2023.11.30
インフルエンザの勢いがすごいです。
27日月曜日の当院の外来では、
インフルエンザA型が23人陽性。
いっぽう新型コロナは1名のみでした。
学校、保育園・幼稚園、宿泊学習、修学旅行での感染、
職場での感染、家族内感染、
いずれも多いです。
そして、今シーズン、ある異変が起きています。
国立感染症研究所のホームページを見てビックリ。
2021~22シーズンはご存じのように、
インフルエンザの流行はありませんでした。

それが昨年2022~23シーズンはインフルエンザの流行が見られました。
グラフを見てわかるようにほとんどが
緑色のA型インフルエンザのA香港型(H3)でした。

ところが、このグラフをご覧ください。
今シーズンは緑色のA香港型と並行して、
ピンク色のH1型、いわゆる新型インフルエンザの流行が同時進行しています。

これは過去の流行では見られなかったこと。
ちなみにコロナ以前の2019~20シーズンは
H1のpdm09が主体でした。

しかもこの図から西は香港型、東は新型というような地域差はなく、
同じ地域で同時に流行していることが分かります。

要するに簡単に言えば今シーズンは
一度インフルエンザA型にかかっても
またすぐに別のA型にかかる可能性があるということ。
各医療機関で行う迅速検査キットは、
インフルエンザのA型、B型の鑑別はできますが、
新型、香港型の鑑別はできません。
今シーズンすでにインフルエンザに罹った人も
必ずワクチンを打つ必要性がありそうです。
今シーズンのワクチンにもむろん新型、香港型両方と
B型2系統の株が選ばれています。

2023.10.30
大変な作業、過酷な状況があっても、
ゴールが見えれば人間は頑張れる。
長い、マラソンを走っても、
あと5キロ、あと1キロとなれば勇気が湧くし、
登山家であっても山頂が見えれば体に力がみなぎるであろう。
テスト勉強がつらくても、
試験が終われば夏休み、と思えば頑張れるし、
工場などでの作業も5時で終業、と思えば、
それまで気力、集中力を保つことが出来る。
ここのところ、外来は連日200人超の大混雑。
発熱、インフルエンザ、コロナが多く、
その他の中耳炎、副鼻腔炎なども増えている。
耳鼻咽喉科外来で患者の多い時期は、
春のスギ・ヒノキ花粉シーズンと、年末である。
1日の来院者数が200人を超える日も多いが、
花粉シーズンはそのうち終わるし、
年末は12月30日で必ず仕事が終わる。
それが、今回は、いつまでこんな状況が続くのか全く読めない。
インフルエンザも通常の流行は2,3週でヤマを越すが、
今年は夏からだらだら続いて、ここのところまた上昇傾向。
新型コロナは減ってきてはいるが、
時間がたつと、比較的早く免疫が切れてしまうので、
このままいけば夏に罹った人たちが、
また再感染を起こす時期に入ってくる。
しかも、薬が、ないんだよなあ、まだ。
長く薬を出したいんだけど、
長期処方が出来ないので、
また、患者さんが増える、ということになってます。
ゴールの見えない、連日の過酷な業務に、心が折れそうです。

2023.10.15
新型コロナもインフルエンザも途切れることなく続いています。
今後、どういう経過になるかちょっと想像がつかないです。
急に寒くなったせいで風邪の患者さんが増えたのですが、
その中にインフルエンザ、新型コロナの患者さんが紛れており、
しかも当の本人は、自分がコロナやインフルであるとは
全く思わずに受診してくるので、
毎日、緊張して診察をしています。
特に熱がちょっと出たけど今日は下がっている、
周囲にインフルやコロナを疑う発熱者はいません、
という患者さんから多くの陽性者が出ていますので、
風邪症状、体調不良があった方は、
まず、自分はひょっとしたらコロナ、インフルエンザかも知れない、
という考えのもとに行動していただきたく思います。
あと、熱はないけど、猛烈にのどが痛い、
という人はコロナである確率が非常に高いので、
ご注意ください。

2023.09.16
下野新聞の記事です。
インフルエンザは、本県だけでなく全国的に出ています。

当院でも、ちょっと前に書いたように、
コロナに交じってインフルエンザの陽性者が出ているので
要注意です、と書きました。
しかしこの記事で増加の背景について「分からない」と書いてるが、
大体分かっています。

マスク生活の解除や、過去インフルエンザが流行しなかったための
集団免疫の低下も要因の一部だとは思いますが、
一番の要因はインフルエンザの検査件数がケタ違いに多いため、
に間違いない。
昨冬以降、厚労省はコロナとインフルエンザの同時流行を警戒し、
医療機関にその検査を進め、
このような新型コロナとインフルエンザを同時に検査できるキットを
大量に流通させたのです。
Cはコントロールライン、SはSARS-CoV-2でここにラインが出ると新型コロナ、
A、BはそれぞれインフルエンザのA型、B型で、
この写真ではインフルエンザA型陽性を示しています。

季節性インフルエンザは冬に流行しますが、
夏場にもいないわけではありません。
ただインフルエンザウイルスは寒冷、乾燥の環境で活性化し、
夏場には症状も、感染力も冬よりは劣るので、
大流行には至らない、というか
インフルエンザと認識されないのです。
おたふくかぜや、麻疹、風疹、水ぼうそうなどと違って、
インフルエンザの症状は風邪に準じた発熱、頭痛、全身倦怠感、などなので
軽症の場合は検査をしない限り風邪との区別は不可能です。
熱が出て、頭痛、倦怠感があったけれど、
1日寝てたら落ち着いた、
またはロキソニン飲んだら楽になった、
などという時には
以前なら医療機関にかかる人は少なかったでしょう。
それが、今では「コロナかも知れない」と、
医療機関を受診しますが、多くの医療機関では
インフルエンザとの同時検査キットを導入してるため、
そこでインフルエンザと診断されるのです。
当院でも、発熱の人が来ても
8月、9月の時期にインフルエンザの検査をしたことは
ありませんでした。
ともかく今、新型コロナの患者数が半端なく多いので、
そのおこぼれ的にインフルエンザの患者が引っかかってくるのです。
いったん1人がインフルエンザと診断されれば、
その情報を知った周囲の人は軽微な症状であっても
医療機関にインフルエンザの検査を受けに来るので、
かくれインフルエンザまでくまなくあぶりだされてくるという構造です。
厚労省の発表によれば今月3日までの1週間に
全国およそ5000の医療機関から報告された
新型コロナの患者数は、約10万人、
季節性インフルエンザの方は約1万人くらいらしい。
10:1だが、これがその後の1週間では5:1になっているという。
もちろん、全国的にはこの何10倍もの患者数がいるわけだ。
コロナの方は市販キットが出回っており、
インフルエンザと違ってタミフルやリレンザのような薬がないから、
自分で検査して病院に行かないケースも多いと思われ、
コロナの方が実数はもっと多いと推測されます。
じゃあ、今までこの時期のインフルエンザ患者数がどれくらいあったかというと、
データはあるはずだけれど
検査件数が違うので単純に比較ができないでしょう。
当院の検査では
9月前半は新型コロナ:インフルエンザの比率は20:1だったのですが
この1週間では4:1になり、
まだまだコロナの方が圧倒的に多いものの、
新型コロナは減少傾向、インフルエンザは増加傾向にあるようです。
実は検査件数はかなり増えていて、
検査例でのコロナの陽性率は減少傾向です。
これはインフル、コロナ以外の発熱患者さんも増えてる、ということ。
さらに当院は耳鼻咽喉科のため、
ノドが痛いコロナの人は受診が多いが、
上気道症状に乏しいインフルエンザの人は少ない、
などといろいろなファクターが重なり何とも言えませんが。
データの解釈はなかなか難しいですが、
ともかく、具合が悪ければ仕事や学校を休んでください。

2023.09.12
休み明けは発熱の嵐。
9月4日月曜日はコロナ16名、7日木曜日はコロナ12名、11日月曜日はコロナ12名。
その他、溶連菌、扁桃周囲膿瘍、急性中耳炎、
ヒトメタニューモ、アデノ、何でもあり。
高校生、38度の熱。
周囲に発熱者はいるが、コロナの連絡はありません、
とのこと。
陰性なのか、調べていないのかは不明。
検査をすると、インフルエンザAが陽性であった。

当院は原則、インフルエンザ、コロナの同時検査キットを使っていますが、
インフルエンザA型もぽつりぽつりと出ますので、
要注意。
両方検査しておいた方が良いみたいです。

2023.08.17
お盆の夏季休暇明けの木曜日。
外来は当然混雑が予想されました。
まあ、休み前は、休み中に何かあると、
ということで来院する方が多いのに対し、
休み明けちゃえばいつでもかかれるから、
ということだったり、
そもそも保育園に通う0~2歳児なんかは
保育園が休みで登園しなければそれだけで治っちゃう、
なんてことはよくあるので、
休み明けの外来は休み前に比べれば落ち着くものですが。
木曜日の来院者数は198人と、ギリギリ200人を割りました。
しかし、コロナが7人、インフルエンザが3人、
これはいつもの夏休み明けとは違うところ。
このあとお盆休み中のコロナ感染が増えるのかなあ。

2023.07.28
メーカーさんが持ってきた資料に
面白いものがありました。
我が国のインフルエンザの陽性件数の年次別推移。
黄色の2019年シーズン、コロナ前のデータです。
48週目、すなわち11月下旬から急峻な上昇を認め大流行。
12月中旬にピークに達し、年末年始のお休みで減少しますが、
その後大寒の頃に2度目のピークを認めています。
青線、緑はコロナ流行下の2020年、2021年でインフルエンザはほとんど出ていません。
赤の昨シーズンはピークはコロナ前の1/3以下と低いものの
流行期間はむしろ長く、
1月中旬から4月末までだらだらと続いたことを示しています。
3月中旬までにほぼゼロになったコロナ前とはずいぶん様相が違います。

2022-23シーズンはインフルエンザが流行したものの、
まだ、マスク、飲み会自粛などの
感染対策がそれなりに続いていたので、
このようなカーブになったと思われます。
いっぽうお隣中国では、ゼロコロナ政策のため、
2022年中はインフルエンザは押さえられていましたが、
1月上旬にこれを政府が撤廃。
そうすると、いっせいに感染対策をしなくなってしまったらしく、
すると1月下旬からインフルエンザ患者数が増加し、
あれよあれよという間に3月中旬にはコロナ前の3倍くらいの
インフルエンザ感染者を出していまいました。
その後5月にはコロナの免疫も切れて、
コロナも一説には6億人がコロナに罹ったといわれます。
政府の規制がなくなったとたんに一斉にマスクを外してしまうという、
自習時間に教師が教室を出た瞬間に自習をやめて騒ぎ出す小学生みたいな国民性だ。

いっぽう、こちらは韓国。
こちらも中国と似たようですが、
コロナ前の2/3程度に抑えられているのは、
まだ多少の自主規制意識があるのだろうか。

こうしてみると、日本人のまじめで慎重な国民性は、
こんなところにもはっきりあらわれています。
さて、気になる、今度の冬のインフルエンザの流行予測ですが、
未来予想は半年早く冬を迎える南半球のオーストラリアの動静が参考になります。
赤のラインの立ち上がりを見るとけっこうまたインフル出るんじゃないか
という印象です。

この冬は、マスク率もかなり減少してるでしょうから。

2023.07.26
また出ました。
インフルコロナ同時感染。
コロナは強陽性ですが、インフルAにもうっすらラインが見えます。
本年1月の「フルロナ」に続いて当院2例目です。

秋篠宮妃の紀子さまがコロナにかかりましたが
こちら足利市周辺でもコロナは多いです。
しかし、インフルエンザもこの間、近くの学校でまとまって出たりして
ヤバイなあと思っていたところです。
しかし、この方、70代女性で感染経路不明。
しかも、昨日からノドが異常に痛いので
という訴えで来院し、
発熱は無く、体温は正常でした。
ご本人の痛みの訴えが強いわりに、
所見としての扁桃腺の腫れや、のどの発赤が少ないので
調べてみたら出たという。
コロナ、インフル、油断ならねえ。

2023.07.06
7月5日のNHKのニュース。

「ヘルパンギーナ」は以前にも書きましたが「夏風邪」の一種で、
子供に多く、扁桃腺が赤く腫れ、
扁桃の周囲の粘膜に小水疱ができるのが特徴的です。
高熱が出ますが、2日以内に解熱し、
特に薬や治療が必要な疾患ではありません。
発熱の子供さんはまずノドを診てみて、
水疱を伴った特徴的な所見があれば、
「ヘルパンギーナ」と一発診断できますが、
水疱がはっきりしない症例も多く、
このような場合はアデノウィルス感染症、溶連菌感染症
などを考えなければなりません。
溶連菌感染症については抗生物質による除菌が必要なので、
水疱がはっきりしない場合、
迅速検査キットで診断しなければなりません。
ここのところ陽性に出る例が多いです。
この場合、抗生物質を10日間内服してもらいます。

これが陰性ならヘルパンギーナかな、とお話しするのですが、
アデノウィルス感染症も否定できません。
こちらも迅速検査キットがありますが、
アデノウィルス感染症の場合は有効な薬がないので、
3日目に熱が下がらなかったら来てみて、
とお話しします。
ヘルパンギーナは2日で熱が下がりますが、
アデノウィルスは5日から1週間近く続くことが多い。
3日目に熱がある場合は
初診時にはなかった急性中耳炎を起こしていて
そのための発熱の場合もあるので
そちらと合わせてチェックします。
ほかにもEBウイルス感染症も鑑別診断です。
しかし、ここのところ多いのがコチラ。
新型コロナはちょっと前は大人だけでしたが、
最近は小中高生に多く、未就学児にも出ています。
感染経路不明は多いです。

来院前に自宅で唾液の検査キットで陰性だった、という方も
こんなにバッチリ、クッキリ陽性でした。
やはり検査は上咽頭から。

熱があり、ノドが痛いがみると扁桃腺はたいして腫れていない、
という患者さんの中には他の風邪と共に
コロナがかなりの確率でいます。
最近は連日複数人の陽性者が出ています。
2歳以下の子供の発熱の原因として最も多いのは風邪ですが、
その次は急性中耳炎で、
耳の症状を訴えない、
あるいはそもそも赤ちゃんで耳が痛くても訴えられない
急性中耳炎のお子さんもいますので
子供の発熱の場合には必ず鼓膜所見を診なければなりません。
これも最近多いです。
毎日、患者さんを診るたびに、
症状、所見だけでなく、
年齢、既往歴、学校・幼稚園や会社、部活や飲み会などの感染の可能性のある環境、
家族の風邪様症状、発病からの日数等々、
数多くのデータをがーっと短時間で頭の中で再構築して、
いろいろな可能性を総合的に検案して、正確な診断を行うようにしていますが、
たとえば中耳炎とコロナ、溶連菌とコロナの合併は十分ありうるので、
いつ自分にコロナが感染するやもしれず、緊張の毎日です。
さて、どんな事象にも良い側面と悪い側面はあるものです。
実はヘルパンギーナが流行っていることが、
ウイルス干渉を起こして新型コロナの蔓延に
一定の歯止めをかけている可能性もあるかも。
とくに保育園レベルではヘルパンギーナの流行はむしろ歓迎?

2023.03.28
3月19日のこの記事を見て
ブログを書くつもりでした。

N抗体とは以前書いたこれです。
「N抗体の保有率」
これは昨年12月の記事でした。
第8波によって全国の交代保有率はグンと上がり、
関東地方は4~50%。
N抗体は時間ともに消えてしまうため
実際の感染経験者はこれより多く
国民の半数以上がコロナに罹患したと考えていいと思います。
これで、コロナはもう心配しなくていいのかな、
と思っていたら、28日火曜日、

(AはインフルA型、BはインフルB型、SはSARS‐CoV‐2で新型コロナです。)
発熱で受診した市内の大規模工場に勤務する男性、
周囲にコロナの人はいなかった、ということです。
まだ、出るのか・・・・(T_T)
