ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.03.29

突発性発疹かも。

 1歳前後の赤ちゃんが発熱で来院。
 39度を超える熱で昨夜夜間救急にかかったという。
 担当の先生は
「うーん、耳が赤いかなー。」
といって、中耳炎の診断で抗生剤が出たという。
 今朝になっても全然熱下がりません。
 じゃあ、診てみましょうかね。
 鼻水も咳もない。
 熱は39度を超えかなり高いが、その割に機嫌は悪くない。
 で、鼓膜を診ると何ともない。
 胸部聴診も異常なし。
「風邪かねー、突発性発疹かもなー。」
 ということで、お母さんに説明し経過を見ましょうと。
 薬はなにもなし。
 鼻も咳もないし、出す薬が無い。
 抗生剤なんてもってのほかだ。
 担当の先生はよくわからないので
「中耳炎だといいなあ。」
と思ったに違いない。
 鼓膜が見えたかどうかわからないが、
「鼓膜が赤いといいなあ。」
と思ったに違いない。
 すると、何となくそう見えてくる。
 でもその気持ちはわからないでもない。
 オレだって鼓膜所見よくとれないころは、そーいう時期があった。
 まあ、熱があってぎゃあぎゃあ泣いてればフツー鼓膜は赤いし。
 でも、たとえホントに「急性中耳炎」で鼓膜が赤くて熱があっても、
それだけでは抗生物質は使わず、数日経過をみる、
というのが今日(こんにち)の急性中耳炎のガイドラインですけど。
 突発性発疹は4カ月~1歳前後の子がかかる感染症で、
ヒトヘルペスウイルス6型7型の感染であるということがわかっています。
(私が学生のころは「原因不明だがウイルスと思われる」と教わった。)
 高熱が2~3日続き下がると全身に発疹が出る、
ということなので、
「診断がついたときには治ってる」というとこが厄介ではある。
だから「突発性発疹かも」としか言えないわけだ。
中には発疹が出ない子もいるので、これに至っては診断不能だ。
(おたふくもあるでしょ、腫れたことないけど調べたらかかってた、ってやつ。)
 どっちにしろウイルス性の「風邪」なので治療は抗生剤など使わず、対症的でいいわけだ。
まあ、症状あれば、鼻水の薬とか、整腸剤とか。
 まあ、赤ちゃんが最初に熱出すのはこれ、ってパタ-ンは多い。
 薬は必要ないが下痢とけいれんに注意。
 さて、この子も数日高熱がありましたが、
救急でもらった薬、どれも飲まないでいいからと説明し、
その後、無事に(?)発疹が出て治りました。
(実はこの子、半月前にも高熱で受診し、
「突発性発疹かもねー。」といって、
なにも薬ださず熱も下がったが、そん時は発疹出なかった。)
 夜、4か月~1歳前後の赤ちゃんが熱を出したら、
全身状態を観察して 翌日に、医療機関(なるべく耳鼻科)を受診しましょう。
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2010.03.28

サクラサク?

 土曜日は、午後から妻が子供連れて博多の実家に里帰り。
 で、「1時までは仕事するけど。」と宣言。
 「えー、1時からは一人でやるんですかー。」
と、泣きが入っていたが、
どっこい、ふたを開けたら1時前に終わってしまった。
 まあ、そのつもりで朝からがんばってとばしたおかげもあるが、
 今年の花粉症もこれで何とかなりそうだ。
 大体桜が開花すれば、スギは下火になり、桜が散ればスギはおしまいである。
 だから桜が咲くのはうれしいのだが、今日は絶対咲かせてはいけない桜があるのだった。


  2001年J1第4節
  セレッソ大阪    2-3     浦和レッズ  (長居スタジアム)
     (前半    1-1)
     (後半    1-2)


 そう、セレッソ大阪の「セレッソ」は「さくら」の意。
 J2から昇格のチームだが、どうも昔からここは「やりにくい相手」という印象があるのですが。
 4時の長居は間にあわないので、スカパー観戦となる。
 家に誰もいないので、柴犬のレディアとソファーに座って応援。
 前半、達也のゴール!
 いや、久々のゴール、本人もうれしいでしょう。
 しかし、その直後の失点はいただけませんね。
 それにしても、アドリアーノつええ。
一瞬フッキを思い出したぜ。
 後半、追加点、再同点、勝ち越し、と落ち着かないゲームでしたが、
「点を取る」という意味では、今後にいい流れを残せたのではないかと。
 エジの好調もうれしいし。
 それにしても、スカパ-解説の山野さん、
ご自身がセレッソの前身「ヤンマー」出身で本音はセレッソを応援したいんだけど、
「解説者」として、公正なコメントをしようという姿勢がにじみ出ていて、
すごく、好感が持てましたね。
 このヒトのコメントはいつも選手にやさしく人柄が出ていていいです。
 最後のフィンケのインタビューの後も、
「セレッソの事ももほめてもらいました。」
と、にこにこしていたのが印象的でした。
 次はナビスコで磐田、そして昇格組の湘南、不調の新潟と続きます。
 ここら辺の相手で、うちはペースをつかんで波に乗りたいですね。
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2010.03.26

8年ぶりの鼓膜

 長いこと同じ場所で開業医やってると、
久しぶりに来院する患者さんがいる。
 今日来た女性は、24歳の方。
 カルテを見ると8年ぶりの受診で、その時は当院で手術をしていた。
 滲出性中耳炎で小学生の時、総合病院で鼓膜にチューブを入れる手術をして、
その後、チューブが脱落したのだが、
大きな鼓膜穿孔が残ってしまった。
 8年前のその時、当院には花粉症でかかったのだが、
その話を聞いて、じゃあ、鼓膜塞いでみようか、と手術を持ちかけたのでした。
 外来手術で鼓膜は無事塞がり、その後ずっと来院してませんでした。
 まあ、手術がうまくいけばその後は耳鼻科に通う必要はないので、
そういう方の経過ってその後あまり見る機会がありません。
(逆にうまくいかなかった人は時々受診するわけだが・・・)
 もちろん、そんな手術した方はいっぱいいるので、
その子も全然記憶になかったのですが、
ついでに8年ぶりに鼓膜を見てみました。
 癒着も石灰化もなく穿孔の痕跡すらないきれいな鼓膜になってたので、
ホッとするとともに嬉しかったですね。
 その後は耳だれもなく聞こえもよいとのこと。
 うーん、医者やっててよかったと思う瞬間ですね。
 ついでにジャージ姿だった高1の女の子はすっかりきれいなお姉さんになってました。
 
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2010.03.26

孤独の外来


 なんだって、卒業式や入学式なんかは花粉症のシーズンにあるんじゃー。
 今日も子供の入学説明会かなんかで、
また午前中は副院長が不在。
 普段、2人で診てるのを、1人で診るので当然時間が倍かかる。
 ○○日は副院長不在です、って早くから張り紙してるのに、
今日も午前中2時までかかった。
 患者さんの数は、この時期としてはむしろ普段よりやや少ないくらいだったんですけどね。
 まあ、当院はインターネット受付なので、
家で受付しようとした時、あまり待ち人数が多いと受付しないので、
もし、それが無かったらと思うと恐ろしい。
 来院前のキャンセルも結構出てたし。
 でも、ほとんどのクリニックはお医者さん一人だから、
こんなことで無きごと言ってると
「ナニ甘いこと言っとんじゃい、ワレ!」
などとどやされそうだが。
 あと待ち人数20人っていっても、
2人で診るときは、あと10人診りゃいいのか、と思うわけで、
心のゆとりが全然違います。
 ここだけの話、ああ、このヒトちょっと苦手、っていう方は向こうで診てもらうってこともできますし。
 そんなわけで、こんな日があると奥さんのありがたさを実感するわけです。
 で、また、入学式のとき(えーと確か4月7日かな)には私一人なので、
ご迷惑おかけしますが、なるべく他の日に来院してくださいね。
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3件のコメント
2010.03.24

「殺菌」と「静菌」


 花粉症も多いのですが、季節の変わり目なのと、
冬の風邪シーズンの最終盤なのでここのところ中耳炎の方が多いですね。
 内科小児科で風邪といわれて薬を飲んでいたが、
急に耳が痛くなって来院、というケースが多い。
 大概の方が「風邪薬」と称して抗生剤を処方されているのには、
今更ながらあきれます。
 「風邪のときには抗生剤は無効」というのが今の常識なんですが。
 もう一つ気になるのが「抗生剤の併用」です。
 βーラクタム系の抗生剤とマクロライド系の抗生剤を同時に処方されてることがあります。
 これ、ちょっと疑問です。
 確かに抗菌スペクトル(対象とする細菌)が異なるので、
原因菌がはっきりしない時には「守備範囲」が広くなるような気がします。
 しかし、これらは同時に使うと効果を打ち消しあう恐れもあります。
 抗生剤はその作用機序から大きく分けて「殺菌的」な薬と「静菌的」な薬に分かれます。
 「殺菌的」な薬の代表はペニシリン系、セフェム系で、薬の名前だと
「メイアクト」とか「トミロン」「フロモックス」「セフゾン」「パセトシン」などが多く使われています。
 細菌の細胞壁の合成を阻害し溶菌させます。
 動物細胞には細胞壁がないため細菌への選択性が高く有効です。
 しかし、それゆえ細胞壁をもたない病原体、具体的には「マイコプラズマ」には無効です。
 一方「静菌的」なくすりの代表としてはマクロライド系、薬としては
「クラリス」「クラリシッド(これはクラリスと同じ薬です)」「エリスロシン」などがあります。
 これらは細菌のタンパク合成を阻害し増殖を抑えます。
 菌を殺すわけではありませんが、体の免疫、菌の寿命によって治療につながります。
 細胞壁をもたない「マイコプラズマ」にも有効ですが、その作用機序から
切れ味はやや悪いです。
 で、これらを併用するとどうなるか。
 ペニシリンやセフェムは細菌が細胞壁を合成する「増殖」の時に効果を発揮します。
 ところがマクロライドが増殖にストップをかけるとその効果を発揮する機会が無くなります。
 それで、実際より効果が弱くなってしまう可能性があります。
 ただしこれは、「試験管内」ではその作用がはっきり確認されてますが、
「生体内」では確かめるのがなかなか難しい。
 専門家は「薬を飲む時間をずらせば大丈夫」としていますが、
どれだけずらすかも、なかなか難しいですね。
 ただでさえ、子供さんにお薬飲ませるのは大変ですし。
 まあ、われわれ医者としては、なるべくデータを集め、所見を検討して
病原菌を想定した上で薬を処方すべきでしょう。
 これだけ出しときゃ、どれか当たるだろう、では困りますからね。
 
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