ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2020.03.09

「鼻がたれる」

初診の患者さんには問診表を書いていただいていますが、

まず最初の、本日はどのようなことで受診しますか、

という趣旨の設問に対し、このところ花粉症のシーズンですので

「鼻が詰まります」「鼻が出ます」「鼻がたれます」

といった記載が多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は「鼻が詰まります」は正しい表現ですが、

「鼻が出ます」「鼻がたれます」

は誤りで、正しくは

「洟が出ます」「洟がたれます」

となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鼻」とは顔の中央部に隆起する部分の名称で、

その部分は解剖学的には「外鼻」ですが

通常はその内部のキャビティである「鼻腔」を含んだ部分を指します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに耳鼻咽喉科的には

鼻腔に連続する空洞である「副鼻腔」も含めて

「鼻」と総称します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらは人体の構造物ですが、

たれてきたり、かんだりする「ハナ」は、

「鼻」ではなく「洟」という字を書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、「鼻が出る」というとピノキオみたいな状態だし、

「鼻がたれる」というのは

芥川龍之介の禅智内供(ぜんちないぐ)のような状態になってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、そのような場合は

「はなが出ます。」「ハナがたれます。」

と、カナで書くか、

「鼻水」「鼻汁」といった言葉を使うのがよろしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、いちいち患者さんに

「いや、見たところ、全然たれてないですよ、普通の形です。」

などという、大人気ないツッコミはしませんけど。(^^;)

 

 

 

 

 

 

 

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2019.10.08

ドイツ語由来の俗語

日本の近代医学はドイツをお手本にした部分が多いので

ワレワレ世代より前のお医者さんはドイツ語を多用しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院で使われる用語にはドイツ語由来が多い。

オペもそうですが、

白血球数はワイセ、

これはドイツ語のWeiße Blutkörperchenに由来します。

英語だとWhite Blood Cellなので、

WBCと記載する場合もあります。

世界ボクシング協議会と混同します。

最近はワールドベースボールクラシックなんてのもあるらしいですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血液はブルート、血圧はドゥルック、脈はプルス、

看護師さんもよく使ってました。

おしっこはハルン、ウンチはコート、

ハルンちゃんとコウトくんのきょうだいがいたらちょっと、ハズカシイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで、電子カルテにはある程度この変換がプログラムされているらしく

「ワイセ」とうって変換すると「白血球数」が一番上に変換されます。

「ローテ」は「赤血球数」で変換されますが、

「ドゥルック」は出ません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死亡するがsterbenステルベンなので

ステる、ステった、ステりそうなどと使います。

こうなるともはやドイツ語ではありません。

たぶん、全国の病院共通。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 組織が死んでしまう「壊死(えし)」のことは

ネクローゼnekrose(独)から、ネクロったといいますが、

東京医大から来た先生はネクったといってましたので、

大学によって「方言」があるのかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、かつては、ドイツ語は若者言葉、というか

旧制高校や大学生の間で流行しました。

明治から昭和初期にかけてのことです。

美人のことを「schön:美しい」から「シャン」といったり、

派生語で後ろから見て美人を「バックシャン」。

お金が「Gel」なので、お金がないことを「ゲルがピンチだ」ということで

「ゲルピン」といったりしました。

バックやピンチは英語由来なのでいい加減、といえばいい加減ですが、

病院でよく使う「マーゲンチューブ」も

ドイツ語の「Magen:胃」と英語の組み合わせですね。

サッカーのダブルボランチも英語とポルトガル語の組み合わせだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドイツ語俗語はほとんどすたれたが、

そんななか、唯一残ったのが「アルバイト」でしょう。

Arbeitはもともとドイツ語では「仕事」という意味で、

「非正規雇用の労働」という意味はないですが、

日本語として定着しました。

オトナリの韓国でも「アルバイト」を同じ意味で使うそうです。

日本から輸出されたものでしょうが、

略語は「バイト」ではなく「アルバ」らしい。(笑)

大阪では「マクドナルド」のことを「マック」ではなく

「マクド」というそうだが・・・(^^;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.08.20

野球用語

 高校野球を連日中継しています。

特に興味はないので、観てるわけではないのだが、

テレビの前で番組検索や、録画予約、

録画編集などの操作をしていると、

基本NHKがついているので

アナウンサーや解説者のヒトの言葉が耳に入ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「○○高校の××くん、難しいコースの球を、よく腕をたたんではじき返しましたね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 腕って畳めるんだ。

腕をたたんで打つ、どんなんだろ。

腕を曲げる、とか腕を伸ばす、腕を回す、ならわかるんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 野球の表現はいろいろなものがあってオモシロイ。

ワタシ、ほぼ野球オンチですので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「カラダが泳いでます」は別にプールで泳いでいるわけではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「カラダが開いてしまいました」は

アジの開きみたいになちゃったわけではありません。

カラダが開く、は他のスポーツでも使いますね。

胸は「開く」だが、腹は「わる」です。

これは、体の動きの表現ではありませんが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「投球フォームを盗む」というのも独特の言い回しです。

盗塁の時に使うようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ひっぱる」の反対語は「押す」ではなく「流す」なんですね、野球では。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲッツーが「Get Two」から来てることは、中学生になって知りました。

ただこれは和製英語らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、最近の変化球は聞いたこともないものが多く、

カットボール、ツーシーム、チェンジアップは

いずれも変化球のことらしいが、何がなにやら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシが小学生のころはカーブ、シュート、ドロップしかなかった。

あ、あと大リーグボールがありました。(^^)v

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても、

猛暑日には炎天下の屋外でのスポーツ等は中止しましょう、

と、NHKなどでは繰り返し呼びかけていますが、

甲子園での高校野球の場合には言及しませんね。

論理が一貫していないのでは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.08.11

ムンテラ

日本は近代医学の多くをドイツから学びましたので、

医療現場で使われる言葉にはドイツ語由来が多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは学術用語のみでなくて、

いわゆる俗語、隠語の分野にもいえることです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムカシは患者さんに病状や治療計画を説明することを

「ムンテラ」といいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは和製ドイツ語(?)で

ドイツ語で「口」を意味する「Mund」と。

「治療」を意味する「Therapie」を負わせた造語

「ムントテラピー」の略語です。

もちろん、そんな言葉はドイツ語にはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに、医学生時代、紙のテストではなく

教授との面接で行ういわゆる「口頭試問」のことも「ムント」といいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて「ムンテラ」という語は、直訳では「口で治療」ですが、

実際は患者さんに対し、病名、病状や治療方針と、

期待される効果、およびそれに伴う副反応や後遺障害の可能性を説明する、

という意味で使われます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教授が担当医に

「今回の手術のムンテラ、患者さんにちゃんといってますか?」

とか、

医者が看護師さんに

「〇〇さんに、ムンテラするのでちょっと呼んでください。」

などと言う感じで使います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが最近は違うらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

医者が看護師さんに

「〇〇さんに、ムンテラするのでちょっと呼んでください。」

というと、

「はい、〇〇さんにICですね。」

と返されるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「IC」とは集積回路のことではなく、

まして「イメージ・キャラクター」のことでもなく

「インフォームドコンセント」の略語です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1990年ころから使われだした用語で

「説明と同意」と訳される。

医療提供者が治療行為の内容について十分な説明を行い、

受け手がその内容を十分理解したうえで同意を得る、

という一連の手続きを言います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムンテラ、という言葉が医者から患者への一方通行的な行為、

また「言い含める」「言いくるめる」といったニュアンスがあるのに対し、

患者側の権利を尊重した形で、

「同意」は医療行為への「許可」だけでなく

「拒否」も含む「合意」と解釈されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

従来の「お医者様に診てもらう」時代から

「医者に診せる」時代になり、

医療訴訟が日常化し、

医療ミスがマスコミの格好の標的になってきた時代の流れでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、良いことだと思いますが、

患者さんとお医者さんの関係が、かつての漠然とした「信用、信頼」から

欧米的な明確な「契約」に基づくものになったということの表れともいえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、耳鼻科医になって5年の研修を受けた後に受験する専門医試験は、

試験と、小論文と口頭試問でしたが、

ワタシが受けたときの小論文の課題が

「耳鼻咽喉科のインフォームドコンセントについて」

でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 計算するとワタシが専門医試験を受けたのが1991年。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は、恥ずかしながらこのときワタシは

「インフォームドコンセント」なる言葉を知りませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 困った、と思っていたら、試験開始後まもなく

「皆さん、お困りの方も多いようですので補足しますが、

これは日本語で言うと「説明と同意」という意味です。」

と、試験官の方からの説明がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おそらく、ワタシ以外にも何のことかわからずあせっていた受験者が多かったと見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、中には「やっぱり出たな」などとささやき合っている者もいたので、

情報豊富な都会の大学病院では、試験のヤマだったのかも知れず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、なんとか試験は無事一発で合格できました。

8月の、この時期になると、専門医試験のことが時々思い出されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.08.06

敬語

いろいろな患者さんを診るわけですが、

基本的には、です、ます調で会話をすることが多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は、どうされましたか?」とか「どんな、様子ですか?」とか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年配の方には「どんなご様子ですか?」と、尋ねることもあるし、

逆に、再診で顔なじみの患者さんになると、

「今日はどんな感じ?」

くらいにくだけることは多いです。

子供や、学生さんだと、何回もかかってる子ならば

「どした?」

と、訊くこともありますが、

一人で診察に来た中学生なんかには、

やっぱり敬語(丁寧語)使うことが多いかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

患者さんの方は、

「のどが痛いです。」「熱が出ちゃいまして。」といった口調だが、

中には

「耳がさー、おかしんだよねー。」とか

「セキが止んねーんだよ。」といった感じでいきなり言ってくる人もいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見てると、ワタシの方ではそうでもないけど、

副院長に対しては、相手が女性だからか、

そんな感じでしゃべる年配の男性をときどき見かけます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシとしては別段、きわめて不快である、

とかいうわけではありませんが、何回もかかっている人ならまだしも

初診でいきなり、こういう口調で切り出してくるヒトは、

おっ、と思いますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシも最近、日赤など病院で診察を受けることがあります。

担当医は、みなワタシよりも年齢は下なわけですが、

やはり必ず敬語で話しますよね。

「特に痛かないよ。」「かわんねーなあ」的な口調は

さすがにできません。

受付の方や検査担当の技師さんや看護師さんにも

基本的にすべて敬語で話します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、飲食店なんかで店員さんを呼ぶときに

「ちょっと、ねえちゃん、ねえちゃん。」

と、声をかけるおじさんいますけど

あの手のヒトなのかなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 建設業界や政治家、市会議員、県会議員あたりに多いかも。

 

 

 

 

 

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2019.07.31

じゃあ、オペしますか

 「オペ」は医学用語の中でも良く知られた言葉。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは英語の「operation:オペレーション」の略であると考える向きもあるが、

多分、ドイツ語の「Operation:オペラチオン」由来でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 古くからある医学用語はほぼドイツ語由来だし、

英語のoperationは必ずしも手術の意味ではなく、

英語で手術は通常「surgery」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、ドイツ語で「Ope」といっても通じず、

オペは日本語、隠語、といったほうが妥当でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに英語で略語のときピリオド「.」をつけます。

「U.S.A.」「D.C.」「Mr.」「Jan.」「Sun.」「St.」「Ave.」etc.

そういえばエトセトラもetc.ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研修医時代、「オペ」という語をカルテに書くときに

「ope.」ではなく「Op.」と記載するように先輩医師に指導されました。

英語の省略形は母音を省略するから母音では終わらない、と教わりました。

じゃあ「avenue」は「av.」じゃないのか、とも思いますが。

「AV」だと意味が変わってしまう、ということではないでしょうが。(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、「オペ」は日本語のいわゆるギョーカイ用語で、

「オペ室」「オペ患」「オペ日」「オペ出し」「オペ中」などと、フツーに使います。

「手術室の看護師さん」は「オペ室ナース」ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、看護師さん、看護婦さんに関しては、

今は「ナース」という呼び方が定着しています。

むろん英語の「nurse」のことですが、

ワタシのお袋なんかは看護婦さんのことを「プレさん」と呼んでいました。

多分昭和初期の話。

これはドイツ語で看護婦さんをさす

「Pflegerin;プレーゲリン」に由来する言葉ですが、

ワレワレの時代から、この言い方はすでに使われてはいませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、患者さんのことをさす「クランケ」という言葉もすたれましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、医者のほうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「医者」はドイツ語で「Doktor:ドクトール」または「Arzt:アールツト」です。

「どくとるマンボウ」は医者で、作家の北杜夫氏のエッセイシリーズですが、

まあ、医者に診てもらったことを

「ドクトル」に診てもらった、などという言い方は

昔もなかったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 では、「医者」は何と呼ばれていたか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 医者は、かつては「お医者さま」といわれていました。

残念ながらこの言葉は、いまや、完全にすたれてしまったようです。(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.07.26

続・子供の名前

 以前、子供の名前は時代を反映する、

という話を書きましたが、

最近気づいたことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 耳鼻咽喉科という科の性質上、

乳幼児のお子さんを見ることが多いのですが、

この間は「遊」の字を使った男の子が来ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「遊」の字もそうですが、最近は

「夢」とか「楽」とか「心」とか、

ワレワレのころにはまず選ばれなかった漢字を使って

子どもに名前を付ける親御さんが多いようです。

何となく、将来に不安を抱えるこの時代に

子供に託す親の気持ちがわかる感じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「勝」の字が使われた戦中からひと時代が過ぎて、

高度経済成長の昭和30年代に生まれたワレワレ世代の男の子には、

「登」「昇」「進」「勉」「努」「学」などの漢字が、

多く使われていたようです。

所得倍増、人口増加、物価上昇、何事も右肩上がりの時代に

受験戦争、学歴主義、立身出世を子供に託す親の思いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これも時代の流れでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今どきの漢字を使った名前を否定するものではありませんが、

よく調べてつけないとあとで困ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「心」を使って「心太」なんて名前をうっかり付けないように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「心太」の読みは「ところてん」ですので。

 

 

 

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2019.07.02

「じめじめ」「むしむし」「しとしと」

梅雨になり、散歩で外に出る前には

必ず天気予報を聞くようにしている。

気象予報士の方からは

「じめじめします」とか「むしむしします」

などというコメントが、良く聞かれる今日この頃だが、

考えてみるとこの2つ重ねる「擬態語」「擬音語」は日本語には極めて多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キラキラ」「ギラギラ」「チカチカ」「テカテカ」「ピカピカ」は

いずれもモノが光っている様子を表す言葉であるが、

その光り方が違う、という感覚は小学生でもわかる。

転じて、ヒトの様子を表す場合も、

「彼はキラキラしている」と、

「彼はギラギラしている」

では、伝わる印象が全く違うことは明らかである。

「テカテカの一年生」ではちとマズイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ネバネバ」「ネトネト」「ベトベト」はいずれも、粘り気のある様だが、

さわったとき、「ネバネバ」は指につくが、「ネトネト」は指にはついてこない。

「ベトベト」は何かの表面部分だけが粘り気を持っている印象で、

「ペンキ塗りたて」は「ベトベト」ではあるが「ネバネバ」ではない。

また「ギトギト」となると、なんかアブラっこいものが光を反射するイメージがある。

二文字の反復だけでこれだけニュアンスが伝わるってすごいこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨も「ぱらぱら」「しとしと」「ざーざー」などの表現がありますね。

ムカシは「しょうしょう」というのもありましたが、

最近は文学作品以外は使われません。

国語の教科書に出てきた三好達治の『大阿蘇』の

「雨は蕭蕭(しょうしょう)と降っている」という一文で、

映画の1シーンのように、雨にけむる草千里の音と映像とが浮かぶのは

擬音擬態表現の極致です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事を食べるのにも

「ぱくぱく」「むしゃむしゃ」「がつがつ」「もりもり」「ぼそぼそ」

などあり、すぐイメージがわきます。

お茶漬けは「さらさら」だし、麺類は「つるつる」

あるいはもっとおちょぼ口で「ちゅるちゅる」食べる場合もあります。

どんぶり飯などを、かきこみながら食べるさまを

「わしわし」と表現したのはたしか椎名誠氏だったか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかも、この「擬態語」「擬音語」は、次々に新しく生まれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて「ぴちぴち」だった女子高生は

80年代ころから「るんるん」や「ぶりぶり」であったが、

90年代ころからは「きゃぴきゃぴ」になってきた。

最近はなんていうんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くたくた」や「へとへと」はワタシが子供のころからある表現ですが、

「ぐでぐで」や「へろへろ」は、おそらくあとから生まれた表現です。

いっぽう、「ぐでんぐでん」は酔っ払いの表現としてムカシから使われますが、

ある時期から「べろべろ」の方が台頭してきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パソコン処理などで使われるようになった「サクサク」は、

かつては野菜などを切る「擬音語」であったが、

近年、簡単にどんどんはかどる様子を表現する「擬態語」になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こういった、言語感覚は若い人の方が鋭く、

かつての「バリバリ」や「イケイケ」から、

最近では「アゲアゲ」や「きゅんきゅん」も若者言葉からですね。

新語、新表現もどんどん生まれている。

以前まだ、子供が小学生のころスイミングから帰ってきて

「耳が『ボハボハ』する。」

と、表現したが、なるほど、伝わるなーと思ったものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 語学は専門ではないので、

詳しいことは分からないのだが、

おそらく日本語は世界的にみてもこの「擬声語」「擬態語」が、

きわめて多用される言語なのではないか。

英語の「cry」「weep」「sob」などは、日本語的にはすべて「泣く」あるが、

これを日本語では

「ぎゃんぎゃん」「わんわん」「えんえん」「しくしく」「めそめそ」「ぐすぐす」「はらはら」

などの言葉で、細やかに使い分ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 てなことを「つらつら」考えながら「てくてく」歩いていると、

石段を上る段になって、またまたレディアが「じりじり」と後ずさりし

「ミシミシ」を始めたので、これ以上の散歩をあきらめ

「すごすご」と帰路につく。

「ウキウキ」した様子で家路を急ぐレディアの「プリプリ」した後姿を見ながら

「とぼとぼ」歩いていると、

こいつ、もうすぐ夏だというのにいまだ「モフモフ」だなあ、

などと思うのである。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.06.18

老人病と加齢性変化

先日もNHKで老眼の話をしていた。

40台を過ぎると遅かれ早かれ誰にでも現れる加齢性変化であり、

かくゆうワタシも、最近は顕著である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かねてから「老眼」という名称は良くない、と思っていた。

誰でもなるんだから、もっと別の名前の方が良いんじゃないか。

「シルバー・アイ」ではヒーローものみたいだから

「アダルト・アイ」なんてのはどうか、などと思っていましたが、

最近は「老眼鏡」という言葉もマイナスイメージなので

「リーディング・グラス」と呼ぶらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳鼻咽喉科領域でもかつての「老人性難聴」は

近年「加齢性難聴」と言い換えられることが多くなったようです。

患者さんへの説明にストレスが無く、助かります。

いっぽう、鼻粘膜の水分吸着能低下によりサラサラの水パナが出る

「老人性鼻漏」「老人性鼻炎」は現在までのところ

「加齢性~」という呼称は聞いたことが無いので、

ちょっとためらいがちに病名を告げます。(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

他には、年齢とともに声帯の緊張が低下し、かすれ声気味になる

「老人性喉頭」と呼ばれる病態や、

のどの協調運動や感覚神経の鈍麻による誤嚥などについても

「トシのせい」という言い方は身も蓋もないので、

「年齢を重ねることによりおこる変化です」

などということが多いですね。

この言い方はまことに具合がよろしい。

結局は同じこと言ってるんですけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今後高齢化社会になるにつれ、

こういったケースは増えてくると思いますが、

こっちがもう老人になってきてるので、

もうちょっとすると

「〇〇さん、こりゃ、トシのせいだ。

オレも最近、そうだけど、まだあんたの方がマシだ。」

「そうかい、センセももうトシだかんな、がははは。」

なんて感じで、あまり説明に気を使わなくても済むようになるかな。(^^;)

まあ、そんなに長く医者続ける気もないですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019.04.03

万葉集の読みは

 新元号「令和」の影響で、万葉集ブームが起きてるという。

(ところで、本日は「れいわ」は一発変換できました。(笑))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何事にもノリやすい、日本人の特徴ですが、

まあ、日本人の美点でもあるわけで、良いことでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、この「万葉集」の読みは、当然「まんようしゅう」ですが、

かつてはそうではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシが子供のころ、たぶん中学生のころかな、

学校で「万葉集」を習って、

そのことが、家族のお茶の間の話題に出たことがあった。

ワタシ的にはかなり鮮明に覚えている事件です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今は、国語で『まんようしゅう』やってるよ。」

といったワタシに、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おい、ヒロユキ、それは『まんにょうしゅう』と読むんだよ。」

と、あきれ顔の父がいう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「え?」

というワタシに、

さらに母が、すかさず、

「まちがいやすいのよね、知らないと『まんようしゅう』って読んじゃうわね。」

と、追い打ちをかける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、調べたところ、戦前は「万葉集」の読みは

「まんにょうしゅう」だったということが判明した。

当時はグーグルが無かったので、調べるのは大変だったが。

戦後、佐佐木信綱という国文学者が読みを「まんようしゅう」にしたらしい。

父も母も学校教育が戦前だから、そのまま覚えていたのであった。

事実を知って2人とも驚いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま読めば「まんようしゅう」と読みたくなるので、

かつてはこの読みは両親が学生時代のテストの有名なひっかけ問題だったりして。

ここに解説があります。「万葉集の書名の読み方の所説

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いま「まんにょうしゅう」を変換すると、一括変換はなく、

「まん」「尿臭」で分割変換され、

なにやら非常にマズイことになってしまいます。(^^;)

 

 

 

 

 

 

 

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