ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2019.09.06

嫌気性菌

耳鼻咽喉科は感染症を扱う機会が他の診療科よりもかなり多いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

細菌感染、ウイルス感染がその大半を占めますが、

今回は細菌感染のお話、なかでも「嫌気性菌」のお話をします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外耳炎、中耳炎、扁桃炎など耳鼻咽喉科領域の細菌感染の多くは

肺炎球菌、インフルエンザ菌、溶連菌などすべて好気性菌です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好気性菌」に対し「嫌気性菌」とは空気のあるところ、

すなわち20%程度の酸素を含む大気中では生息できない菌。

通常は増殖しないこれらの菌によって起きる感染症が

「嫌気性菌感染症」として時に問題になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(誤嚥性)肺炎」「腹膜炎」「卵巣・卵管膿瘍」など

「深在性」の感染症をひき起こし、

ときに「敗血症」など致命的な二次感染に至ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳鼻咽喉科領域では口腔咽頭からの感染が波及した

「深頸部感染症」が問題になります。

重症感染症で「頸部膿瘍」をきたし、

外切開などの手術が必要になる場合が多いですが、

そのほかに「扁桃周囲膿瘍」や「副鼻腔炎」で

嫌気性菌が原因になることがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扁桃周囲膿瘍」に関しては、

当ブログでも何回か話題にしたことがありますが、

「副鼻腔炎」は大人から子供までありふれた感染症です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「副鼻腔炎」は風邪による急性鼻炎の二次感染ですから、

その原因菌の多くは鼻内に生息する

「肺炎球菌」や「インフルエンザ菌」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらに対し、適切な抗生物質を使って治療するわけですが、

時に、大人の慢性副鼻腔炎で、なかなか治らないことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつまでも、膿性のハナが出たり、

のどにタンがまわる「後鼻漏」に悩まされます。

時には頬部や歯の痛み、悪臭などがあるようなら要注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

副鼻腔、上顎洞が、空気の入らない「閉鎖空間」になり、

そこで「嫌気性菌」が発育することがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場合、なんといっても有効なのが上顎洞穿刺洗浄、

いわゆるシュミットです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嫌気性菌感染症の治療を、教科書的に調べると

以下のような記載があります。

 

1. 排膿(ドレナージ):まず第一にこれを行なう。これは抗生剤療法に先行する。

2. 壊死組織の外科的切除:開胸排膿など

3. 抗生剤療法:膿瘍や壊死組織での薬剤濃度を高めるために通常経静脈投与を行なう。

  アミノグリコシドは嫌気性菌に無効である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまり「シュミット」により

1.膿を外に出す、排膿することができます

2.空気を送り込むことにより、嫌気性菌の増殖を抑え込むことができます

3.上顎洞内に直接抗菌剤を注入することができるので、

内服や点滴静注に比べて薬剤濃度を飛躍的に高めることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

針を刺して、ピストンを引くと、

黄色不透明の粘っこい膿が吸引され、

滅菌精製水で洗浄をすると、膿盆に悪臭のある濁った液体がたくさん出てきます。

最後に穿刺針から抗生物質を注入すると終わり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピストンの膿を「嫌気培養」すると

「フソバクテリウム」「バクテロイデス」「ペプトストレプトコッカス」などの

「嫌気性菌」が検出されます。

ちなみに「嫌気性菌」はその性質上、通常の細菌検査では培養されず、

「嫌気培養」を指定しないと検出されませんので、

この菌が念頭にないと診断を誤ることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、これらの「嫌気性菌」はどこからやってくるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実はこいつらは我々の体に住んでいる「常在菌」です。

「嫌気性菌」は人間の体の皮膚・粘膜、口腔内、腸管内、女性性器内等に常在し、

なんと、人の粘膜の常在菌叢の99%以上を占めるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに有名な「破傷風」は嫌気性菌ですが、常在菌ではありません。

なので「外因性感染」といいますが、これは特殊な例で、

「破傷風」「ボツリヌス毒素」「ガス壊疽」以外の嫌気性菌感染症は

すべて「内因性感染」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここのところ結構多くて、

週2,3人はシュミットしていますが、

みんな良くなります。

最近の若い先生はシュミットしないようで、

この手技がすたれちゃうのはちょっともったいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.08.31

鼓膜切開

鼓膜切開は耳鼻咽喉科医が日常行う基本的な手術です。

古くからある治療法であるが、

やっぱ、スバラシイなあと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

60代の女性の方、半年前から耳の塞がった感じで聴こえが悪く、

耳鼻咽喉科に通院していたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初にかかったX耳鼻科で経過が思わしくなく、

Y耳鼻科に転院、そこで半年近く毎週1,2回通院していたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

X耳鼻科では中耳炎といわれ、初診の時に耳に針を刺したという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、鼓膜穿刺といい滲出性中耳炎の基本的治療手技です。

なので、中耳炎は滲出性中耳炎だった、ということが推測されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、経過が思わしくなくY耳鼻科に転院しました、とのこと。

訊けば刺しても刺してもまた水が溜まってしまったらしい。

これも、よくあることです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてY医院では突発性難聴の診断。

これは患者さんが言うので確かではありませんが、

お薬手帳を見るとムコダイン、メチコバール、アデホスとあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムコダインは滲出性中耳炎の治療でも使うクスリ。

あとの2剤は突発性難聴などの感音難聴でも使いますが・・・。

Y先生には「ワタシは針は刺さない主義です。」といわれ、

延々と通気とネブライザー療法をしていたそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

診察すると、右耳には浸出液がいっぱいで、滲出性中耳炎の所見。

滲出性中耳炎も初期には薬剤や通期で抜けることもあるが、

1,2か月以上変化なければ水を抜くのが基本です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なので、そのことを説明し、その場で鼓膜切開を行いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼓膜麻酔をし、切開するとサラサラの透明な水が吸引されます。

予想通りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼓膜切開の穴から極小の吸引管で浸出液をすべて吸引し、

いったんは空っぽになりましたが、

そのまま顕微鏡を見ていると、またじわじわと水が溜まってきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが最初に耳鼻科で鼓膜穿刺しても良くならなかった原因です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大人の場合、中耳腔は上鼓室を通じて

耳の後ろの側頭骨内の乳突蜂巣と呼ばれる空洞につながっています。

簡単に言えば、「次の間」があるということです。

滲出性中耳炎の経過によっては、

その連続した空洞まで水が溜まってしまうことがしばしばあり、

中耳の水を抜いても、「次の間」にたまっていた水が流れ込むことにより

またすぐ中耳を満たしてしまうのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局この方は鼓膜切開の穴から水を吸いだす作業を

水がたまらなくなってくるまで10回以上繰り返しました。

その間、顕微鏡をにらみながら数分間。

患者さんにもカメラでたまってくる様子を

ライブでみてもらい説明しました。

鼓膜穿刺では針刺して吸引したら針を抜いてしまうので

続けて吸引できないのが弱点。

また、鼓膜切開はしばらく穴が残存するので、

大気圧がかかり再貯留を防ぐこともできます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後の経過は良好で、しばらく穴が残存して

2週間後に診たときは穴が閉じていましたが

再貯留はありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に診た耳鼻科の先生も繰り返したまるのをみれば

いずれ鼓膜切開をしたでしょうが、

患者さんの負担を考えて、まずは鼓膜穿刺にしたのでしょう。

そのままX耳鼻科にかかっていればよかったのに

鼓膜穿刺や鼓膜切開のできない病院に行ってしまったのが残念でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数回の通院で治ってしまえば、病院の収入は少ないですが、

患者さんはラクです。

やっぱ、メニューは公開すべきだよなあ。

 

 

 

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2019.08.29

耳かきカメラ

「カメラで耳かきしたら傷ついて出血しました。

反対側の耳にも耳垢があって塞がっています。」

という方が来院。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幸い外耳道裂傷は軽傷で鼓膜に異状なく、

反対側の耳垢も除去しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それにしてもカメラ??・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インターネットで検索すると、

出るわ出るわ、耳かき用のカメラいっぱい出ています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤ちゃんまで・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

写真や動画を撮影してSNSやYouTubeにあげるのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかも、ヤスイ。(@_@)

もし、耳鼻咽喉科医院が医療機器として

この手のものを医療機器屋さんに問い合わせると、

多分30~60万円くらいの値段が提示されると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 むろんネットで売ってるものは粗悪な中国製だと思うが。

解説の文章読むと、わかりますね。

ニホンゴ、オカシイデス。

赤字にした部分、気になります。

「一目瞭然」の使い方もヘンです。

「別の穴」ってどこだ?(/ω\)

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暗い耳の穴の中を完全に明らかにして、観察にとって便利です

思う存分に自由に耳をほじくることを楽しみできます

 

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 もともと、耳掃除はトラブルのもとなので、

耳かきは原則的にしないように、とは以前のブログで書きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、見える分、盲目的な耳そうじよりはましなような気もするけど・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ともかく、

思う存分に自由に耳をほじくることを楽しみできます

は困ります。

とりあえず、耳と鼻の穴は見るだけにしておきましょう。

別の穴、は他の科の先生に相談してください。(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.08.09

夏季休診のお知らせ

 今年は山の日が日曜日で、12日月曜日が振替休日になります。

13,14,15,16日とお盆のお休みなので

日曜日から金曜日まで休診ということになります。

17日土曜日は通常通り午前の診療をします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 個人的には夏休みはお盆休みを外して取りたいのですが、

職員の希望や、世間の慣習もあり、なかなかそういうわけにはいきません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大学病院のころは、交代で休みをとるので、

優先権のある先輩の先生が、先にいいところをとっちゃうので、

研修医はお盆の時期に休みを取らせれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっとも、市中病院に出てからは、

学校の夏休み期間中は予定手術がビッシリなので夏休みはゼロ、

日曜日も隔週出勤、という状態だったので、

今はチョー恵まれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこ行っても混んでるし、お盆期間中はホテルも高いので、

旅行に出かける予定はなく、

妻が九州の実家に帰っちゃうので、朝晩のイヌの散歩が休み中の仕事です。

Jリーグもないので、サマソニに日帰りで行くくらいで、のんびりします。

 

 

 

 

 

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2019.08.08

鼓膜穿孔閉鎖術に対する新薬が承認されました。

ようやく待ちに待ってた知らせが届きました。

医薬品第一部会:初の鼓膜穿孔治療剤が登場~新薬3軒の承認を了承

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう4,5年以上前、とある学会で

この薬の開発に携わっている先生の講演を聴いて以来、

発売をずっと心待ちにしていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時の発表でかなりいいデータが出ていたので、

承認、発売も早いのではないかと思っていましたが、

意外に時間がかかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外傷や、中耳炎、鼓膜チューブ留置後などに

鼓膜に穴が開く、もしくは開けることはしばしばあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼓膜は本来再生能力を持っているため、

多くの穿孔は自然に閉鎖しますが、

時に塞がらず残ってしまうことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閉鎖を妨げる因子としては、感染(耳だれ)と、

反復、遷延する中耳炎のための鼓膜の菲薄化があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのような場合、鼓膜穿孔閉鎖術が必要になりますが、

外来で局所麻酔化にできるものもありますが、

鼓膜の状態が悪かったり、穿孔の大きなものは

入院し、全身麻酔で手術することになり、

患者さんにとって大きな負担でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒト塩基性線維芽細胞増殖因子

(basic fibroblast growth factor:bFGF)とは

ワレワレの体も持っている

細胞の修復活性や血管修復などを担う因子です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これを製剤化し、スポンジ等で鼓膜に圧着させることにより、

再生の止まってしまった鼓膜穿孔の再生を促すというもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これにより、外来、局所麻酔下の手術で、

鼓膜穿孔を閉鎖できるケースがかなり広がると期待されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当院でも局所麻酔で鼓膜穿孔閉鎖術を行っていて、

穿孔が閉鎖できる場合も多いのですが、

どうしても、外来ではムリ、という方には、

病院を紹介していますが、

入院してまではやりたくない、という方がいらっしゃるのも事実です。

また、年齢や合併症の関係で全身麻酔の手術が困難な方もいらっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この薬の導入により、そのような方にも外来での手術が可能になります。

発売の際にはぜひ使ってみたいと思いますので、

また、詳細がわかりましたらお知らせしますねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.08.01

8月1日(木)2日(金)の午後の受付は4時半まです。

 8月になりました。

梅雨明けが遅れて、このまま明けないんじゃないかと

ハラハラしてましたが、

いざ明けるとタコ殴りの暑さにメゲそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて今年も、花火大会前の、木、金は北仲七夕夜店まつりが開催されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 北仲通りが午後4時半から交通規制で進入禁止になるので、

今日と明日は受付は午後4時半までになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は、第2駐車場が移転したおかげで、

そこなら入ろうと思えばは入れるんですけど、

なかなか、いったん決めた休みを取り消すのはムズカシイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただでさえ、8月はお盆休みと山の日の関係で営業日が少ないのですが、

まあ、お祭りだから仕方がないか。

当院受診後、そのままクルマとめたまま、

夜店祭りに行っちゃっても可、とします。

お祭りなんで。

 

 

 

 

 

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2019.07.24

オグサワとは

 オグサワとは、何か。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっと前に、バドミントンにオグシオという美人ダブルスがいまして、

小椋さんと、潮田さんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 では、今度はオグラさんと、サワムラさんか誰かのペアかというとさにあらず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、抗生物質の処方で、しかもウラ処方。

オーグメンチンとサワシリンを同時処方することの「隠語」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オーグメンチンとサワシリンは

どちらもアモキシシリンというペニシリン系の抗生物質が主成分です。

サワシリンはアモキシシリンのみ、

オーグメンチンはアモキシシリンとクラブラン酸という薬剤の合剤です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これを同時に処方するということはどういうことか、

ということを理解するためには耐性菌の話からしなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このブログでも再三にわたって耐性菌のお話は書いてきましたが、

細菌が抗生物質に対し耐性を獲得する仕組みにはいくつかありますが、

β―ラクタマーゼという酵素を介する方法があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 臨床で良く用いられるペニシリン系やセファロスポリン系の薬剤は、

β―ラクタム環といういう基本構造を持っています。

サワシリンも、メイアクトも、フロモックスもセフゾンもみんな基本構造は同じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのβ―ラクタム環を壊しちゃうのがβ―ラクタマーゼで、

インフルエンザ菌(ウイルスではなく)やモラクセラという菌の中に、

この酵素を出して、抗生物質から命を守る、という奴らが出てきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、そのβ―ラクタマーゼを阻害するのがクラブラン酸という薬剤で、

これによって細菌の出すβ―ラクタマーゼが無効になり、

ペニシリンが、細菌を殺菌できる、という仕組みです。

なんとなく軍拡競争みたいですが・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、最近の細菌は(ダシャレではなく)

全体に抗生物質に対する抵抗性が強まっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、従来のペニシリンの量では十分に殺菌できないケースが増えてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは特に子供の急性中耳炎の治療の場で問題になり、

2006年に発売されたのが「クラバモックス」という抗生物質です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、アモキシシリンとクラブラン酸の合剤で、

その意味では、「オーグメンチン」の小児用ですが、

特徴はアモキシシリンの量が従来の約3倍になっていることです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アモキシシリンは添付文書では、

体重1キログラム当たり20~40mgで使いなさいと書いてあります。

なので従来は平均30mg/Kgを目安に使っていましたが、

幼小児の急性中耳炎には効かないので、

クラバモックス発売前はワタシは倍の60mg/Kgで処方していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところが、クラバモックスのアモキシシリンは90mg/Kgに設定されていたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、ワタシなど耳鼻科医にとっては待ってましたのクスリで、

発売当初、ワタシはクラバモックスの使用量が県内ナンバー1だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、子供はそれでいいとして、錠剤を飲むオトナの場合です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「オーグメンチン」はクラブラン酸が入っていますが、

アモキシシリンの量は1錠あたり250mgで従来量です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これを、クラバモックス並の従来の3倍量に持って行くためには

オーグメンチンを1回3錠、1日9錠飲めばいいわけですが、

クラブラン酸はそのままで十分なので、アモキシシリンの量だけ増やしたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それで、1日量をオーグメンチン3錠とサワシリンを従来の倍量の6錠とすれば

クラバモックスとほぼ同じ比率になる、ということです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 耳鼻科領域では大人の急性中耳炎はそれほど多くないので

たぶん考えたのは、呼吸器内科の医者だと思います。

はじめて、お薬手帳でこの処方を見たときは、何じゃこりゃ、と思いましたが、

ちょっと考えたら、すぐ理屈がわかり、

なるほど、コイツ頭いいじゃん、と思いましたが、

あとで、他の医療記事で見かけたので

多分その先生が考えたものではなく

どこかで見たか聴いたかしたものでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、あくまでウラ処方で、能書きとはあっていませんから、

アタマの固い、あるいは抗生剤に無知な審査官がいたら、

保険適応通らず査定の対象になります。

時々いるんだ、そういうジジイが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに「オーグメンチン」は1種類しかありませんが、

アモキシシリンはメーカーによって「サワシリン」「パセトシン」など

いろんな商品名があります。

まあ、「オグアモ」「オグパセ」よりは「オグサワ」が語呂が良いですね。

 

 

 

 

 

 

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2019.07.15

7月16日火曜日、休診です。

 世間的には7月13日(土)14日(日)15日(月・祝)という形の3連休ですが、

今回、当院は16日(火)を臨時休診にさせていただき

14日~16日までの3連休とさせていただきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 妻が人工股関節の手術をしたのは2011年と、2016年。

今回、その定期検診のため、札幌の病院に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いままでは、ワタシ一人残って外来をやっていたのですが、

今回は、ちょっと1日夏休みをとらせていただいて、

一緒に北海道旅行に行ってまいります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 還暦、定年の歳を迎え、いつまで元気で旅行に行けるかわからないので、

これからは機会をみて行っておこうと・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても、学会がらみ以外で旅行に行く、

なんてことは、何年ぶりだろうか。

まあ、今回も、検診のついでではあるのだけれど、

ワタシは関係ないので。

 

 

 

 

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2019.07.10

幕の内弁当的な

 季節的に耳鼻科の外来は閑散期に入ってきて、

これから秋の終わりまでは、一息つく時期です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、昨日は、いろいろな患者さんが来て、

人数の割には手間がかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんといっても多いのはこの時期の「気圧病」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 梅雨前線による気圧の変動により、

耳鳴、耳閉感、メマイの患者さんはこの時期悪化します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 初診で来られると、聴力検査や平衡機能検査を

一通りしなければならないので、

一人の患者さんを何回にもわたって診察し、

説明しなくてはならないので実際の人数の倍以上の勘定になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、多くの子供さんは中耳炎が治ってゆく季節ですが、

この時期まで治らないお子さんは

反復性、難治性の中耳炎ですので、鼓膜切開になるる乳幼児も多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昨日は、鼻出血の急患の方が来て、

鼻内に出血性のポリープがあり、止血に時間がかかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらに、夕方、のどの痛みが内科にかかったが治りません、

という患者さんを診察したら、

扁桃周囲膿瘍で、即、切開、排膿し、点滴することになりました。

いわゆる含み声ではなかったので、予想してなかったので、

口の中みて、ありゃまと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最後は、後鼻孔ポリープの患者さん、

検査と説明をして再来週に手術することにしました。

反対のハナまで回ってるので、取るの大ごとそうだなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 インフルエンザや花粉症で忙しい時期は、

来る人来る人、延々と迅速検査をしたり、

花粉症の注意事項の紙を渡して、同じ説明を繰り替えしたりで

同じ作業の連続ですが、今日はバラエティーに富んでいましたね。

 

 

 

 

 

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2019.06.19

外科医として

 「老眼」になっても内視鏡や、顕微鏡のおかげで、

日常診療はほぼ問題ないが、

困るのは耳鼻科の手術だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっと前に1歳上の日赤のS部長から、紹介状に対し

もう細かい手術はやりません、とのお返事をいただいたが、

ワタシもここにきて手術を選ぶ時期にきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この間、来院された「副耳」の赤ちゃんですが、

今までは、自分でやっていましたが、病院に紹介しました。

ちなみに当院の副耳手術第1号は、

今も働いているウチの看護師さんのお子さんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後に来た「粘液嚢腫」の方も紹介状を書きました。

口唇粘液脳腫も、これまでさんざん手術しましたが、

もうこれからは基本、紹介しちゃおうかな、と。

口唇粘液脳腫なら病院でも局所麻酔日帰りでできるでしょうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この手の手術はもはや肉眼では無理だが、

顕微鏡をつかえばできないことはないのですが、

顕微鏡はどうしても視野が狭い。

術野は良いとして、持針器に5-0の針糸を把持するのに

また、これが見えない。(^^;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 助手さんに器械出しをやってもらう手もありますが、

術野が狭いと、やはりオープンな手術では何か事故があると困るので、

今後は紹介してやってもらうことにしました。

ナサケナイ。

今後、ホームページを書き換えておかないと・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 内視鏡でも顕微鏡下の鼓膜チューブ留置や、鼻内内視鏡下の手術は

術野が外耳道内、鼻腔内とクローズなのでまだ大丈夫です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この間、病院でこの子は暴れるから全身麻酔だねー、

といわれた男の子の鼓膜チューブ留置などは、局麻で行い、

病院にお返ししました。

こういう他の施設ではできず、当院でしかできない手術は、

まだやる意味があります。

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、この程度の小手先で何とかなる手術はやりますが、

これだって顕微鏡で見えても、気力がいつまでもつかどうか・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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