2008.07.25
今年は、梅雨明けもしっかりして、連日猛暑が続いています。
気候と言うのは、社会、経済に与える影響が甚大で
猛暑になると、消費電力が増大して、電力不足になるとか、
ラーメン屋がすいて、焼肉屋と回転寿司が込むとか、
熱中症で病院に運ばれる人が急増するとか。
逆に、冷夏だとビールの消費が低迷するとか、
海の家が経営危機になるとか、
まあ、いろんなことがあり、それぞれ悲喜こもごもだったりするわけです。
そんな中で、我々耳鼻咽喉科開業医が心配することといえば、
「来春のスギ花粉の飛散量」です。
スギ花粉の飛散量は、毎年毎年大きな差がありますが、
その量は前年夏の気温、日照によって決まることはもはや経験的に証明されてます。
昨年の夏の猛暑によって、(熊谷は40度を越えましたよね。)
今年のスギ花粉が多いことは昨年の秋の時点ですでにわかってました。
スギ花粉は平成17年に過去最高の花粉量を記録してますが、
それは平成16年の記録的猛暑によるものです。
平成16年の夏、私は周囲の者に、こぼしていました。
「この調子だと、来年の春は大変なことになる。ナントカしてくれー。」
まるで、連休最終日の東名自動車道で、沼津あたりを走りながら
「この先60キロ、45キロメートルの渋滞あり」
なんて、今は順調に走ってるけど絶対そこにはまるのを避けられない・・・、って感じ。
もう秋口から、そのことを思い出すたびに憂鬱でした。
さすがにお正月を過ぎた頃には、運命を受け入れて、よーし、来るなら来いと、開き直ってましたが
でもやっぱり怖かったです。
今年の春も大変だったしなー。
(このブログの「花粉症」というテーマをクリックすると、今年の私の苦しみがつづられています。)
だから、今年の夏も
「おー、梅雨も明けて、夏はやっぱ暑いのが夏らしくていいなー。」
と、思いつつも
心の片隅にチクチクといやな予感の芽生える夏なのです。
2008.04.08
朝からじゃんじゃん雨[emoji:v-279]が降り、久々に落ち着いた外来です。
特に、栃木県は、今日、始業式なので午前中は、ついに待ち人数「0」が出ました[emoji:v-363]
しかし、最近来る患者さんで、こんな方がいます。
「花粉症で、市販薬でしのいでいたのですが、ここの所鼻づまりがとれなくて・・・。」
鼻を、ずびずびしながら、訴えます。[emoji:v-400]
もしやと思ってたずねます。
「点鼻薬、使ってますか、市販の。」
「ええ、もう手放せなくて・・・。」
ああ、と外来に流れる、ため息に似た空気。
もう、職員みんなも、この人の鼻づまりの原因がわかっちゃいました。
まあ、門前の小僧何とやらではないけど、診察しなくても、医者でなくても診断がついちゃうんです。
そうです。市販の点鼻薬を連用することによってもたらされる鼻づまりなのです。
市販の点鼻薬はすべて、血管収縮剤という成分が含まれています。
鼻の中は血流が豊富で粘膜下の浅いところを走っているので、血管収縮剤によって、鼻づまりは劇的に良くなります。
しかし、血管は流れないと困るので、4~5時間立つと血管が再開通して、一時的に血管が拡張して
また、元に戻ります。
それが、連用すると、だんだん収縮がうまく行われなくなって、拡張だけが残るようになります。
一般に1週間連用すると、確実にこの副作用が出ます。 患者さんは良くならないので、どんどん点鼻薬をつけると、ますます鼻づまりがひどくなります。
使えば使うほど、悪くなるという、恐ろしいことになってしまうのです。
まるで、麻薬か覚せい剤みたいです。
よく見ると、点鼻薬の添付文書には「連用しないこと」と、ちっちゃく書いてあるはずです。
でも、知らない人がほとんどです。
具合が悪いのは、お医者さんでも、この事実を知らない人が結構多いということです。
なかには、耳鼻科医でもよく知らない(と思われる)人がいます。[emoji:v-388]
5月、6月になってもこの手の人が来院します。今年は結構多いんだろうなー。
治療は、点鼻薬をやめることです。皆さん、半信半疑ですが、1週間後、うそみたいに良くなります。
もちろん、もとの鼻づまりの原因のアレルギー性鼻炎とかの治療をしなければなりませんが、
調べても、スギ花粉症だけっていう人が6月ごろにきた場合は、薬やめるだけでよくなっちゃうので、バカみたいです。
ただ、長びく鼻づまりから、蓄膿症になっちゃってる人も結構多いので(今日の人もそうだった)
ご注意ください。
知らない人に教えてあげましょう。[emoji:v-319]
2008.03.12
花粉症、多いですねー[emoji:v-356]。今年は、平成17年以来の流行で、カルテを見ると、3年ぶりって方が結構多いです。
さて、タイトルの「セカンド・ウェーブ」、って何のこっちゃ、と思うでしょうが、これは私が勝手に名づけたものです。
花粉症の推奨される治療は、花粉が飛び出す、約2週間前を目安に、いわゆる抗アレルギー剤(現在は第2世代の抗ヒスタミン剤といいます)を飲み始めます。このことによって、アレルギー症状の発現を抑制したり、遅らせたりすることができます。これを、初期治療といいます。
その後、症状に応じて治療をステップ・アップしながら、シーズンを通して薬を飲んでいく、というものです。これと、適切な防御を行うことによって、8割程度の方は、かなり快適にシーズンを送れます[emoji:e-278]。
この治療をするために1月下旬から2月上旬にかけて、たくさんの患者さんが訪れ、2~3か月分薬を持って行きます。よって、年一回しかお会いしない「常連さん」がいっぱいいるわけです。
または、レーザー治療をするために12月~1月に来院する方も多いです。
この方たちの来院が「ファースト・ウェーブ」です。まだ、症状が出てないので、その年の傾向や、飛び始めの予測日を説明し、新しい知見や最新の花粉予防テクニックなどについて、アドバイスをします。花粉症の治療に、まじめに取り組む「よい患者」[emoji:v-290]さんたちです。
さて、現在来られているのが「セカンド・ウェーブ」、第2波です。花粉症の症状が、いよいよ本格化してきたから、病院に来ました、という方たちです。多くは、発症して数日間という方が多いので、すこし強めの薬を出したり、回避、防御をする上での生活上の注意を説明し(多くの方はきちんとした防御をしていません。)、来年は、もうちょっと早く来てね、と、初期治療の重要性を説明します。
この時期からだと、治療開始によって、症状は軽くなりますが、症状を完全にコントロールすることは、困難なことが少なくありません。まあ、毎年花粉症に悩まされる、「普通の患者」[emoji:v-291]さんたちです。
来院日から計算して、およそ花粉飛散の終わりまでの日数の薬を出します。
その次に来院されるのが、私が最も恐れている「サード・ウェーブ」です。
この群は、「まったく治療をせず、根性でがんばってきたが、もう限界だ、何とかしてくれ[emoji:e-270]。」といったスポ根挫折型の方や
「甜茶や、カテキン、サプリメント、鼻に塗る軟膏、漢方薬や鍼、灸、整体、お札やまじない、加持祈祷?」といった、あまり効果のはっきりしないモノに頼ったがダメだったという、民間療法破綻型。
(ちなみにこの手のものの中で、唯一ヨーグルトだけはエビデンスがあります。別にカスピ海でなくても、可です。)
また「内科、小児科、アレルギー科など花粉症専門でない病院で治療したが、やっぱりダメだ。」と気づいて、あわてて耳鼻科の門をたたく、かかる病院間違えた型。
それから「中耳炎や、副鼻腔炎(蓄のう症)などを合併した。」ので来院した合併症型、などがあります。
この方たちの、治療と説明が一番大変です。一回の治療では、到底改善しませんし、生活指導も非常に、初歩的なレベルから説明しなきゃならない場合が多く、時間がかかり、骨が折れます。
この群がいわゆる「困った患者」[emoji:v-292]さんたちです。
皆さん、まだ間に合います。取り返しのつくうちに早く来院してください。で、我慢するなら最後まで我慢してくれ[emoji:e-2]
2008.02.18
さあ、花粉症はもう秒読み。一年でもっともツライシーズンがやってくる。
私自身は花粉症がないのが救いだが・・・。
年末もそれなりに忙しいが、30日まで、という目途がある。連休の前後も大変だが、患者さんも連休がらみだからしょうがないと思ってくれるし、せいぜい2~3日だ。
これからいつ開けるとも知れぬ花粉症地獄に突入じゃー。
私の予想では今週金曜日がXデイです。