夏に増える耳鼻科の病気
一般に耳鼻科は夏はヒマな科なのだが、
2つだけこの時期に増加する耳鼻科の病気がある。
一つは慢性中耳炎、もう一つは外耳炎だ。
どちらも、耳の外から感染が起こるので、
同じような時期に増えるわけだ。
急性中耳炎は鼻からの耳管を経由した感染なので、
別にプールや海に入ったからなる、ということは無い。
ところが、慢性中耳炎は鼓膜に穴があいてる状態なので
普段は乾いていても、プールやシャワーなんかで水が耳に入ると、
感染をおこし、耳だれが出ます。
夏場は汗かくことも多いので、その辺から感染する場合もある。
まあ、これはある程度ショウガナイ。
一方、外耳炎も外耳道経由の感染だが、
ただ、普通に耳が水が入っただけでは、
外耳道に感染をおこすことはまず無い。
この原因は90%以上が「耳かき」「耳そうじ」です。
そもそも人間の耳は掃除する必要ない。
耳かきでも綿棒でも耳そうじによって外耳道の皮膚はダメージを受けます。
それは、外耳道には皮下組織、すなわち脂肪や筋肉などのクッションが無いから。
しかも皮膚の上にはもともと「細菌」が常在するわけで、
そのダメージによってそれらが繁殖しやすくなるわけです。
まあ、硬い地面には草は生えないが、耕すといっぱい雑草が生えてくる、ってイメージだ。
なかなか、この辺誤解していらっしゃる方が多い。
「耳そうじしてますか?」
と訊くと、胸を張って、
「一生懸命、毎日お掃除してますよ。」
などと言うヒトがいる。
まるで、
耳そうじを怠ってたみたいに思われるなんて、心外だなあ、
という感じで。
それがダメなんです。
しかも、毎日のごとく耳そうじすると、だんだん知覚がマヒしてくる。
耳の半分から奥は、痛みの神経がいっぱいで、
鼓膜なんかは触っただけで飛び上るほど痛いものだ。
もちろん、損傷を避けるためで、鼓膜破けちゃうとマズイので、
「痛くしてある」わけだ。
これが耳そうじによって、だんだん鈍麻してしまう。
鼓膜やその近辺を処置しながら、
「ここ、痛いですか?」
と訊ねると、誇らしげに
「いやいや、全然。気持ちいいくらいですよ。」
と、余裕のスマイルで答える人もいる。
それが、ヤバいのよ。
そういったヒトビトに、
もう耳そうじは一生禁止です、というと、
多くは
「私から耳そうじを取り上げるなんて・・・・。
人生の楽しみを返して。」
などという反応を示しますが、
ダメなものはダメなのだ。
でも毎年夏になると、
「先生にダメって言われてたんですが、・・・・・また、やっちゃいました・・・・。」
と、同じ患者さんが来るんだなあ。
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耳そうじ・・・
いやいや、また知らなかった真実がここに・・・
「知覚がマヒしてくる」って、みんな知らないですよねー!
だって、あんなに世の中には「驚くほどドッサリ取れる!」といううたい文句の商品があるじゃないですか。ファイバー付きのなんか、思わず買っちゃおうかとまで思いましたもの。
ホント、先生のブログ勉強になりますね~、ありがとうございます。
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いつもコメント感謝です。
最近は「耳かきサロン」なんてのもあるようで心配です。
以前の火をつけて吸いだす、ってのはさすがにヤバいんで
無くなったようですが。
ともかく、「耳あか」と「へそのゴマ」はむやみにとっちゃアブナイ、ということです。
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