ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.11.01

耕さない農業

 先日、NHKのテレビ番組で「不耕起農法」を始めた岩澤信夫さんの話を紹介してました。
 「不耕起農法」とは、田んぼを一切耕さないで、稲を作る農法のことです。
 岩澤さんはこのメリットを発見し、長年にわたって広く日本全国に指導している方らしいです。
 そのポイントとは
「耕さないことによって、稲の本来持っている生命力を十二分に発揮させることが出来る。」
ということだそうです。
 簡単に言うと稲が野生化し、根が強く張るようになり、台風などの災害に強く
また冷害などの気候の変化にもダメージを受けにくい。
最初のうちは、確かに収穫効率が悪いが、やがて従来と同程度の収穫が得られる。
害虫に強く農薬が少なくてすむので、環境にも非常によろしい、というものです。
不耕起農法の田んぼには、タニシなんかがいっぱいなんだそうです。
 しかし、最初は「田んぼを耕さないで大丈夫なのか?」「農薬を使わなくて大丈夫なのか?」
と、一般には受け入れられず、ずいぶん苦労されたそうです。
 それが、1993年の冷害の年、従来の稲がほとんど穂をつけなかった一方、
不耕起農法の稲は立派に穂を実らせていたそうです。
 私はこの番組を見て、うーん、このジジイ、やるなー。と大変感動したのですが、
ふとあることに気づきました。
 ・・・ナンカ、この話、昨日の抗生物質の話にちょっと、似てませんか。
 人間は本来、免疫力といって、病原体に対して戦う力を持っています。
そういう力を獲得することによって、何百万年も生き抜いてこられたのです。
 そして、個人個人は生まれてから、いろいろなこの世の病原体と自ら戦うことによって
その免疫を獲得していくわけです。
小さいとき風邪を引いて熱を出しても、それによって経験値が上がり
病原体に対して、戦う武器を手に入れられるのです。
 人間は、本来治る力がある。
だから、お医者さんは病気を治してるのではなく、治る道筋を示すに過ぎません。
 その治癒力を発揮できる状況を作ってあげるのが、医者の仕事でしょう。
 それを、いらない抗生物質を使い続けたために、返って薬の効かない耐性菌をつくり
病気の治りを悪くしてる、なんてバカみたいです。
田んぼは耕さなければいけない、発熱には抗生物質を使わなければいけない、
という、誤った妄信が、稲を、人間をかえって弱いものにしてしまった。
 稲なら、まだ毎年造るからいいけど、人間の体はつくり直しが利きません。
 人間は、自然を自分の都合よくコントロールしようとすると、必ずしっぺ返しを食うようです。

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