ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2020.02.15

スプリング・ブルー

 耳鼻科医にとって憂鬱な季節が始まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 15日土曜日の朝のPC開くと待ち人数129人。

しかも、7時30分の最初の1分間で50人近く予約ぶち込んでますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今年は、暖冬の影響で花粉の飛び出しが早い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 例年、バレンタインデーまでには花粉症のクスリ取りに来てね、

と、説明していますが、

今年はすでに発症した人も多く、

今後、この言い方も改めねばならいかも知れぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、まだ、重症のヒトはいないので、

花粉の注意事項の紙を渡して、説明をし、

以前の検査結果に合わせてクスリを2~3か月分処方して、

じゃあ、頑張ってください、

また、来年笑顔で逢えますように、

といった感じなので、人数のわりには外来は捗ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本当に大変なのは、内科で治療してたり、

市販のクスリで何とかしようとして、

症状が悪化し、ガマンにガマンを重ねて、

いよいよダメだ―、とかけこむ患者さんの多い3月中旬からですが、

今年の花粉量が本当に予想通り少なければ、

そのような事態は回避できると思うのですが・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、心配なのは、新型コロナウイルス騒ぎでマスクが手に入らず、

花粉症が悪化してしまう人が増えるのでは、というところです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マスクでウイルスは防げませんが、花粉は確実に防げますので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、新型コロナウイルスのおかげで、

外出する人が減ると、花粉症の人が減るかなあ、

などと、いろんなことを考えたりして・・・・。

 

 

 

 

 

 

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2020.01.18

2020年シーズンの花粉は?

1月も中旬になりますと、当院の外来は

スギ花粉症に向けた怒涛のレーザー期間に入ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レーザー治療はスギ花粉の本格飛散開始前に

完了しておく必要があるので、

これから半月余り、土用の丑の日前のうなぎ屋のごとく

焼いて焼いて焼きまくる日々です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで、今期の花粉飛散予測ですが、

ありがたいことに「少なめ」の予想です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飛散の多かった昨年に比べるとかなり楽かも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くわえて、昨年秋の台風19号、21号の影響で、

スギの花芽がかなりダメージを受けた、という報告もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何となく、ニヤニヤしてしまう。

このままいけば今年のスギ花粉シーズンは

楽に行けるのではないか、という期待があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、油断は禁物。

ウマすぎる話にはえてして落とし穴があるもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出されるのは一昨年の浦和レッズ、

シーズン途中から監督がオリヴェイラに代わり、

天皇杯も優勝して、杉本健勇などの大型補強も行い、

この調子では2019年はリーグ優勝を含めた複数タイトル獲得、

そして、常勝軍団としての新たな浦和レッズ元年となる、

なんていう期待に胸を膨らませていたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓋を開けてみれば、結果は複数タイトルどころか、無冠で、

リーグ戦に至っては最終節まで残留争いをする、

という有様でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぬか喜びををして、あとでガックリするのはイヤなので、

今年のレッズには過大な期待をかけないようにし、

またそこから学んだ点として

同じように今期のスギ花粉に対しても

楽観せずにシーズンを迎えようと思いますが、

それでも、何となく例年になく気分の暗くない花粉前夜です。

あー、イカン、ニヤケてしまう・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただし、この暖冬で花粉の飛び出しが早まる可能性は大なので

その点には気をつけましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.12.22

けっきょく、花粉症の注射は

 ゾレア見送りで、今のところ花粉症の「注射薬」はありません。

かつて、皮下注射していた「皮下免疫療法(SCIT)」は、

「舌下免疫療法(SLIT)」に、ほぼ全面的に置き換わっていますから、

これもなし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思い出されるのは花粉症のシーズン、一発で治るという注射。

これは脂溶性ステロイド剤の皮下注射なので、

絶対やっちゃダメですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 学会からも注意喚起が出て、

まともな医者はまあ、やっていないと思いますが、

大都会や、または逆にド田舎には「ヤクザな医者」がいますので、

くれぐれもご注意ください。

失明なんかしてからでは、遅いですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、もう一個ありました。

ヒスタグロビンはヒスタミン加ヒト免疫グロブリン製剤、

ノイロトロピンはワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液、

なにやらアヤシイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これらは良くメカニズムがわからないまま「変調療法」という、

これまたよくわからない名前で、

かつては花粉症の治療に用いられていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実はワタシも大学のアレルギー外来ではけっこう使いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、その後、「効かない」ということがわかり、

今では花粉症治療のガイドラインからも削除されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかもこの注射、全然効かないくせに、かなり痛い(らしい。)(>_<)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当時はわからなかったとはいえ、

注射した患者さんには、ホント申し訳ないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この注射、他科ではまだ使う疾患もあるらしい。

その辺の知見は無いのですが、ホントに効くのかしら。

ともかく、花粉症にはほぼ効かないのでお間違いなく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.12.19

ゾレアの花粉症への適応拡大について

 このほど、花粉症の新しい治療薬が認可されました。

アレルギー性鼻炎としては初の生物学的製剤「ゾレア」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このブログを読まれる方は医療関係者の方ばかりではないので、

生物学的製剤について簡単に説明します。

簡単に説明するの、ムズカシイな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この薬はヒトの抗体のクローンでして、

そもそも抗体とは、特定の微生物を攻撃するために生体が作る物質。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たとえば、おたふくかぜにかかると、

体がそのおたふくかぜウイルスを認識して、

そのウイルスだけを攻撃する物質(=抗体)ができます。

それによっておたふくかぜは治り、

身体がその抗体を作り続ける間は、おたふくかぜにはかからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 抗体にはいくつかの種類がありますが、

そのうちIgE抗体というグループはもともと寄生虫を攻撃する抗体ですが、

これが、まちがって反応するのがアレルギーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 花粉やダニ、ハウスダストを敵と誤認して、

くしゃみで吹っ飛ばそう、、鼻水で洗い流そう、鼻を詰まらせて侵入を防ごう、

とするのがアレルギー性鼻炎です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このアレルギーをおこすIgE抗体を攻撃するように、

プログラムしたIgE抗体をクローンによって大量生産したのが

ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤とよばれるもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 攻撃する側も、される側もIgE抗体なので、混乱しますが、

ミサイル迎撃ミサイルと思ってもらうとわかりやすい。

湾岸戦争でイラクのスカッドを撃墜したパトリオットのような

ミサイル防衛システムです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 つまりこれを注射することにより、体が作ったIgE抗体が、

ことごとく撃墜され、スギ花粉が来てもアレルギー反応が起きないという仕組み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 問題点はいくつかあり、

アレルギーをおこすIgE抗体は体が作り続けるので、

注射はシーズン中約2週間ごとに打ち続けなければならないこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてさらに問題は、そのお値段。

例えばゾレア皮下注用150mgでは1瓶当たり4万6422円であり、

1回当たり600㎎を2週間ごと投与するとなると、1か月で37万円余り、

花粉症のシーズンは2か月~2か月半なのでざっと100万円。

仮に3割負担でも薬剤費だけで30万以上、

診察代、検査代、注射手技量もこれに加わる計算です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっと問題なのはこれを保険適応にすると、

その分の医療費、すなわちのこり7割が健保の負担になるということ。

これ、この間話題になったこの話と矛盾していますよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一応、中央社会保険医療協議会で花粉症への適応は了承されたものの、

製薬会社側から承認をひとまず留保したい、との申し出があり、

今シーズンの保険適応はない見通しですが、

現時点でスギ花粉症にこの薬は無いだろう、という印象です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もともと、喘息では重症例に限って適応になっていて、

実際に使われている製剤ではありますが、

喘息では死んじゃう人もいる一方、

スギ花粉症の重症例ったってたかが知れてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中央社会保険医療協議会のガイドラインでは、

「厳密な」施設、患者、管理の適応基準が定められていましたが、

ざっと見た限りでは、それほど「厳密」には見えませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそも患者基準のスギRASTスコアがクラス3以上、なんて。

IgE値はクラス0~6までに分類されますが、

当院で検査したスギ花粉症患者さんのざっと9割が、

クラス3以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 過去にスギ花粉抗原の除去と回避を行った上で、

医療機関で「鼻アレルギー診療ガイドライン」に基づき、

鼻噴霧用ステロイド薬・ケミカルメディエーター受容体拮抗薬による治療を受けたものの、

コントロール不十分な鼻症状が1週間以上持続したことが診療録、問診等で確認できる、

なんて基準がありますが、

スギ花粉抗原の除去と回避が十分なされれたなら、

重症化することは絶対にありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、このクスリ、大金持ちが自費で使うのはけっこうだが、

保険適応にして庶民に負担を求めることはありえないでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.06.12

犯人は副鼻腔に

 一ケ月前からセキが止まらない40代男性。

内科で加療するも改善せず。

タバコを20本も吸うので、その影響もあるかと思ったが、

ハナの奥を見てみると、

 

 これは、ハナの突き当り、上咽頭から喉の方を覗いた構図。

画面中央左から右に見える白い線は、後鼻漏です。

つまり、ハナから喉の方へ膿が流れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さらに上にたどるとその白い線は上の方へつながっていて、

副鼻腔から流れているのがわかります。

だが、鼻腔には鼻汁はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レントゲンを撮るとこんな感じ。

右側が真っ白、右上顎洞炎、いわゆる蓄膿症です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この方のセキの原因は、花粉症に続発した副鼻腔炎。

注意するべきは、花粉症のシーズンは終わっていて、

鼻汁も出ないし、ハナのつまりもなく

本人からはまったく鼻症状の訴えが無いこと。

以前も「セキはどこから」で書きましたが

内科でこれを診断するのはかなり難しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この方は60代の女性、風邪のあとから声がれが続くことで受診。

この方も内科で加療。

喉の奥を見ると、膿性のタンがイッパイ。

声帯も真っ赤に腫れています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、そのタンをたどっていくと、やはりハナから落ちてきている。

レントゲンを撮ったら、こんな感じ。

左上顎洞は膿がたまって真っ白、

右側も粘膜肥厚を認めます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 診断は、副鼻腔炎による喉頭炎。

この方も、鼻症状は何にもないので、ハナが原因とは夢にも思わず、

診断をきいてビックリされていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 口に入ったものは食道に行く、

ハナから来たものは気管に流れる、

なので、セキや、声がれなどの症状の原因が副鼻腔にあることは、

大人子供を問わずたいへん多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 特に、花粉症のあとのこの時期は、毎日毎日こんな感じ。

花粉症の置き土産、といった感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 多くは抗生剤等の治療で良くなりますが、

難治性の場合はハナから針をさして洗浄する「シュミット」が必要な場合も。

診断までが長引くとそのようなこともしばしばあるので、

ご注意ください。

 

 

 

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2019.05.17

耳鼻咽喉科領域の内服薬と食事:その2

今回は、空腹時に飲むクスリ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳鼻咽喉科領域ではこのような飲み方をする薬は

今まであまりありませんでしたが、

ここ最近、アレルギー性鼻炎、花粉症のクスリで

このような飲み方を指示されるものがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抗ヒスタミン剤の「ビラノア」と「ディレグラ」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらは、食後に飲むと

血中濃度が十分に上がらないことがわかっていますので

食前1時間、食後2時間は内服を避けるように指示されます。

ただし、要するに効きが弱くなるだけで、

何か有害事象が発生するわけではありません。

なので、クスリ飲んだら1時間は何も食べちゃダメ、といことではありません。

忘れちゃうくらなら飲んじゃった方がいいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビラノアに関しては、まったくそうなのですが

ディレグラに関しては、ちょっと複雑な面があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディレグラは、そもそもディレグラ配合錠といい、

「抗ヒスタミン剤」と「プソイドエフェドリン」の合剤です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「抗ヒスタミン剤」は、鼻炎症状のうち

主に「ハナミズ、クシャミを押さえる」作用のクスリで、

「ディレグラ」では成分的にはフェキソフェナジンという

「アレグラ」と同じ成分が使われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「プソイドエフェドリン」は血管収縮剤で、

鼻炎症状のうち「鼻づまり」を改善させる作用があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この「ディレグラ」は食事の影響を受けやすく、

食事の前後に服用すると、クスリの血中濃度が上がりにくい、

つまり作用が減弱することが実証されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところが、血中濃度が上がりにくいのは「抗ヒスタミン剤」の方で、

「血管収縮剤」の方は食事の影響を受けない、

ということもわかっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここが、不思議なところで、

「アレグラ」は服用に食事のしばりがありません。

「プソイドエフェドリン」との合剤になったとたん、

「アレグラ」の方だけ血中濃度が上がらない、

ということになるのだそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は、アレグラは外国人のデータで高脂肪食後の服用で

血中濃度が15%程度低下というのがあります。

15%くらいならいいか、ということで

服用に食事のしばりがなかったようですが、

合剤になると日本人のデータで60~80%低下しちゃうみたいで

さすがに空腹時投与の記載になったようです。

だから、ホントはアレグラも空腹時のほうが効きが良いと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話を戻しますと、

つまり「ディレグラ」を食事の前後に飲むと、

「ハナミズ、クシャミ」の症状は緩和されにくくなるが、

「鼻づまり」には効く、ということが期待されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ディレグラ」を処方される患者さんは、

主として「鼻閉型」のアレルギー性鼻炎の方が多いと思われますので、

空腹時に飲みそこなってしまったら、

とりあえず、食前、食後に飲んでしまって構わないと思います。

もちろん毎回ではクスリの効果が十分発揮されませんが、

忘れちゃったときは飲んだ方がいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 医者や薬剤師さんに言われたことを律義に守って、

ディレグラ半分近く残っちゃいました、

なんて方がいらっしゃるので、

このことは覚えておいていいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クスリだけではなく、医療の「ダメ」は

「なぜダメなのか?」「どうダメなのか?」

ということは知っておくとトクです。

 

 

 

 

 

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2019.04.24

病院は通うところ?

 そもそもお医者さんというものは、

患者さんの病気を治したい、というところから始まっている。

なので、受診した患者さんが、どうしたら最も早く良くなるだろう、とか、

どうしたら日常生活に支障なく過ごせるだろう、

と考えるものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、言い換えれば、

どうしたら、早く病院に来なくてすむようになるだろう、とか、

どうしたら、受診する回数を減らせるだろう、

ということでもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、なるべく有効な治療を行い、来院日数を減らせるようにしていますし、

例えば、花粉症の方などは、シーズンの前に来ていただければ、

1回の来院で済むように、長期間の処方と生活指導をしています。

花粉症で鼻処置やネブライザーのために通院する意味はありませんから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところが、中にはそうでもないお医者さんもいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 延々と患者さんを通院させるお医者さんを時折見かけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 慢性副鼻腔炎に漫然とマクロライドを年余にわたって投与し、

毎週通院させてるような病院。

マクロライドの効果は3か月がめやすですから、

それでも改善しなければ、上顎洞穿刺をするべきでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 乳幼児の鼻づまりに1日2回も連日吸入のために通院させる小児科。

アオッパナでいっぱいの赤ちゃんに吸入させても、

顔にクスリがかかるだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こういったことを見かけると、医者として

なんとも言えない、ムナシイ気持ちになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風邪ひいて熱があるヒトにやたら抗生剤を出す医者も困るけど

それはその先生に、知識や技量が無いだけで、

本人は患者さんのためになると思っているので、まだマシだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何かの話の中で

「再診料が大事なんだよなあ」

「そんなことしたら、すぐ治って来なくなっちゃうじゃん」

などという、ことを言った開業医の先生もいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、以前、病院に勤めていたとき、

ある、開業医の先生の代診に行った事があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのときの、連絡事項の中に、

「検診シーズンなので、学校検診の紙を持ってくる子がいますが、

たいしたことがなくても少し通わせてください。」

という一文があり、びっくりしたのを思い出しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、学校検診のシーズンになりますね。

 

 

 

 

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2019.04.04

ためしてガッテンの花粉症SP

 昨日のNHKの「ためしてガッテン」では花粉症のお話を放送。

職業がら、こういうのはチェックしていないと、

患者さんの問い合わせが多いので。

内容はコチラ。

今、ツラいあなたに!保存版 新発想の花粉症対策SP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネタは「鼻の入口部にワセリンを塗る」という方法でした。

これは、別段新しい治療法ではありませんが、

今回、花粉曝露室を使って、検証していたところが良かったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たしかに効果はあると思いますし、

これまでの「ガッテン」の「新治療」の中では、

インパクトも少ないかわりに、

それはねーだろ、というようなガセネタではありませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 曝露室の実験では、ワタシがこれまで考えていた以上に効果があるようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 簡単な方法なので、従来の治療の上乗せとして、

併用されることは耳鼻科医としても推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただし、マスクや薬など、他の花粉対策が必要なくなるわけではありませんので

くれぐれも過信されませんように。

出演された先生が、鼻に塗れば目にも効く、というのはいささかマユツバです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても、このネタ一個で、よく45分間も番組引っ張りますねー。

多分、ポイントだけ伝えるなら2,3分で十分ですね。

うっかりナマで見てしまったが、録画して早送りで見ればよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.03.26

アレルギー検査陰性のアレルギー性鼻炎 その③局所アレルギー性鼻炎

 

 またまた続きです。

さて、第3の病態は、というと「局所アレルギー性鼻炎」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これも新しい概念です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近年海外において、

アレルギー性鼻炎症状を呈す人の中に血液中IgEは陰性だが、

鼻汁中のIgE交代が陽性である症例が、

草木アレルギーやダニのアレルギーにおいて報告され、

「局所アレルギー性鼻炎(Local Allegic Rhinitis:LAR)」

と呼ばれるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これはまだよくわかっていないことが多く、

局所のIgE抗体陽性のヒトがいずれは血中IgEも陽性になるのか、

はたまた別物なのかは突き止められていません。

ブタクサやダニアレルギーにあるのなら

スギ花粉症にもあるだろうと考えるのが妥当です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそも、鼻汁中のIgE測定は現行では保険適応に無く、

検査法自体も確立していません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現時点でできることはアレルギー誘発テストです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、鼻粘膜にアレルギーの原因物質(アレルゲン)をしみこませた小ディスクと、

しみこませていない対照ディスクを置いてみてアレルギー反応の出方を調べるものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシが大学病院でアレルギーの専門外来をやっていたときには

ルーチンで行っていた検査ではありますが、

日常の外来でやるにはなかなか手間と時間がかかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそもダニとブタクサなどは市販の検査ディスクあるのですが、

スギに関しては検査用のディスクが市販されていません。

ワタシが大学病院のときは対照ディスクに

皮内反応用の注射液をしみこませて代用していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつてはLARの概念がありませんでしたから、

先に皮内反応か血液検査で陽性になったヒトに誘発テストを行っていたので、

それらの検査で陰性で誘発テスト陽性の患者さんを経験したことはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今後、この病態についての解明が進むでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このLocal Allegic RhinitisはLARと略されるのですが、

「エル・エイ・アール」ではなく「ラ―」と発音する先生もいるようで、

学会で聴いたときはじめ何のことかワカリマセンでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時思い浮かんだのが、昔々のテレビ番組「宇宙猿人ゴリ」。

ハリウッド映画「猿の惑星」の大ヒットに便乗して日本で作られた子供向けの特撮番組。

地球を侵略する宇宙猿人「ゴリ」の手下の名前は「ラ―」

 

「ゴリ」と「ラー」で、「ゴリラ」かよ、と子供心にもあきれるネーミングセンスでした。

 

 さて、これで3回にわたった

「アレルギー検査陰性のアレルギー性鼻炎」のお話は終わりです。

それでは、最後にお聞きください。(*^^*)

あー、ナツカシイ。

局所アレルギー性鼻炎のことを考えると、この歌が頭に流れるようになりますよ。

 

 

 

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2019.03.25

アレルギー検査陰性のアレルギー性鼻炎 その②好酸球性鼻炎

 前回からの続きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、以前はIgE陰性ならみんな「血管運動性鼻炎」で良かったのですが、

最近はそうでもなくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのひとつが「好酸球性鼻副鼻腔炎」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アレルギーは体を守る仕組みである「免疫」が、

体に有害な作用として働いてしまう一種の免疫の暴走です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 免疫には抗体を介する「液性免疫」のほかに

好中球やリンパ球などの白血球を介する「細胞性免疫」があります。

好酸球は白血球の種類のひとつで「好酸球性鼻副鼻腔炎」は

細胞性免疫の暴走、といってもいいかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 好酸球性副鼻腔炎は先ごろ厚労省指定の難病に指定されましたが、

その概念は新しく、ガイドラインがやっと整備されたばかりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 細かい診断基準は割愛しますが、

IgE抗体陰性で血液中の好酸球が増多している人の中にはこのタイプの鼻炎があります。

喘息、とくにアスピリン喘息や

鼻茸を合併している人は可能性が高くなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 治療上の大きな問題は、普通のタイプのアレルギー薬が効きにくく、

ステロイドが著効する、という点です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、このタイプの患者さんで一定以上の症状の方は、

まずステロイドから治療をはじめないとまったくよくなりません。

漫然と対症療法をするのではなく、計画的に治療を進める必要があります。

自称花粉症の方の中にもときどきこの病態の方がいらっしゃいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、さらに第3の病態があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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