PFASとは、何か?
朝のニュースを横目で見て、オヤッと思った。
「PFAS」?
このニュースは、これでした。
実は、ワタシがこのニュースに反応したのは、
耳鼻咽喉科医としては「PFAS」は有機フッ素化合物ではなく、
「Pollen Food Allegy Syndrom」のこと、
日本語で言うと「花粉・食物アレルギー症候群」だったからです。
野菜や果物を生で食べた時に
唇・口・喉などにイガイガ感やかゆみ・腫れなどアレルギー症状を引き起こす、
口腔アレルギー症候群(Oral allergy syndorome-OAS)のうち、
花粉に対する感作が原因になるものを
PFASと呼びます。
花粉の表面抗原と、
ある種の野菜、果物の表面のたんぱく質の形が似ているので、
花粉に対する抗体が野菜・果物に対して反応してしまう現象で、
強い花粉症体質を持っている方に
しばしば現れる病気です。
通常、アレルギーは抗原物質が繰り返し体内に入ることで、
身体が反応し、それに対する抗体がつくられるのですが、
この場合は花粉で感作されるので、
仮にその食物を食べたことがなくても
アレルギー反応を起こす可能性があります。
読みは「ピーファス」ですが、
フッ素の方もアナウンサーは「ピーファス」と言ってたから
混乱しそうだ。
ところで、この間の津市での鼻科学会で面白い話を聴きました。
カバノキ科花粉によって引き起こされるPFASの代表的なものに
リンゴアレルギーがありますが、
このアレルゲンの強さがリンゴの品種によって違うそうです。
具体的には、欧州の研究では、
ゴールデンデリシャスは抗原となる Mal d 1 量が多く
ほぼ全ての OAS 患者が症状を示すいっぽう、
サンタナは Mal d 1 量が少なく半数の患者は無症状で食べられるようです。
日本の品種でも同じ研究が行われ
「こうとく」「シナノレッド」のアレルゲン量は
「サンふじ」「サンつがる」に比べて数倍高いことがわかったとのこと。
また、抗原となるMal d 1 量は、
もぎたては少ないが、貯蔵、輸送のストレスにより
同じ個体内でも増加するそうです。
ということは、PFASでリンゴが食べたい人は、
サンつがるのリンゴ狩りでもぎたてを食べれば、
安全に食べられる可能性が高いわけだ。
でも、リンゴ狩りに行って入園料を払って、
リンゴをひと欠け、ふた欠けしか食べない、
ということはあり得ないから、
その作戦はやっぱ、ダメですね。
以上、花粉・食物アレルギーのPFASのお話でした。


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