2024.03.28
暖冬の影響で例年より早く、
1月末あたりから飛散の始まった2024年のスギ花粉。
その後、バレンタインデー前にはすでに本格飛散になったが、
3月になってから、逆に天候不順、低温傾向が続いて、
花粉飛散量はちょっと下火になっています。
サクラの花の開花も全国的に遅れているようで、
これもスギ花粉の指標となります。
外来で毎日診てると分かるのですが、
今年は例年に比べてこの時期重症化している人が少ない。
ただし、来ます、大津波。
天気予報を見ると、この週末から天気が回復し、
気温もぐんと上がる見込み。
スギ花粉の「在庫」はまだかなり残ってると思われるので
ここで「在庫一掃大出血サービス」になる可能性が極めて高い。
加えて、黄砂の大量飛来とヒノキの開花も始まるはず。
スギ花粉症の皆さん、大津波が来ます。
土日は頑丈な建物の中に入って一歩も外へ出ず、
命を守る行動をとってください。
くれぐれも窓を開けて、外の様子を見る、
などということはしないでください。
2024.03.27
花粉症シーズンですが、この時期、
他院で治療していてよくならない、
という方も多く来院されます。
驚くのは花粉症の治療といいながら、
ただ薬を出すだけ、の医療機関が非常に多いこと。
内科や皮膚科などでついでに花粉症の薬をもらってる、
という方はまだしも、
耳鼻咽喉科でも全く検査、指導をしない、という施設もあるようです。
問診は大事です。
職業や、学生さんなどは所属する部活動、スポーツクラブは必ず訊きます。
毎日オフィスで仕事をしてる人と、
昼間中バイクに乗って郵便配達をしてる人では
指導の内容が自ずと変わります。
副鼻腔炎や鼻中隔湾曲症の合併の有無は
耳鼻科でなければ分かりません。
そして当院では、花粉症の患者さん全員に検査をします。
そうでないとその人に合った治療ができません。
まず、抗体検査。
花粉症はスギだけなのか、ヒノキもあるのか。
そして、その体質の強さはどうなのか。
ダニ、ホコリの通年性アレルギーの合併はあるのか。
イヌやネコのペットは飼っているがその影響はどうか。
中には10年来の花粉症といわれながら、
調べて何も反応が出ず、
花粉症ではないことが判明した方も毎年何人かいます。
また、抗原を調べることによって翌年からは、
シーズン前に来院いただき、
あなたはスギだけだから60日分、
あなたはスギ・ヒノキなので90日分、
いついつから飲んでください、というように
患者さんはシーズンに一回来院すればいいことになり、
お互い助かります。
同時に総IgEを測定します。
調べた範囲の抗体が陰性でも、総IgEが高値の場合、
何かしらのアレルギーがあると考えられます。
そして重要なのが血中好酸球です。
アレルギーとはそもそも免疫という体を守るシステムが
体に不利に働くもの。
例えばスギ花粉は体に無害ですが、
これを外敵と誤認して、抗体を作って、
くしゃみで吹き飛ばそう、鼻水で洗い流そう、
鼻詰まりで体への侵入を防ごうとしてるわけです。
体を守る免疫システムは抗体を介する「液性免疫」と、
もうひとつ白血球による「細胞性免疫」があります。
白血球のうち、細菌感染に対応するのは好中球。
ウイルス感染にはリンパ球が中心となって、これらを攻撃します。
ところが、本来は寄生虫担当の好酸球という白血球が、
抗原に対し攻撃を加えることがあります。
好酸球は普通の抗原抗体反応によっても
局所のアレルギー反応にかかわるのですが、
人によっては抗体が一切無いのに
血液中の好酸球だけが増多している例があります。
近年、好酸球整備副鼻腔炎や好酸球性中耳炎の研究が進み、
以前はよくわかってなかった好酸球のふるまいが、
だんだん明らかになってきました。
このような好酸球主導型アレルギーでは、
好酸球が直接抗原を攻撃します。
その際に細胞障害物質を放出して、粘膜にも刺激を加えるので
炎症が起きるのです。
花粉症の治療の中心は第2世代の抗ヒスタミン薬ですが、
これは抗原抗体反応によってマスト細胞から放出された
ヒスタミンが様々な症状を起こすため
これをブロックすることで症状を抑えます。
ところが好酸球によるアレルギー反応は、
必ずしもヒスタミンを介さないので、
スギIgE抗体陰性、好酸球増多の人に
抗ヒスタミン剤をいくら使っても
症状はなかなかよくなりません。
このようなタイプではステロイド剤をうまく使って
好酸球の活性を抑制することによって、
驚くほど症状が改善します。
一口に花粉症といってもそのタイプは様々です。
アレルギーは、まず検査をし、
そのタイプ、メカニズムに応じた治療をしないと
症状はなかなかよくなりません。
患者さんの自己申告で、
花粉症なんです。
あ、そう、じゃあ薬出しとくから飲んでね、
では花粉症の治療はできません。
2024.03.26
子供の急性中耳炎はごくありふれた疾患であり、
毎日何人も診察します。
しかし、15年位前から、耐性菌の増加により、
急に治療困難な疾患になりました。
今までの治療法の見直しが行われ、
2006年に初めて小児急性中耳炎診療ガイドラインが作成されました。
その後も難治性中耳炎は問題が続き、
そのガイドラインは何回も改訂されてきました。
2006年の初版のあと、
その後、2009年、2013年、2018年に改訂版が発表されました。
難治性中耳炎についてワタシがNHKのクローズアップ現代の取材を受け
全国放送されたのは2015年のことでした。
ガイドラインは現在は2018年版が用いられていますが、
今年2024年版が出るそうです。
3年、4年、4年のインターバルで改定されてきましたが、
今回6年ぶりです。
昨年の別府の小児耳鼻咽喉科学会で、
そのプレビューを聴講してきました。
大きな改正点の一つは、
初期において抗菌薬非投与で経過観察するのは一緒ですが、
症状、経過から抗菌薬必要と判断した場合、
最初から常用量ではなく、高用量を投与するようになった点です。
これは従来のガイドライン。
表の真ん中辺「AMPC常用量」が「高用量」になるそうです。
常用量とはクスリの能書きにこの量で使いましょう、
と記載されてる量。
高用量は、そのほぼ倍量を言います。
中等症以上では従来から高用量でした。
ガイドラインというのはあくまでガイドラインであり、
規則や法律ではありません。
実は、当院では以前からAMPC常用量は用いず、
抗菌薬が必要となった場合、最初から高用量を処方していました。
抗菌薬というものは、病原菌があってこそ使用すべきで、
風邪の病原体であるウイルスには無効なので、
風邪であれば抗菌薬は使用すべきではありません。
しかし、急性中耳炎のような細菌感染となれば、
病原菌が皆殺しになるような投与法が必要です。
なので、抗生剤は必要な時には十分量を集中的に、
が使い方のコツです。
生き残った菌がいると耐性化して、
今度は抗生剤が効きにくくなることがあるからです。
それでも子供が熱を出すたびに
抗生剤を常用量、短期間処方するお医者さんの、
まだなんと多いことか。
意味がないばかりでなく、有害な処方です。
耳を診ないのは診れないから仕方がないにしても、
口の中も見ないで抗菌剤を出す医者がいる。
なので、今回の改定は、
まさに我が意を得たり、という内容です。
むろん、以前の細菌検査でAMPC耐性の菌を持っている子供さんに対しては、
最初からそれの菌にあった抗生剤を投与するようにしています。
中耳炎が治癒すると、中耳からは菌はいなくなりますが、
鼻腔には菌が常在してるので、
同じ菌が中耳炎を起こすのが普通です。
抗菌薬の投与については、
その選択理由を毎回説明するようにしています。
しかし、現時点の大問題は、
抗生物質をはじめとした薬剤不足がまだまだ続いていて、
最初から高用量で、などというと、
ますます薬が足りなくなっちゃうかもしれないという点だなあ。
2024.03.25
13歳男子、日曜日昼過ぎから発熱。
最高39.2℃。
ノドがいがらっぽい。
金曜日が終業式で会ったが、
周囲にインフルコロナ、発熱者はない。
その妹、5歳。
兄に続いて月曜日朝から発熱。
現在38.2℃。
鼻水が多い。
保育園に通っているが、
保育園にはインフルエンザ、コロナ、その他発熱者はいない。
となると、2人とも同じ原因だと思うじゃん。
ところが・・・
兄はインフルエンザB型、
妹は新型コロナ。(T_T)
やっぱ調べてみんことにはワカラナイ。
みなし陽性というわけにはいかないのだ。
さて、このお宅、他に兄1人、姉1人いるんですが、
やっぱネツ、出るだろうな。
家庭内の隔離はかなり難しそうだ。
2024.03.24
国家試験のことを書いていたら、
当時のことを思い出した。
大学の卒業学年となると、
一般の大学では卒業論文を書くわけだが、
医学部には卒論はありません。
その代わり卒業試験、卒試、というものがあり、
これが11月ころから年明けまで延々と続きます。
内科、外科、産婦人科、小児科、麻酔科、脳外科、精神科・・・
あらゆる診療科の卒業試験が3,4日程度のインターバルで行われます。
しかも内科だけも第一内科、第二内科、第三内科、内分泌内科、神経内科など
すべての講座の試験があるのです。
これが相当キツイ。
そのすべてにパスしなければ卒業できません。
しかも、落とすと再試験があるのですが、
それが卒試の合間に行われるので、
再試になった学生は借金地獄にハマったように
どんどん苦しくなっていきます。
実は、その期間中、かなりの危機がありました。
卒業試験の最中、仲の良かった同級生のSくんが
ワタシの下宿に段ボールの箱を持ってきました。
「これな、Tから回ってきたんだけど、面白いでー、
オレ、全部読んだからオグラに回すわ。」
段ボールの箱の中にはなんと
横山光輝のコミック「三国志」全60巻!(;゚Д゚)
何なんだ、コレは?
試験勉強の合間に、とちょっと読み始めたら、
これが、面白過ぎる。
全然止まらない。
いや、こんなもの読んでる場合ではない、
勉強しなければ・・・・
と思いつつも、結局全巻読んでしまった・・・(-_-;)
幸いにも卒業試験はすべて一発で通り、
無事乗り切ったわけだが、
いったいあの「三国志」は誰が回したものなのか。
卒試は競争試験ではありませんから、
ライバルを蹴落としても自分が有利になるわけではありません。
そういう意図で回ってきたものではなさそうでした。
非常に面白かったので、
ワタシも別の友人に回してあげました。(・∀・)
何で、こんなのこの時期に、といわれましたが、
彼も全科目パスし、ともに国家試験も合格しめでたく医者になりました。
「三国志」大変面白かったそうです。
ところで、あわただしく読んだので、
漫画の内容、あまりよく覚えてない。
また買っちゃおうかしら。
2024.03.23
2月に函館に行ってシマエナガを見て以降、
ウチの奥さんはバードウォッチングにハマってしまった。
最初は織姫山とかで、スマホで写真を撮っていたようだが、
いつのまにかデッカイ望遠レンズのついたカメラを購入。
散歩の大日様でも野鳥を狙っている。
これでは散歩にならない。
そこで、最近は休日の散歩は別々に行くことになった。
最初は織姫山や渡良瀬河原であったが、
そのうちにネットで情報を集め、
近場の野鳥が見られるというスポットまで
クルマで出かけている。
クルマの運転が何より嫌いな彼女としては、
これはナカナカのこと。
しかも、我が家のオデッセイは昨年故障し、
新車を注文したが、まだ納車されないので、
冷暖房が全く効かないのだ。
しかし、一方的にLINEに送り付けられてくる彼女の写真を見ると、
これがナカナカ侮れない作品だったりする。
コゲラ
ジョウビタキ
ウソ
これはエナガ。
先のシマエナガはこれの亜種で北海道にしかいない。
ガビチョウは中国から輸入されたペットが
野生化したものだという。
これだけきれいな写真が撮れれば、
まあ、夢中になるのも分からないでもないが。
カメラの知識ゼロであった彼女がここまでの写真が撮れるのは
カメラのおかげであることは明々白々である。
ワタシのカメラではこんなもんである。
てっぺんに鳥がいるはずなのだが・・・
なんか、スタイルもサマになってきた。
いつの間にかバッグには日本野鳥の会のピンバッジが。
それにしても、たしか花粉症のあった彼女、
この時期にそんなに長く外にいていいんだろうか。
まあそこはプロなので万全の対策をしていると見え、
今のところクシャミ連発や眼を腫らしている様子は見受けられません。
2024.03.22
ちょっと前に、ローリングストーンズの18年ぶりのニューアルバム
「ハックニータイアモンズ」をようやくCDで購入した。
過去のローリングストーンズのオリジナルアルバムは
すべて持っているこのワタシが、
昨年10月に発売されたこのアルバムを、
なぜここまで買わなかったか、というのは
何となく、であったが、
その何となく、を分析してみた。
まず一つは、最近ずっとCDを買ってない。
音楽は毎日聴いているが、
もっぱら聴いているのは過去に買ったCD。
欲しいCDはもう全部持ってるし、
現行のアーチストで「新譜」を買いたい、
と思わせるようなモノがないため。
最近はネット通販で買うのでCDを買うときは
何枚かまとめて買うのだが、
そのタイミングがなかった。
もう一つは、音楽の聴き方そのものを
もうそろそろCDから、アマゾンミュージックやアップルミュージックのような
いわゆるストリーミングにすべきではないか、と思案してるところだったから。
ただ、現状に満足してるので、
どうもストリーミングまで踏み出せずにいるので、
とりあえず、ということでCDを購入した次第。
もう一つは、昨年秋にワタシのバンド
「C5-dips」のベーシストが脱退し、
同時に指のケガでバンド活動ができなくなったので、
ストーンズ熱が冷めていたのが、
ここに来てまたギターが弾けるようになり、
新ベーシストが決まってバンド再開の目途が立ったため、
ということもあり。
アルバムの印象は、
ムカシからのストーンズファンを十分に満足させるものでした。
あー、これこれ、この音がストーンズだよなあ、カッコイイ。
言い換えれば、今の音ではない。
時代的にはアルバムでいうと「スティッキーフィンガーズ」から、
「メインストリートのならず者」あたりのスタイルっぽい。
当初、ブルースからスタートしたローリングストーンズは、
その後60年代後半のサイケデリックムーブメントの洗礼を受け、
「サタニック・マジェスティー」や「ベガーズ・バンケット」
といったアルバムを発表する。
その後アメリカのサザン・ロック、カントリーミュージックを融合させた
独自のロックンロールを確立していった。
それが「スティッキーフィンガーズ」周辺の時代である。
その後も時代の流行に乗ってディスコサウンドを取り入れた「ミス・ユー」や
ヒップホップの影響を受けた「アンダーカヴァー」などを発表。
常に時代の音楽を呑み込んでいった彼らであるが、
ここに来てさすがに歳とって、いまさら今風の打ち込み、
DTMをやるわけにはいなない。
っていうか、それはストーンズファンの聴いてない音楽だから、
それやられちゃうと、もうダメ。
ファンはついていけないでしょう。
つまりストーンズも、そのファンも
もはや音楽的には現役ではない、ということだ。
ワタシの買ったのはライブ盤のついたライブ・エディションであったが
そのライブを聴くと、そのことがよく分かる。
かつての楽曲と、今回の新曲が実にシームレスに演奏される。
その音楽性に全く違和感はない。
もはやユネスコの世界文化遺産に指定されてもいいのでは、
というこの新しくて古いニューアルバムでした。
当分、毎日聴きます。
2024.03.21
この間のブログの記事を見て、
訪問された某メーカーさんから面会の際、
群馬大国試合格100%おめでとうございます。
と言われました。
いや別にオレがメデタイわけでもないですけど。
そして、彼が言うには自分は医学部ではないが、
母校、東海大も100%でよかったです。
とのこと。
ワタシも特に気にしてなかったが、
へー、東海大も100%なのかとちょっとオドロキ。
あらためて、表を見てみました。
と、気付いたのが、出願者数と受験者数の差。
国公立はほぼ同数だが、
東海大は出願者数124人に対し、実際に受験したのは109人。
受験しなかった15人もの学生が、
全員病欠とも思えないので、
ここに何らかのカラクリがありそうだ。
2024.03.20
本日水曜日は春分の日で祝日。
もともと水曜日が休診日なので、
なんとなく損した気分だ。
昨年はここが連休になり白川郷、岐阜城に行ったのだった。
調べると、今年は水曜日がらみの連休が一回もない(>_<)
土日が毎週連休になるサラリーマンの方々とは違って、
水曜日がらみの連休、貴重なのだ。
今年がうるう年でなかったら連休になったのであった。
ハッピーマンデーならぬハッピーサーズデーを導入したいなあ。
2024.03.19
医師国家試験はカンニングなどの不正行為を防ぐため、
3校とか4校の医学部が同一会場で受験します。
今はどうかわからないが、ワタシが学生の頃、
大学のほうから国家試験対策の指導や授業は一切なかった。
6年生になると学生たちは「勉強会」と称する
4,5人の任意のグループを友人同士で作り、
週何回か集まって国家試験の問題集を勉強する。
国試対策シリーズ、通称「国対」という
分厚い過去問の問題集である。
毎回分担して予習を行い、
予習した人が他のメンバーに解説をする、
というパターンであった。
後はそれを反復復習。
自宅でシコシコ勉強あるのみ。
それが、私立の医学部では
大学側が国家試験対策のカリキュラムを組んで
学生に対し指導を行うと聞いてビックリした。
国家試験対策の暗記本や、
高額な国家試験のための予備校がある、
という話は以前書いたことがあります。
さらに驚いたのは「卒業延期」という制度。
大学の国家試験合格率はマスコミで発表されるので、
あまりに低いと具合が悪い。
そこで見かけの合格率を上げるために、
出来の悪い学生に国家試験を受けられないよう、
卒業を4月に延期するという措置があるという。
試験日程変わったけれど、
今もそんな措置があるのかなあ。