ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2018.01.12

目くそ耳くそ、ハナたれミミだれ

 

目くそ鼻くそを笑う、とい言葉がありますが、

今回は鼻漏、耳漏の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初診の方には問診票を書いていただくわけですが、

先日、「どうしましたか?」の欄に

「鼻水の耳バージョン」と書いたお母さんがいらっしゃってビックリしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤ちゃん、子供はよく鼻水を垂らす、

鼻水はある意味生理的反応であるから、ハナたれてても大騒ぎすることはないが、

耳だれは、違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外耳道は皮膚なので通常乾いているし、中耳との間には鼓膜という仕切りがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なので、すべての耳だれは病的である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耳だれの原因は外耳由来の外耳道炎、中耳由来の中耳炎があるが、

この2つの耳だれはその重症度において行って帰ってくるほどの違いがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一般に小児から成人の外耳炎は、耳そうじが原因になることがほとんどだが、

赤ちゃんは皮膚が弱いので、お風呂の水、よだれ、吐いたミルクなんかが流れ込んで、

耳からじくじくと水が出ることはよくある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは、ほっといても治ることもあるし、

耳鼻科に行って綺麗にしてもらえばたいがいすぐ治る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところが、稀には生後数か月の乳児でも急性中耳炎を起こすことがあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤ちゃんは耳が痛いとは訴えられないので、

熱が出て風邪かなと思ってると、耳だれが出てくることがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場合、鼻から耳管経由で中耳に細菌が入り、

そこで増殖して鼓膜が腫れ、耐えきれなくなるほど腫れると

鼓膜が破裂して耳だれとなって出てくるわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てなわけで、赤ちゃんの外耳炎の耳だれは超軽症なものだが、

中耳炎の耳だれはそれこそ最重症の中耳炎の結果なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とくに鼓膜が破れて耳漏が出ると通常は熱が下がって赤ちゃんの機嫌も良くなるので、

はた目からは重症感が感じられなかったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その前は、

小児科で外耳炎と言われて点耳薬つけてたのですが、

止まらないので来ました、という子供が

相次いで2,3人続けてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

顕微鏡であふれる耳漏を除去して見てみると、

鼓膜に大きな穴が開いてドクドク耳だれが出ている子や、

耳の穴の上の方からおおきなポリープができていて鼓膜が全く見えない子など、

トンデモナイ重症例で、これまた唖然。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも5,6カ月で、重症の中耳炎を起こすことはそう多くないので、

小児科の先生もまさか中耳炎とは思わなかったかもしれないが、

ちと、困ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目くそは耳くそを笑っても良いですが、

鼻漏は耳漏を笑ってはいけません。

 

 

 

 

コメントはまだありません
2018.01.09

ドイツの中耳炎

 

小倉先生、はじめましてこんにちは。
人様のブログにコメントするのが初めてで質問をここにして良かったのかどうかも分からず、何か失礼がありましたら大変申し訳ありません。
二歳半になる息子の初めて中耳炎について質問があります。
当方ドイツに住んでおり、これからどうしたらいいのか途方に暮れておりますのでどうかご助言よろしくお願いいたします。

2017年12月29日夜に39度台の発熱、耳が痛いというので救急病院の小児科医に診てもらいましたが、呼吸・耳共に異常なし、ウイルス性の風邪と言われアセトアミノフェンの座薬で熱を下げるように言われ、31日になっても熱が下がらないようならまた来るようにと言われました。

30日、耳が痛いという息子の度々40度まで上がる熱を座薬で下げていました。

31日、夜中の3時に熱が41度になり耳の痛さも酷くなり、救急病院へ。内科医に耳は大丈夫と言われ、イブプロフェンの座薬に切り替わりました。
31日、夕方6時、座薬を使っても3時間ほどしか熱が下がらず、常に耳を痛がるので小児科医の常勤している大学病院へ。やはりここでも耳は大丈夫と言われ、アセトアミノフェンとイブプロフェンの座薬を4時間おきに使うように言われました。

2018年1月1日、まだ耳が痛いと言っていましたが、一回の座薬が6時間ほどもつようになりました。

2日、熱が39度台に下がり、かかりつけの小児科へ。中耳炎と診断、アモキシシリン250mg/5ml×3(一日)の薬が出ました。

3日、熱は38度台になり耳から膿が出始めました。

4日、熱が38度台、膿が溢れるのでもう一度かかりつけの小児科へ。アモキシシリン250mg+クラブラン酸62.5mg/5mlを4ml×3(一日)に変更されました。

5日、熱が下がって平熱に。6日、7日とこの薬を服用中、膿も減りました。
このまま熱が再度上がらなければ9日火曜日の診察でいいと言われています。

小倉先生への質問はこの治療の流れは普通なのかどうか、また中耳炎を繰り返さないためには次の小児科でどうしてもらうのがいいのかということです。
私は前もってドイツ語で文章を考えなければ会話もできませんので、今の状況から考えられる私がこれから小児科でやるべき事を教えていただけますでしょうか。

今回私も息子と同じ風邪で初めての中耳炎になり、耳鼻科にかかりました。
ですので小児科医に診断書をもらい、私と同じ耳鼻科で診てもらう方がいいのかどうか・・・初めての中耳炎で何をどうしたらいいのかわからず、でも自分も中耳炎になってみてこんなに痛い思いを何度も繰り返させたくないと思い質問させていただきました。
乱文長文ですみません。

お忙しいところ、お手数をおかけして申し訳ありませんが、どうかご助言よろしくお願いいたします。

 

 

***********************************************************************************************************************

 ドイツからですか。(@_@)

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言うと2歳半の初回の中耳炎で、

現在の治療でいいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ポイントは、年末年始であったことですが、

ドイツの医療事情及び、耐性菌の発生頻度をワタシが良く知らないので、

その辺の明確なご返答はできないのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まずは、中耳炎発症から診断までの流れです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おそらく中耳炎の発症は耳が痛いといった12月29日の夜でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本でも救急病院の小児科医では(場合によっては耳鼻科医であっても)

幼小児の鼓膜所見をとることは難しく、

中耳炎の診断が難しい場合が多いです。

大学病院はそもそも急性中耳炎をろくに診たことがないお医者さんが多いし、

31日の夜なんかに当番に当たってるセンセイはおそらく若手なのでは。(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少なくとも日本では救急病院では通常期待される治療は受けられません。

ドイツの事情は分かりませんが、やはり最低限の応急手当の域でしょう。

大みそか当直の小児科の先生も先輩に

「腸重積とかヤバイからゼッタイ見逃すな。中耳炎は死なないから大丈夫。」

などといわれてたかも。

(正しいアドバイスです。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、耳が痛い、熱がある、というのに中耳炎の確定診断に至らない医者が、

繰り返し受診しても一貫して抗生剤を出さないのはヨーロッパ的だといえますね。

ここ、なかなか、感心しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本だと、

「良く見えないけど、多分、中耳炎だから抗生剤出しとくね。」

とか、ヘタすると鼓膜見えてないのに

「中耳炎なので抗生剤出します。」

なんていう医者がざらにいる。

急性中耳炎では、まず効果の考えられない

抗菌剤の点耳薬まで出しちゃうヒトもいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドイツのガイドライン日本よりはるかに厳しいと思うけれど、

日本でも初期の急性中耳炎の第一選択は

抗生剤を使わずにアセトアミノフェンの頓服、座薬ということになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2日の小児科の先生が中耳炎の診断で使用したアモキシシリンも、

おそらく日本よりは耐性菌の比率がはるかに少ないでしょうから、

まちがいない選択です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おそらく中耳炎の起炎菌はドイツも日本と同じく、

肺炎球菌、インフルエンザ菌がビッグ2でしょうが、

クラブラン酸を加えたのは、長引く経過に

ペニシリン耐性のβ‐ラクタマーゼ産生型のインフルエンザ菌、

あるいは第3の起炎菌モラクセラを想定したもので、理にかなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 年末年始で診断まで時間がかかりましたが、このままの流れで問題ありません。

今後中耳炎を繰り返さないためには、

まず、今回の中耳炎を最後までしっかり治すことです。

そして、風邪をひかせないこと。

言うは易く行うは難し、ですが、急性中耳炎が治ったあとしばらくは、

風邪から中耳炎を再発する場合が多いので用心です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドイツの冬、寒そうですね。

でも、ドイツでのホワイトクリスマス、なんてのにはちょっとあこがれちゃいます。

ちなみにワタシは医学部を出たのに、ドイツ語話せませんし、

読むのも辞書があっても困難です。

でも、多分、みんなそうです。(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お大事に。

 

 

 

 

 

2件のコメント
2017.11.28

チューブ留置中の長期間の耳漏

 

乳児の中耳炎について相談させてください。現在1歳半の男児、0歳から中耳炎を繰り返し、両耳チューブを入れています。チューブ挿入後、半年以上経ちますが、相変わらず中耳炎に1ヶ月に一度はなり、一度なるとしばらく耳だれが止まりません。鼓膜が綺麗な状態なのは2、3日で、またすぐ鼻水⇨耳垂れを繰り返しています。
初め通っていた病院では耳だれが出るごとにガイドラインに沿った抗生剤が出ていましたが、あまりに繰り返す為、毎週抗生剤を飲むことになってしまいました。
今の病院では耳だれがあっても腫れはないから、と抗生剤は飲まず、耳垂れ吸引とリンデロンの点耳をしています。直近の風邪後、耳垂れが出続けて現在1ヶ月近くになろうとしています。果たしてリンデロンの点耳だけで良いのでしょうか。抗菌剤は飲んでいても不安、飲まなくても不安です。
乳児の耳だれが続く場合、何が最善の策なのでしょうか

+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

 

チューブ留置してある耳の長引く耳だれ、

以前も実は似たようなご相談に回答したことがあります。

 

チューブ留置後の耳漏についてのご質問

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1歳半とのことですが、保育園等には行っているでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1歳前から保育園に行くとやはり難治性中耳炎を起こすお子さんは多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他にもいろいろな要因が考えられますが、

両側性の耳漏だったら、免疫的な問題、

IgGサブクラス欠損症なども念頭に置く必要があるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IgGは免疫を担う物質ですが、

小児の場合、まれにその一部、とくにIgG2が欠損あるいは低値を示す児がいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こういったお子さんは、

インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別物)や

肺炎球菌などの中耳炎の原因菌に対する免疫力が弱く

とくに中耳炎を反復しやすいといわれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

血液検査でわかりますが年齢とともに回復する場合もあり、

逆に無症状の場合もあるようです。

赤ちゃんの採血は大変なので、この子あやしいなあ、と思うことは時々ありますが、

ワタシ自身、まだ、診断したことはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近い将来、遺伝子診断が普及すれば、もっと多くのことがわかってくると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重症の場合は免疫グロブリン製剤の投与(保険適応外)も考慮されますが

通常は一般的な感染制御が推奨される対応です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今回のケースですがワタシも延々と抗生剤を内服することには賛成できません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特にチューブ留置中であれば、局所洗浄は有効な方法だと思います。

また、同時に鼻汁の吸引などの鼻の処置も行えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、それでも改善しない場合は、チューブ抜去は検討する余地があると思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チューブは「異物」ですので、チューブ周囲には内服の抗生物質は到達しにくく、

チューブについた細菌がバイオフィルムを形成すると、

点耳薬にも抵抗性になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

基本的には診てないのでこの場合何が最善なのかは何とも言えませんが、

そういう選択肢もある、ということです。

少なくとも、免疫グロブリンよりは先に試してもいいかなと思います。

 

 

 

 

1件のコメント
2017.08.09

急性中耳炎に点耳薬は使いません

 

 一般の人々ばかりか、お医者さんも勘違いしてるケースというのがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 急性中耳炎に点耳薬は使いません。

例外は鼓膜換気チューブが留置されてる場合だけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 眼科領域では点眼薬(いわゆる目薬)が多用され、

その効果は当然認められています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何となくイメージ的に目の病気に点眼が効くなら、

耳には点耳薬が効くのでは、

と思ってしまいますが、目と耳では実は全く話が違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中耳炎細菌が増殖しているのは「中耳」。

中耳は鼓膜の向こう側です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 耳の穴からクスリを入れても鼓膜で全部せき止められ中耳には行きません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 靴の上から水虫の軟膏を塗ってるようなものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この間、耳が痛くて夜間救急にかかったお子さんが、

担当医に点耳薬を処方され、おかげで痛みは止ったのだが、と受診されました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、たまたまであって、点耳薬のおかげでは全くありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそも耳鼻科医がいない夜間救急に耳が痛い子供連れてっても無駄です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当院のホームページにもありますが、

そんなときはまず「痛み止め」。

カロナールなどアセトアミノフェンが良いですが、なければ市販の頭痛薬で十分。

熱さましの座薬も使えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 点耳薬なんて意味ないし、適当な抗生物質を飲んじゃう、というのも✖です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、痛みが消えてもあとでちゃんと耳鼻科に受診すること。

痛み消えてれば、2,3日後でもOKです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もうすぐ、お盆の休みに入りますのでこの機会に記事にしますが、

よく覚えておいて周りの人にも教えてあげてくださいね。

 

 

 

 

 

1件のコメント
2017.06.28

マイコプラズマに対する抗菌剤の使用

 某製薬メーカーの方が訪問され、

「オゼックス」のジェネリックにも肺炎マイコプラズマの適応追加になりました、

と説明された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 先発品と後発品(ジェネリック)では、

適応症の違いがある場合があり、

成分上全く同じ薬なんだけど、

同じ病名に対し使えない、というワケのわからんことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェネリックにしたらいきなり保健で切ってくるというような、

意地悪な査定をしてくる監査員の先生もいます。

査定くらっちまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから、このような措置は当然だし歓迎なのだが、今回はちょっと困る面も無きにしも非ず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイコプラズマはいわゆる「セキの風邪」です。

時に重症化することもありますが、多くはそのまま抗生剤なしで治ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところが、セキが出ると

「マイコプラズマかもしれないから」

といって、抗菌剤を出す医者がいるのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 こちらをご覧ください。

マイコへ「延々と抗菌薬」に警鐘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マイコプラズマへ抗菌剤を使用するとすれば

「クラリス」「エリスロシン」「ジスロマック」などの「マクロライド系」が第1選択です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、近年、マイコプラズマがこの「マクロライド系」の抗生物質に対し、

「耐性化」が進行しているので、

やむを得ず、「オゼックス(一般名:トスフロキサシン)」を使うケースがあるのも事実です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、オゼックスは重症中耳炎、難治性中耳炎のためにわざわざ開発された薬で、

安易に使うべきでない、「切り札」的な薬です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそも外来診療にこのクラリスをはじめとする「マクロライド系」の薬が多用され過ぎたため、

マイコプラズマに対して耐性化が進んだ、という経緯があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから、今後「オゼックス」が多用されれば、

「マイコプラズマ」に対して効かなくなってしまうこと充分起こりうることですし、

肺炎球菌等のその他、中耳炎、肺炎などの起炎菌に対しても

効かなくなってしまう可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もちろん、この薬を使うことによって、

重症なマイコプラズマ肺炎が治療できることは大変ありがたいことなのですが、

「マイコプラズマ」だから、

さらには「マイコプラズマの疑いがあるから」

などという使い方は厳に謹んでいただきたいと思います。

 

 

 

 

 

コメントはまだありません
2017.06.27

外来診療の「メニュー」

 

 先日の質問の答えを書いていて思ったことですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 内科と外科の決定的な違いは手技的な要素なのかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 医者として知識や経験、洞察力や機転、といったものは重要なファクターであり、

内科医にも外科医にも求められるものであるが、

手術、手技の優劣が問われるのは外科の特徴であろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もっと話を矮小化すれ器用、不器用の話になるのかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こと耳鼻咽喉科などになると、この器用、不器用は大いに関係すると思われますし、

歯医者さんなどになると、この比重がさらに高いのは間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歯科学的知識は抜きんでてすぐれているが、

ぶきっちょな歯医者さんにはかかりたくない・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちょっと前に埼玉県北部にお住いの患者さんが、当院外来を受診した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「扁桃腺を切ってほしい」という。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 見ると「扁桃周囲膿瘍」であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 20代の彼女にきいたところ腫れたのは3回目。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一番最初の時は、外来で切開を受けたが、

前回は引っ越して住んでいる今の住所の近所の病院にかかったが、

切開してくれず、病院に紹介になり入院加療になってしまいだいぶ大変だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回も同様の病気と自己判断し、

近くの病院に何件か問い合わせたが切開してくれるところが無く、

当院のホームページ(たぶん、このペリトンの記事)を見てはるばるやってきたそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その場で切開、2,3回通院して良くなったみたいでその後来ないすけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、ある時はひさびさに来院した副鼻腔炎の男性。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼は「上顎洞穿刺」希望。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数年前、当院で上顎洞穿刺を行い副鼻腔炎が治ったことがあるが、

今回、風邪をきっかけにまた副鼻腔炎になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 トナリの市に転居していたため、そちらの耳鼻科で加療していたが

数カ月たっても良くならず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上顎洞穿刺を自ら希望したが

「そういうことは最近はやらない」といわれたので、

またこちらに来たという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一般に外来で「扁桃周囲膿瘍切開排膿」「上顎洞穿刺洗浄」

などを行ってる耳鼻咽喉科診療所はどれくらいの割合なんでしょうか。

「幼小児の局所麻酔下の鼓膜チューブ」やってるところは

さすがにあまりないと思いますが。

でも、最近では病院でも「上顎洞穿刺」はあまりやらないときいたような気がするし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 残念ながら、今の「医療法」の広告規制により

こういった診療上施行可能な手技、手術の内容を病院の広告として公にすることはできません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから、病院の広告見ても診療内容はワカリマセン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幼小児の局所麻酔下の鼓膜チューブ留置できます」

あたりは、こんなブログでも載せると問い合わせ多いので、

広告に載せたら、興味を持つヒト多いんじゃないかと思いますけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラーメン屋さんの「涼味!冷やし中華」や

うどん屋さんの「アツアツ鍋焼きうどん」のノボリみたいに、

耳鼻科医院の駐車場周りに

「シュミット、やってます」とか

「鼓膜切開まつり開催中!」

みたいなノボリ旗があったらそれは、かなりアヤシイ光景ではあるのだが・・・・。

 

 

 

 

 

5件のコメント
2017.06.25

滲出性中耳炎、アデノイドについてのご質問

 

初めまして。今現在2歳半の娘の滲出生中耳炎、アデノイド肥大で悩み、こちらのブログにたどり着きました。お忙しいところ、申し訳ありませんが、良かったら先生のご意見が伺いたく、コメントさせて頂きましたm(__)m

娘は、6ヶ月の時から感染症+周期性発熱症候群でもう合計30回ほど発熱しております。
風邪をひくと、鼻水、咳もよく出る子です。発熱すると長く5日は6日は下がらず、そのあとに咳鼻水が10日続く、そしでまた風邪or周期性発熱、と、、、咳鼻水発熱がない間がほぼない状態で2年ほど過ごしております。
発熱、鼻水のたびに耳も見てもらっておりましたが中耳炎と言われたことは1回もありませんでした。
なので、4月にたまたま脳外科でCTをとったときに脳外科の先生から指摘され、そのときに初めて滲出生中耳炎になっていると気がつきました。すごくショックでした。
5月からオノン、ガルボシステインをずっと服用しておりますが水が抜けてません。5月も感染症で咳鼻水発熱がひどく、今月も発熱、咳鼻水と、ほぼ間なしで看病してますので、なかなか咳鼻水から抜けられない状況です。。
鼓膜切開はしたことがなく、今かかりつけの先生からも言われたことがないです。
この先水が抜けなければ「チュービング、アデノイド切除」の手術を勧められています。

先生でしたら、やはり、鼓膜切開を試みて改善しないのであればチュービング、という手順になるのでしょうか?娘の場合はアデノイド肥大もあるから、一緒に手術というのを勧められたのでしょうか??(;_;)
やはりアデノイドがあると出口を塞ぐので水がたまりやすいんですよね。。?
毎日ホットスチーム幾(整理食塩水)で吸入、鼻ツボマッサージ、なたまめ茶、鼻水は吸引、と、毎日出来る限りのことはしたく、必死に色々してます。。アデノイドはレントゲンでは大きい、とってもいい、そうですが、寝ているときのイビキなどはピークより落ち着いてきてます。しかしまた冬場にかけてひどくなるのかなぁと不安です。
これまで日々病院漬けの娘のために、出来る限り、辛い思いをさせたくなく何が一番いいのか悩んでます。アデノイドとは、そんなにすぐにひかないのでしょうか(;_;)
分かりにくく、、長文で、すみません。
先生のブログ拝見しまして、局所麻酔でチュービングというのに感動しました。
どこにコメントさせて頂いたら良いのか分からず、可愛いわんちゃんのところにこんなコメントしてしまい、すみませんm(__)m

 

 

 

 たしかに、イヌへのコメントかと一瞬思いましたが。(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 多いですねー、この問題でお悩みの方。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、このお便りではご本人も言っておられますように、

「鼓膜切開」が第一選択でしょうね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 外来で簡単にできるし、安全で効果も大きい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 CTで初めて滲出性中耳炎が発見されるケースってあるんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たしかに子供の鼓膜は見にくいし、

ワタシにしてもコレは水あるのかなあ、ないのかなあ、と悩むケースもありますが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 切ってみると意外とある、なんてことは多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アデノイドは誰にでもあるものですが、大きい場合は手術することもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 およそ4,5歳が大きさのピークですのでそれを過ぎても小さくならない

5,6歳で手術する場合が多いですが、

しないで済めば越したことはありません。

何より入院、全身麻酔、と相当大がかりな話になってきます。

2歳半だと手術の手技にもよりますが、

残ったアデノイドが再増殖しちゃうケースもありますし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシはレントゲンよりも

実際にファイバースコープで覗いて手術必要なレベルかどうかを決めています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アデノイドでしたら、外来でその場で簡単にみられるので、

子供抑えてレントゲン撮るよりはるかに楽で正確だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、個人的にはアデノイドの手術適応は、

滲出性中耳炎よりも、イビキ・無呼吸等の呼吸障害だと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 滲出性中耳炎は4月よりずっと前からあったかもしれないし、

4月にはじめてなったのかもしれませんが、

それにしても、もう6月も終わりますので

時期的には耳の水なんとかした方がいいかもですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 問題は耳鼻科でも鼓膜切開しない

(できない or できないことはないが得意ではない)先生がいるので、そこでしょうね。

鼓膜切開できますかと訊くわけにもいかないし・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まわりの人に訊くとか、スタッフにそれとなく探りを入れるとか・・・(^^;

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 んー、そこはよくワカリマセン。m(__)m

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

8件のコメント
2017.05.28

小児へのチューブ留置、補足

 

 昨日の、チューブ留置に対し、いくつか補足です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チューブ留置は、通常

①滲出性中耳炎の状態が長く続き、鼓膜切開を何回かしてもすぐ水がたまってしまう場合

または

②急性中耳炎を反復し、いったん急性期がおさまっても

完全に水が抜ける前にまた再感染を起こしてしまう場合

に行っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大人や、学童の場合は①ですが、

幼児、乳児など年齢が小さいほど②の割合が多くなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横になってじっとしていられる子(通常3歳以上くらい)

はイオントフォレーゼによる鼓膜麻酔、

それ以下は鼓膜麻酔液を綿花につけ鼓膜に密着させ、麻酔します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 前者はほとんど出血しませんが、後者の場合、

特に反復性中耳炎で感染が完全にコントロールされない状態で切開すると、

出血がチューブ挿入の妨げになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 綿花に鼓膜麻酔液を浸したあと、ボスミンをちょっとスプレーしたり、

あまり多い場合には、

切開後いったん止血時間を置いてから挿入するようにしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回は、記事にするためにマメに写真撮りましたが、

術前や、安定期後は家族に供覧するために静止画写真をお見せしますが、

通常はチューブ留置直後の写真だけ記録しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あと、記念に手術後の母子の写真は必ず (^o^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 チューブ留置は全身麻酔で行う施設が多いと思いますが

それに比べてこの方法が良いところは、

とくに②の反復性中耳炎の場合。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まず、患者さんは0歳から1歳代の赤ちゃんが多いので、

全身麻酔となると、それなりのリスク管理が必要とされます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、中耳炎の状況は日々刻々変わるので、

術前検査をして予定日を決め、いざ入院、というときに、

発熱や全身状態が悪かったり、または鼓膜の自壊など局所状態が悪く、

予定日に手術ができない場合があります。

逆に、入院させて耳見たら、もう、治ってたとか・・・・(^_^;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その点、この方法では日々鼓膜の具合を観察し、

頃合いを見計らって

「じゃあ、今日、入れましょう。」

ということができるので、好都合です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、チューブの状態を観察し、処置しますので

2日連続で来てもらうことになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今まで、遠方から連日日帰りで来られたり、

中には一泊二日で足利に泊まられて手術をされていった方もありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近は、症例の積み重ねも多く、スタッフも押さえ方の腕が上がっておりますので、

どんな子供にチューブが留置できるようになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とくにスタッフがひときわ腕力が強い肉食系女子、というわけではありません。

みなやさしい、女性的な方ばかりで、

あくまでコツと慣れですので、その辺、誤解なきよう。

(この辺、ちゃんと言っとかないと、あとでスタッフになんか言われる・・・・・・(^_^;))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 視力は衰えても、顕微鏡下の処置なのでほぼ関係ありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、最近は耳用鉗子でケースからチューブをつまみあげるのに苦労したりして。

ここ、裸眼なので。(^_^;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、そのうち、トシで手が震えてできなくなっちゃうと思いますけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 小さい子の繰り返す中耳炎でお困りの方は宜しければご相談ください。

病院からのご依頼もお受けしております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントはまだありません
2017.05.27

反復性中耳炎への鼓膜チューブ留置

 

このところ中耳炎のチューブ留置の問い合わせなども多いので

最近の例を参考までに提示します。

 

 

 

 

 

 

 

Mちゃんは昨年5月24日初診。

当時8か月。

 

 

 

 

 

 

昨年2月、5か月の時より中耳炎を反復するため

2,3の耳鼻科、小児科で治療。

とくに4月の保育園に行きだしてから悪化し

良くならないので当院を受診しました。

 

 

 

 

 

 

初診時は両側が混濁、充血、腫脹の中耳炎状態。

 

 

 

 

 

 

 

 

前の耳鼻科は鼓膜切開しない耳鼻科だったので、

抗生剤で消炎後、鼓膜切開、粘稠な浸出液。

 

 

 

 

 

 

 

その後切開孔閉鎖後すぐ滲出液貯留しましたが、

7月初めに保存的療法で治癒。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、その後もしばしば風邪をひくと耳に水たまり、

何回かは急性中耳炎になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

その都度治療していましたが

だんだん治らなくなってきたので、12月に両則鼓膜切開。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、切開孔閉鎖直後に貯留、急性中耳炎をおこしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、9月から鼓膜切開後を除いて

完全に水が抜けた状態にならなかったので

今年1月に、両側鼓室チューブを留置しました。

入れる前。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが、チューブ留置直後の写真です。

もはや抗生剤では完全に感染をコントロールするのが難しく、

いわゆる「semi-hot ear」の状態で手術しています。

1歳4か月の元気な子なので、大暴れ。

多少時間かかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 術後、必ず記念写真撮ります。

お母さんは笑ってますが、赤ちゃん大泣きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の状態です。

出血、浸出液ありますが、チューブはちゃんと入っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

3日後にはほぼ落ち着き鼓膜もきれいになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 1週間後。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チューブはこのまま留置し月一回程度は確認。

抜去は1年後の予定ですが、寒い風邪の時期が過ぎて

4,5月頃抜く場合が多いです。

最近は、中耳炎なくなり月1回、確認のために受診しています。

 

 

 

 

 

3件のコメント
2017.05.11

テレビ東京の放送を見逃した方へ

 

 5月9日火曜日の放送見逃した方。

 

 

 

 

 

 夕方の放送なのでお仕事等で見られなかった、ということもあるでしょう。

 

 

 

 

 

 テレビ東京のホームページからバックナンバーが見られます。

クリックしてください⇒「ゆうがたサテライト

 

 

 

 

 

 

 

 だが、なんか、ハズカシイなあ。

 

 

 

コメントはまだありません
医療系をまとめました。
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  
最近の投稿 最近のコメントカテゴリー アーカイブ