ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.04.12

これはどうだ「本態性」

 「特発性」の記事を書いていて、もう一つ思い当りました。
「本態性」。
 これは、主に「本態性高血圧」で、用いられる。
「本態性高血圧」?
「熱帯性低気圧」ならよく聞くけど。
 実はこの「本態性」も大体「原因不明の」という意味だ。
 たた微妙に違うニュアンスがある。
「特発性」の場合は、
「良くわかんないけど、珍しい病気になっちゃって、んー、こりゃ残念、カワイソウ。」
という、患者さんを思いやる気持ちが入ってるような気がする。
 しかし、一方「本態性」は
「いや、あんた、こりゃ原因は分かんないけどさ、
しょうがないのよ、まあ、人間の性(さが)っていうかさ。」
という、突き放した感じがくみ取れる。
 世の中に高血圧症の人はすごい数がいるが、
ほとんどはこの「本態性高血圧症」って病名がついてるはず。
 我々が医学生の頃、内科学で「高血圧症」を勉強するときは大変だ。
 まず、高血圧症には「本態性高血圧」と呼ばれる原因不明の「一次性高血圧症」と
原因のわかっている「二次性高血圧症」に分けられる。
 んで、この「二次性高血圧症」が、ハンパねえ数 あんのよ。
 代謝、遺伝性、血管異常、腎臓、下垂体、甲状腺、腫瘍、電解質異常・・・・・
ともかく、ほとんどあらゆる臓器の疾患を網羅しそうな勢いだ。
 それで、高血圧の問題が試験に出ると大変だ。
 内科の知識を総動員して答えを探さなきゃならない。
 特に遺伝子の何番が欠損してどうとか、
何とかいうホルモンを活性化する物質の代謝経路のどこが遮断されてるとか、
覚えるのがメンドクサイったら。
 しかもそういった病気がことごとく「ナントカ氏症候群」などという
発見したガイジンの名前が付いてるので、またこの暗記が大変。
 絶対、オレ、医者んなっても高血圧の診断、できないかも。
 と、思っちゃうわけだ。
 ところが、実際は
「うーん、血圧、高めだねえ。薬出しときましょう。」
 ってんで、3分で診断がついて、その薬を30年飲む、
なんてことがあったりして・・・。
(いや、見たわけじゃないけど、極端な場合それに近いものもあるのでは・・・)
 なんたって、実は、高血圧症の9割以上は原因不明の「本態性高血圧」なのだ。
 私などは、耳鼻科医で高血圧症は診断も治療もしたことないので、
いまだに血圧が高いんです、といわれると
「どっかに 褐色細胞腫 (←試験のヤマ) があったりして・・・・」
などと考えてしまうのですが。
 まあ、国家試験には、逆にそういうのしか出ないですからね。
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