ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2021.06.27

パンドラの箱

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このあいだ、NHKの朝の番組で

新型コロナウイルスの後遺症の話をやっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、長引いても時間とともに改善される場合が多い、

という話でしたが、

最後の方に耳鼻咽喉科で行うBスポット療法が効果あり、

なんてことが紹介されていまして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、また出ちまった・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以前にも書きましたが、この怪しげなBスポット療法に

いまだ踏み切れないでいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は、この間ブログに書いたら、

ほどなくお手紙をいただきまして、

それはBスポット療法を推進するある団体からでして、

「先生のところで始められるのであれば、

当方のホームパージに治療可能機関として掲載しますので、

そうすればどんどん患者さん来ますよ」的な趣旨でして、

こんな本まで同封されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあまりの迅速さに、かえって、引きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんか組織の陰謀に巻き込まれそうで・・・(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

症例によっては確実に効く人もいるようですが、

あらかじめ効くのか効かないのかが分からないし、

そもそも効いても何がどう効いてるんだか不明です。

コロナ後遺症だって多くは自然に治るっていってるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

良くなってもならなくても患者さんは、

通院してくるだろうし、

やっぱりこの手の愁訴は、

器質的疾患のあるなしにかかわらず、

精神的な要因、神経質な気質がかかわってる場合が

少なからずあるだろうから、

そういった場合の対応にも自信がありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういうのを割り切って、

患者さんが多く来てくれればいい、

因果関係はどうあれ満足してくれればいい、

特に害はないのでお金がもうかればいい、

という気持ちにはなかなかなれないのが本音です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先日、ある患者さんが持ってきてくれた

県内の某耳鼻咽喉科のBスポット療法のパンフレットには

「慢性炎症の改善には2~3か月かかるとされています、

週1~2回の頻度で治療されることをお勧めします」

とあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、「全ての方が完治するわけではありません、

改善に至らなくても症状が軽減している場合は、

その維持目的に治療を継続されることもあります」

とも書いてあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んー、この継続される、の

「れるられる」は何なのだ。

敬語の「(患者さんの意志で)継続されること」なのか、

受け身の「(もうやめたいと思っても)継続されちゃう」のか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかに食うに困っても

ニンニク注射やプラセンタ注射、点滴パーラーなどを

やるような医者だけにはなりたくない、

と思ってきました。

この過去記事「点滴パーラー」への

看護師さんのコメントも興味深い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リティンパのように、はい鼓膜の穴ふさがりました。

とか、やっぱりこの方法ではふさがりませんでしたね。

というのならはっきりしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、突発性難聴で治療したけど、

1か月たってまったく改善がないから、

もうこれ以上は意味が無いからクスリ止めましょう、

というお話も良くします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 治らない突発性難聴に

メチコバールやストミンAを

何カ月にもわたって内服させるべきではない、

ということは開院の時に副院長と確認しました。

白内障の進行を止めるという名目で延々と目薬を出す眼科医はまだいるんだろうか。

コラーゲンでお肌プルプルなんていってるレベルの

素人をだますのは簡単ですが、

医者としての倫理にもとる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3か月間週2回ずつのどにクスリつけて、

頭痛、肩こりが以前よりは改善してきたというヒトに、

維持目的にさらに治療を続けましょう、

とは、オレは言えないなあ・・・。

もうちょっと釈然としたガイドラインが欲しいです。

 

 

 

4件のコメント

コメント/トラックバック (4件)トラックバック用URL:

  1. いつもブログ拝見しております。
    地方で耳鼻咽喉科開業3年目の若手です。
    私も先生と同様、点滴パーラー、無意味な投薬、処置には全く否定的です。
    しかし、Bスポット療法は効果がかなりあると実感しています。
    最初は私も半信半疑でした。
    上咽頭をNBIも含め内視鏡で観察すると、Bスポット療法が効きそうかどうかおよそ判断がつくようになってきました。
    (効果がなさそうな方にはその旨説明して当院では処置していません。)
    また、複数回処置後に内視鏡で再度観察すると、上咽頭の所見が改善していることに驚きます。
    症状改善した方は処置間隔延長の上、中止としています。
    少なくともそのほかのとんでも医療とは同列には語れないと思います。
    是非上咽頭所見確認の上、一度試してみてください。

  2. おみみ様
    コメントありがとうございます。
    おー、こんなコメントを待っていました。
    実は日常診療でこの人にはやってみたいかも、などという症例はあります。
    適応症例が難しいので、上咽頭所見の診断基準が知りたいです。
    NBIがないとわからないですか?
    ともかく、とんでも医療をやっている施設が
    適応外のBスポット療法をやってるケースが多いようなので、
    これを何とかしてほしいです。
    ともかく「万病に効く」的なふれ込みは問題ですね。
    患者さんが大挙押し寄せないようにBスポット療法という名前は出さないで、
    ちょっとお薬塗ってみますねー、といってやってみようなしら。

  3. 返信頂き有難うございます。
    先生に対し大変恐縮ではありますが、私見を述べます。
    上咽頭粘膜の正常血管の消失、がポイントです。
    正常血管が普通に観察できる症例では、ほぼ効果なさそうな印象です。
    (当院では効きそうにない症例は処置しません。)
    NBIを使用すると血管の走行がよくわかります。
    しかし使用せずとも8割方は診断つくと思います。
    あとは、粘膜が敷石状につぶつぶとなっていたり、
    粘膜内出血を起こしているなど、分かりやすい所見があります。
    こちらはNBIがないとわかりづらいかも知れません。
    1%の塩化亜鉛を精製し行っています。
    少しでも参考になれば幸いです。

  4. はじめまして。
    脳脊髄液減少症をご存知ですか?

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