ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.10.14

慢性喉頭炎について

 こんなメールをいただきました。


突然すみません。
そちらの院長先生のブログを拝見しメールしました。
質問があるのですがよろしいでしょうか?
本来ならば、そちらの医院を尋ねて症状を見てもらったほうがいいのでしょうが、
生憎東京在中なもので、そちらに伺うことができませんので、もし可能ならば、
アドバイス頂ければ助かります。
主人が慢性喉頭炎と診断されたのですが、症状を改善するには喉を使わず【?】休ませるしかないと言われたそうです。
ですが、主人は院長先生と同じくバンド活動をしておりまして、しかもボーカル担当なのでなかなか喉を休ませる事ができません。
その旨を診察して頂いた先生にも伝えたようなのですが、逆にムッとされて改善策なども教えてもらえなかったそうです。
一応受診した病院で炎症を抑える薬と吸入薬を処方されてますが、あまり改善も見られません。
主な症状は、声枯れ(これが特に酷く、くしゃみをしただけで声が裏返ってしまい、数日間元にもどりません)、
咳です。
ネットでいろいろ調べたのですが、ボーカル等、日常的に喉を酷使する人へのアドバイス等が出てこなかったので
メールする事に致しました。
やはり、メールなどで返答が不可能であれば、先生のお知り合い等で良い先生が東京の方にいらっしゃれば
紹介(病院名・医師の氏名)だけでも頂けないでしょうか?
ちなみに住まいは東京都足立区です。
主人の唯一の趣味なので、できればいつまでも楽しくバンド活動をさせてあげたいので、相談した次第です。
どうぞ宜しくお願い致します。


 優しい奥さんですねー。
 なるほど、オヤジバンドですかねー。
あ、そーか、ずっと若いってこともありますね。
どんなジャンルをやってるんですかねー。
声かれちゃうんだから、やっぱHR/HMとかパンク・ロックですかねー。
フォークやジャズじゃないですよねー。
 しかし、この相談は日本広しと言えども、私が適任でしょう。
 せっかくですからこの場を借りてお答えしましょう。
 まず第一にご主人の喉頭炎がポリープや結節を伴ってるかどうか、がポイントです。
ポリープはぶよぶよした突起、結節というのはもうちょっと小さく硬く、まあ、タコみたいなもんです。
これがあると、基本的には手術を絡めて治療しないとなかなか良くなりません。
 ただ、その場合「声帯ポリープ」とか「声帯結節」という病名を告げられることが多いので
ここでは、それはないものと考えて話を進めます。
 ポリープなどのない慢性喉頭炎、しかも原因は声帯の酷使、とすれば
これはその先生が言うように「声の安静」が最も重要です。
 風邪などの感染はないわけですから、薬はあまり効きません。
抗生剤は2次感染が強く疑われれば短期間使用しますが、去痰剤、消炎酵素剤などが中心です。
 しかしそれよりむしろ、喘息で用いるステロイドの吸入剤が有効です。
これは、保険上は適応外ですが耳鼻科医は良く使います。
 でも、ここまでは、やってるみたいですねー。
 私も、ロック・ボーカリストとして声枯れには悩んでいますが、やはり安静しかないようです。
最善の治療法、それは・・・
「練習をしないこと!」
 我々のバンドはもともと、練習嫌いの傾向がありますが、特に
「ライブの5日~1週間以内は、絶対練習をしない。」
ということを、堅く守ってます。(別に自慢じゃないが・・・。)
 ご主人が、どんなバンドをやられてるかわかりませんが、
アマチュアで趣味でやられてるわけですから、毎晩ライブ、ということはないでしょう。
練習はなるべくやらず、本番で練習する、っていうスタンスがいいのでは・・・。
 そして、日常生活ではなるべくしゃべらない。
特に大きな声、長い時間の会話は避ける。
(私は、この点、商売柄大変苦労してます。)
 発声法も大事です。
私は正式にボイス・トレーニングを受けたことがありませんが
声帯に頼るような発声をすると、のどに負担をかけやすいです。
お腹から声を出しましょう。
発声法によって、声帯は強くなります。
 もちろん、風邪を引かない、部屋の湿度を保つ(冬場)、マスクの着用など自己管理は基本です。
まさか、タバコは吸ってないですよねー。
大麻吸っても、タバコは吸うな。(いや、大麻ももちろんダメだけど・・・。)
 副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など、鼻の病気があればそれもきちんと治療する。
 何よりも、声がかれたら、休ませる。
戻るまで、待つ。(無理して歌うとポリープが出来ちゃいます。)
調子悪ければ、手抜きをする。
ロバート・プラントなんて、ライブ映像を見ると手抜きばっかりです。
ミック・ジャガーもライブによってはキーを下げたり、高音のとこのメロディーをフェイクで歌ってます。
 曲順を考えたり、キーを半音下げたりしてもらうと、楽になります。
(ギター、ベースは楽だが、キーボードの人はいやな顔するかも・・・)
 生憎、東京に知ってる耳鼻科がいないのですが、これはどこに行っても
そんなにいい治療法があるわけではありません。
無理せず、長く楽しみましょう。
 今度、どこかで一緒に演奏できるといいですねー。
(すっげー、上手かったりして・・・・。)

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