ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2015.11.18

「クローズアップ現代」放送されました。

 

 今日は何とか7時半までに診察を終わらせたい。

 

 

 

 先日取材のあった「クローズアップ現代」の放送日なのだ。

録画予約はしたけど、ナマで見たいなあ。

 

 

 

 

 ということで、200人くらい来院あったがなんと7時28分に終了。

ソッコー帰ってテレビつける。

ちょうど天気予報であった。

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 お、始まった♪

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 わ、いきなり出た。

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 ディレクターの方から当日メールいただき、

前半部に出ますみたいな連絡は受けてましたが。

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 けっこう出てます。

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 今回のテーマは「耐性菌」。

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 事前取材を含め、2日にわたりかなり多くのインタビューを受けた。

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 その後もディレクターの方とメールでもやり取りしたり、電話での質問にも答えたりした。

その甲斐あって、ワタシの意見がきちんと反映されていたように思います。

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 それにしてもこんなにどアップになるとは・・・・。

そうか、この番組名は「クローズアップ現代」(^-^;

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 このシーンはやらせではありません。

反復性中耳炎のお子さん、

今日は治ってるでしょうと思って診てみたら中耳炎が再燃してたので

思わず間抜けなセリフを言って全国放送されちまった。

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 鼓膜切開のシーンも出ました。

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 うーん、でもハズカシイ。名前でてるし。

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 薬局のショーグン様も出てました(^O^)/

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 メインのこの先生の話もとてもよかった。

(バックにオレ映ってますが)

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 医療番組っていうと、視聴者に「えーっ」といわせるために、デフォルメが多くて

医療サイドからすると「?」な作りが多いので、実はけっこう心配していたのだ。

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 今回、非常にまじめな作りで、いろいろお話した甲斐があったと思います。

なんせ、放送前日の午後まで電話かかってきて「教えてほしいことがあるんですけど・・」

なんてことがあったのでギリギリまで編集してるんだなあと思いました。

(オレの講演会の発表と同じだ。(^^)v)

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 ともかく、そんなわけでNHK出演しちゃいました。

「クローズアップ現代」、良い番組だと思いました。

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 オレがNHKに出るとしたら、ゼッタイ「BSオヤジバトル」だと思っていたが、まさかの医療番組でしたね。

 

 

 

 

 え、一番出てみたい番組ですか?

 

 

 

 

 そりゃもちろん「紅白歌合戦」ですがな。(^O^)/

 

 

 

2件のコメント
2015.10.27

チューブ留置後の耳漏についてのご質問

 

 

はじめまして。子どものことで困り果てていろいろ調べていてここにたどり着きました。7/30日にアデノイド切除とチューブ置換の手術を受けました。その後、何度か急性中耳炎による発熱などがありました。今は、耳だれはありますが落ち着いています。菌の培養も何度かしましたが菌は検出されなかったそうです。アレルギーからくるものかもしれないということでここ一カ月は点耳薬とアレルギーに対する服薬を継続しながら週に1回の通院を続けています。次回は血液検査をすると言われました。先生方もげ耳だれの原因が特定出来ないようです。片耳からは血のような耳だれも出てきます。先生から助言をいただけたらと思いコメントさせていただきました。よろしくお願いしますm(_ _)m

 

 

今日、久しぶりに発熱。耳だれも増えました。はなも詰まっていて出てこないようです。どうしてあげたらいいんでしょうか?本当に悩んでいます。

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 以上の様なご質問いただきました。

 

 

 

 

 大変ご心配ですね。

 

 

 

 

 ご質問に正確に答えるにはいろいろ情報が足りないですし、

実際に診察していないので的確なお答えはできません。

 

 

 

 

 

 そこでチューブ留置術後の耳漏に対する当院の一般的な方針をご説明します。

 

 

 

 

 まず、耳漏は術後からずっと続いているのでしょうか?

 

 

 

 

 耳漏があること自体が正常ではないので発熱がなくても「落ち着いている」とは言えません。

 

 

 

 

 通常は外耳道に出ている耳漏培養は陰性でも、中耳には菌がいるはずなので、

上咽頭の培養を参考に抗生剤の内服、点耳を行います。

 

 

 

 

 

 その際耳漏の上から点耳をしても中耳には至らないので、

外耳道からチューブの中まで十分吸引管を入れて鼓室内の膿を吸いだしてから点耳します。

 

 

 

 

 

 その際、連日耳浴をするとより効果的です。

 

 

 

 

 

 それでも耳漏が停止しない場合はチューブをいったん抜きます。

 

 

 

 

 

 チューブ周囲に細菌がバイオフィルムを作っている場合があるからです。

 

 

 

 

 

 チューブ抜去後にしばらく穿孔が残りますから、そこで同じように耳浴をします。

 

 

 

 

 

 

 おそらくそれで耳漏は止まりますが

穿孔がそのまま残る場合と、閉鎖してまた浸出液がたまる場合があります。

 

 

 

 

 

 

 穿孔が残って乾いていればチューブ留置状態と同じですからそのまましばらく様子を見ます。

 

 

 

 

 

 

 たまった浸出液が抜けなければ、まず鼓膜切開、それでも再貯留する場合は再チューブ留置を行います。

 

 

 

 

 

 チューブを抜くということはちょっと勇気がいりますが、

あらゆる方法をとっても耳漏が停止しない場合は検討されるべき重要な選択肢だと思います。

 

 

 

 

 

 以上あくまで、当院の一般的な方針で、ご質問のケースにはそぐわないかもしれませんが、

少しでもご参考になれば幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 お大事にしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

2件のコメント
2015.01.13

今日の朝日新聞の急性中耳炎の記事

 

 マスコミやジャーナリストは当然事実に基づいた事象を伝えるわけだが、

その伝え方には伝える側の意図が反映する。

 

 

 

 

 

 つまり、ある事象があった時、

そのどの部分をどう受け手に感じ取らせようとするか、

というのは伝える側の書きようなのだ。

 

 

 

 

 

 

 結果、事実を伝えながら真実を伝えていない場合が起こりうる。

 

 

 

 

 

 

 今朝の朝日新聞に

「中耳炎 進化する治療法」

という記事があった。

 

 

 

 

 

 

 読んでみると、伝える「事象」としては

①子供の急性中耳炎に対し2009年からあたらしい抗菌薬が2種類追加になったこと、と

②肺炎球菌に対する迅速検査キットが承認されたこと

の2点であった。

 

 

 

 

 

 

 

 ①については、このブログでも繰り返し書いているが

近年の耐性菌の増加により従来の抗菌薬が効きにくくなっており中耳炎の難治化が進んだ。

そこで耳鼻咽喉科学会が働き掛けて

「オラぺネム」と「オゼックス」という薬が新たに開発、承認されたというものである。

 

 

 

 

 

 

 

 その背景には、1980年代以降、

(かつてのワタシも含めて)抗生物質や感染症に対する知識の乏しい医者が

何でもかんでもばんばん抗生剤を使ったことにより

薬の効かない耐性菌が急激にふえたことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 だから、この新薬だって湯水のように使いまくれば

また、それに対する耐性菌ができ、効かなくなってしまうのである。

 

 

 

 

 

 

 

 ところが、記事の見出しは

「殺菌力の強い新薬」

「『鼓膜切開』減る傾向」で、

これでは、この新薬をどんどん使えば鼓膜切らなくて済みますよ、という文脈に読み取れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 鼓膜切開はしないで済めば越したことがないが、

やはり場合により「必要」な手術であり患者側、

場合によっては非専門医に

間違った印象を抱かせるのはいかがなものか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それによって、安易にこの新薬が乱用されれば、また悲惨な結果になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ②については、肺炎球菌があるかないかを調べるので、

実際にその肺炎球菌にどの抗生物質が効くかはわからない。

肺炎球菌の中でも株によって効く抗生剤が違うし、

それ以外のインフルエンザ菌やブランハメラ菌の存在はわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 でも見出しは「20分で判定 薬を選択」である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 参考にはなるけれど、お金もかかるので(もちろん患者負担ではなく国の医療費ということ)

いまのところ、当院では従来の培養検査を主におこなっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかも、記事に添付されてる

「ガイドラインをもとにした子どもの急性中耳炎の治療の流れ」

のフローチャートは「軽症」「中等症」「重症」の分類のうちの

「中等症」だけがのっている。

当然、その点についてのことわり書きはない。

 

 

 

 

 

 

 

 ガイドラインでは「軽症」の場合は

まず最初は「抗菌薬非投与で3日間経過観察」だし

 

「重症」の場合は最初から「鼓膜切開」が必須項目に入ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記事の中に出てくる先生方はいずれもワタシも尊敬する小児急性中耳炎の第一人者ではあるが、

おそらく長いインタビューの中の

記者にとって都合のいい部分だけが切り貼りされたコメントになっているのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この結果、

「鼓膜切開は、最近はしなくても済む、ときいたのですが。」とか、

 

 

 記事の切り抜きを持ってきて

「この新薬を、うちの子供にすぐ出してください。」なんて詰め寄る母親が、

全国の真面目な耳鼻科の先生を困らせてるのではないかと心配。

 

 

 

 

 

 

 

 うーむ・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 朝日新聞だから、というわけでもないだろうし

マスコミなんて、所詮、こんなものなのかもなあ。

 

 

 

 

 

 

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2014.09.19

難治性の滲出性中耳炎

はじめまして。滲出性中耳炎について検索していてこちらへたどり着きました。
9歳の子供の滲出性中耳炎についてご相談できればと思い書かせていただきます。

0歳9か月の時に、初めて急性中耳炎になり、その後 滲出性中耳炎に移行し9歳の現在まで滲出中耳炎の状態が続いていて継続治療中です。この間、急性中耳炎には41回かかりました。また、両耳チューブ留置を二度受けました。

チューブは一度目は、半年ほどで自然脱落。二度目は片方は1年ほどで自然脱落しましたが、残る片方は2年半 留置後に抜去しました。
が、抜去して1週間ほどで滲出性中耳炎の鼓膜所見と聴力の低下傾向がみられるというのが現在の状況です。

滲出性中耳炎の治療として、就学前は週に2~3回通院して通気治療や吸入、服薬(ムコダイン)を受けました。小学校に上がってからもに1~2回通院して同じ治療を続けています。

アデノイドは大きくはなく、鼻や喉の状態も問題ないと言われています。

今まで続けている通院治療・服薬、症状をみて鼓膜チューブ留置・・これらを根気よく続けるしかないのでしょうか。。。
長期にわたり、改善しないので不安です。。。

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 このようなコメントをいただきました。

 

 

 

 

 急性中耳炎41回・・・・・・。

 

 

 

 

 大変でしたね。

 

 

 

 

 9歳というと、一般的には中耳炎を「卒業」する年齢です。

 

 

 

 

 耳管が短く水平に近い幼小児期は中耳炎になりやすい時期ですが、

小学校に入ってしばらくすると耳管が大人に近いかたちになり換気機能もよくなり、

また鼻咽腔の自己管理もできるようになることから中耳炎になる機会はぐっと減ります。

 

 

 

 

 では、なぜ水が溜まってしまうのか?

 

 

 

 

 中耳の換気を行う耳管は鼻の一番奥に開口しているので、

副鼻腔炎(蓄膿症)アレルギー性鼻炎などの慢性鼻疾患や、

アデノイドなどの上咽頭病変があると閉塞し水が溜まってしまします。

 

 

 

 

 

 しかし、この方は異常がない。

 

 

 

 

 

 実は、中耳の換気は耳管だけではないのです。

 

 

 

 

 中耳はその奥で乳突蜂巣といわれる含気腔と連続しています。

含気腔とは骨の中に気泡のような空洞がある部分です。

 

 

 

 

 

 これは、赤ちゃんの時にはありませんが頭蓋骨の成長とともに発育し、

側頭骨の中に蜂の巣のような空気の入った小部屋が形成されていきます。

 

 

 

 

 

 

 しかし、中耳に水が溜まった状態が続くとこの発育がうまく行われません。

 

 

 

 

 

 この骨の中の空気の入った小部屋が中耳のガス交換に大きく関わっていることが最近の研究で分かってきました。

 

 

 

 

 

 だから、この乳突蜂巣の発育が悪いと滲出性中耳炎がおきやすい、治りにくいのです。

 

 

 

 

 乳突蜂巣の発育は思春期までと言われています。

ご質問の方は9歳ですので、チューブが入っていた期間は含気化が進んだと思いますが

中耳に溜まっていた期間も長いため乳突蜂巣の発育が通常より悪く、

そのために浸出液が貯留しやすいと考えられます。

 

 

 

 

 

 

 もちろん、含気腔がなければ必ず水が溜まるわけではなく

中耳から耳管にかけての状態が良ければ水はたまりません。

しかし、そのためにはある程度の期間、中耳に水がない状態が続き

粘膜が修復されなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 なので、水が溜まっていれば切開し、

くり返し溜まればチューブを入れるなどして

中耳腔に水のない状態を作っておくことにより

含気化を促すとともに、中耳粘膜機能の回復を図ることが大事です。

 

 

 

 

 

 

 根気よく治療を続けてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1件のコメント
2014.08.15

耳痛の原因

 病院はお盆休み。

 

 

 

 

 

 

 妻は娘と里帰りと称し福岡の実家に帰省中だが、

途中ちゃっかり長崎ハウステンボスなんぞを組み込んでいる。

 

 

 

 

 

 

 ワタシは留守番で朝晩の犬の散歩をしてるが、

部屋で音楽聴きながらプラモデルなんぞ作ってると

ちょいちょい病院の電話が鳴る。

 

 

 

 

 

 

 

 ほとんどは「診察やってますか。」という問い合わせだが、

ごくたまに子供が耳が痛いの、熱出たのなどの問い合わせがあり

電話口の指示で済むことも多いがたまに診察する羽目になることもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 昨日も、19歳の耳痛を診ることになった。

 

 

 

 

 

 宇都宮まで免許の本検受けに行ったが、耳痛がひどくなったので診てほしいとのことであった。

 

 

 

 

 

 この年頃の急性中耳炎は少ないので、

耳かきしすぎて外耳炎になった男の子かなと漠然と思っていたら

今年大学生になった女の子だった。

 

 

 

 

 

 右耳痛を訴えるが、耳を見ると左右とも外耳道、鼓膜に異常はなし。

 

 

 

 

 

 そして、喉を見てみると、案の定独特の所見が。

 

 

 

 

 

 

 熱を測ってみると38度を超えていた。

 

 

 

 

 

 

 その場で、迅速検査を行い、診断は溶連菌感染症。

 

 

 

 

 

 

 扁桃炎はしばしば、のどの痛みではなく耳の痛みとして認識されることがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 以前、やはり急患で見た2~3歳の男の子。

 

 

 

 

 

 急に耳が痛いと泣き出したため、夜受診されました。

 

 

 

 

 

 

 風邪症状はなく、やはり鼓膜外耳道に異常なし。

 

 

 

 

 

 

 きけば、食事中に急に右耳を押さえて泣き出したとのこと。

 

 

 

 

 

 

 その時、ぴかっとワタシの頭の中で電球が光り、もう一度喉をよく見て目的のモノを発見

 

 

 

 

 

 扁桃腺に刺さった魚の骨を摘出しました。

 

 

 

 

 

 のどに刺さった骨の痛みを耳痛と認識していたわけです。

 

 

 

 

 

 

 家族の方は大変ビックリしてましたけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、昨日の女の子、もう熱も下がったころだと思うが、

昨日は1点足りずに本検落ちちゃったらしいけど、

今日はまた受けに行ったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2件のコメント
2014.08.12

難治性の中耳炎についてのご質問

 

 

こんにちはm(__)m中耳炎について調べてたらここにたどりつきました!

もうすぐ1才になる男の子の母です。

7月になり初めて中耳炎になりました。
最初は薬飲んでましたが治らず検査をしてもらったところ、抗生剤は効くのがなく 今はホスミシンSを使用し、毎日洗浄してます。
中耳炎も調べると深いですね。
ただ何種類かの抗生剤を試してもきかなかったみたいで…不安です。

いま、ケフラールと言う抗生剤を飲んでる為に効かないんでしょうか?

簡単ではありますが、アドバイス貰えたら嬉しいですm(__)mm(__)m
********************

 ちょっと前に頂いたこのコメント、うっかり失念しておりました。

 

 

 

 

 

 ただ、残念ながらこの内容だけではなかなか正確にお答えができませんので、

参考程度にしてください。

 

 

 

 

 

 

 ホスミシンは構造式が非常に簡単な抗生剤で作用機序がユニークで

ペニシリン系ともセフェム系ともマクロライド系とも違うので

他の抗生剤が効かない場合にぽっかり効くことがあります。

 

 

 

 

 

 副作用も少なく、内服も注射も点耳薬もあります。

 

 

 

 

 

 

 ただ、構造式が単純な分、漫然と使うとけっこうあっという間に耐性化して効かなくなります。

 

 

 

 

 

 

 印象としては難治性の中耳炎をコントロールする決定打にはなりえません。

 

 

 

 

 

 

 

 また、抗生剤や消毒液による洗浄は実際には効果が少ないという報告があります。

 

 

 

 

 

 

 抗生剤や消毒薬が抗菌作用を発揮するためには

ある程度の時間「菌」と接触しなければいけないので洗浄では菌を殺せないと考えられます。

 

 

 

 

 

 それではホスミシンによる洗浄は効果がないか、というとそうでもないと思います。

 

 

 

 

 

 洗浄で物理的に菌を洗い流すことは大いに効果があります。

 

 

 

 

 

 流水の手洗いと一緒です。

 

 

 

 

 

 今は手指の消毒に、昔のようなホーローびきの洗面器に消毒薬を張ってピチャピチャ手をつけて

ぶら下がってるタオルで手をふく、ということはしなくなりました。

 

 

 

 

 

 足踏み、または自動水洗の手洗いで流水で洗い、使い捨てのペーパーで手をふきます。

 

 

 

 

 

 だから、粘膜障害の少ないホスミシンで頻繁に洗うことは効果があると思います。

(イソジンは粘膜障害があるため今は推奨されません。

抗菌作用を期待しないなら生食の方がいいかもですが。)

 

 

 

 

 

 また、点耳の場合は局所の薬剤濃度が内服等に比べて高くなりますので

感受性検査で耐性でも実際には効くことがあります。

(しっかりした穿孔があるか、ないしはチューブ留置状態で

きちんと薬剤が中耳に届くことが前提ですが。)

 

 

 

 

 

 

 ケフラールはいまどきの菌に対しては抗菌力が弱く一般に使われることはまずないと思いますが、

感受性検査でたまたま有効だったかもしれないです。

 

 

 

 

 

 

 何にしろ0歳代の難治性中耳炎は大変です。

日頃からなるべく抗生剤を使わないようにして、中耳炎の早期発見~完全治癒を心掛けてください。

 

 

 

 

 

 

 右の「カテゴリー一覧」の「中耳炎」の項を参考にしていただくとよいと思います。

 

 

 

 

 

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2014.06.18

チューブ抜去後の中耳炎再発についてのご質問

 

はじめまして。5歳の息子が、2歳頃より滲出性中耳炎で、3歳半で両耳鼓膜チューブ留置とアデノイドをとりました。その後は中耳炎おこさず、1年半でチューブを抜きました。が、一ヶ月後には水が溜まってしまいました。現在、抜いてから二ヶ月です。鼻水はそれ程出ておらず、出てもちゃんとかめています。鼻水がでないのに、何故水が溜まってしまうのですか?1年半たてばスッキリ治ると説明されていたので、今、途方にくれています。鼓膜が薄い所もあると言われました。再留置もひとつの手だと言われましたく。ゴールが見えないのが一番辛いです。将来的には、よくなるのでしょうか?

***************************************************************************************************

 

 

このようなご質問いただきました。

 

 

 

 

チューブ留置は確かに滲出性中耳炎の最も有効な治療法ですが、

根治療法ではありません。

 

 

 

 

滲出性中耳炎の原因は中耳換気・排出機構の低下にあります。

 

 

 

 

チューブ留置によって排出機能はよくなりますが、

いわば補助輪をつけた自転車みたいなもので、補助輪を外したのち、

すなわちチューブ抜去後に本来の排出機能が改善してないとまた水が溜まってしまいます。

 

 

 

 

一般には年齢とともに耳管機能がよくなることと、

チューブ留置による一定期間の中耳粘膜状態の改善により

チューブ抜去後には治ることが多いですが数パーセントは再発します。

 

 

 

 

この場合、まず保存的療法で経過を見ます。

 

 

 

 

 

成長による耳管機能の改善、鼻腔の自己管理能力の改善、

また通気などの処置治療ができるようになったことにより治っていく場合も多いです。

 

 

 

 

 

しかし、それでもダメな場合は鼓膜切開、

さらにたまってしまえばチューブ再留置など

となる例も中にはもちろんあります。

 

 

 

 

問題は、中耳に水を溜めたままにしないこと。

 

 

 

 

最近の研究で中耳の換気能力には耳管だけでなく、

側頭骨の含気化が大きくかかわっていることがわかってきました。

 

 

 

 

すなわち、中耳につながる頭蓋骨の骨は成長とともに気泡状の空洞が形成されるのですが

この発育の良し悪しが中耳炎の治り方に大きくかかわっているのです。

 

 

 

 

 

頭蓋骨の発育時期である小児期に中耳に水がたまっていると

この骨の気泡化が抑制され、

大きくなって耳管機能がよくなっも、

中耳換気能が正常にならない場合があるのです。

 

 

 

 

 

また、長く水がたまっていると鼓膜が変質し菲薄化してしまいます。

 

 

 

 

 

このように、後遺障害が残ることは何とか避けたいところです。

 

 

 

 

 

鼻水は出ないとのことなのでアレルギー性鼻炎の合併はなさそうですが、

副鼻腔炎が、隠れていることもあるので注意が必要です。

 

 

 

 

 

そんなわけで、チューブ抜いた後に滲出性中耳炎が再発するのは

一定の確率で「あること」です。

 

 

 

 

今回、頂戴したご質問の中に良い情報が2つあります。

 

 

 

 

 

まず、第一としてチューブ留置1年半の間に中耳炎を起こさなかったということ。

 

 

 

 

 

状態が極端に悪い場合はチューブ留置中も耳漏がオーバーフローして出てきてしまいますので

それがなかったのは少なくとも今後良くなる要素を示唆します。

 

 

 

 

また、もう一つは1年半の間チューブが保持され、自然脱落がなかったこと。

 

 

 

 

これは鼓膜が比較的しっかりしてることを意味します。

 

 

 

 

鼓膜の委縮、菲薄化が高度だと

鼓膜がチューブを支えきれず自然脱落してしまうことがあります。

 

 

 

 

 

鼓膜に一部分、薄いところがあるにせよ、

それならば全体としては鼓膜の状態はそれほど悪くないようです。

 

 

 

 

 

 

ともかく、きちんと治療すれば必ずゴールはありますので

根気よく治療続けてください。

 

 

 

 

 

4件のコメント
2013.12.19

反復性中耳炎についてのご質問


 寒くなって濃いハナが出る子供が増えて
それによって中耳炎も増えてきましたね。
 忙しい外来の中、電子カルテで
「ミドリの濃いハナに」
と、記載しようとしたら
「緑の恋は何?」
 といきなり昭和アイドル歌謡曲のタイトルチックな変換されて
ちょっと肩の力が抜けました。
 そんな中、またまた中耳炎についてのご相談ですね。
********************
こんばんは。
中耳炎について調べていたところ、こちらのブログをみつけました。お忙しいとは思いますが、ご相談にのって頂けると助かります。
現在10ヶ月の息子が中耳炎を繰り返しています。10月からすでに5回切開しています。
2回目の時に先生に次に中耳炎になったらチューブをいれた方がいいかもしれないと言われました。しかし、3回目の時は待ち時間がつらくて予約ができる違う病院に変えており、チューブの件を相談したら、まだ入れなくてもよいと言われました。
しかし、それからまた2回切開して、ほぼ毎日病院通いをしているのに中耳炎を繰り返すのが不思議なのと、痛がる子供が可哀そうでチューブを入れた方が良いと言っていた最初の病院に戻った方がいいのか悩んでいます。
それと、最初の病院ではオゼックスをほぼひと月近く処方されていました(うち5日はオラペネム)
2件目の病院ではワイドシリンです。
オゼックスがとても強い薬だと知り、驚いています。
抗生剤の服用を終えるたびに切開しているようで不安です。
こんなに中耳炎の切開を繰り返してもチューブを入れない方が良いのでしょうか…
またオゼックスをひと月以上の長い期間服用していて大丈夫だったんでしょうか…
お正月を前に、また急に中耳炎になってしまったらどうしようと不安です。メールでのご相談で申し訳ないのですが、答えて頂けると嬉しいです。どうぞよろしくお願い致します。
********************

 しかも、これはかなり重症。
 診察してないのでわかりませんが、
0歳の子で、10月から5回切開とはかなりのものです。
 ご質問のうち、オゼックスは大丈夫って言えば多分大丈夫ですが、
それだけのんだとすると
もう崖っぷちで後がありませんね。
 多分、ワタシならチューブ入れます。
 ただ、あくまで状況証拠だけなので、
最終的には主治医の先生とよくご相談なさってください。
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5件のコメント
2013.11.18

鼓膜切開についてのご質問

このままだと鼓膜切開になるかもと診断されて
中耳炎についての記事を読ませていただきました。
詳しく書いてあるだけでなく、質問にも丁寧に答えて下さるのだと。
お忙しいとは思いますが息子の中耳炎のことで悩んでいるので質問させて下さい。
息子は1歳7ヶ月です。
去年の冬に中耳炎になり治療に1カ月かかりました。でも薬だけで治りました。
今回は鼻水と咳で耳鼻科通いしていて、中耳炎になっちゃったねと診断されました。
なので早期発見です。
去年の耳鼻科と違う耳鼻科に行ったので、去年と違う薬が出ました。
サワシリンと点耳薬です。
翌日サワシリンが合わず、顔に湿疹が出たので、抗生物質はやめて点耳薬とゼスランとシングレアを飲んでと言われました。
そこで点耳薬だけで大丈夫なの?と不安になって調べた結果、先生のところを見つけました。
先生の点耳薬はデメリットのが多いとの内容を見て、昨日他の耳鼻科へ行きました。
そこで、ちょっと名前がわからないのですが…( 薬手帳が手元になくて)
でも確か、メイアクトと同じランクにあった薬でした。
その抗生物質を処方してもらったところ、今回は大丈夫だったみたいで、湿疹も出ませんでした。昨夜と今朝に飲んだ段階でまた診察してもらったところ…
あまりよくなってないから、様子みて切開になるかもなって言われて…。
まだ抗生物質を2回しか飲んでない段階で切開って言葉が出たことにびっくりして、ショックを受けました。
私としては、せめて今週は薬を飲んで…と考えているのですが、切開を先延ばしにしたことで悪化することがあったら困るし。
また切開することで、今後、中耳炎になる度に切開することにならないかと心配です。
息子は熱もなく機嫌もいいです。
診てないのに答えていただくのは申し訳ないのですが、答えてもらえたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。


 今回はこのようなご質問をいただきました。
 鼓膜切開ですね。
 鼓膜切開は耳鼻咽喉科外来で行うもっともありふれた手術であり、
大変メリットも多く耳鼻咽喉科医の「武器」だと思います。
 鼓膜切開でなければ解決できない場面も時にあります。
 ただ、外科的な行為には上手い、下手、得意、不得意があり、
また、鼓膜切開の好きな先生、嫌いな先生もいますので
施設や担当医によって考え方は様々です。
 耳鼻咽喉科を標榜しながら、鼓膜切開を全くしない先生もいて
以前、鼓膜切開のためだけに総合病院に紹介する、
という先生がいてびっくりしましたが・・・・。
(しかも、わざわざ、隣の町の病院に紹介していた。)
 鼓膜切開の適応については以前のブログで書いています。
見えない力
 実際に診察していないとわかりませんが、
今までの経過や鼓膜の状態によっては、
初期の段階で切開の可能性を説明しておく、ということはあると思います。
 切開することによってその後中耳炎になりやすくなる、とか
毎回切開になる、ということは一切ありません。
 手術はしなくて済めば越したことはないので
無駄な手術は決してするべきではないが、
必要な場合には、ためらわず切る、
というのが外科医のモットーです。
 お大事に。
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2013.09.18

副鼻腔炎と滲出性中耳炎


こんにちは 
5歳の娘が8月の12日に急性中耳炎を発症しました。
帰省中だったので、帰省先の病院でとりあえず薬をもらい、帰って来てから近くの耳鼻科に通院を始めました。
そこでは滲出性中耳炎と蓄膿だと診断され、耳の中の水がひどくたまり、鼓膜の動きがなくなっているといわれました。
その時に処方されたのがクラバモックスドライシロップとビオフェルミンの混合剤、アスベリン酸、ぺリアクチン、ムコサールドライシロップの混合剤でした。(これが8月19日処方)
4日間飲んで、その後は、アスベリン酸、ぺリアクチン、ムコサールドライシロップの混合剤を一週間(8月23日処方)のみ、耳の中の水も良くなりかかってるので、様子を見ましょうと、お薬がいったん終わりました。
この時、自分では切れなかった痰が少しづつ咳の度にでるようになっていました。
その5日後鼻水が出始めたので、受診をし、蓄膿もひどいけど耳の状態も少し悪いね、と言われ、ワイドシリンとビオフェルミンの混合剤と、アスベリン酸、ぺリアクチン、ムコサールドライシロップの混合剤を5日分処方(9月5日処方)していただきました。
飲みきって、受診すると、滲出性中耳炎になってますね、と言われ8月19日処方と同じお薬を3日分飲みました。
再度受診すると耳の中の水が濁って鼓膜も動いてないね、と言われ、今度はメイアクトとビオフェルミンの混合剤と、アスベリン酸、ぺリアクチン、ムコサールドライシロップの混合剤を頂いて今に至るのですが、先ほどおでこが痛いと言い、カロナールを飲ませ寝かせました。蓄膿で処方されたものではないですが、あまり痛がるので今日は土曜日でどこも耳鼻科は休みだし救急で行ったとしても、同じ処方が出るだけだろうと思い、飲ませました。
本題ですが、蓄膿は治るが、子どもに手術はしないので薬治療が中心です。しかし、うちのこの場合は症状がひどいので、半年位かかると思っていたほうがいいですと言われました。
中耳炎の方は蓄膿が治らないとなんともならないと、言われました。
しかし、中耳炎は長引かせると聞こえが悪くなったり、良くない事が多いと聞きました。
中耳炎については切開も何も言われていませんが、このひと月ずっと薬漬けなので心配です。
セカンドオピニオンもしくは転院を考えたほうがいいのでしょうか。
ちなみに、ちくのうは、レントゲンとかは撮らず、所見で診断されました。
信頼してよいのか、先生のお考えをお聞かせください。
********************

 またまた中耳炎のご質問です。
 中耳炎はありふれた病気ですが、近年難治化が問題になっており
このような心配もごもっともだと思います。
 さて、診察しないで書くことですので
毎回ながら参考程度にお読みください。
 子供さんの中耳炎には副鼻腔炎の合併率は非常に高く
中耳炎の発症、反復、治癒の遷延に大きくかかわっています。
 レントゲンを撮れば確認できますが、
撮らなくても鼻咽腔の様子から
(中鼻道よりの膿汁の流下、口蓋垂の裏側に流れ落ちる後鼻漏の存在)
診断は可能です。
 原則的に中学生以下は副鼻腔の発育時期なので
手術はしませんが逆に薬でよくなるものがほとんどです。
 ただ、少なくとも1カ月以上、
なかには半年くらいかかることもないわけではありません。
 鼻が治ってこないと、中耳炎がなかなか治らないのは事実で
鼓膜切開して水を抜いてもまたすぐたまったりします。
 ただ、あまり長く水をためっぱなしにしていると鼓膜の劣化が心配なので
途中で水を抜くことはあります。
 その時期はお医者さんによって差があり様々ですが
ワタシは1カ月くらいは切開せずに経過を見ます。
 もっと待つ先生もいると思いますが、
正直ケースバイケースです。
 私自身、間に急性中耳炎を反復するなら1カ月待たずに切開をしますし、
鼓膜の状態が悪くなければ、逆に長く経過を見ることもあります。
 肝心なのは中断せずに治療を続けることで、
自己判断で通院をやめたりしないことです。
 長くかかるにしても耳鼻科の先生に
心配な点を質問したり、
耳の状態や、今後の見通しをときどき説明してもらうといいでしょう。
 キチンと説明してくれる先生ならまず心配ないと思います。
 ただし、どうなるかはなかなか耳鼻科の専門医でも予想のつかない事も多いので、
分かる範囲での見通しに限られてしまいますが。
 ワタシも、
いよいよ抜けないので、来週切開しましょう、
なんて言うと次の週にはほとんど水抜けてた、
なんてことはしばしば経験します。
 中耳炎はやっかいですがキチンと治療すれば必ず治ります。
 頑張ってください。
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