「ヘルパンギーナ」流行
7月5日のNHKのニュース。
「ヘルパンギーナ」は以前にも書きましたが「夏風邪」の一種で、
子供に多く、扁桃腺が赤く腫れ、
扁桃の周囲の粘膜に小水疱ができるのが特徴的です。
高熱が出ますが、2日以内に解熱し、
特に薬や治療が必要な疾患ではありません。
発熱の子供さんはまずノドを診てみて、
水疱を伴った特徴的な所見があれば、
「ヘルパンギーナ」と一発診断できますが、
水疱がはっきりしない症例も多く、
このような場合はアデノウィルス感染症、溶連菌感染症
などを考えなければなりません。
溶連菌感染症については抗生物質による除菌が必要なので、
水疱がはっきりしない場合、
迅速検査キットで診断しなければなりません。
ここのところ陽性に出る例が多いです。
この場合、抗生物質を10日間内服してもらいます。
これが陰性ならヘルパンギーナかな、とお話しするのですが、
アデノウィルス感染症も否定できません。
こちらも迅速検査キットがありますが、
アデノウィルス感染症の場合は有効な薬がないので、
3日目に熱が下がらなかったら来てみて、
とお話しします。
ヘルパンギーナは2日で熱が下がりますが、
アデノウィルスは5日から1週間近く続くことが多い。
3日目に熱がある場合は
初診時にはなかった急性中耳炎を起こしていて
そのための発熱の場合もあるので
そちらと合わせてチェックします。
ほかにもEBウイルス感染症も鑑別診断です。
しかし、ここのところ多いのがコチラ。
新型コロナはちょっと前は大人だけでしたが、
最近は小中高生に多く、未就学児にも出ています。
感染経路不明は多いです。
来院前に自宅で唾液の検査キットで陰性だった、という方も
こんなにバッチリ、クッキリ陽性でした。
やはり検査は上咽頭から。
熱があり、ノドが痛いがみると扁桃腺はたいして腫れていない、
という患者さんの中には他の風邪と共に
コロナがかなりの確率でいます。
最近は連日複数人の陽性者が出ています。
2歳以下の子供の発熱の原因として最も多いのは風邪ですが、
その次は急性中耳炎で、
耳の症状を訴えない、
あるいはそもそも赤ちゃんで耳が痛くても訴えられない
急性中耳炎のお子さんもいますので
子供の発熱の場合には必ず鼓膜所見を診なければなりません。
これも最近多いです。
毎日、患者さんを診るたびに、
症状、所見だけでなく、
年齢、既往歴、学校・幼稚園や会社、部活や飲み会などの感染の可能性のある環境、
家族の風邪様症状、発病からの日数等々、
数多くのデータをがーっと短時間で頭の中で再構築して、
いろいろな可能性を総合的に検案して、正確な診断を行うようにしていますが、
たとえば中耳炎とコロナ、溶連菌とコロナの合併は十分ありうるので、
いつ自分にコロナが感染するやもしれず、緊張の毎日です。
さて、どんな事象にも良い側面と悪い側面はあるものです。
実はヘルパンギーナが流行っていることが、
ウイルス干渉を起こして新型コロナの蔓延に
一定の歯止めをかけている可能性もあるかも。
とくに保育園レベルではヘルパンギーナの流行はむしろ歓迎?
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