ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2017.05.23

騒音性難聴、音響外傷について

 

失礼します。去年の5月にライブにて耳鳴り持ちになり、聴力検査では異常ないですが
30代なのですが30代できこえる周波数が聞こえなくなりました。
コールセンター業務を続けてきましたが転職をかんがえてます。
いろいろなお医者様の意見をききましたが、音量気を付ければ映画、カラオケは
音量気を付ければ聴力に影響ないという方と控えた方が良いという方がいます。
毎日の電車は問題ないと言われます。
今後の生活上の注意についてアドバイスいただけないかとコメントさせて
いただきました。
突然すみません、どうかお願いいたします。

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コメントありがとうございます。

 

 

 
聴力検査で異常ないということは高音部の周波数が低下したものと思われます。

 

 

 

 
一般に聴力検査では125Hzから8000Hzを検査しますが、
人間の耳は本来20000Hzくらいまで感知できるといわれています。

 

 

 

 

 

 

おそらく、最近インターネット等で入手できるアプリを使っての結果だと思います。

 

 

 
これは誰でも年齢とともに低下するのですが、
会話領域の周波数は500~2000Hzなので、日常には支障ありません。

 

 

 

 
ライブその他の騒音によるいわゆる「音響外傷」は一般に音の高低にかかわらず
4000Hz付近から始まるので、

今回アプリで分かった難聴が直接ライブのものであったかどうかは疑問です。

 

 

 

 

 

 

 

いずれにせよ騒音に対して強い耳、弱い耳が体質的にありますので、

今後の騒音については注意する必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、通常の映画などはあまり問題ないと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるさい音」を「騒音」と総称しますが、

例えば一緒に寝ている人のイビキは「騒音」ですが、

イビキがどんなにうるさくてもそれで難聴になることはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続けて聴くと耳に影響が心配される騒音とは

大声でもなかなかトナリの人と会話ができないレベル、が目安でしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、映画館はまず大丈夫ですが、カラオケは音量に注意です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかも、アルコールが入っているとさらに危険が高まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼓膜に連結する耳小骨には小さい筋肉がついており、

強大音が来たときに耳小骨を引っ張って音の伝わりを弱める「ミュート」機能があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルコール摂取によってこの反射が減弱することが知られており、

飲酒時には大きな音に対する耳の防御機能が弱まることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、お酒を飲んで演奏を聴くライブハウスでも同じことです。

(他人事じゃねーな・・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

また、密閉型のヘッドホンや、イヤホンの長時間の使用も、

耳への負担となりますのでほどほどにした方がいいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

騒音性難聴は急性期の場合は治ることが多いので耳鼻科受診が推奨されますが、

時間が経過したものについては、

損傷してしまった神経細胞の復活はなかなか見込めませんので

予防医療が非常に重要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

この間、この件では日本経済新聞の取材を受けました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お大事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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