ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

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2011.01.16

杉の原ふりさけ見れば


 さあ、今年も「花粉和歌集」の季節が、やって来たぞ。
一緒に楽しくお勉強しましょう。
(過去の和歌を参照したい方は、右のカテゴリの欄から「花粉症」をクリックしてね。)
 杉の原 ふりさけ見れば上越の 山のスギの木真っ黄色かも
【解釈】杉の原にスキーに行った時、ふと仰ぎ見ると、新潟群馬の山々のスギの木は
    花粉がびっしりでまっキイロであったなあ
【解説】作者が妙高杉の原にスキーに行った折、ふとバスの中から周りの山々を仰ぎ見ると
    山々に生えているスギの木はどれも花粉をつけて真っ黄色である。
    今はまだ飛んでないが、今後に大変な季節がやってくるなあ、という
    作者の悲嘆にくれた気持ちが表現されている。
    「ふりさけ」の「さけ」は離れたものを表す。
    用例)ふりさけ見れば⇒遥かに仰ぎ見れば
        朝さけ飲めば⇒迎え酒
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 先週、スキーに行った折、バスの窓からふと外を見ると
山々のスギの木が黄色~オレンジ色なのにビックリ。
 花粉量は前年の夏の気温、日照で決まることは、
最近ほぼ明らかなので、
猛暑だった昨年夏を考えると、
今シーズンの花粉の大量飛散はほぼ確約されている。
 それにしても、目の当たりにしちゃうと
やっぱりビビるなあ。
 幸い、その辺の注意はマスコミでも流布されているようで、
今の時期来院される患者さんは
皆さんご存じだし、
特に今年はレーザー手術の予約が多い。
 まあ、この時期に来院してシーズン分
2カ月、3カ月の薬をまとめて持ってく患者さんや
シーズン前にレーザーやっておこうなんて患者さんは
治療に対する意識が積極的でいいんだけど。
 問題は3月中旬過ぎに来院される
「不注意な」あるいは「ナメていた」花粉症患者さんたちなんだよなあ。
 市販薬でごまかしていたり、
内科あたりでテキトーに薬もらっていたヒトたちが
その頃に、スゴイ状態になっちゃって
「何とかして」と駆け込んでくるパターンが、
今年は多いんだろうなあ。
 皆さん、周りに声かけあって
十分な準備をしてくださいね。
 こっちも気合入れねば。
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2010.12.15

「タミフル」様のおかげです


 
 突然の急病で各方面にご迷惑をおかけしましたが、
もう大丈夫、完全復活です。
 しかし、体調は回復したものの体力は落ちていて、
今朝の犬の散歩は息切れしたっす。
 さて、今年からインフルエンザの薬は3種類あります。
おなじみ内服薬「タミフル」と吸入の「リレンザ」の他、
一回の吸入で済むという「イナビル」がある。
(厳密には注射用点滴製剤を入れて4種類だが、
これは通常入院患者さんしか使わんだろうから。)
 妻に検査を依頼し、持ってきてくれたのは
おなじみ「タミフル」でした。
「すぐ反応出て、看護婦さんもびーっくりするくらい濃かったわよー。」
 通常迅速検査での反応時間と反応の強さは
ウイルス量に比例すると考えられるので、
相当「濃く」インフルエンザに冒されたと考えられるわけだ。
 もちろん症状も強く、発熱も月曜、朝の38℃から、
38.4℃⇒39.0℃⇒39.3℃と1時間単位で上昇し、
お昼にはついに39.5℃まで上昇。
 しかし、これは40℃までいっちゃうのでは、
と思ったあと、午後3時ころから、急激な発汗が始まり、
今度は1時間ごとにパジャマがびしょびしょになって、
着替えを繰り返す。
(その数10回以上!)
 とともに、どんどん体が楽になり、
熱も38℃台後半から前半へと下がってゆく。
 夜風呂入って、ケンチキのチキンポットパイ食べて寝たら、
その晩はほとんど起きずに翌朝は平熱に下がっていた。
 翌朝、妻が
「あー、やっぱり、新型はタミフル効くわねえ。」
 そうなのだ、忘れてたけど2シーズン前にやはりインフルエンザになった時、
「タミフル」飲むも一向に熱が下がらず、大変な思いをしたのだった。
クリックして参照してください⇒「2009年インフルエンザ闘病記
 あの時は今思えば、旧型である「Aソ連型」の最後っ屁。
ばりばりタミフル耐性だったが、
今回の「パンデミック2009」いわゆる「新型インフルエンザ」は、
若くて勢いはあるが、まだまだ「タミフル様」にはかなわないのだ。
 しかも、これ読むと前回は39℃は超えてないみたいだし、
今回の方が感染としてはむしろ強かったのかも知れぬ。
 今回も、タミフル以外には抗生剤や風邪薬はもちろん、
解熱剤も一切使ってないから、
「タミフル」効いたんだなあ。
 タミフル開始して、半日くらいで効いてきて、
24時間たらずで解熱してるわけだ。
 ・・・待てよ、ウチの奥さん、
ひょっとしてそれ確認したくてオレに「タミフル」持ってきたのか?
 何で、一番新しい「イナビル」持ってこないか、ちょっと気になってたが、
熱も高いので、あれこれ質問する気にもならず
とりあえず飲んでたけど・・・・。
 実験だったのかっ。
 そんなわけで、みなさーん、
今年のインフルエンザは、前のソ連型の時タミフルが効かなかったヒトでも、
ちゃーんとタミフルが効くことが実証されましたのでご安心を。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 あー、これ見ると、前回のブログにも
今後は摂生して、マスクして、なんて書いてるなあ。
 やっぱ、オレゃあ、ダメ医者だなあ。
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2010.12.02

オラペネム耐性インフルエンザ菌

 ついに出た、といってもあまりありがたくないものが出た。
 オラペネム耐性のインフルエンザ菌である。
 6か月の赤ちゃん、急性中耳炎で鼓膜切開したが、
耳だれが止まらず、培養結果出る前だったが、
抗生剤をメイアクトからオラペネムに変更。
 しかし、それでも一向に良くならず、
昨日菌検査の報告が来て上記が判明。
 感受性を見て抗生剤をオゼックスに変更して、
本日はかなり良くなっていた。
 やれやれ。
 MRSAやアシネトバクターでは耐性菌でもどうってことないが、
インフルエンザ菌は、困るなあ。
 あ、誤解ないように。
 インフルエンザじゃないよ。
 よくわかんないヒトは私の過去の記事
インフルエンザではありません」←クリックして参照してください。
 そもそもオラペネム、オゼックスは
近年の乳幼児の中耳炎の難治化に問題を感じた学会側が、
メーカーに働きかけて「出してもらった」新しい抗生剤である。
 メイアクト、フロモックス以降、長年にわたり抗生剤の新薬が出ず、
小児科医、耳鼻科医の抗生剤の乱用、
必要ない病態に対しての垂れ流し的使用によって
巷にはすっかり耐性菌が蔓延し、
幼小児の中耳炎の難治化が耳鼻科医の間で問題になっていた。
 そこで現れたこの2剤は、メーカー側もお医者さんに
「なるべく使わないでくださいね。」
という売り方をする珍しい薬なのだ。
 当院でも症例を限ってなるべく使わないようにしてるのだが、
早くも耐性菌が出てしまっているとは。
 しかし、どんな抗生剤にも耐性菌は存在し、
それは、薬ができる前からあるというが。
(この辺の話、難しいけど面白いのであとでこのブログで解説しますね。)
 ともかく、これからますます気をつけて行かないと。
 しかし、インフルエンザ菌も生き残りをかけて必死なのだなあ。
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9件のコメント
2010.11.28

またまた、医者の不養生です。


 先週末広島の安いホテルのエアコンでのどを痛め、
風邪気味のところに
 水曜日は寒風の中でフットサルをし、
 翌日は、真夜中近くまでライブ前のバンド練習があり、
すっかり声がガラガラででなくなっちゃったところに、
 昨夜は飲み会で、紹興酒とバーボンをしこたま飲んだうえ、
夜2時過ぎまでカラオケまで歌っちゃったので、
もう、全然声が出ない。
 おまけに今週は患者さんもかなり多く、
説明や指導で、ほぼずっとしゃべり通しなので始末が悪い。
 耳鼻科医としては、のどを痛めた患者さんには、
そんなことは一つでもやっちゃイカンと、いつも言ってることを
すべてフルコースで自分でやってるんだから、
医者の不養生もここに極まれり、といったところだ。
 特にキツイのが、長く説明を要する新患。
 花粉症、インフルエンザなどは、相当時間を割いてしゃべるが
幸いまだ今の時期は少ない。
 しかし、溶連菌感染症がここんとこ多く、
これが出ると、
細菌とウイルスの違いから始まって、
学校伝染病の分類、治療方針、合併症・続発症状の説明
感染経路と予防の方法等々、説明に時間とパワーを要する。
 だが、それよりも最も大変なのは「禁煙外来の初診」だ。
 ブリンクマン指数の意味から始まり、
タバコのもたらす疾患を、各種がん、循環障害、脳血管障害、COPDと説明し、
女性にはスモーカーズフェイスの説明をする。
(これは結構効く)
 続いて主流煙・副流煙の話、受動喫煙の話、
公共交通機関やレストランでの禁煙の話をし、
禁煙による金銭的メリットの話をする。
 治療の話に移り、ニコチンパッチと内服薬の
メカニズムを説明し、
それぞれの長所・短所、治療期間、かかる金額を説明し、患者さんに選んでもらう。
(ただし、現時点でニコチンパッチの方が在庫切れで内服薬のみなので、
この部分がカットでき、昨日は助かった。)
 そして、おもむろに器械を取りだし、
患者さんにその場で呼気中の一酸化炭素濃度を測ってもらう。
 そして、一酸化炭素って知ってますかアンタ、
練炭自殺の死因だよ、
そんな怖い物質が息からこんなに出てんですぞ、
と脅しをかけ、
 だから絶対、禁煙頑張りましょうね、
でも、こういうことで失敗する人がいるからといって、
飲み会や職場、家族の喫煙者に対する注意など、
回避すべき危険なシチュエーションを指導する。
 で、最後にそら、ゼッタイあなたうまくいきますって、
タバコやめると楽ですよー
と目一杯励ますわけだ。
 脅したり、賺(すか)したり、
かなり早口でしゃべっても20分近くかかるのだ。
 はっきりいって、かなり効率の悪い診療なのだが、
少ししてから
「おかげさまでタバコやめられました、」
という患者さんが来られると、
それはそれはウレシイものなのです。
 疲れも吹っ飛びます。
 なんか、ヒト一人の命を救ったぞ、みたいな充実感があります、
 だから、昨日、私の喉を「犠牲」にして説明した患者さん、
何とか禁煙に成功してくれるといいんだがなあ。
 んで、今晩また、別のバンド(しかもハード・ロックの!)の
練習があるんだが、・・・・困った!
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2010.11.10

注射ギライ


 毎日毎日インフルエンザの予防接種をしている。
 今年はどうなるかわからないが、
北海道と沖縄では始まって来ているようだ。
 さて、予防接種、泣く子、泣かない子、いろいろだが、
泣かない子の方が多いようだ。
 昔々、自分が子供の頃、注射は大キライだったなあ。
(今でも、するのもされるのもキライだけど。)
 昔は集団接種が多く、
学校の体育館や保健室でした記憶が多い。
 体育館かなんかで、問診票を先生に渡して、
「はい、いいよ。」
と言われると、注射の列に並ぶ。
 2人の先生で注射をしてることが多かった。
 すると、ナゼカ2つの列の長さに差ができるのだ。
 子供的にはあらゆる情報源を駆使して
「少しでも痛くない方に」並びたい。
 その情報とは、
先生の年齢だったり、風貌だったりもあるのだが、
何といっても参考になるのは
先に注射を打った子供の反応だ。
「うう、イッテー。」
という奴もいるし
「ぜーんぜーん、いたくなーい。」
などと声高にアピールする奴もいる。
 しかし、もちろん、そのセリフは
額面通りに受け取れない ことくらい、
子供でも分かっている。
 アイツは、大げさだとか、
あとの者をビビらせようとしてるとか、
ホントはすっごく痛かったのだが、
あとのやつにもこの痛い方の先生に受けさせようと罠をはるやつとか・・・・。
 ともかく小学生が算数や国語の授業で使うよりは、
はるかの多くの脳細胞を動員して、究極の決断を下すのだ。
 すると、同じような思考回路を経て選択をした子供たちによって、
列の長さに差が出る。
 そして、自分の列の前の子の反応と、
隣りの列の子の注射後の反応を観て、
うん、これでナントカ乗り切れるだろう、
とひそかな期待をいだくのだ。
 と、そんな時、
「はーい、こっちすいてるから、君から後ろは、
こっちの列に移りましょう。」

などという先生の気まぐれなひと声によって、
綿密な計算に基づいた計画は、
はかなくも瓦解するのであった。
 それで、予想の何倍も痛い注射 を打たれ、
ああ、ちくしょー、あっちの列だったはずなのにー、
などという 無念の涙 をのんだことがある子供は
私だけではあるまい。
 そんなことを思い出しながら、
毎日毎日、どうやったら痛くなく打てるだろうと考えながら、
あれこれ工夫して、注射を打っている。
 だから、小さい子が泣かなかったり、
幼稚園児に「あれ、全然痛くなかった。」などと言われると、
注射ギライの私としては、実はすっごく、ウレシイのだ。
 ウチも2人のセンセイが打ってるけど、
たまに、女の先生の方がいい、なんていう子もいるんだよなあ。
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2件のコメント
2010.11.02

亀井教授の言葉


 先日は、恩師である群馬大学耳鼻咽喉科の亀井元教授の葬儀に行ってきました。
 受付時間の短縮などで患者様には大変ご迷惑をおかけしました。
 亀井先生が教授になられたのは昭和59年。
 私の入局が昭和60年なので、まさに教授就任後初の入局者、
妻の入局が昭和61年ですから、
まあ2人とも「亀井チルドレン」なんて言い方もあるかもしれません。
 亀井先生のことを一言で評すと「ジェントルマン」だったと思います。
 非常に温厚な人柄で、我々医局員に対しても、
丁寧な言葉遣いで、決して「呼び捨て」などにはしませんでした。
「小倉さん、これ、どう思いますか。」
「小倉先生、この文献まとめておいてください。」
 などと言った物言いで、
教室員を呼び捨てにして怒鳴りつける教授も中にはいますが、
全くそういうことはありませんでした。
 一緒に手術に入ると、手術室の看護婦さんにも
「ぺアンを取っていただけますか。」
などと敬語を使い、器械を受け取ると
「サンキュー」
と答えるのが常でした。
 妻が耳鼻科に入ったのも、
入局説明会で、教室員と教授がフランクに話してるのを見て決めた、
と言ってました。
 妻と知り合ったのは彼女の入局後ですから、
間接的に、亀井先生のおかげで結婚できた、といえなくもありません。
 亀井先生の言葉の中に常に私が大事にしてる言葉があります。
 まだ私が独身時代の若いころ、ある患者さんの受け持ちになりました。
 その方は、まだ30代半ばの女性の方だったのですが、
舌がんだったのです。
 治療方針を決めねばなりません。
 手術、放射線、抗がん剤、しかもそれらも様々な術式、薬の種類があります。
 何が最適なのか。
 その時、教授回診で先生が私に言った言葉は次のようなものでした。
「小倉さん、この患者さんをあなたのお姉さんだと思って治療してください。」
 そうです。
 この言葉で治療方針に対する迷いがなくなりました。
 それ以後、現在でも患者さんを診るたびに、
その人が
自分の親だったら、恋人、妻だったら、我が子だったら、はたまた自分だったら、
どんな治療を行うか。
 そう考えると答えはおのずと出ます。
 今でも、毎日、事あるごとにこの言葉に帰り、
また、患者さんに手術など勧める場合でも
「いや、もしうちの子だったら、これは切開しますよ。」
などと説明します。
 まあ、私が医者やっていく上での「座右の銘」っていうとカッコよすぎですが、
指針、道しるべみたいなものになってますね。
 
 亀井先生にとっては
私は全く「不肖の弟子」であったわけで、
その点ではまことにお恥ずかしいかぎりですが、
こうして医者をやっていく上で大変お世話になったと思っています。
 先生のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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1件のコメント
2010.10.26

耳管開放症の治療

 さて、途中に緊急連絡が入ってしまいましたが、
耳管開放症の話をするんでした。
 治療ですが、これが、かなり難しい。
 そりゃ、そうだ、
中島美嘉さんがツアーをキャンセルするくらいですから。
 簡単に治るものなら、とっくに治してるわけだ。
 病態としては耳管が開いちゃってるわけなので、
それを閉じればいいのだが、
耳管は、開きっぱなしでもダメだが閉じたきりでも困るのだ。
 今度は耳管狭窄症から滲出性中耳炎を起こしてしまう。
 現在よく使われているのが
漢方薬の「加味帰脾湯」だ。
 そもそも、耳管開放症の原因として、
急激な体重減少による場合が多い。
 極端なダイエット等で、組織のヤセが生じると、
耳管が閉じなくなることがあるのだ。
 この加味帰脾湯による、耳管周囲の血流増加作用によって、
組織をむくませ、開きっぱなしを軽減しようというものだ。
 有効性を示す文献もいくつか出ており、
漢方薬内服という、簡便さもあって、広く行われている。
 当院でも処方例は多いが、まあ、中等症異常には難しいですね。
 その他に、鼓膜の響きを抑える意味で、
鼓膜にテープを貼ったり、チューブを入れることもあります。
 軽度の伝音性難聴があると耳管開放症の症状が軽減するという説もあります。
 そして、物理的に耳管開口を塞いじゃう方法として、
生理食塩水の点鼻も用います。
 鼻の穴から水を垂らして耳管に流れ込むようにしてあげる。
 効果は一過性ですが、連続使用によって改善、という報告もある。
 通気管を用いて鼻腔から耳管に薬剤を注入する方法も試しましたが、
あまり効果ありません。
 耳管開放症のポイントは中耳に近い側での耳管の最も細いところが、
開いてるせいなので、鼻の方からいろいろやっても効果が少ない、
と、この間学会で聴いて来ました。
 と、以上は当院の外来でも行ってるいろんなですが、
うまく行く人もいれば、そうでないヒトもいる、という感じです。
 なかなか決め手になる治療が無いのが現状なのです。
 この他に今のところ、かなり効果のある療法として「耳管ピン」があります。
 中耳からシリコン製の「ピン」を耳管に挿入し、
開放している耳管を充填する、というものです。
 ここまでの治療は外来でも行えますが、
「耳管ピン」となると、病院、それも国内でも数か所の限られた施設でのみしかできません。
 まだ、手技が確立しておらず、発展途上の手術ですが、
最近の「改良型耳管ピン」は成績もいいようです。
 耳管開放症は悩んでいる方が多く、このようなホームページもあります。
耳管開放症情報交換の場」(←クリック)
(このサイトのリンクに当院も載ってます。)
 この病気の解決法が早く確立するといいです。
 私も、日々あれこれ悩んで考えてるのですが。
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4件のコメント
2010.10.24

耳管開放症の中島美嘉さん

 中島美嘉さん、耳管開放症で公演中止。
 一昨日のスポーツ新聞の見出しに載ってましたなあ。
 おおお、と思ったのですが。
 先日、薬剤師会で講演した時に、
めまい、耳鳴りの話だったので、
「突発性難聴だった浜崎あゆみさん」
「メニエール病だった相田翔子さん」
「真珠腫性中耳炎だったコロッケさん」
の話題を交えて話したのだったが、
中島さん、耳管開放症だったのかあ。
 といっても、実はワタシ、中島美嘉さんをよく知らず、
その新聞の記事を読んで、ははあ、あの人かな、と思ったくらいで、
名前は知ってるけど、すぐ曲は浮かばない。
いや、聴けば絶対知ってると思いますけど。
 ところで、気になったのは、そのスポーツ新聞に
「耳管開放症とは」
と、解説を書いていたどっかの耳鼻科の先生の話。
 話を聞いた記者がダメだったかのかもしらんが、
この先生、よく耳管開放症のことわかってないのでは、
というような内容だった。
 実はこの「耳管開放症」なかなか難しい。
 そもそも、きちんとした系統疾患として認識されてきたのは、
ごく最近のことなのだ。
 それまでは「耳管狭窄症」は多いが「耳管開放症」はまれ、
などとかたづけられ、あまり重視されなかった。
 最近の研究で実はかなり多いこと、そしていろいろな病態があることがわかって来た。
 耳管というのは中耳と鼻腔をつないでいる管で、
中耳と外気の気圧の調節をしてる。
 山登って、耳がつーんとなった時、アクビすると治るアレだ。
 この管、普段は閉じているのだが、アクビやモノを飲んだり、
口をあけたりする時に随時開いてこまめに圧力調節をしている。
 これが開きっぱなしになっちゃうのが耳管開放症で、
鼻腔と中耳が直結しちゃうので、
自分の声や鼻の呼吸音がびんびん耳に反響しちゃう。
(自分の声が響いて聞こえることを「自声強聴」といいます。
よく「強」を「強調」と間違えることがあるので学生さんは要注意)
 程度が強いと難聴や、場合によってはめまいも起すというものだ。
 そして、耳管開放症のもう一つのタイプとして最近提唱される
「鼻すすり型耳管開放症」というのは、
開放している耳管が、鼻すすりにてロックしてしまい、
一見耳管狭窄症のように見えてしまうため、
誤診されてることが多いのだ。
 私も2,3年前学会に行ってこの話を聞いて、
ああ、あの患者さんは狭窄症じゃなくて開放症だったんだ、
とあとから思い出す例がいくつかあります。
申し訳ない。
その頃は、この病態がわかってなかったから仕方ないといえば仕方ないんだけど。
(そのスポーツ新聞の取材した先生は、まだよく知らないかも?)
 じゃあ、治療はどうするんだ、という話は次回。
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1件のコメント
2010.10.20

心不全の勉強会


 先日、診察終了後、医師会館まで、
久々に内科の研修会に参加してきた。
 まあ、耳鼻科の専門医の単位には関係ないし、
自由参加だが、開業医やってる以上、
内科の事も少しは知らんといかんと思い、
来年度からは医師会の休日急患も回ってくる関係もあって、
行ってみたわけなのだ。
 内科の研究会も、
喘息や気管支・肺疾患や、めまい、
また、インフルエンザ関係だと日常大いにかかわりがあり、
場合によっては一般内科の先生よりもこっちの方が詳しい分野だったりするわけだが、
この間行ったのはテーマは「心不全」。
 血圧がどうの、なんてヒトまでは来るわけだが、
さすがに心臓が止まりそうな患者さんは耳鼻科には来ないわけで、
いやー、なかなか難しかったです。
 そもそも、略号がちんぷんかんぷん。
 CTRやAVblock、ST上昇位はまあわかるが、
AMI?PND?
 しかし、これらは、英語で、
「Acute Myocardinal Infarction」
「Paroxysmal Nocturnal Dyspnea」
などと、ちゃんといってくれれば
ああ「急性心筋梗塞」「発作性夜間呼吸困難」のことかとわかる。
 しかし、NIPPVが「非侵襲的陽圧呼吸」だとか、
BNPが「脳性ナトリウム利尿ペプチド」といわれても、
まず、ピンとこない。
 前者は人工呼吸器の類だろうとは思う。
 BNPに至っては、全然分かんないので帰って調べたら、
心不全の病態の指標として、頻繁に測定される物質だという。
 発見されたのが1988年で保険適応になったのが1996年という。
 オレが国家試験受けたのが1985年だからなあ。
 すると、今これを知らない医学生、内科医はいないわけだが、
知らない耳鼻科医、眼科医、整形外科医なんてのは多いのでは。
(オレぐらいだったらヤバいなー。)
 さらにシロートでも、心臓病で内科かかってるオジイちゃんなんかは、
当然、知ってるわけなんだろうなあ。
 こうしてみると、
逆に、たまに耳鼻科の研究会なんかに来る内科の先生が
エライ、とんちんかんな質問をして、
我々を唖然とさせることがあるのもよくわかる。
 とりあえず、今回、いかに医者は他科の事に疎いか、
ということを肌で感じてしまったのだ。
 しかし、あそこにいた内科標榜のドクターは、
あの話100%わかってたのかなあ。
内科医もピンキリだが・・・・。
 でもまあ、研修会、学会に参加してない医者はヤバいけど、
ああいうとこに自ら参加する医者は大丈夫なんでしょうね。
 ああ、オレももっと勉強します・・・・。
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2010.10.02

禁煙外来の新聞取材を受けました

 先日、生まれて初めて新聞社の取材を受けた。
 突然、電話がかかって来て、
禁煙外来についての取材をしたいという。
 今まで、いわゆる『広告』で取材の申し入れはあったけど、
そういう怪しいのはみんな断っていた。
参照⇒「CCガールズの誘惑
 しかし、今回は「下野新聞」の正真正銘の取材なのだ。
 お昼休みにやって来たのは、
CCガールズみたいなダイナマイトなお姉さんではなく、
でも、若い、きれいな女性記者さんでした。
(ああ、写真とっときゃよかった。)
 実はワタシ、小学校の「壁新聞」で目覚めてから、
中学時代、サッカー部と掛け持ちで新聞部で学級新聞、学校新聞を作ってたのだ。
 新聞記者、今でもあこがれです。
 2,30分取材を受けて、その記事が
本日の「下野新聞」に載ってます。
 Web版にも載ってますぜ。(⇒クリック「下野新聞」)
 当院が栃木県でも数少ない、
禁煙認定指導医のいる禁煙治療保険認可施設ということで取り上げられたらしい。
 「小倉医師」、だってカッコいいじゃん。
 なんか如何にもマジメなお医者さんみたいで。
(いや、実際、マジメなお医者さんだけど。)
 あ、まてよ。
 マスコミの取材受けたの、前も一回あったぞ。
 大学時代の同級生で、産婦人科に行ったみゆきちゃんが、
皇太子妃雅子さまの出産に当たり主治医になった時に
「FRIDAY」の電話取材を受けたなあ。
 でも、その時には学生時代、私が彼女とは何の色っぽい関係もなかったので、
記事にはならんかったけど。
 下野新聞さん、今度はバンドの方で取材してねー。
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