ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.04.16

ジェネリック医薬品ってどうよ

 最近ジェネリック薬を希望される患者さん結構いますね。
 「ジェネリック薬」とは、医薬品の発売から年数がたって、
特許が切れたため、開発メーカー以外にも製造を許された「後発品」です。
 いわゆる「コピー薬」で、かつては通称「ゾロ」といわれてました。
 「主成分」は「先発品」と同じですが、
製薬会社の開発にかかったコストや、
認可をとるために必要な様々なテストがカットされ、
データの提出が免除されるので、
「先発品」に比べ、安い価格になってるわけです。
 厚労省は医療費削減の一つの目玉として、
近年、ジェネリック薬を大いに推奨してるのは周知のことです。
 当院も患者さんの要望によって薬局でジェネリック薬に変えてもいいですよ、
という趣旨の処方箋を出しています。
 
 かつては「ゾロ」は安く仕入れられるので
「儲け」が多く開業医が利益重視で使っていた時代がありました。
 最近は「薬価差」が無くなり、院外処方が普及したため、
薬で利益を稼ごう、というお医者さんはまあ、あまりいないでしょう。
(そもそも医者が設け主義では困りますが。)
 だから、以前のように
「ゾロばっかり使ってる医者はちょっとなあ…」
というイメージは今はありません。
 多くの先生が積極的に「後発品」を使っています。
 ただし、一般的にはお医者さんは本当はジェネリック薬、
あんまり好きではないのではないか、と思います。
 問題はジェネリック薬は「先発品」と完全に同じ薬ではない、
という点です。
 「主成分」が、同じならばいいので、薬の製法上違う成分もあったりするわけです。
 特に子供用のドライシロップ製剤などは「主成分」はもちろん大事ですが、
「味付け」の成分も大きな要素を占めます。
 だから、当院は必ず「味見」をして、先発品と遜色ないものを
近くの薬局にはお願いしています。
 たとえば抗生剤の「クラリス」「クラリシッド」は、もともと、とても苦い薬で、
開発したメーカーは、発売後、研究に研究を重ね、3回味付けを変更して、
今の味になっています。
 ところが「後発品」は、主成分は同じでも
味付けの「秘技」はコピーできないので、
かなり飲みにくい薬になっています。
 また、もう一点はメーカーにより製品の質にばらつきがある、ということもあります。
 まあ、中にはちょっと怪しいメーカーもあるので、
完全に「コピー」しきれて無い奴もあるようで。
 実際にステロイドの軟膏を「ジェネリック」に変えたら、
ぐんと効きが良くなって、実はステロイドの濃度は同じだが基材が違ったので
元の薬より吸収良くなって実質的には強いステロイドを使ってることになっていた、
なんて噂も聞きます。
 また、皮膚に貼る気管拡張剤のテープも、基材が違って、
血中濃度が通常より高く上がってしまい、その分早く下がってしまうということもあるようです。
 そんなこともあって、薬剤師さんになるべく信頼できるメーカーの製品を勧めてもらうようにしています。
 最近は「先発品メーカーの子会社」や「先発品メーカー」そのものが
「ジェネリック医薬品」を作っているところも多く、
まあ、この辺なら信頼できるかなー、と思っています。
 ただ、処方箋はどこの薬局に持って行ってもОKなので、
なかなか難しい面もあるのですが。
 あと、心配なのは、ジェネリックが優遇されてくると、
メーカーはワリの悪い新薬の開発より、
リスクの無いジェネリック生産に走るようになり
良い薬ができないのでは、ということも感じます。
 まあ、適切に使えば、これはメリットも大きいわけで、
我々も勉強しますので、皆さんも正しい知識を持って使用してください。
「センセイ、なんでも最近は『ジェネリック』とかいういい薬が出たんだって?」
「いや、ジェネリック、薬の名前じゃありませんから。」
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