RSウイルスが流行っています
最近幼稚園、保育園で流行しているのが
RSウイルス感染症です。
RSウイルスとはいわゆる「風邪」のウイルスで、
大人にも子供にも主として「セキの風邪」を起こします。
我が国では1歳までに50~70%が感染、
2歳までには100%、国民の全員がかかる病気です。
完全な終生免疫ができないため、
大人でもかかりますが、
感染を繰り返すうちにある程度の免疫ができ
症状が軽くなります。
1歳未満、とくに生後6か月以内に初回感染を起こすと
重症化して、入院加療が必要になることがあります。
それが、今年流行しているのは、
どうも新型コロナウイルスの流行と関係があるらしい。
すなわち昨年来の新型コロナウイルスの感染対策のため、
昨年1歳前後でかかるはずだった子供が
感染をすり抜け、ここにきて感染しやすくなっていると。
すると、それより上の2~6歳の未就学児間でも
当然流行するわけです。
やっぱり感染症は罹るべきときに罹っておいた方が良いのか。
まあ、RSウイルスはクスリもないので、
そのまま対症的に経過を見るだけです。
抗生剤はウイルスには無効ですし、
中耳炎などの予防にはならないうえに、
無駄に耐性菌を増やすだけなので使うべきではありません。
しかもこのウイルスは、
セキや熱などの症状が治まっても
1~4週間は感染力があるため、
完全に隔離することは不可能です。
ときどき保育園から
RSウイルスの検査をしてもらってこいといわれました、
ということで来院される方がいらっしゃいます。
RSウイルスはインフルエンザや溶連菌のような
迅速診断キットがあります。
調べることは可能ですが、
インフルエンザや溶連菌のように
その検査結果によって使うクスリがあるわけではありませんから、
1歳未満の、それも重症例でなければ
検査する意味はありません。
(やれば、儲かるんだが・・・)
保育園に通っているということであれば、他の子のために
1歳未満であれば軽症でも調べる意味はないとはいえませんが、
わかったところで、4週間休め、とはなかなか言えません。
もちろんこの疾患にもともと出席停止の措置はありません。
だから保育園としては、
1歳2歳の子にRSかどうか調べてもらってこい、ではなく
保育園で1歳未満の部屋を隔離し、
上のクラスの子供との接触機会を避け、
スタッフも専任にして手洗い等を徹底する、
という対策の方が求められるものなのです。
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