2016.03.02
気象庁の発表だとこの冬、関東地方は記録的な暖冬だったらしい。
へー、そうなの、けっこう寒いじゃんとも思うが、
たしかに年末から年始にかけては暖かだった。
1月も暖かだったが2月になり寒波が来た。
そして、その影響か昨年中はインフルエンザが全く出ず。
1月中もインフルエンザが流行らず、今年はないんじゃないの、なんという甘い期待を抱いていたら・・・
2月になって寒波とともに、突然流行が始まり、患者数激増(T_T)
しかも、A型とB型が同時に流行するという異常事態。
そして、花粉症も始まってしまった!(>_<)
まさに盆と正月が一緒に来たような騒ぎ?
いや、めでたいことではないので「泣き面に蜂」ですね。
天皇陛下もインフルエンザA型だそうで、お大事になさっていただきたい。
やっぱ、鼻に綿棒入れて検査したんでしょうね。
「では、陛下、失礼いたします、御免!」なんて・・・・。
毎日、患者さん診てますけど、今のとこワタシを含め当院スタッフは誰もかかってません。
皆様もお大事に。
暖冬で花粉も多くなりそうだなあ・・・ (・_・;)
2015.03.31
連日猛威の花粉症ですが、桜が開花したことで
スギ花粉のピークはおそらく越えつつあると思われます。
そして、桜開花とともに増えてくるのがヒノキ花粉。
これから徐々に増え4月上旬にピーク、4月末まで飛びます。
スギが多い年は、ヒノキも多いことが多く注意。
スギ花粉と、ヒノキ花粉には一部共通抗原性があり、
スギ花粉症の方の半分近くの方がヒノキ花粉症を合併しています。
ヒノキ花粉もお持ちの方はなお一層のガードが必要。
ところで、時々外来で患者さんがおっしゃる
「私は、スギよりも、ヒノキの方が強いんです。」
という言葉。
間違いです。
スギ花粉とヒノキ花粉に対するIgE抗体価について、
これまで何千人も調べてきましたが
スギ花粉よりヒノキ花粉の抗体価の方が高い人は、まずいません。
もちろん、抗体価そのものが重症度と完全に相関するわけではなく、
現行のIgEの測定法ではヒノキの抗体価が
低く見積もられてる可能性もあるという文献もありますが、
有病率を考えてもスギよりヒノキの方が抗原性が高いとは思えません。
では、ナゼか?
ポイントは、先にスギが飛ぶ、ということ。
アレルギーの発症には抗原である花粉の鼻粘膜への侵入がスタートですが
シーズン最初、アレルギー症状が出るまでにはある程度の花粉量が必要です。
しかし、いったん症状が出て、鼻粘膜にたくさんのアレルギー細胞が動員されると
今度は、少しの花粉でも発作が出ます。
場合によっては、実際に花粉が来なくても温度、気圧、湿度の変化や
埃っぽさなどの機械的刺激でも容易にアレルギー症状が出ます。
すなわち、あらかじめスギ花粉で痛めつけられたところに
ヒノキがやってくるので、より症状が強く感じられると考えられます。
だから、薬やマスク、生活習慣を管理して
きちっとスギ花粉のコントロールができた人は
ヒノキもそのまましのげますが、
スギ花粉症の治療を怠って症状がひどかった人は
ヒノキはさらにひどく感じられると思います。
てな話をこれから一月近く、毎日何回もしゃべるのか―(T_T)
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特にページ下の方からの花粉百人一首はおススメです。
2015.03.18
まさしく鼻に注射を受けて、その副作用なのか、以前よりも鼻の調子が悪くて調べていたところに 先生のブログを拝見しました。 一年中、鼻炎と鼻詰まりに何年も悩まされてレーザー手術も受けましたが、全く効果もなく、お薬もセレスタミンやステロイドの点鼻も含めて、多数試しましたが、どれも効かず、2年半ほど前に最近、派手に宣伝している都内のあります某クリニックでエタノールとステロイドの混合の粘膜注射を受けました。その直後から、後ろに流れることはほとんどなかった前に流れ出ていた鼻水が後ろに流れるようになりました。そのクリニックで先生に話してみましたが、鼻粘膜の腫れも引いていて、見た目もきれいと説明をされました。 鼻をかんでもふさがった感じがしてほとんど出てこず、代わりに喉にずっとたれ流れるというのが続いています。今まで、何とかごまかしごまかしで過ごしていましたが、去年から副鼻腔炎を何度も繰り返し、慢性になったのではと思いCTを撮ってもらいましが、副鼻腔はきれいで、ほぼ完治しているといわれました。副鼻腔炎になる都度、抗生剤クラリスを1か月、ノイチーム、ムコダイン、メジコンなどを処方してもらっています。なんとか、後鼻漏だけの症状まで今までは回復していたのですが、2月中旬よりかかった副鼻腔炎は現在はたまに白っぽい鼻汁と卵白みたいな鼻汁がずっと喉にたれて、咳、喉痛が残っています。 これは、注射により、粘膜の排出機能に異常をきたしているのでしょうか?また、回復の可能性はあるのでしょうか?
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うわー、すごいの来ましたね。
もともとのワタシの記事はステロイド局注は危険なのでダメですよ、という内容
なのですが、これは良くわかりませんね。
ネットでちらっと検索したら多分これだな、というクリニックがあったのですが、
打ってる注射の中身は「エタノールが主成分」と書いてあるけど、詳細不明です。
ステロイドの鼻腔粘膜注射で失明の事例があったことは事実ですが、
ここの注射がステロイドが入ってるかはちょっとわかりません。
そんなに良い治療なら学会で発表され各医療施設で追試がされ、
効果と安全性が明らかになれば、保険適応になるはずですが、
2003年に考案された割にはいまだそこのクリニックでしかできない、
ってとこが謎ですね。
しかも、片側10万円、両側だと15万円だそうですが、
まあ、フツーは両側やらないと意味ないから、1回15万、ってことですね。
中身が15万のアルコールって、ビンテージワインでも打ってるのかなww
そんなわけで、この件については残念ながらきちんとお答えできません。
ゴメンナサイ。
昨日も、今まで花粉症で毎年脂溶性ステロイドのケナコルト打ってたという人が来ました。
この辺では、どこも打ってくれないので埼玉県まで行って打ってたそうで、
(そりゃ、まともな医者は打ちませんがな)
副作用の説明もなく、今まで運よく何もなくて良かったですね、とお話ししました。
まあ、いろんな、医者がいるわけだ。
そういや、この間は「レメディ信者」の患者さんが来て困ったなあ。
2015.02.27
先週のことになりますが、市内の長崎病院の院内勉強会に招かれ
花粉症のお話をしてまいりました。
院長の長崎先生はフットサルでも普段からお世話になっております。
あちこちで講演を依頼されることがありますが、
何の話をするときでも、ワタシの講演の最初のスライドは
浦和レッズと決まっております。
今回は昨年11月の佐賀県鳥栖スタジアムに行った時の写真です。
今回は、お医者さんだけでなく
看護婦さんや事務の方もお聞きになるとのことでしたので、
わかりやすい話を心掛けましたが、
うまく伝わったかなあ・・・。
そして、何の話をするときでも
最後のスライドはバンドの宣伝と決まっております。
みなさん、最後まで真面目に聴いていただき感謝です。
ありがとうございました。
2015.02.08
2月になり、スギ花粉症のシーズン到来も間近である。
さて、いきなりだが昨年12月のことである。
当院は水曜日の午後は休診であるが、
その日は診察室に撮影機材を携えた人々が訪れ、ある撮影を行った。
インターネットの医家向けサイト「m3.com」の1コーナーに
ワタシが登場することになった。
ワタシといえばロックや、バンド、サッカー関係の取材ばかりかと思いきや
本職は医者(!)なのでタマにはこういうこともあるのだ。
花粉症のシーズンに合わせて配信されるお医者さん向けのコンテンツで、
患者さんの診察風景も交えて花粉症の薬剤の使い方をコメントする、という内容。
インタビュアーのお姉さんと、手前の人が「監督」です。
セリフ2つだけだけど、撮影機材もスタッフも多く本格的である。
チョー、キンチョーする。
セリフ原稿は一応ワタシが書いたもので、
たった2このセリフなのだが間違わないようにカンペがある。
実は患者さん役の彼女の顔の前にあるのだ。ww
... 顔、ひきつってんなー。
ああ、テレビコマーシャルに出演するスポーツ選手の気持ちがわかるわ。
「やっぱり、ナボナはお菓子のホームラン王です。」
一応、診察してる様なシーンも撮影。
あれ、ちょっと、鼻炎ありますね、マジで。
何とか無事撮影終了。
1月末からネットで配信されてます。
しかし、このコンテンツ、シリーズものでワタシは第2回だが,
第1回はナント、日本医大の大久保先生じゃないですか。
我が国のアレルギー性鼻炎関連では、
まず知名度、実力ともにナンバーワンのドクターでしょう。
他にも、有名な先生ばかりで、なんか一人だけ雰囲気が違うような・・・・。
ネクタイしてないし・・・。(そこだけじゃないけど・・・。)
バンドでライブの方が、全然ラクでした。
2014.10.05
来週10月8日からスギ花粉に対する新薬が使えるようになります。
新薬「シダトレン」はスギ花粉に対する「舌下免疫療法」の薬です。
従来の薬は内服、点鼻を問わず症状を抑える「対症療法」であるのに対し、
この舌下免疫療法は花粉症の体質そのものを改善する「根治療法」であるところが大きな特徴です。
スギ花粉のエキスを連続的に舌下から取り込むことにより
スギ花粉に反応しない体に変化させることを目標にしてます。
実はこの治療効果のメカニズムは完全に解明されてはいないのですが、
治験(クスリの臨床試験)でよい効果が認められたため今回の発売となりました。
そもそも、免疫療法はかつて「減感作療法」と呼ばれ古くから行われてきた治療法ですが、
以前は皮下注射で行っていました。
メカニズムは分からないが、
少しずつ温度を高くすると熱いお風呂に入れる、とか、
ちょっとづつニンジンを食べるとやがて食べられるようになるとか、
最初はすぐ酔っ払っちゃうが鍛えるとお酒に強くなるとか、
そういう「経験的発想」で始まった治療法なんだろうなあ。
個人的には「免疫療法」については
いつも子供の頃読んだ「伊賀の影丸」を思い出してしまう。
この漫画に出てくる忍者「村雨兄弟」は
小さい頃から少しづつ毒をのまされて鍛えられたので毒薬による攻撃が効かないのだ。
これも説得力があるようなないような・・・・・。
当時は、おおおお、と感動したのですが。
閑話休題。
ワタシも大学病院時代アレルギー専門外来を担当してたのでこの治療法はさんざんやっていました。
ただ、即効性がない、全員に効果が出るわけではない、
うえに毎週1~2年間通院して、注射を打たねばならない、
注射によるアナフィラキシーショックの恐れがある、
ということでなかなか一般的な治療法になりませんでした。
今回、注射でなく舌下に滴下する薬になったことにより、
注射に通わずとも自宅で治療できる、
ショックの可能性が減少した、
ということにより普及が期待されています。
ただし、注意点がいくつか。
①先程も書きましたが、即効性のある療法ではない。
効果が出るには1~2年、
維持を含め3~5年のスパンで取り組む治療です。
②これも述べたとおり全員に効果があるわけではありません。
多くの人は何かしらの程度で効果が見られ、
スギ花粉症が感知する人もいる一方、
まったく効果の見られない人もおり
それを治療開始前に選別する方法は今のところありません。
③現時点ではスギ花粉のみの治療で、他のアレルギーには効果がありません。
④また、患者さん側の条件によって治療を受けられない人がいます。
いまのところ、12歳未満の子供さんもダメです。
⑤治験段階ではみられていませんが、
アナフィラキシーショック等の見られる可能性はゼロではなく、
そのためどこの病院でも受けられる治療ではありません。
学会の主催する講習会に参加し、
証明書の発行を受けた上で
さらにインターネットでの講習を受け、簡単な試験に合格した医師で、
登録された医療機関でないと、この治療を行うことができません。
当院は、昨年9月、第1回の講習会に早々参加し、
ワタシも副院長も登録を済ませておりますので治療可能です。
こちらのホームページに解説がありますのでご覧いただき、
治療希望の方は当院にご相談ください。
2012.03.02
今飛ぶといひしばかりにスギ花粉、
弥生の月を待ちいでつるかな
【解釈】スギ花粉が今すぐ飛ぶと言ったばかりに、待ち続けついに3月(弥生の月)になってしまったことだ。
【解説】2月にもうすぐ花粉が飛びますよと(オグラセンセイが)言ったので、
その気になって待ち構えていたら
(ロクに飛ばないうちに)3月になってしまったという花粉症患者さんの
ほっとしたやら、しかし、これでいいのかというゆれる心を歌った歌。
初期治療として、花粉情報を見ながら始まりそうになったらら飲み始めてね、と言われ、
早々、1月下旬に薬をとりいって待ち構えていたが、
一向に花粉情報では、関東地方の全体が青色の「少ない」から動かない。
【語訳】「今飛ぶと」:「今」は「すぐに」の意味
「いひしばかりに」:「し」は過去の助動詞「き」の連帯形で、「ばかり」は限定の副助詞。
「まちいでつるかな」:「待ちいづ」は「待っていて出会う」の意。
完了の助動詞「つる」の連帯形と詠嘆の終動詞「かな」が付いている。
(用例)「まちいでつるかな」⇒「待っていて出会ってしまったことだよ。」
「あれはつるかな」⇒「あれはつるなんだろうか。」
「それはかめかな」⇒「それはかめなんだろうか。」
「これはこみねかな」⇒「これはショーグンさまの娘。」
今年の冬はやけに寒く、記録的な大雪や低温を観測してるようだが、
影響でスギ花粉の飛散開始も大きく遅れています。
まあ、1月末から多少なりとも洩れとんではいるのだが、
一般的な飛散開始とはまだ言えません。
梅の花なんかも開花が遅れてるようで、
梅まつりなんかを毎年やってる梅林なんかは、
お客さん来なくて大変みたいですね。
もともと、今年はスギ花粉飛散量は少ないだろう、
と言われたこともあって、患者さんの関心は一般に低く、
薬とリに来る人も少ないみたいです。
一因には昨年は花粉量はそれなりに多かったのだが、
意外とみんな軽く済んだ方が多いという事実。
花粉が一番多い時に地震で原発が爆発して、
特に子供たちに「外出ちゃイカン」ということが徹底したため、
花粉暴露量が少なかった。
しかも、ガソリンも無くなっちゃったので、
おとーさんもゴルフに行かないし、
おかーさんも、買い物はなるべく出ないで
まとめ買い、家にあるもんで何とかする、
なんてことが多かったので、
日本国民(特にここら辺)の人は総じて花粉吸入量が少なかったはず。
みなさん、油断しないでください。
まあ、このまま少なく推移すればいいのですが。
ただし気になることがひとつ。
スギ花粉はもう夏のうちに作られて、できています。
これを、スギの木は春のうちに残らず吐き出すのだ。
開花が遅れた梅は、早咲き、中咲き、遅咲きが一気に開花して、
帰って楽しめる可能性もあるとニュースで言ってました。
もし、気候の関係でたまっていたスギ花粉が一気に放出されたら・・・・・。
花粉量はトータル量も重要ですが、
実はピークの花粉数は発症者数に大きく影響する。
スギ花粉は1個や2個入っても、症状は起きません。
ただし一時に大量に吸って花粉症が発症すると、
その後は、少量の花粉、さらには花粉でなく、
温度、気圧、湿度、機械的刺激(埃っぽさなど)別の刺激でも、
花粉症の発作が誘発されます。
今年は大丈夫じゃんなどと思ってるスギ花粉症の方、
雨の上がった後など、くれぐれも厳重にご注意を。
これを機会に、また花粉症の事をよく知りたい、という方は、
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