ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2019.09.02

小児の鼓膜切開

鼓膜切開で、もう一つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鼓膜切開は耳鼻咽喉科医の基本的な手技で、

耳鼻咽喉科医であれば誰でもできなければいけない小手術であるが、

小さい子供さんの鼓膜切開というと

やらない先生も結構いるようだという話です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当ブログを読んで難治性中耳炎のために

遠くから来院される方も珍しくなく、

これは鼓膜切開した方がいいから地元でやってもらいなよ、

というと、居住地の近くで何軒か調べたが、

どこもやってくれない、ということだったりします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当院で行ってるような局所麻酔下の鼓膜チューブ留置は

特殊技術かも知れないが、

耳鼻科の看板上げといて鼓膜切開くらいはしなくてどうする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反復性中耳炎の3歳の子。

ハナの治療続けても、耳管通気をしても耳が治りません。

右の鼓膜は飴色に水がたまり

中央部が陥凹して接着しているのがわかります。

上鼓室の陥凹も高度です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 左の耳です。

こちらも飴色、陥凹あります。

接着はなく陥凹のみ、上鼓室の陥凹も右ほどではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 右耳鼓膜切開後。

鼓膜が透明になり、陥凹していた部分が持ち上がっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 左側切開後。

色は良くなり鼓膜の陥凹もなく、上鼓室の陥凹も改善しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 右切開孔が閉じました。

水はなく、接着はありませんが鼓膜陥凹は始まっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 左側は穴が閉じても良い状態をキープしています。

上鼓室陥凹もなくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まだ治療途中ですが左側はこのままいけそうです。

右側は通気で鼓膜の状態がキープできれば何とかなるでしょうが、

場合によっては再び切開します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このように適切な鼓膜切開によって、

かなりの中耳炎はコントロールできます。

繰り返し切開しても治癒しないお子さんの場合は、

外来でチューブ留置を行います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鼓膜切開を1回もしないで

いきなりチューブ入れるなんてことは、まずありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 治らない中耳炎を延々と通わせたり、

鼓膜切開もしないで総合病院に手術目的で紹介しちゃう耳鼻科の先生、

ちゃんと鼓膜切開をしてあげましょう。

もしくは、親御さんも鼓膜切開について、

主治医に訊いてみるべきです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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