ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.12.06

0-1の意味するもの


 週間予報では土曜の天気は晴れ。
んー、なんとなく雨が降らないかな、と思っていた。
 思えば、あれはももう6年も前、やはり優勝を狙う鹿島との最終戦。
 雨の中エメの同点ゴールで、鹿島の優勝を阻止した。
あの時のソガハタの悔しそうな顔。
 埼スタからの帰り道、まだ小さかった娘を肩車して傘さしてたら、
傘が木に引っかかったっけなー。
 天気予報がずれて、土曜日は冷たい雨になった。


 2009年J1最終節
  浦和レッズ    0-1     鹿島アントラーズ   (埼玉スタジアム2002)
     (前半   0-0)
     (後半   0-1)


 優勝を意識した鹿島の動きは硬かった。
 連覇しているチームとはいえ優勝のプレッシャーは相当なもののはず。
 レッズの付け込む隙はいくらでもあった。
 今日の試合を見て、多くのサポーターが思い出したであろうあの試合。
2007年の最終節、ちょうど今日の裏返し。
優勝に大手をかけたレッズはアウェイの日産スタジアムで横浜FCと対戦。
横浜FCはすでに降格が決まり、長らく勝ち星から遠ざかっていた。
だが、優勝を意識するレッズは、まったくいつものサッカーができずギクシャクしていた。
 結果、まさかの敗戦。
9割がた掴みかけていた「優勝」はするりとその手から抜け落ちた。
 そう、2年前の横浜FCのように、のびのびやって鹿島の足元をすくえば。
 しかし、「王者」鹿島はしたたかだった。
 6年前の再現も、日産スタジアムの奇跡も起きなかった。
 残念ながらこのチームとレッズの差は、まだまだ大きい。
 今日の試合、勝ち、引き分け、負け、どんな結果になっても
それは、ありえる展開だった。
 でもこの0-1には、今のこのチームの現状を納得させる説得力がある。
 しかし、決してダメなチームじゃない。
今日感じた悲しみは、去年の最終戦のときに感じたあの虚無感ではない。
 来年の最終戦、喜びと自信に包まれて1年前の冷たい雨の日のことを振り返りたいです。

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2009.12.02

今度の日曜日もインフル外来します。


 さて、先日「今度の日曜日、インフル外来します
で、お知らせしたとおり、結婚式の前にインフルエンザ外来をしました。
 最初に来たのがいつもウチでかかっていて、
チューブ留置術までしたことある「おなじみさん」だったのでビックリ。
 それほどたくさんの患者さんでごった返すということは無く、
待ち時間もほとんど無く淡々と過ぎました。
 後で、聞けば日赤のほうはかなり混んでたとのことなので、
情報を伝えてこっちに回って貰うようにしとけば良かったかと思いました。
 どうせなら、普段インフルエンザ見慣れてない救急の先生よりこっちのほうが専門ですし、
何より、発熱者の間で長く待たされると、インフルエンザでなかった方まで
その場でインフルエンザに感染、ってこともけっこうありそうだ。
 それから、先日の日曜日ははインフルエンザ疑いでかかった子の中に、
急性中耳炎が2人もいました。
 2人とも小さい子なので、本人の訴えも無く、回りからは気づかれなかったのですが、
1人の子はすでに片方の鼓膜が破けて少し膿が出ていました。
 もちろんインフルエンザ検査は陰性。
 確かに幼小児の発熱で最も原因として多いのは風邪で、
インフルエンザも広くは、この範疇ですが、
次に発熱の原因として多いのが中耳炎ですから、
耳鼻咽喉科医が担う役割は多いなー、と感じます。
 今回の中耳炎の子にしても、フツーにいけば耳鼻科までまわってくるのは
もう少し時間がかかってしまうわけで、ラッキーでしたね。
 で、ややインフルエンザ減ってきたようですが、
まだまだ出てますので
今週末の日曜日、再び、インフルエンザ外来をやります。
 インフルエンザ疑いの発熱の方は9時半から12時の間、受診できます。
 問題は、前日「CRP」のライブなので、
私が日曜日に二日酔いから立ち直ってるかどうか、なんですが。

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2009.12.01

師走の花粉症


 今日から「師走」。
「師走」は各月の古称の中でも、ダントツに知名度が高いだろう。
「皐月」や「弥生」はまだしも「文月」や「長月」はあまり日常に出てこない。
「師走を迎えてあわただしいですが・・・」なんてのはよく聞くが
「卯月になり新年度を向えて・・・」なんてのは聞いたことが無い。
 ここんとこ、毎日インフルエンザの話しばっかですが、
今日は別の話を。
 最近、外来でよくあるパターン。
「なんか、先週から、くしゃみやノドがイガイガして、せきや鼻水が出ます。」
「ああ、そうですか診てみましょう。」
「お願いします。」
「ノドなんともないなー。熱はどうですか。」
「熱っぽい感じもなくは無いですが、計ってみると熱はありません。」
「ハナ診てみましょう。あ、こりゃ、花粉症ですね。」
「花粉!ブタクサですか?」
「いえ、ブタクサはとっくに終わってます。原因はスギです。」
「えー!もう、スギなんですか?」
 実は「もう、スギ」ではなく「今が、スギ」なのだ。
 スギはご存知のように春先2月下旬から3月を中心として4月上旬まで花粉を飛ばします。
 ところが、今頃、花粉を飛ばすことがあります。
 スギの花粉は夏の間に作られます。
そして一冬越して、来春あたたかくなってくると飛散するわけです。
 一方、11月後半の気候はちょうどスギが花粉を飛ばす3月の気温に近い。
 今年のように11月の前半に寒い日が続き、その後気温が上がると
スギは「だまされて」花粉を飛ばしちゃうことがあります。
 もちろん、量も少ないし、期間も短く、範囲も限定されています。
 ただし、もともとスギ花粉に対する体質が「強い」ヒトが、
「運悪く」ハマッちゃうと、発症しちゃうわけです。
 もうそろそろ終わると思いますが、思い当たるフシのあるヒトは、ご用心を。

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2009.11.30

結婚式、サイコー!

 かねてからの予告どおり、日曜日は午前中臨時のインフルエンザ外来を行う。
 そして、お昼過ぎ、式場のバスで岩谷家、川島家の結婚式で宇都宮へ。
 新婦のアヤちゃんは
言わずと知れた我がロックバンド「CRP」のキーボード兼「まえはらクリニック」のナース。
 一方新郎の岩谷君は当院に出入りしてた製薬会社のヒトで、
いわばオレが「縁」となってるわけだ。
 開場は宇都宮モノリス。
 結婚式直後の二人。
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 いい感じですね。
 続いて披露宴に移ります。
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 二人を結びつけたのは「ピアノ」。
新郎新婦の連弾です。
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 恒例のケーキカット。
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 実は食べることは2人ともピアノより得意です。
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 そして、待ってました(?)、なんと「CRP」の演奏だ。
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 どこに行っても「爆音ライブ」。
演奏曲は「Basket Case/Green Day」「The Locomotion/Grand Funk Railroad」。
ついでにアンコールももらっちゃったので「20th Century Boy/T-Rex」
まで、やっちまったぜ。
 その後、2次会に。
 ナゼカまたまたケーキカットしてる2人。
よっぽどケーキ食いたいか。
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 そして酔っ払いになっていくヒト達
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 こちらやはり最近結婚した新婚夫婦とその父(?)
「オメーラ、仲良くやってっか?ダメだぞ、オメ、かみさんにサービスしねっと。」
「いや、ちゃんとやってますよ。」
「お父様、もっと言ってやってください。」
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 僕らも、早く結婚したいでーす。
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 といいながら2人を出し抜いて「婚活」する奴。
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 ともかく、がっちり掴んだこの幸せ、みんなが祝福しています。
とっても素敵な結婚式でした。
ガンちゃん、アヤちゃん、ホントにおめでとう。
いつまでもお幸せに。
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2009.11.28

やっぱり・・・・。

 Jリーグもあと2試合。
 毎年最後の頃になると、インタビューでどのチームの選手も
「あと、残り試合、全部勝ちます。」
なんて事を言うが、これは政治家の公約と同じくらいあてにならない。
インタビューもマニュフェスト作ってもらおうか。


 2009年J1第33節
 京都サンガFC   1-0    浦和レッズ  (西京極競技場)
    (前半     0-0)
    (後半     1-0)


 でも、今日は、勝てたよなー。
 午後2時土曜京都ではスカパー観戦だ。
 連勝、しかも前節の劇的勝利で波に乗りつつあるレッズ。
4位キープならACLも見えてくる。
 一方、ここのとこパッとしないサンガ。
ただし今日勝てば残留確定とか。
 試合はほぼレッズが支配。
パスもかつての横、後ろ、足元へのゆるいパスではなく、
緩急のある効果的な崩しもけっこうあり、
実況の八塚さんも(このヒト好き、ほんとサッカー好きなんだろうなー、ってのがいつも伝わってくる)
解説の福西も(コイツはキライ、現役時代の汚いプレーを見てると、きっと善人ヅラしてワルイ奴なんだろうなーと思ってしまう)
レッズのパスサッカーの完成度を評価していた。
 しかし、サッカーは点をとらんとイカンのよ。
 今日の高原のコースを変えるヘッドや、ディフェンダーに体を預けて反転して打つシュートは
彼の持ち味だが、昔はみんなあれがゴールに入ってたはずだ。
 前半が終わった時
「何となく、負けるかも。」
という思いが、過去の経験から頭をよぎる。
多分、選手にも・・・・?
 そして、負けるならこの形しかない、という
カウンター、サイドチェンジ、マークずれる、ウラ取られる、のパターンから失点。
 結果にすごく納得してしまう自分がカナシイ。
 ああー。
 さて、試合中に何回か病院の電話なりましたが、
深夜は取っても試合中は電話取らないのが当院の方針ですのであしからず。
急患の方は試合終了を待ってお電話してね。
 試合後には1人、インフルさん診ましたが。

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2009.11.26

今度の日曜日、インフル外来します。


 緊急連絡です。
 先日の休日の患者さんの話、またまたブログ読者の方からのご連絡により
休日診療所が大変なことになってるようです。
 んー、このままではイカン。
 そのため、急遽、今度の日曜日当院もお手伝いすることにしました。
 医師会休日診療所の担当の方と相談した結果、
休日診療所に問い合わせがあった患者さんのうち、
インフルエンザ疑いの発熱患者さんをこちらにまわしてもらうことにしました。
まあ、問い合わせはほとんどがインフル疑いのヒトでしょうが。
 ただし、今度の日曜日は午後からCRPのアヤちゃんの結婚式のため、
お昼過ぎにはバスに乗って(しかもギター持って)
宇都宮まで行かなきゃならないので、
11時~11時半くらいで受付は打ち切りになっちゃうと思いますが、できるだけやります。
 朝、9時半からです。
 日曜日はインターネット受付は「なし」ですので、
状況をお電話で確認いただけるとよろしいかと思います。
もちろん、直接来ていただいてもけっこうですが、
インフルエンザ疑い以外の通常の初診、再診は受けませんのでご理解ください。
耳が痛い子は、もちろん診ます。
 熱が出てから数時間たってからの方が検査の正確性が出ます。
土曜の夕方、夜から、あるいは日曜日朝からの発熱の方は、
日曜の午前中にお越しください。
 日曜のお昼、午後からの発熱の方は、月曜日の受診で間に合いますから、
熱が多少高くても、なるべく夜間救急を受診しないようにしましょう。
本当に重症な方がきちんと診られなくなります。
 昨日のブログで述べたように、新型はそれほど恐れることはありません。
 この提案に対し、
二つ返事で引き受けてくれた薬局の小峰君、
そして、当院のスタッフの皆さん、
感謝です。
 やはり、今回のインフルエンザは一つの「社会的災害」ではあります。
 常々思っていることですが、医療機関は個人経営でもやはり公的な役割があります。
かつてのブログ「やり残した事」で書いたことがすこーしだけできるかも。
アフリカやアフガニスタンはそう簡単には行けなくても、
ここでは多少、役に立てるでしょう。
1分で行けるし。

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2009.11.25

季節性とパンデミック、どっちが怖い?


 さて、皆さんは従来型の季節性インフルエンザと
いわゆる新型インフルエンザ(パンデミック・インフルエンザ)では、
どっちが怖いと思いますか?
 「そりゃ、新型が怖いに決まってんだろ。」
 と、思ったあなた、間違いです。
 「だって、テレビで言ってたけど、死んだ人だってけっこう出てるじゃん。」
 なるほど、でもそこに情報の落とし穴があるのです。
 従来の季節性のインフルエンザで毎年何千人もの方が亡くなってます。
何百人もの子供が脳症になってます。
 でも、それは一般には報道されません。
 なぜって、当たり前だから。
肺がんや胃がんで何人死のうとニュースになんないでしょ。
健康なヒトがただの風邪で運悪く肺炎になって死んじゃっても、それもニュースにはなりません。
 もちろんインフルエンザが老人健康施設や老人病棟なんかで集団発生して、
死亡があった場合はニュースになります。
 しかし、それ以外はいわゆる「ニュース・バリュー」がありません。
 一方、新型の方は最初は「感染疑い」だけでもニュースになりました。
続いて、患者が確認され過剰な報道がありましたね。
 死亡例も最初は大々的に騒ぎましたがだんだん減っています。
 マスコミは(特に日本は)そんな体質です。
 食品の偽装問題があったときには次々にニュースで出てました。
しかし、今は全く話題になりません。
 急に無くなるわけはないので、日本のどこかでは
産地や賞味期限の偽装くらい、今でも小規模ながらあるでしょうが、
今は「ネタ」としての価値がないので報道されないだけです。
 確かに推計で感染者900万人ともいわれる新型インフルエンザは脅威ではありますが、
実は今のところ重症化は少ない。
 インフルエンザの病原性は
(毒性という言葉はやめましょう。インフルエンザは毒素を出しません。)
感染力とは別のものです。
 ウイルスがどれだけ急激に体内で増殖し、それが宿主に影響を及ぼすかです。
 「新型」インフルエンザは多くの人が免疫を持ってないので、
とりあえず罹りやすい。
 しかし、ウイルスは細胞の中でしか増殖できません。
 新型は、まだ人間の細胞で増殖した経験が少ないのでまだそのテクニックが未熟です。
もたもたしてるうちに感染した人間の作った抗体に捕らえられてしまう。
 一方、従来からある季節性のインフルエンザは、何年も流行を繰り返してきました。
人間の体の中で生きていく術(すべ)を知り尽くしているといえます。
 新型インフルエンザの症状が比較的早く改善するのはこのためです。
すぐに熱が下がるヒトが多いです。
(これはもちろん喜田先生から聞いた話を元に私が推測したものです)
 もちろん、H1N1なので、年長者が何らかの抗体を持っている可能性や
流行がまだ若年者に限られているので、
毎年インフルエンザの大半の死亡例となる高齢者の感染が少なく、
死亡率に関しては厳密な議論ができないとは思いますが。
 また、将来的にこの「新型」がヒト細胞での増殖力を増した型に変異していくことは
充分考えられますし、おそらくそうなっていくでしょう。
 かかるんなら、今のうち?
 いや、無理にかかることはないすけど。
どんな危険があるかもわかんないし。
 まあ、理想的には新型ワクチン打ったあとで軽くかかっとく、
ってことができたらベストでしょうな。

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2009.11.25

(ベルリンの壁崩壊とは関係のない)ソ連の消滅の話

 新型インフルエンザワクチンの予約を開始しております。
 今回対象者は未就学児童(1歳以上)です。
 実際問題として一体、何本入荷するかわかんないですが、
とりあえず希望者は木曜日までに予約してください。
 もちろん「新型」にもうかかっちゃったヒトは必要ありません。
 さて私が10月19日付で書いたブログ「従来型インフルエンザと新型インフルエンザ
を覚えておられるでしょうか。
 ここで、疑問として
今回「新型H1N1」が出たので今までの「Aソ連型H1N1」と「A香港型H3N2」は
今シーズン以降どうなるんだろうということを書きました。
 マスコミでも全く触れられてなかったもので。
 この疑問について、この間の専門医講習会で講師の先生2人がコメントしてました。
 現段階では推測の域を出ないが、従来のAソ連型H1N1は消えるだろう。
B型はもちろん残るが、A香港型H3N2は、消えるかもしれないし、残るかもしれない、
とのことです。
 まあ、私の予測もそうでした。
 病院でやってるいわゆる「簡易検査」はA型とB型の区別はできますが
ソ連型と香港型の区別はできません。
まして同じH1N1であるソ連型と新型の区別もできません。
 しかし、私はこのA型は全部新型ですと患者さんに説明してきましたが、
この間の講習会で提示されたPCR検査のデータを見ると、やはりほぼすべて新型でしたね。
 わずかにB型も出てましたが。
実際に足利市でもB型の報告がありました。
 じゃあ、今年はB型も流行ってるの、っていうとそうではありません。
 実はAにしろBにしろ、インフルエンザは一年中出てるはずです。
 でも流行期で無いといちいち検査をしないので、
普通の風邪として処理されてるわけです。
流行期でなければ、重症化も少ない。
 今年は、こんな形で新型インフルエンザが流行ってるので
検査をすると、たまたまB型がひっかっかって来る、ということに過ぎません。
 そして毎年、B型や香港型に先行して流行するソ連型が殆ど出てないとすれば
新型にとって変わられる可能性は高いでしょう。
 「Aメキシコ」っていう名前になるのかしら。
 だから、このままソ連型が新型に取って代わられれば
今打ってるワクチンのAソ連型の成分はまあ、意味が無い。
でもA香港はビミョーとしても、少なくともB型に関しては大いに意味があるわけです。
 つまり今年の予防接種はB型とA型が別になっちゃったわけですね。
 メンドクサイ。

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2009.11.24

インフルエンザキットの功罪


 新型インフルエンザ、いつまで続くんでしょうね。
 毎日、検査、説明の繰り返し。
 同じことをいちいち説明しなきゃなんないのは、花粉症のときと同じ。
 まず、新型であること、学校への届出、休む期間、証明書について。
そして、感染の様式、マスク・手洗いの必要性、食事・寝室・トイレの注意。
抗ウイルス薬の説明、タミフルとリレンザの同じ点と違う点、服薬期間。
合併症・重症化について気をつける症状、解熱剤の考え方、併用薬。
家族に発症した場合、不顕性感染、予防接種の考え方。
 これらのことを患者さんの反応を見ながらもれなく話さねばならん。
 たまたま、一緒に結果が出た人は2人まとめて聞いてもらったり。
これも花粉症のときと同じだー。
 おかげで声がガラガラだー。
 まあ、この新型から
「因果関係が明らかでインフルエンザと診断できる」ものについては
簡易検査をしなくてもタミフル、リレンザを出していいことになったのは助かります。
この8月に出た通達です。
 ところが、昨日の休日、昼飯食ってると病院の電話が
「もしもし、Tですが、子供が熱を出しまして・・・。」
「ああ、お姉ちゃんが5日前、お母さんが2日前にインフルエンザでしたから
インフルエンザでしょうね。」
「それで、昨夜救急で病院かかって・・・。」
「夜間かかったのか、インフルだからタミフルかなんか出たですね。」
「それが、検査陰性で、明日熱があれば、またかかるようにと。」
「いや、それもうインフルだから薬出していいのよ、小さい子だし。
じゃあ、休日診療所に電話して、もう検査要らないから診察だけで、タミフル出してもらって。」
「それが電話したら50人待ちで・・・。」
 そりゃ、しかたがない、ってことで
患者さんに来てもらって診察してタミフル出しました。
薬剤師さんとこにも電話して来てもらって。
もちろん診察で中耳炎、その他の発熱の原因等の無いことをチェックしますが
インフルエンザの簡易検査はしませんでした。
 そもそも、これは、その救急の医者が、きちんと
「インフルエンザです」、と診断すれば
もっと簡単に済んだ話。
 厚労省の8月の通達を知らないのか、
こんなん症状も状況も、インフルに決まってるじゃん。
 まして小さい子だし、何より 翌日も休日 だってことはわかってるはず。
 その前も、夜間に救急病院かかったのに、
3時間も待たされて検査陰性ですと返された園児がいた。
そこんちも1日前にウチでお兄ちゃんがインフルエンザと診断されてる。
こういう子は検査いらないでしょ。
 検査キットができてから確かに診断は簡単になったけど、
医者は、いや人間は何千年も前からインフルエンザを診断してきたわけだ。
 まさに検査結果だけ見て患者さんをみない医者って事です。

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2009.11.23

専門医講習会、大変勉強になりました。


 そんなわけで、土日は専門医講習会で仙台に行ってきました。
 いやー、いろいろ勉強になったです。
 1日目は、好酸球性疾患を中心にアレルギーとの関連の話をいくつかと、
ショートステイ・サージェリー、つまり日帰りや短期入院手術の話を聞いてきました。
 この分野は次々に新しい知見や技術、器具なんかが開発されてる分野なので、
最新の講演を聴くと大変タメになります。
 中には、おー、あの機械使ってみたいなー、なんて手術器具もあるんですが、
「これはまだ日本に輸入されてなくもちろん保険も通りません」、
などという話で、悔しかったりする。
 まあ、花粉症や、アレルギー性副鼻腔炎などの話で、
以前と違った概念や新しい治療の方法・方針も
いっぱい聞いてきたので、これは即実践したいと思います。
 だから、当院の治療指針もモノによって微修正が入ります。
今までと違う説明、投薬もあります。
医学って難しいですね。
 2日目は、ウイルス性疾患の話をいくつか聞いてきましたが、
なんといっても、いわゆる「新型インフルエンザ」のすばらしい話を聞いてきました。
 演者は日本のインフルエンザ、ウイルス関連では第1人者の喜田先生でした。
 このセンセイ、初めて話を伺いましたが、スゴイです。
 まず、話がわかりやすい。
 アタマ悪い人ほど話が難しくわかりにくい。
難しい話をわかりやすく説明できるってのは「できる」人の証拠です。
 そして、モノの見方がすばらしい。
 この方は、話を聞くと研究室でパソコンやってるんではなく
アラスカやモンゴルや中国に自ら出かけていって、
そこで、渡り鳥の糞や死体を調べたり、豚を実際に解体したりしてる
現場の人、なのだ。
 だから、モノを見て、考える、
その筋道が非常にしっかりしてる。
 だから、厚生労働省の役人や政治家のダメなとこが我慢ならない。
こんな事やってちゃダメだ、とはっきり指摘する。
ホントはもっといいたいことイッパイあるんでしょうが、
公の場なのでやんわり皮肉交じりに言ってましたが・・・。
 ともかく、私が、インフルエンザに対して持ってた疑問やなんかが、
この先生の話を聞いてことごとく、氷解した。
 「やっぱり」、とか、「なるほど」、とか、「ごもっとも」、とかの連続でした。
 結局、今のままのインフルエンザ対策ではダメってことです。
 なぜ、新型インフルエンザはすぐ熱が下がるのか、
なぜ、新型の予防接種は1回でいいのか(1回でいいんです!)、
なぜ、鳥インフルエンザは高病原性になったのか、
なぜ、新型インフルエンザは豚から始まったのか、
なぜ、今のままのインフルエンザ対策ではダメなのか、
今後季節型インフルエンザはどうなっていくと考えられるのか、
 みーんな、納得のいく説明ですべて理解できました。
 今後、機会あるごとに、外来での説明や当ブログでお話します。
 どうして、こういうことが、マスコミできちっと伝えられないんだろ。
 ちなみに、今回の「新型」インフルエンザという名前は正しくないそうです。
正しくは「パンデミック・インフルエンザ」と呼ぶべきなのですが、
適当な訳がないまま、「新型」とよばれるようになってしまったとか。
 このウイルスが確認された時、喜田先生はこのワクチンを従来の季節性ワクチンに
組み込むべきだと主張したそうですが、
厚労省がわけのわからん理屈をつけて却下したらしい。
 その時にきちんとワクチン対策ができてれば、
現在のワクチン騒動は防げた可能性が高いですね。

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医療系をまとめました。
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