが

妊婦加算は特にいただいておりませんでした。

スギ花粉に対するレーザー手術なんかは、

妊娠中で薬が飲めない方が多く手術を希望されますので妊婦率高いですけど、

まあ、フツーに考えて加算はしねーわな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どう見ても、妊婦さんに病院にかかるな、という方向に考えられるこの制度、

見直しされるそうですが・・・・。

「妊婦加算」批判受けて制度の見直し検討へ 厚労省

そういえば、この間の「小児に風邪で抗生物質を出さない加算

この辺では、あまり機能していないみたいで、

相変わらず「のどが赤いね」といって、バンバン抗生剤出す小児科が・・・・(T_T)

 

 

 

 

 

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2018.12.03

Let’s stop Bleeding

 先生、鼻出血のアレがもう無いんですけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 わかりました、ちょうど今日ライブあるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、何の話か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鼻出血のアレ、とはコレです。

これは何か?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは「エーゼ」といいいます。

ドイツ語で「Öse」と書き、微生物を培地にうつすための実験器具、

日本語では「白金耳」といいますが、必ずしも材質は白金には限らず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鼻出血の止血で鼻粘膜を薬剤で焼灼するときに、

この器具にクスリをつけて、処置します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当院では、これは院長が自作しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 材料は、なんと、ギターの弦。

使い終わったギターの3弦が、これにちょうどイイ。(^^)v

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、ライブ前にギターの弦交換をしたので、ちょうどよかったという話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 弦1本から、これだけできました。

これを1本ずつ滅菌し、使用します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回の弦もワタシがいつも使う「アーニーボール・レギュラースリンキー0.17」

メイド・イン・USAです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この間「Let It Bleed」を奏でたあの弦が、

今度は逆に「Bleeding」を止める、

というわけですなあ。(#^.^#)

 

 

 

 

 

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2018.11.24

耳鳴の理

 以前書いたようにワタシは右耳の高音部の難聴になっている。

人間ドックの結果

 

 

 

 

 

 

 

 

 耳鳴はそれを意識すればするほど、強くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この間の専門医講習会で「耳鳴の診断と治療」という講演があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 前半部、「耳鳴の診断」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目新しい話は無く、内容は退屈。

演者の先生の声が小さく、聞き取りにくい。

何とか聞き取ろうと、耳を澄ます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、話題が「耳鳴の話」なので、

ついつい自分の耳に鳴っている耳鳴に意識がいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あー、こういう状況で耳鳴は増強するんだなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 右耳のキーンという耳鳴は、かなり大きく感じられるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、後半の「耳鳴の治療」の講演に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 内容自体はむろん、知っている事柄ですが、

TRT利用法の段になって、講師の先生は、

サウンドジェネレーターのサンプル音を流しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すると・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おおおおーーーー、鳴っていた耳鳴が、みるみる楽になる――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TRT療法、恐るべし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで、専門医講習会の「耳鳴」のセッションは

「座学」の「領域講習」でしたが、

ワタシにとって「実技講習」でした。(^^;

 

 

 

 

 

 

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2018.11.21

TRT療法

TRT療法、というのをご存知でしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

TRTは Tinnitus Retraining Therapy の略で、

日本語でいうと「耳鳴り再訓練療法」といった意味です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳鳴りは、特効薬のない、治らない症状として、

耳鼻咽喉科医がもっとも悩む病態のひとつです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今まで、薬物、処置・手術等様々な耳鳴治療が提唱されてきましたが、

近年ではこの「TRT療法」が耳鳴に対する最も効果的な治療法とされています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡単に言うと、「耳鳴」とは、内耳由来の雑音を脳が聴きとってしまっている状態です。

(ここでは、耳鳴の大多数を占める内耳性耳鳴についてのみのお話しで、

血管性耳鳴や筋痙攣性耳鳴などのその他の耳鳴の話は割愛します。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワレワレが「聴覚系」としているものは外耳から脳までの経路であり、

音は耳で聴くわけですが、

実際に音や言葉を認識しているのは大脳です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり実際は「脳で聴いている」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、何らかの理由で耳から入る音が少なくなると、

大脳は音を聴きとろうとして、その感度を上げます。

まあ、ラジオやステレオが聞こえにくくなったので

ボリュームを上げるようなもんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とすると、機械から発せられるノイズがサーとかザーとか聴こえてくるように

内耳細胞が発する雑音が、脳で聴きとれるようになるのが

耳鳴のメカニズムだといわれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も音が聞こえない「無響室」に入ると、

正常な人でも「キーン」とか「シーン」とかいう耳鳴を自覚します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シーンと静まり返った」の「シーン」は、その擬音と考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なので、脳にそのノイズを意識させないために、

別の音源を聴かせて、そちらに気をとらせるというのがTRT療法の仕組み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

具体的には補聴器を装用して環境音の入力を上げたり、

サウンドジェネレーターという音を発する器械を用いて、それを脳に聴かせる、

というものです。

当院でもこの器械の処方を行っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに広い解釈では、そういった器械を用いなくても、

何か音を発するものを利用して、

静寂な空間をつくらない、

そして、それによって脳が耳鳴を意識する時間を減らし、

耳鳴を意識外に追いやる、ということが耳鳴の治療になるわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たとえば、エアコンの音を考えてみましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エアコンのついている部屋に行くと、その作動音は聞こえているはずですが、

脳は必要ないもの、意味のない音、としてその感知を意識に上げませんから、

作動音は、ないのと同じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある部屋に行って、そこにいる人と話をして、部屋から出たあと、

さっき、エアコンの音が鳴っていましたか?

と訊いても、大概のヒトは答えられません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いっぽう、その会話中に、

「今、エアコンの音が聞こえますか?」

と尋ねれば、しばし黙って耳を澄ませてあとで、

「ああ、していますね。」

と答えるはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その音を認識するのには最初ちょっと時間がかかるのですが、

ちょっと置いてから

「今もエアコン鳴ってますか?」

と訊くと、今度はすぐにその音を認識して、

「もちろん、まだ鳴ってます。」

と、即答するはずです。

ヒトによっては最初の質問から、ずっとエアコンの作動音を意識し続けます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり、エアコンの音は「有意な音」として、脳にメモリーされたからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その逆を行って、耳鳴の音を大脳から遠ざける、

というのが「TRT療法」なわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのために、別の音源を「エサ」として脳に与えるとともに、

耳鳴の音を「意味のない音」として感じられるような、

意識改革、心理カウンセリングが必要になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実はこの「意識改革」「耳鳴の理解」が大変重要で、

漫然と行ってうまくいく治療法ではないのですが、

中には長年悩んできた耳鳴が大変楽になったという方もいらっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 特殊な器械を使う方法でなければ、

ご自宅のラジオやCDプレーヤー、YouTubeでもできます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポイントは音の大きさを大きすぎず、小さすぎず、

意味のない音にするのですから、ラジオの言葉が聞き取れては大きすぎです。

音楽はなるべくボーカルのないもの、

ビートの効いていないもの、

波の音、せせらぎの音、環境音楽などが推奨されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 耳鳴の原因診断、治療が必要な疾患の除外診断は大変大事ですが、

耳鼻科にかかって、何でもない、といわれた方は、

お家でこの方法を試してみてください。

耳鳴に対する意識改革がうまくいきさえすれば、

それなりの効果があると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところでこのTRT、フォントにするとなんか

(T_T)に似てるなあ・・・・(TRT)

 

 

 

 

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2018.11.13

11月17日土曜日は休診です

毎年この時期の恒例ですが、

今週土曜日11月17日は耳鼻咽喉科専門医講習会のため休診です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、夏に受講手続きをして、ネットでホテルを予約しようとしたが、

いつも宿泊するホテルが、いっぱいでとれず。

そのときはまだ、8月。

学会まで3か月もあったころの話です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他をあたるが、結構どこもいっぱいで、何だこりゃ、という感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、今まで聞いたこともないホテルですが何とか予約が取れました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5年にいっぺんくらいは福岡での開催になりますが、

毎回この時期は大相撲九州場所と重なる。

でも、普段はとれるよなあー、と思ったら、

日本耳鼻咽喉科学会から連絡が来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、福岡でEXILEのコンサートがあるので、

宿泊が取れにくくなっていますとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんと!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時頭をよぎったのはむろん3年前のこの出来事。

11月の嵐

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、今回は、何とか宿泊とれたし、

講習会も予定通り開催されるようなので、

「嵐>>EXILE」

ということなんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 専門医講習会はスケジュールがタイトなので、どこにも観光は行けません。

せめて、博多名物水炊きくらいは食ってくるぞー。

 

 

 

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2018.11.09

マイコプラズマについて

立冬を迎え、冬型の風邪が流行ってきました。

 

 

 

 

 

この時期、セキの風邪が多いのですが、

子供連れたお母さんが

「保育園でマイコプラズマが出てますので・・・。」

などと言ってくることが多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、またヘンな情報が出回ってるな・・・。(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マイコプラズマはこの時期はやる「セキの風邪」の一種です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自然に治る病気なので軽度の気管支炎の時は

特に小さいお子さんの場合には原則的に抗生剤を使う必要はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時に重症化して肺炎などを起こす場合には、

抗生剤を使用しますが、第一選択はマクロライド系の抗生剤、

ジスロマック、クラリス、エリスロマイシン等です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、最近はマクロライド耐性のマイコプラズマが多いので、

2~3日たっても解熱しない場合は、

オゼックスなどキノロン系の抗生剤に変更します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切なことはマイコプラズマが疑われた場合、

状況にもよりますが、すぐ抗生剤を使わない、

ましてやいきなりオゼックスなんかを投与してはいけない、ということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マイコプラズマは細菌の一種ですが、

他の細菌に比べサイズが小さく細胞壁をもたないので、

通常の細菌感染とは違ったふるまいをします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、通常の培養検査では検出されず、

血液検査による抗体価の変動のほか、

最近は咽頭からの迅速検査キットも発売されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイコプラズマは細胞壁をもたないので、

細胞壁を破壊することによって連鎖球菌や、肺炎球菌を殺菌する

ペニシリン系、セフェム系などの薬が効きません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただし、マイコプラズマは肺炎球菌や溶血性連鎖球菌などと違って、

菌の増殖そのものが体に害を与えるわけでは無く、

侵入したマイコプラズマに対する免疫応答、

すなわち体の防衛機構が産生するサイトカインという物質が炎症症状を起こすのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 よって、免疫応答がまだ十分でない幼小児ではおおむね軽症で自然治癒し、

むしろ学童期から成人の場合により重症化する場合が多い、という病気です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、高校でマクロライド感染症が流行すれば、ちょっと注意が必要だが、

保育園ではやったところで大騒ぎすることはない、

ということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第一選択のマクロライド系抗菌剤ですが、

これはマイコプラズマにある程度の効果がある一方、

現時点で小児の中耳炎の最も重要な原因菌である肺炎球菌に対しては、

7~8割がマクロライド耐性株のため、無効です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイコプラズマが、確実、かつ重篤、といった場合には、

マクロライドが推奨されますが、

実は子供のセキは、風邪にともなって鼻腔内で増殖した肺炎球菌による膿汁が

後鼻漏となって気管に流れ込み、気管を刺激して出るケースが、

マイコプラズマの何十倍も多いと思われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こういったケースにマクロライドを投与すると、セキが治らないばかりか、

かえって中耳炎、気管支炎などの合併症を起こしやすくすることさえ考えられます。

肺炎球菌は健常な小児でも4割程度が普段から鼻に「飼って」いますから、

頻度は高い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、オゼックスなどのキノロン剤は、さらに注意が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイコプラズマがここまで耐性化したのは、

臨床の現場で安易にマクロライドが多用された結果、といことは明らかです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現行でマイコプラズマに対して、耐性化がほぼないのは、

テトラサイクリン系のミノマイシン、とキノロン系のクスリです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただし、ミノマイシンは歯牙着色という副作用があるため、

8歳以下には原則使えません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこで、最近適応症追加になったオゼックスですが、

ミノマイシンがその薬剤の特徴からマイコプラズマは耐性化できないのに対し、

オゼックスに対しては、耐性化が起こり

すでに実験的に耐性マイコプラズマができることがわかっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、オゼックスをかつてのマクロライドのように多用すれば、

いずれ市中にキノロン耐性マイコプラズマが広がる可能性は極めて高い。

同じ過ちを繰り返してはいけません。

 

 

 

 

 

 

 コチラも参考にしてください。

マイコプラズマその診断と治療 つだ小児科クリニックのHP

エムズこどもクリニック瑞江のHP

ふかざわ小児科のHP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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