ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.02.21

花粉症の市販薬(グッズ編)

 され、いよいよグッズ編。
 様々なものがあり、私の知らないものも多いので、
何か質問があったらあとでコメント欄ででも投稿してください。
 まず、定番、「マスク」です。
 いうまでもなく絶対有効だし、これなしで花粉症の方がシーズンを過ごせるはずがありません。
薬のコマーシャルかなんかで、マスクしてメガネして鼻グスグスやってた人が、
薬を飲んだとたんに、すっきりしてマスクもメガネも吹っ飛び
ニコニコ微笑みながら空に舞い上がっちゃうようなイメージのものがありますが、トンデモナイ。
 どんな薬を飲もうと、どんな治療をしようとマスクをはずしてはいけません。
 マスクの種類としてはガーゼマスクより、不織布で出来た花粉症用マスクの方が優れています。
また、鼻のところにワイヤーが入った形でもいいですが、立体型のスヌーピーみたいなマスクの方が
より良いようです。
 ポイントは鼻のところ。ここがしっかりしてないと、ダメです。
極端な話、口は出てても鼻がかくれてれば良い。というわけです。
 ガーゼマスクでもしないよりは全然いいですが、
一旦はずしたあと間違って裏返しにかけるとやばいですよ。
もちろん毎日洗濯ですが、外に干したら絶対ダメです。
やはり使い捨てタイプがお勧めです。
 次、「メガネ」。
これは、ゴーグルタイプのものが出てますが、
普通のメガネでもひさしのある帽子と組み合わせるとかなりいいです。
目は、鼻と違って空気を吸い込みませんから、落下してくるのを防げばいいわけです。
コンタクトの人は、この時期メガネに変えてくださいね。
 「静電気防止スプレー」などで、花粉が衣服につくのを防ぐのは有効ですが、
フリースやニットでなく、ナイロンなどのウインドブレーカーを羽織るようにすれば、
それで十分です。マフラーも危ないです。
 「花粉除去スプレー」はおそらくアルコールで花粉を脱水・分解するものですね。
洗濯物についた花粉がどれくらい処理されるかは手元にデータがありません。
花粉はかなり丈夫なので、一旦乾いた洗濯物がまた湿るくらいスプレーしないと
完全な処理は難かしいかもしれませんね。
その前に「天気がいい日は外に洗濯物を干さない」、が基本です。
 「空気清浄機」は室内の花粉除去に少しは効果があると思いますが、
問題は
「空気中に浮遊している花粉しか除去できない」
という点です。
花粉は室内では落下して床や家具の上に落ちたり、静電気でカーテンなどに付着します。
それが、何かの拍子に舞い上がって(何ヶ月も)症状を起こしますから、
やはり一旦室内に入り込んだ花粉を完全に処理するのは、
タバコの煙のようなわけにはいかないです。
 スポーツ選手が良く使う「鼻腔拡張テープ」、鼻づまりには効果あるでしょう。
ただ、外出の時はより奥まで花粉を入れてしまうので室内や寝る時に使います。
 「鼻腔クリーム」は、鼻の回りに塗って、そこに花粉をくっつけて鼻の中に入れない、
というものらしいですが、鼻で息する以上、「マスクなしで」とはいかないでしょうなー。
鼻の中に塗っては、かえて花粉が長く鼻の中にとどまるので逆効果ですよ。
 えー、質問のあった「鼻うがい」ですが、
鼻の粘膜は敏感なので、浸透圧の異なった液体で洗うと繊毛が痛みます。
すると花粉の鼻の中の処理能力が低下するので、花粉症が悪化します。
また、中耳炎などを起こす恐れもあるので、あまりお勧めできません。
「鼻洗浄機」も同じですね。
 「布団乾燥機」「衣類乾燥機」、これらはイチオシです。
ともかく花粉シーズン、布団や洗濯物を外に干すのは厳禁です。
「空気清浄機」を買うんだったら断然コッチを先に買うべきです。
 えー、まだなんかありましたっけ?
 NASAの開発した光ファイバーがなんたら発光ダイオードを鼻に入れて、なんてのもあったけど
かなりマユツバで手を出すべきではないと思います。
よく読むとNASAは全然関係なかったりするし、
アメリカなんとかかんとか申請中ってのも怪しい。
 まあ、大事なのは「花粉対策に王道なし」。
花粉症をよく知り、なめずにきちんと取り組んでください。
くれぐれも、商品のイメージだけで、ヘンなものをつかまされないように。

コメントはまだありません
2009.02.20

花粉症の市販薬(健康食品編)

 さて、今回はその他の民間療法、花粉対策グッズについてのお話です。
 どんなものがあるかなー、と少し検索したら、出るわ出るわで、とてもすべては網羅できません。
主なものについてお話します。
 まずは、食品、サプリメント系。
 花粉症に効く、と最近ブームなモノに「ポリフェノール」があります。
ポリフェノールとは単一の物質ではなく、いろんな物質の総称です。
例えば「糖質」とかみたいな。そんなかに「ブドウ糖」とか「麦芽糖」とかあるわけですね。
 まあ、カテキンやフラボノイドといった物質が「抗酸化作用」があるため、
心臓病の予防にいいとか言われてるわけですが
「抗アレルギー作用」もあり、花粉症にも効く、
ということで、特に「甜茶」はブームです。
 で、どうかというところですが
「有効であるが、効果が出るかはあまり期待できない。」
と思います。
 例えば、焚き火にバケツの水をかければ消えます。
しかし、ビル火災でガンガン燃えてる時に、バケツ1杯の水をかけても何もおきないでしょう。
 効果というのはそういうもので、有効成分があるから効く、というものでは必ずしもありません。
一説にはワインのポリフェノールが花粉症に効果を出すのには
毎日ワインを40本は飲まなければならない、という試算もあります。
 まあ、そういった成分を含んだものを積極的に摂るようにする、という姿勢はいいですが、
「甜茶で花粉症を乗りきる。」というのはどう考えても無謀です。
 さて、そういった市販の食品などの中で、
学会できちんとデータをとって有効性が確認されてるものが一つだけあります。
 それは「ヨーグルト」です。
 リンパ球にはTh1とTh2があり、アレルギーのバランスをとっています。
Th1は主に感染に対して防御機構を強化させ、
Th2が優位な状態ではアレルギーが起こりやすいといわれてます。
 近年、感染症の減少と、抗生物質の幼少時からの多用による腸内細菌叢の破壊は
特に子供にTh2優位な状態を作り、アレルギー疾患の発症を増加させてるといわれてます。
この辺はいわゆる「衛生仮説」という理論の裏づけと考えられています。
簡単に言うと
「クリーンすぎる環境で育つとアレルギーの発症が多い」
という説です。
これ説明すると長くなるので、また別の機会に。
 ともかくヨーグルトにより腸内細菌の状態を改善することは、
「Th/Th2バランスを改善しアレルギーの発症を抑える」ことがわかっています。
 だから、別に「カスピ海ヨーグルト」でなくてもいいんです。
グリコでも明治でも、ヤクルトもOKです。
別に1日に40本飲まなくてもいいみたいです。
 ただ、やはり花粉症のときだけ飲むのではダメで、毎日こつこつ飲む。
さすがにヨーグルト飲んでれば花粉症は平気、ってほどは無理でしょうが、
アレルギー体質がひどく、ダニ、ホコリのアレルギーもあったり
アトピーもありなんて方はある程度の体質改善が期待できます。
 また、肉中心の食生活を魚中心に変えるのも、Th1/Th2バランスの改善に役立つといいます。
 以前、ある患者さんが花粉エキス入りで花粉症に効く、という漢方薬だか健康食品を
通販かなんかで購入して、飲んでました、とやってきました。
年配の女の方でしたが、あー、だまされちゃったのね。
値段を訊くと、これが結構な値段。
詳しくは覚えてないが、1万円以上したんじゃないか。
一説にはこういうものは高いものほどだまされやすいとか。
 花粉を飲んでも、花粉症は治りません。
 やっぱり、怪しげなものは一度耳鼻科で相談してから、がいいですよ。
甜茶入りミント飴くらいならいいですけどね。
 次回「グッズ編」です。

3件のコメント
2009.02.18

花粉症の市販薬(点眼薬編)

さて、予告どおり「点眼薬編」です。
 お断りしておきますが、私は耳鼻科医なので、「目薬」は門外漢です。
はっきり言って、よく分かりませんので、以下はある眼科の先生に聞いた話です。
いや、そこらへんの先生ではなく、有名な大学の第一線の教授で
ちゃーんと大阪まで聞きにいったアレルギーの学会で聞いたものです。
 えー、いきなりですが
「市販の点眼薬で、お勧めできるものは殆どない。」!
 いや、だから、これは私が言ったわけではないですから・・・・。
市販の点眼薬は、やはり血管収縮剤が入ってるので、連用によって
効果の減弱や、充血の悪化があるようですね。
まあ、血管は鼻ほど豊富ではないので、副作用も点鼻薬ほどではないようですが。
また、多くの物質が混合されてるのでかえって良くない、とのことでした。
 ともかく、涙液に近いあまり薬の入ってない目薬を、洗うように大量にさす、のがいいそうです。
もちろん、防腐剤なんかの入ってない、使い捨てタイプがいいみたいです。
ともかく人工涙液でジャブジャブ何回も洗う。
 しかし、「アイボン」とかいう、カップを眼に当ててじゃぶじゃぶ洗うやつ、あれは良くない。
目の周りの皮膚についた花粉を目の中に洗い落としちゃうからだそうです。
 おー、なるほど。
 前回お話した「インタール」、目薬としては効きます、とお話しましたが、
市販の点眼にも配合されてるものがあります。
ただし、量的に病院で出る「ナマの」インタールよりは少ないみたいので、効果は弱そうです。
 病院で処方される目薬は現在「第2世代の抗ヒスタミン薬」が、主流です。
これは、インタールのような「アレルギー反応抑制」の効果だけでなく、
「抗ヒスタミン剤」の持つ「かゆみを抑える効果」を併せ持つので、
より、効果が良くなってます。
 また、重症例には「ステロイド剤」の目薬も処方されます。
実は「第2世代の抗ヒスタミン薬」の目薬より値段が安くて、強力なのですが、
感染症の悪化や、眼圧の上昇などの副作用もありますので、
使用には注意が必要です。
 まずは「第2世代の抗ヒスタミン剤」の点眼をメインに、といえるでしょう。
 ということで、たまに使うくらいなら市販の点眼でもOKだが、
重症で、毎日何回も使う場合には病院の点眼の方がいい、というとこでしょうか。
 さて、次回は「その他の民間療法」についてお話します。

コメントはまだありません
2009.02.17

花粉症の市販薬(点鼻薬編)

 さて、今回は「点鼻薬編」です。
 市販の内服では、鼻づまりにはあまり効果がない、という話をしました。
 そこで「点鼻薬」の登場なんですが、まず結論を。
「市販の点鼻薬は使うべきではない。」
 おおー、我ながら何て大胆な結論なんだ。
さて、ご説明しましょう。
 市販の点鼻薬にはすべて成分として「血管収縮剤」が入っています。
成分名だと「塩酸ナファゾリン」とか「塩酸テトラヒドロゾリン」とかいう奴です。
病院だと「プリビナ」とか「ナシビン」とかいう名前で処方されることがあります。
 鼻はもともと血管が豊富でしかも粘膜下の浅いところを通っています。
だから、血管収縮剤を点鼻すると、血管の流れがせき止められて
すぐに鼻が通ってきます。
 しかし、血管は流れてなんぼ。
4~5時間たつと血管が再疎通してまた血液がどっと流れ込みます。
そうすると一時的に鼻づまりが悪化し、また元に戻ります。
 ところが、これを繰り返すと血管の収縮が悪くなり、血管の拡張が逆に遷延します。
つまり、使えば使うほど鼻づまりが悪化する、という状態に陥るのです。
 だから、市販の点鼻薬の注意書きには
「1週間以上連続して使用しないでください。」
と書いてあるのだが、読む奴ぁいねえ。
 そして「点鼻薬地獄」にはまり、5月になっても6月になっても鼻づまりが治らない。
という「シャブ中」みたいな経過をたどるのだ。
 ともかく、1週間で治るはずのない花粉症に血管収縮剤を使うべきではない。
こういった副作用に無知な内科医、たまには耳鼻科医までが
この手の薬を処方するのは全くもって情けないが、
少なくとも製薬会社の薬剤師、薬のデザイナーはこの副作用を熟知してるはずなので、
こういった薬を出すについては、何となく製薬会社の悪意が見え隠れする。
まあ、市販薬、即効性がないと使ってもらえないので、
こういった成分を入れざるを得ない、と言えないこともないのだが。
 さて、数年前から抗アレルギー成分、前回説明した「アレルギー反応を抑制する薬剤」が
市販薬にも認可されました。
成分名では「クロモグリク酸ナトリウム」病院では「インタール」という名前で処方される薬です。
 数種類の点鼻薬に配合されてます。
「抗アレルギー剤配合」などとうたってあります。
 しかし、問題点が二つ。
 一つは、インタール点鼻、たいして効かないです。
(おお、言っちゃっていいの?)
 インタールは初めての抗アレルギー作用を持った薬で、私が学生時代に発売されました。
講義で先生が、「全く新しい作用のアレルギーの薬は出た。」と興奮気味に話してたのを覚えてます。
(おかげでソディウム・クロモグリケイトなんて教科書にもまだ載ってない薬の一般名を
暗記しなければなりませんでした。)
 この薬、まずは「気管支吸入薬」続いて「点眼薬」「点鼻薬」が発売されました。
(内服薬は実用化に至りませんでした。)
この薬、吸入薬はかなり効きます。
点眼も、結構効きます。
しかし、点鼻は、殆ど効きません。
 この辺が、薬の難しいとこ。
理論と実際は必ずしも一致しないのです。
 かくて、「インタール」は吸入ではいまだ大事な薬、点眼ではまだ生き残ってる。
内科の先生は、吸入薬のインタールが効くので、点鼻も効くかと思って出すことはあるでしょう。
しかし、耳鼻科医で点鼻でインタールをメインに使う先生がいたら、
よっぽど薬に無知か製薬会社にリベートでももらってるかどっちかだ。
(副作用が極めて少ないので、子供や、重度糖尿病の人に使うことが無いとはいえませんが、
メインの点鼻薬ってことはありえませんぜ。)
 病院で使う薬で点鼻薬といえば90%以上、ステロイド剤です。
点鼻ステロイドは、効果も確実で、全身作用も少ないので花粉症の点鼻薬としては
唯一無二といってよい薬です。
 もう一つの問題点は、インタール配合の点鼻薬にも市販薬の場合は
「血管収縮剤」が配合されてるということ。
先に述べたように血管収縮剤は1週間以上連続して使ってはいけない薬、
一方、抗アレルギー剤は1~2週間後から効果が出てくる薬、です。
これ、矛盾してますね。
 さて、まとめます。
スギ花粉のシーズン中、市販の点鼻薬を何回か使ってそれで何とかなっちゃう人はそれでOK。
しかし、毎日使い続けて2本目を買うようになってしまった人、
鼻づまりがだんだん取れなくなっちゃう人
などは、耳鼻咽喉科を受診して相談した方がいいでしょうね。
鼻づまりの原因が、今使ってる点鼻薬のせい、ってことは結構多いですよ。
 次回は点眼薬編をお送りします。

3件のコメント
2009.02.16

花粉症の市販薬(内服薬編)

 
 気がついたら、ブログを初めてはや1年。
昨年の2月15日からなので2年目に入りました。
 300本以上、よく書きました。
読者も次第に増えて、いろいろご意見もいただき、有難いかぎりです。
 さて今日からちょっと花粉症の市販薬、民間療法の話をしましょう。
 第1回は、飲み薬編。
 花粉症の内服薬、病院の薬と市販薬では何がどう違うんでしょう。
 まず第1は眠気の問題です。
市販薬は、その主成分は「第1世代の抗ヒスタミン薬」です。
一般名で言うと「マレイン酸クロルフェニラミン」
病院では「ポララミン」という名で処方されることがあります。
 かなり古くからある薬で、それなりに鼻水を止める力もあるのですが、
相当強力に「眠気」を催します。
その眠気は
「あたかも眠気の底なし沼に、無理やり引きずり込まれるような眠気」で
あまり心地よいものではありません。
 そのため、市販薬にはほぼすべてに「カフェイン」が含まれてます。
いわば「徹夜で眠いので、コーヒーをがぶがぶ飲んで眠気をさます」という感じでしょうか。
 一方、病院では「第2世代の抗ヒスタミン薬」が中心です。
眠気は出るものもありますが、一般に軽く、中には全く眠気が出ないという薬もあります。
この薬は眠くならないので、航空機のパイロットが飲んでもいいそうです。
 ただし、薬の効果と眠気の間にはある程度比例関係がありますから、
眠くないけど、効かないでは困りますし、効くけど、眠くて飲み続けられないのも不都合です。
自分の体質と、症状の強さにあった薬を選ぶことが大事です。
 二つ目は、効果です。
「第1世代の抗ヒスタミン剤」は鼻水を止める効果はありますが、
いわゆる「アレルギー反応」を抑制する効果はありません。
 スギ花粉などのアレルギーの原因物質の侵入に対し、
リンパ球や白血球は様々な化学物質を放出して情報を伝達します。
それによって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー反応が起こるのです。
 第2世代の抗ヒスタミン薬にはこの「化学物質の放出」を抑制する効果があります。
ただ、この効果は薬を飲み始めて1~2週間後にピークになるので、
花粉症の症状が出る前から飲むとよいといわれています。
すなわち、続けて飲むことによって、薬の効果が良くなる、というこの作用は市販薬にはありません。
むしろ市販薬では連用すると、効果が減弱する、ということもあります。
 また、この作用によって、市販薬では効果のない「鼻づまり」にもある程度の効果が期待できます。
 ただ、鼻づまりはヒスタミンとは異なる、
ロイコトリエンやトロンボキサンという物質によって引き起こされることが多いですから
「抗ロイコトリエン薬」や「抗トロンボキサン薬」を併用するとよりよい効果が得られます。
これらの薬剤は市販薬には全くありません。
 以上をまとめると、
花粉症のシーズン何回か市販薬を飲めば大丈夫、という方はそれでOKです。
しかし、眠気が困る、とか、
シーズン後半に症状が抑えられなくなる、とか、
鼻づまりがひどくて夜、寝苦しい、といった方は、
病院に受診して適切なお薬を処方してもらうといいと思います。
 さて次回は「点鼻薬編」ですよ。

2件のコメント
2009.02.15

東風(こち)吹けど、匂いおこすなスギの花

 昨日、(14日)花粉飛びましたね。きっと。
 朝、イヌの散歩行くと、雨上がりで生暖かい。
んー、花粉飛ぶな。
私自身は花粉症はないが、長年の勘でわかっちゃうのだ。
 耳鼻科医になってから、やたら天気、気象に詳しくなります。
花粉症にしろ、インフルエンザにしろ、プール熱、ヘルパンギーナ、手足口病etc.
耳鼻科の病気の診断には季節的な背景が大事。
(もっとも、最近は真冬に手足口病をみるけど。)
 天気予報は、毎日必ず見る。
特に、天気図が良くわかるようになる。
今日は晴れです、とかではなく、低気圧がどうの、等圧線がどうの、
で天気がイメージとしてつかめるようになる。
 週間天気も大事。
特に、これから花粉症の季節は、1週間分の天気くらいは暗記してないとダメ。
毎日ドキドキしながら天気予報見てますね。
あー、こりゃ週末は大変だぞー、とか。
 スギ花粉は前年の夏の気温、日照で決まりますので、夏も天気が気になります。
個人的には、夏は暑いほうが好きだったのですが、スギ花粉が夏の気温に影響すると知ってからは、
暑い夏は、心情的に複雑です。
真夏から、来年の春の花粉を気にしてるって人は花粉症の方でも少ないかも。
 まあ、そんなわけで、今日からは家族のために、
花粉症のない私も、外出の際には帽子、ウインドブレーカーは必ず着用します。
今日も花粉が多そうです。
患者さんの皆さんも、ちゃんとガードしてくださいね。

 
 

コメントはまだありません
2009.02.04

備えあれば

 さて、今年もあのいやな季節がやってきます。
そう、スギ花粉症。
 いまや国民病とも言われますが、今年もかなり飛びそうです。
 花粉の飛散量は前年の夏の気温、日照で決まることが近年わかってきました。
昨年は、梅雨明けが早く猛暑でしたが、お盆過ぎに天候不順になったので
花粉の量は平年よりやや多目くらい、というのが私の予想です。
 花粉症は初期治療といって、症状の出る前から薬を飲むことで
アレルギー反応の発現を抑えることが出来ます。
その効果のピークまでに2週間ほどかかるので、
花粉が飛び始める2週間前から飲むのがベストといわれてます。
 患者さんが薬を取りに来ます。
「花粉症の薬をください。」
「どれくらい、出しましょうか?」
「どれくらい出せるんですか?」
「いくらでも出せますよ。」
というと、初めての患者さんはびっくりされます。
 7~8年前ですか、それまで「2週間が限度」だった健康保険の規定が変わって
「医師が必要と認める期間まで」
と、処方箋の限度日数が変わりました。
 当院では、基本的に血液検査をしてるので
スギ花粉症なら2ヶ月間、ヒノキもあれば3ヶ月間をまとめて処方します。
だって、それだけ必要と考えられますからね。
 もちろん、病院の収入とすれば、1~2週間にいっぺん通院してもらった方が
利益が上がります。薬局も、現在は薬価差益(薬の仕入れ値と売値の差)が
原則0円なので、調剤料が稼げないので長期処方は不利です。
でも、患者さんにとってどっちがいいかといえば、長くもらっといたほうがいいに決まってます。
忙しくて薬を取りにいけず、花粉症のピークの肝心な時に薬が切れちゃったら大変です。
そもそも、花粉症の頃の耳鼻科は混んでるので、余りかかりたくありません。
 そんなわけで、当院では必要な分を2ヶ月でも3ヶ月でもまとめて持ってってもらう方針です。
自分がかかるならそういう病院のほうがいいですからね。
患者さんも、受診の手間ばかりではなく、再診料、処方箋料の点で助かるはず。
1年に一回しか会わない花粉症患者さんはいっぱいいます。
 年に一回来て、昨年の状況を聞き、今年は昨年と比べて花粉の量がどうだから、
去年より薬を増やそう、、減らそう、あるいは強くしよう、弱くしよう、などと相談して
今年の分を持ってってもらうのです。
もちろん、花粉症の一般的な注意事項や、最新のトピックスもお伝えします。
 そもそも花粉が飛び出したら、外出は控えたほうがいいので、
そんな時、病院なんか来るべきではありません。
花粉症の治療で病院に来たって、鼻の処置や吸入はあまり意味が無いばかりか
かえって発作を誘発しちゃうので、副鼻腔炎などの感染症を併発した人しか行いません。
 もちろん、薬を飲んでいてコントロールの悪い人や、合併症を起こした人は受診してもらい、
原因と対策を相談します。
 さあ、恐怖のシーズンはもう目前です。
まだ薬とリに来てない人、早く来てくださいね。

2件のコメント
2009.01.31

レーザーの季節

 インフルエンザが猛威を振るう中(俺もかかったんだからホント猛威だ)
毎日毎日、花粉症のレーザー治療が多い。
 花粉症の発症前に、鼻腔の粘膜をレーザーで焼いておくと症状が軽くなります。
この治療は、花粉が飛び出す前に済ませておくことが必要なので
1月が治療のピークなのだ。
 鼻の中に局所麻酔剤のガーゼを入れて、15分~20分しみこませる。
そして、その後レーザーで鼻の中の粘膜を焼くわけだ。
 多少痛みを感じる人もいるが、粘膜が焼けるので「くさい」と訴える人は多い。
しかし、昨日の患者さんは
「蒲焼きのにおいがする。」
と言ってた。
あんたの鼻はウナギか?
 保険がきいて手術点数は1000点くらいだから数千円で出来ます。
 実は、当院は多分この界隈では一番早くレーザーを導入してます。
そこらへんの総合病院より前からレーザー手術やってました。
と言うのは、大学病院にいた頃アレルギー性鼻炎を専門に研究してて、
まだレーザーの機械が市販される前から、メーカーとともにその開発に携わってたのです。
当時は、まだもちろん保険適応はなく、大学の研究としてやってました。
 それで、開業当初、まだろくに患者さんもいないのに採算も考えず
数百万もするレーザー、買っちゃったわけです。
(もちろん月々数万のリース契約ですけど。)
 そーいや、20年近く前、テレビで花粉症の究極の治療としてレーザー手術が紹介されてました。
当時、やっと保険適応されたか、されないか位だったかと思いますが、
紹介されてたのは耳鼻科医ではなく、東京の形成外科かなんかで、
驚いたのは、保険外で十数万の値段を提示してたこと。
あくどいなー。
しかも、耳鼻科医でないので多分充分奥まで焼いてないだろうし。
 まあ、当院はそんなわけで、もう延べ1000人以上の鼻は焼いたと思います。
(何とか、元は取りましたね。)
 正直、手間かかってメンドくさいのだが、スギ花粉症を少しでも楽にしてあげたいので
頑張って毎日毎日何人も焼いてます。
なるほど、7月の土用丑の日の頃のウナギ屋って、こんな感じなんだろうか?

6件のコメント
2008.07.25

猛暑の憂鬱

 今年は、梅雨明けもしっかりして、連日猛暑が続いています。
 気候と言うのは、社会、経済に与える影響が甚大で
猛暑になると、消費電力が増大して、電力不足になるとか、
ラーメン屋がすいて、焼肉屋と回転寿司が込むとか、
熱中症で病院に運ばれる人が急増するとか。
 逆に、冷夏だとビールの消費が低迷するとか、
海の家が経営危機になるとか、
まあ、いろんなことがあり、それぞれ悲喜こもごもだったりするわけです。
 そんな中で、我々耳鼻咽喉科開業医が心配することといえば、
「来春のスギ花粉の飛散量」です。
 スギ花粉の飛散量は、毎年毎年大きな差がありますが、
その量は前年夏の気温、日照によって決まることはもはや経験的に証明されてます。
 昨年の夏の猛暑によって、(熊谷は40度を越えましたよね。)
今年のスギ花粉が多いことは昨年の秋の時点ですでにわかってました。
スギ花粉は平成17年に過去最高の花粉量を記録してますが、
それは平成16年の記録的猛暑によるものです。
 平成16年の夏、私は周囲の者に、こぼしていました。
「この調子だと、来年の春は大変なことになる。ナントカしてくれー。」
まるで、連休最終日の東名自動車道で、沼津あたりを走りながら
「この先60キロ、45キロメートルの渋滞あり」
なんて、今は順調に走ってるけど絶対そこにはまるのを避けられない・・・、って感じ。
 もう秋口から、そのことを思い出すたびに憂鬱でした。
さすがにお正月を過ぎた頃には、運命を受け入れて、よーし、来るなら来いと、開き直ってましたが
でもやっぱり怖かったです。
 今年の春も大変だったしなー。
(このブログの「花粉症」というテーマをクリックすると、今年の私の苦しみがつづられています。)
 だから、今年の夏も
「おー、梅雨も明けて、夏はやっぱ暑いのが夏らしくていいなー。」
と、思いつつも
心の片隅にチクチクといやな予感の芽生える夏なのです。

コメントはまだありません
2008.04.08

点鼻薬にご用心

 朝からじゃんじゃん雨[emoji:v-279]が降り、久々に落ち着いた外来です。
特に、栃木県は、今日、始業式なので午前中は、ついに待ち人数「0」が出ました[emoji:v-363]
 しかし、最近来る患者さんで、こんな方がいます。
「花粉症で、市販薬でしのいでいたのですが、ここの所鼻づまりがとれなくて・・・。」
鼻を、ずびずびしながら、訴えます。[emoji:v-400]
 もしやと思ってたずねます。
「点鼻薬、使ってますか、市販の。」
「ええ、もう手放せなくて・・・。」
 ああ、と外来に流れる、ため息に似た空気。
もう、職員みんなも、この人の鼻づまりの原因がわかっちゃいました。
まあ、門前の小僧何とやらではないけど、診察しなくても、医者でなくても診断がついちゃうんです。
 そうです。市販の点鼻薬を連用することによってもたらされる鼻づまりなのです。
 市販の点鼻薬はすべて、血管収縮剤という成分が含まれています。
鼻の中は血流が豊富で粘膜下の浅いところを走っているので、血管収縮剤によって、鼻づまりは劇的に良くなります。
しかし、血管は流れないと困るので、4~5時間立つと血管が再開通して、一時的に血管が拡張して
また、元に戻ります。
それが、連用すると、だんだん収縮がうまく行われなくなって、拡張だけが残るようになります。
 一般に1週間連用すると、確実にこの副作用が出ます。 患者さんは良くならないので、どんどん点鼻薬をつけると、ますます鼻づまりがひどくなります。
使えば使うほど、悪くなるという、恐ろしいことになってしまうのです。
まるで、麻薬か覚せい剤みたいです。
 よく見ると、点鼻薬の添付文書には「連用しないこと」と、ちっちゃく書いてあるはずです。
でも、知らない人がほとんどです。
 具合が悪いのは、お医者さんでも、この事実を知らない人が結構多いということです。
なかには、耳鼻科医でもよく知らない(と思われる)人がいます。[emoji:v-388]
 5月、6月になってもこの手の人が来院します。今年は結構多いんだろうなー。
 治療は、点鼻薬をやめることです。皆さん、半信半疑ですが、1週間後、うそみたいに良くなります。
もちろん、もとの鼻づまりの原因のアレルギー性鼻炎とかの治療をしなければなりませんが、
調べても、スギ花粉症だけっていう人が6月ごろにきた場合は、薬やめるだけでよくなっちゃうので、バカみたいです。
 ただ、長びく鼻づまりから、蓄膿症になっちゃってる人も結構多いので(今日の人もそうだった)
ご注意ください。

 知らない人に教えてあげましょう。[emoji:v-319]

コメントはまだありません
医療系をまとめました。
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
最近の投稿 最近のコメントカテゴリー アーカイブ