ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2011.04.12

ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンの検討


 再開したヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンですが、
今回の検討についてある程度手元に資料を集めましたので、
ご報告いたします。
 報告された死亡例は7例。
 6ヶ月未満が3例、
6ヶ月以上1歳未満が2例、
1歳代が1例、
2歳代が1例。
 重篤な基礎疾患があったのは3例。
 このうち、剖検されてるのは6例。
 死因について、誤嚥による呼吸不全が疑いを含め2例。
急性循環不全が1例、ヒトメタニューモウイルスによる急性感染疑いが1例。
その他乳児突然死症候群、原因不明など。
 いずれも、ワクチン接種との因果関係は不明。
 見たところ、多分これは関係ないかなあというのもあるが、
あとは正直、ワカラナイが、関係がいかにもある、というのは見当たらない。
 そもそも海外のデータで10万接種あたりの死亡例は
肺炎球菌ワクチンで0.1~1、
ヒブワクチンで0.02~1
ということで、
今回我が国の例だと両ワクチンとも10万接種あたり0.1~0.2になるそうだ。
 一方ワクチン接種前の細菌性髄膜炎は年間1000人程度発症で、
死亡率5%であるから、
年間50人くらい亡くなってるということだ。
 しかも死なないまでも25%に、麻痺、発達の遅れ、てんかんなどの
重篤な後遺障害が残るのでこの数は年間250人に上る計算だ。
 となると、冷静に考えれば、ワクチンを打ったほうが絶対安全、
ってわけで、今回の専門委員会の判断も正しいわけだ。
 しかし、あくまで、これは確率上の問題。
 全体としてどんなに小さい確率でも、わが子に起こったら100%なのだ。
 ワクチンを打った後、死んじゃったら、たとえワクチンのせいじゃない
と言われても、親は自分を責めるかも知れない。
 一方、ワクチンを打たずに髄膜炎になった場合も、
これは間違いなく、やはり、打っておけばよかった、と自分を責めるだろう。
 難しいのは、何かして不都合が起こるほうが、
何かしないで不都合が起こることより因果関係を想定しやすい、
ということ。
 でも違うんです。
 ワクチンについては因果関係が不明だが、
ワクチンを打たずに髄膜炎になったときは因果関係が明らかだって事。
 個人的には、ワクチン、打つべきだと思います。
 特に合併症を持ったお子さん、
乳児期から保育園、託児所に預けなきゃならないお子さん、
上に兄弟のいる赤ちゃんは、打つべきでしょう。
 少なくとも自分の子だったら打ちます。
 我が国で1970年代に死亡例の報告後「百日咳ワクチン」が一時接種中止になった。
安全性が確認された再開後も接種率が数年間は上がらず、
その間100人以上の乳幼児が百日咳で死亡したそうです。
 今のところ、当院には再開後、
ヒブ、肺炎球菌ワクチンの接種予約が、あまり来てないみたいだけど、
全国的にそんなことで、髄膜炎で不幸な経過をとる子供たちが増えると、
残念なことですね。
 しかし、今回ある程度、死亡例の経過、合併症についてなどの記載がある資料を入手して検討したのだが、
厚労省から送られてきた再開のお知らせには、
ほとんど「大丈夫です」「安全です」しか書いてなくて、
具体的な症例の検討はまったく書かれてない。
 ホント原発事故に対する政府発表みたいで、
これ見て大丈夫だから、って言われてもちょっと、と言う内容だった。
 個人情報等の問題で、公にしにくい面もあるかもしれないが
少なくとも専門家たる医者のとこにはもうちょっと詳細な資料が欲しいとこだがなあ。
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2011.04.08

スプデルの呪縛

 先日、来院されたご年配の女性の患者さん、
長年、近所の内科に血圧や不眠症とかでかかっており、
花粉症の時期にはそこで花粉症の薬ももらっていた。
 しかし、その先生が、医院を閉めちゃったので、
内科は他でかかったが、耳のことで耳鼻科に来たので
今シーズンの薬をもらいたいということで、
2月に薬を出している。
 ご本人が言うには、自分は花粉症の薬を飲むと
必ず口が渇くので、「スプデル」が一番いい、とのこと。
 確かに旧世代の抗ヒスタミン薬は抗コリン作用が強く、
眠気や口の渇きが強烈である。
 えーっと、スプデル、って何かなあ、と調べると
「ザジテン」のジェネリックであった。
 ザジテンは第2世代の抗ヒスタミン薬の中でも、最も初期の薬なので、
タベジールやポララミンなど第1世代に比べれば
確かに、マシかも知れないが、
けっこう眠気や口渇が出る薬だ。
 オレ自身、この薬飲んで車運転中、危うくトラックに追突しそうになったことがある。
 でも、まあ、本人がこれがいいんであれば、
と、「ザジテン」を処方。
 もちろん、同じ薬であることを説明した。
 
 数週間して、ともかく鼻が止まりません、
って事で来院。
 診てみると、花粉症がひどく、膿性の鼻汁も大量だ。
 今年の花粉が大量であることを説明し、
薬をアレロックとオノンに変更。
 膿性鼻汁がひどいため抗生剤と、ムコダインも加えた。
 そして、再診時。
 訊けば、こないだ出した薬は全部やめて、
弟さんが前もらったスプデルを時々飲んでるという。
 しかも(当然)鼻の具合はワルイ。
 下痢をしたため、薬の説明書に下痢と書いてある薬、
抗生剤、オノン、ムコダインは自己判断ですべて中止し、
同じく「口の渇き」の記載があるアレロックもやめちゃったそうだ。
 うーん、困った、どっから説明しようか・・・。
 まず、下痢に関しては、抗生剤が原因であることはほぼ確実、
整腸剤も出てたのだが、ムコダイン、オノンの関与は可能性としてかなり低い、
ということを説明。
(オノンは時々、おなかのことを訴える方がいるけど。)
 それで、アレロックはヒトによっては口渇あるけど、
ザジテンよりは少ないはず、
ということを説明。
 しかし、患者さんはこんどは、ザジテンの時も口渇があった、
スプデルはなかった、と主張。
 さあ、困った。
 いや、前も言ったけど、ザジテンとスプデルは同じ薬なんですよ。
 すると、実は以前、他のお医者さんにかかったときも、
スプデルと同じだ、といわれて別の名前の薬が出たが、
それでも口が渇いて困った、という。
 んー、なるほど。
 おそらくこのおばあちゃんは、以前第1世代しか無いころに、
その強烈な口渇にずっと悩み苦しんでいたんだろう。
 そして、スプデルが処方され、その違いを実感し、
その印象が強烈に刻まれたんでしょうな。
 いわば、信仰めいた「暗示」にかかちゃってるんで、
説明してわかってもらうのに、相当の時間を費やした。
 そういや「スプデル」って名前、
なんかドラクエの呪文かなんかみたいな響きがあるかも。
 しかし、あの説明書きも、ホント良し悪しだなあ。
 内科からはそれこそ体が悪くなるくらい、コレデモカって量の薬が
ずーっと出てるんですけどねえ・・・・。
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7件のコメント
2011.03.21

リスクの評価


 土曜日は計画停電が行われず、
おかげさまで混乱なく外来診療が行えました。 
 明日火曜日は、計画停電が午後の時間帯なので、
午後は休診になります。
 一方、水曜日は本来午後休診ですが、
臨時に診療を行います。
 ただし、前回書いた「Dパターン」なので、
診察開始は午後4時ころだと思います。
 しかもコンピューターの設定上、
水曜の午後は停電が解除されてもインターネット受付ができませんので、
直接来院して受付してください。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 さて、先日の土曜日は普段の花粉症の時期よりは
かなり患者さんが少なかったようです。
 その要因は
①停電を見越して前日までに受診を済ませていた
②ガソリンが無く車で行けないので、近くの病院に行った、
 もしくはガマンすることにした
③家の中がめちゃくちゃで病院行ってるヒマが無い
などが考えられますが、特に②が大きかったような。
 しかし、ここで重要なのは
④放射能が心配で屋外に出なかったら花粉症が良くなった
というもの。
 話に聞くと、学校などでは校庭に出ないよう指示があったとか。
 助かるー。
 っていうか、普段から花粉症の時にはそれやって欲しいです。
 ちょうど一昨年から昨年にかけて、新型インフルエンザが流行したせいで
ロタウイルス、ノロウイルス、中耳炎関係が激減したと同じような
思わぬ恩恵が持たされてるかも。
一昨年のブログ参照⇒「新型インフルエンザがもたらしたイイこと?
 以前から花粉症の子には
「昼休み外遊び禁止です。」
とか、
「保育園の先生に連絡して、外遊びをさせないでください。」
 などと事あるごとに言ってるのですが、
真面目に訊いてくれるヒトもいるけど、
ちゃんと守ってなかったヒトも多いみたいで。
 スゴイ症状になってて、クスリくださいなどとおっしゃる方がいるので、がっかりします。
 最近は
「放射能はすぐ人体に影響出るレベルじゃあないけど、
いまの花粉量はすぐ重大な影響が出るレベルですから。」
などとお話しています。
 そんなこと言っても、
花粉じゃ死なないけど、がんになったらコワイわよねー、
などといいながらタバコ吸ってるあなた。
 現時点の放射線量より、
今吸ってるタバコとその副流煙の方が、
あなた自身とお子さんの発がんに与えるリスクはケタ違いに高いってこと、わかってます?
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2011.03.14

3月14日時間変更

 昨日予告の計画停電の時間が
12時20分から午後4時までに変更になりました。
 その他は昨日のブログと同様です。
 そちらをご覧ください。
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2011.03.13

計画停電による診療への影響のお知らせ

 明日3月14日(月)より、震災に伴う計画停電が実施されます。
 足利市は14日は午後1時50分から午後5時半までの間に
3時間程度の停電を実施すると発表がありました。
 このため、
明日、午後はインターネット受付を実施しません ので
ご了解ください。
 診療についても停電中はできませんが、
停電が解除され次第、診療時間内に直接来院された患者さんの診察をいたします。
 診療状態についてはできるだけこのブログでリアルタイムでお伝えするように致します。
(ただ電力復旧後もインターネット受付は実施しませんので直接ご来院ください。)
 午前中は通常通りの予定ですが、
時間帯によりインターネットのサーバー側の停電状態によっては、
インターネット受付ができない可能性もあります。
 皆様のご理解とご協力をお願いいたします。
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2011.03.09

肺炎球菌ワクチンについてのご質問がありました

 コメント欄にこんな質問をいただきました。
 いつも拝見しておりますが、初めて書き込みさせていただきます。
耳鼻科漬けの子持ちには大変勉強になるブログで助けられております。
さて、我が家の1歳2カ月時、まさに5日土曜日にプレベナーの追加接種(4回目)を打とうとしていたところに中止の事態。これまで3回打っているとはいえ、効果のほどはいかがなのでしょうか。髄膜炎自体も怖い病気なので、保育園児の母としてその点が心配です。

 大変いい質問です。
 外来でも似たようなご質問を受けましたので、ここで採りあげてみます。
 さて、結論から言うとその点に関してのデータは手元にありません。
 だから、確定的な事は言えませんが、ある程度の推測はできます。
 そもそも、予防接種とはどんなものか。
 これは、病原性を持った微生物を無毒化あるいは弱毒化させて
体内に取り込ませ、それを体が認識して「抗体」という
微生物を攻撃する物質を作らせることが目的です。
 ただし、一回の毒を抜かれたモノでは、体がきちんと認識しないかもしれない、
また、ちょっと認識してもじきに抗体をつくるのをやめちゃうかもしれない。
 というわけで、2回目3回目の接種をするわけです。
 これをブースター効果といいます。
 ということは、お子さんは3回の接種を受けて、
ある程度抗体ができてると考えられます。
 一方保育園に行っておられるわけで、
世間的にも肺炎球菌のブーストは受けてるかもしれません。
 なぜなら「肺炎球菌」は麻疹などと違って、
フツーにそこいらへんにいる微生物だからです。
 つまり4回接種とされてるのは、
4回打たないと完成しない
のではなく、
4回くらいは念を入れときたいです
という意味なのです。
 またここで、年齢的な意味もあります。
 プレベナーは年齢とともに4回接種、3回接種、2回、1回となっています。
 これは、小さい子ほど細菌性髄膜炎のリスクが高く、
年齢とともに少なくなるので、まあ2歳超えれば大丈夫でしょ、
その間に肺炎球菌も多少経験してるかもしれないですし、
ということからきています。
 ということで、導き出される推測は
「万全ではないが、かなり効いている。」
と考えていいのでは。
 
 まあ、3回は打てて良かった、まずまず安心、というところでしょうか。
 逆に、もちろん4回打ったところで万全とはいえないのですから
油断は禁物なんですが。
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2011.03.07

ワクチンに関する重要なお知らせ

 ニュース、報道等でご存知の方が多いと思いますが、
新しいワクチン関係で動きがありました。
 まず、子宮頚がんワクチン「サーバリックス」ですが、
全国的な需要の増加に供給が追い付かず、
新規の接種が一旦見合わせになっています。
 すでに打たれた方で追加接種の方は接種できます。
 今後時間とともに流通は改善されると思われますので、
情報が入り次第お伝えいたします。
 まあ、インフルエンザワクチンのように
流行前に済まさねばいけないものではないので、
しばし、お待ちください。
 一方、細菌性髄膜炎の予防ワクチンとしての
ヒブワクチン「アクトヒブ」、肺炎球菌ワクチン「プレベナー」ですが、
4例の死亡例が相次いで報告されたため、
先週末から接種見合わせとなっております。
 こちらは原因が究明されるまでの間は、
追加接種の方も接種できません。
 現実問題としては原因究明はかなり困難だと思いますので、
再開の見通しは当分無いと個人的には思いますが・・・。
 すでに打たれた方に何かが起こるわけではないので、
そちらはご安心ください。
 ご心配な方はご質問いただけばわかる範囲でお答えいたします。
 ともかく、原因はまだ分かりませんが
不幸な転帰をとられた患者様とご家族の方には
心からお悔やみを申し上げます。
 
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2件のコメント
2011.02.13

真冬のアデノ


 連日、発熱のお子さんが多いです。
 特に小さいお子さんは、まだ自覚症状を表現できませんから、
視診、迅速キットなどの他覚的所見が重要です。
 まず、インフルエンザ患者さんとの接触の有無などを訊きながら、
鼓膜をチェック。
 ここで、明らかな中耳炎があって、
インフルエンザとの接触が無ければ、
まあ、「中耳炎のお熱」で、診断・治療を勧める。
 鼓膜に発熱の原因になるような異常が無ければ、
次にのどを見て、溶連菌感染などを診る。
 扁桃周囲のどぎつい発赤をみれば、
十中八九「溶連菌感染症」だから、
迅速検査をしてみる。
 看護婦さんに綿棒をもらい、
のどにぐりぐりで、早ければ1分以内に診断がつく。
 のどにも耳にも発熱のフォーカスが見当たらなければ、
インフルエンザの迅速検査。
 鼻汁の吸引清掃をして、また別の綿棒をもらって、
これは鼻からぐりぐり。
 そんなわけで、処置につくスタッフは、
常に2種類の綿棒をポケットに入れてすぐ出せるようにしてるのだ。
 昨日、来院された1歳の女の子。
 休日に発熱で救急病院を受診し、
インフルエンザの検査を受けたが陰性。
 でも、可能性はあるので、熱が下がらなかったらまた明日病院を受診してください、
と言われて、当院に受診。
 で、耳をみると中耳炎があり。
 しかし、程度から行くとで40度出るほどの所見ではないなあ、
と思いつつ、口の中を診てみる。
「あー、これだ、これだ、扁桃腺、腫れてますねえ。」
 ということで、お母さんに説明。
「検査をしてみましょう。はーい、アデノ取りまーす。」
「えー、アデノですかー。」
 扁桃腺と聞いた時から、溶連菌検査を想定してそれ用の綿棒を用意してたスタッフは
あわてて冷蔵庫にアデノウイルスの検査キットを取りに走った。
 結果、陽性。
 アデノウイルスは、主に夏に流行する「咽頭結膜熱(プール熱)」の
原因ウイルスとして有名です。
 飛沫、接触、糞便などから感染、潜伏期は4~7日程度だが、
型によっていろいろな臨床症状がある。
 抗生剤は無効で、
治療は症状に応じた対症療法のみだが、
発熱は5日程度の高熱が続きます。
 今回は眼は腫れていませんでしたが、
扁桃の溶連菌とは違う独特の腫れ方と、
鼻の吸引処置でアデノイド(鼻の突き当たりにあります)の腫れが感じられたことから
こりゃあ、アデノかIM(伝染性単核球症)だろーなー、と思ったわけだ。
 しかし、アデノといえば夏風邪の代表的ウイルス。
夏ならともかく、最近はこういうのが真冬にも出るので、
油断できませんなあ。
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2010.11.28

またまた、医者の不養生です。


 先週末広島の安いホテルのエアコンでのどを痛め、
風邪気味のところに
 水曜日は寒風の中でフットサルをし、
 翌日は、真夜中近くまでライブ前のバンド練習があり、
すっかり声がガラガラででなくなっちゃったところに、
 昨夜は飲み会で、紹興酒とバーボンをしこたま飲んだうえ、
夜2時過ぎまでカラオケまで歌っちゃったので、
もう、全然声が出ない。
 おまけに今週は患者さんもかなり多く、
説明や指導で、ほぼずっとしゃべり通しなので始末が悪い。
 耳鼻科医としては、のどを痛めた患者さんには、
そんなことは一つでもやっちゃイカンと、いつも言ってることを
すべてフルコースで自分でやってるんだから、
医者の不養生もここに極まれり、といったところだ。
 特にキツイのが、長く説明を要する新患。
 花粉症、インフルエンザなどは、相当時間を割いてしゃべるが
幸いまだ今の時期は少ない。
 しかし、溶連菌感染症がここんとこ多く、
これが出ると、
細菌とウイルスの違いから始まって、
学校伝染病の分類、治療方針、合併症・続発症状の説明
感染経路と予防の方法等々、説明に時間とパワーを要する。
 だが、それよりも最も大変なのは「禁煙外来の初診」だ。
 ブリンクマン指数の意味から始まり、
タバコのもたらす疾患を、各種がん、循環障害、脳血管障害、COPDと説明し、
女性にはスモーカーズフェイスの説明をする。
(これは結構効く)
 続いて主流煙・副流煙の話、受動喫煙の話、
公共交通機関やレストランでの禁煙の話をし、
禁煙による金銭的メリットの話をする。
 治療の話に移り、ニコチンパッチと内服薬の
メカニズムを説明し、
それぞれの長所・短所、治療期間、かかる金額を説明し、患者さんに選んでもらう。
(ただし、現時点でニコチンパッチの方が在庫切れで内服薬のみなので、
この部分がカットでき、昨日は助かった。)
 そして、おもむろに器械を取りだし、
患者さんにその場で呼気中の一酸化炭素濃度を測ってもらう。
 そして、一酸化炭素って知ってますかアンタ、
練炭自殺の死因だよ、
そんな怖い物質が息からこんなに出てんですぞ、
と脅しをかけ、
 だから絶対、禁煙頑張りましょうね、
でも、こういうことで失敗する人がいるからといって、
飲み会や職場、家族の喫煙者に対する注意など、
回避すべき危険なシチュエーションを指導する。
 で、最後にそら、ゼッタイあなたうまくいきますって、
タバコやめると楽ですよー
と目一杯励ますわけだ。
 脅したり、賺(すか)したり、
かなり早口でしゃべっても20分近くかかるのだ。
 はっきりいって、かなり効率の悪い診療なのだが、
少ししてから
「おかげさまでタバコやめられました、」
という患者さんが来られると、
それはそれはウレシイものなのです。
 疲れも吹っ飛びます。
 なんか、ヒト一人の命を救ったぞ、みたいな充実感があります、
 だから、昨日、私の喉を「犠牲」にして説明した患者さん、
何とか禁煙に成功してくれるといいんだがなあ。
 んで、今晩また、別のバンド(しかもハード・ロックの!)の
練習があるんだが、・・・・困った!
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2010.11.10

注射ギライ


 毎日毎日インフルエンザの予防接種をしている。
 今年はどうなるかわからないが、
北海道と沖縄では始まって来ているようだ。
 さて、予防接種、泣く子、泣かない子、いろいろだが、
泣かない子の方が多いようだ。
 昔々、自分が子供の頃、注射は大キライだったなあ。
(今でも、するのもされるのもキライだけど。)
 昔は集団接種が多く、
学校の体育館や保健室でした記憶が多い。
 体育館かなんかで、問診票を先生に渡して、
「はい、いいよ。」
と言われると、注射の列に並ぶ。
 2人の先生で注射をしてることが多かった。
 すると、ナゼカ2つの列の長さに差ができるのだ。
 子供的にはあらゆる情報源を駆使して
「少しでも痛くない方に」並びたい。
 その情報とは、
先生の年齢だったり、風貌だったりもあるのだが、
何といっても参考になるのは
先に注射を打った子供の反応だ。
「うう、イッテー。」
という奴もいるし
「ぜーんぜーん、いたくなーい。」
などと声高にアピールする奴もいる。
 しかし、もちろん、そのセリフは
額面通りに受け取れない ことくらい、
子供でも分かっている。
 アイツは、大げさだとか、
あとの者をビビらせようとしてるとか、
ホントはすっごく痛かったのだが、
あとのやつにもこの痛い方の先生に受けさせようと罠をはるやつとか・・・・。
 ともかく小学生が算数や国語の授業で使うよりは、
はるかの多くの脳細胞を動員して、究極の決断を下すのだ。
 すると、同じような思考回路を経て選択をした子供たちによって、
列の長さに差が出る。
 そして、自分の列の前の子の反応と、
隣りの列の子の注射後の反応を観て、
うん、これでナントカ乗り切れるだろう、
とひそかな期待をいだくのだ。
 と、そんな時、
「はーい、こっちすいてるから、君から後ろは、
こっちの列に移りましょう。」

などという先生の気まぐれなひと声によって、
綿密な計算に基づいた計画は、
はかなくも瓦解するのであった。
 それで、予想の何倍も痛い注射 を打たれ、
ああ、ちくしょー、あっちの列だったはずなのにー、
などという 無念の涙 をのんだことがある子供は
私だけではあるまい。
 そんなことを思い出しながら、
毎日毎日、どうやったら痛くなく打てるだろうと考えながら、
あれこれ工夫して、注射を打っている。
 だから、小さい子が泣かなかったり、
幼稚園児に「あれ、全然痛くなかった。」などと言われると、
注射ギライの私としては、実はすっごく、ウレシイのだ。
 ウチも2人のセンセイが打ってるけど、
たまに、女の先生の方がいい、なんていう子もいるんだよなあ。
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