ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2012.10.05

ガテンがいかず


 「ためしてガッテン」というNHKの番組がある。
 地上波をほとんど見ないワタシとしては、
結構見てる番組である。
 料理の話と健康の話が大半を占めるが、
先日は「耳管開放症」がテーマであった。
 こっちとするともう話のネタはよーく知ってる話なので、
いつもとは違った立場で番組を見ることになった。
 印象は、意外にも
回りくどい、わかりにくい、誤解を招き易い、
表現だったので、びっくりした。
 考えてみれば、事実を淡々と説明したのでは
視聴者の興味を引くことができないので、
わざとわかりにくく「謎の~」とか
「耳鼻科医も知らない~」とかの表現をつけ、
 「耳が全く聞こえなくなることがある」
とか
「巨大耳あかが脳に浸潤して命にかかわる」
などといった
センセーショナルな話で脅かそうとする。
 巨大耳あかとは「真珠腫」のことで、
確かに全く間違ってるとは言えないが、
普通の耳あかとは全く別モノだし、
鼻すすり型耳管開放症から脳内に浸潤するような真珠腫ができることは、
ほとんど全くまれである。
  その昔、みのもんた氏のお昼の番組で、
いろいろな疾患にテーマを定めてとりあげる番組があった。
 たいがい、学会では聞いてこともないような、
怪しげな医者(?)が出てきてショッキングなコメントをし、
会場のオバサンたちに悲鳴や歓声をあげさせるのが目的の
粗悪な番組であった。
 プロがみればあきれるような内容なんであるが、
当時、ウチの死んだバアちゃんなどは、結構見ていた。
 食事中などにふいにバアちゃんが
「○○って怖いんだってねー。」
などと言い出すと、
「また見たな、あの番組見ちゃダメっていってるでしょ。」
とたしなめるのだが、
またこっそり見ていて、
見るとどうしても人に言いたくなって、
また言って、
内容が内容なので、すぐバレてまた注意される、なんて事をしてたなあ。
 さすがにあの番組はヒドかった。
 ただ今回、専門家として招かれていた東北大耳鼻咽喉科の小林教授は、
人間的にも学問的にも大変立派な先生で、
間違いなく耳管開放症については日本の第一人者であり、
ワタシも何回も講演を聞いたことがあるし、
実際に当院から患者さんを紹介して耳管開放症の手術をお願いしたこともある。
 多分、放送局の意向であんな演出になり、
ご本人もある意味、心外なのではなかろうか。
 民放地上波はハナから信用がおけないが、
天下のNHKがあれでは困るなあ。
 今回の「ガッテン」も間違ったことを言ってるわけではないが、
真実がちゃんと伝わっているかは疑問である。
 耳管開放症については、以前当ブログで解説したので、
その辺知りたい方はこちらをご覧ください。
 ちょうど2年くらい前のブログです。
↓クリックしてお読みください。
耳管開放症の中島美嘉さん
耳管開放症の治療
 そう思ってみると、ワタシがふんふん、へえー、と思いながら見ている、
耳鼻科以外の他科の疾患の話も、
ある程度歪曲された話も多いのだろうかと、
けっこう不信感を持ったりしちゃいます。
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2012.10.04

カンニング


 中国人が、運転免許を不正に取得するために、
超小型のワイアレスイヤホンを耳に中に入れていたそうだ。
 それが取れなくなった女性が、
別の中国人の保険証で病院にかかり逮捕されたという。
 これが、なんと足利市ですと。
 ちなみにかかったのはウチじゃないです。
 ウチに来た最近の外耳道異物は、
生きたゴキブリが耳の中の入って取れなくなったオジサンだったし。
(それもスゴイけど、ときどきあります。)
 しかし、ニュースで見たそのワイアレスイヤホンが小さいのでビックリ。
20120623-561826-1-N.jpg
 直径1.5ミリくらいらしい。
 中国製なんだろうか。
 まさかソニーやリオネットが作ってるとも思えないし。
 こんなに小さくて、ワイアレス。
 なんかスパイ大作戦などをふと思い出してしまう。
(おはよう、フェルプス君・・・・・、古っ!)
 しかし、さすが、科挙の国、中国。
 かつて行われていた科挙では、
それこそありとあらゆるカンニングの集団が発明(?)されたという。
 カンニングの歴史も1400年を超えるわけだ。
 その昔は科挙でのカンニングが発覚して
一家全員が死刑になったこともあるという。
 しかし、あの機械、どう見てもまっとうな目的のために
つくられたものとは思えないので、
運転免許なってセコイもんだけじゃなくて、
もっと重大な犯罪や不正にきっと使われてるだろうなあ。
 ううむ、コワイ。
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2件のコメント
2012.10.03

突発性難聴の話

 エレファントカシマシとかいうバンドのヒトが
突発性難聴で休業だそうだ。
 実はこのバンド名前以外はほとんど全く知らないんですが、
突発性難聴について少しお話をします。
 突発性難聴はある日ある時突然に片耳の聞こえが悪くなる病気で
原因は不明です。
 というより、原因不明のものにこの病名がつきます。
 原因が分かっているものは「騒音性難聴」とか
「ウイルス性難聴」とか「薬剤性難聴」の病名がつくわけだ。
 難聴と同時に耳鳴りがおこり、
場合によっては難聴が自覚されず
耳鳴りだけが唯一の症状である場合も
少なくありません。
 音を感じ取る神経細胞の障害で
感音性難聴に分類されるが、
その中では比較的治ることの多い疾患です。
 程度は様々で、ごく軽度の難聴から
ほとんど聾になってしまうものまであります。
 頻度的には比較的多く、
当院のような個人の診療所でも週に何人かは初診の方がいます。
 原因は不明ですが、
治療はほぼ手順が決まっており、
中心となるのはステロイド剤です。
 通常は内服で経過を見ますが、
場合によっては入院加療をすることもあります。
 治り方も様々で、
薬もなにもなくても治っちゃう人もある一方、
どんなことをしても聴力が回復しない人がいます。
 4割は完全治癒、3割は改善、残り3割は聴力の改善なし、
と言われますが、ワタシの感触ではもっと治癒率は高い印象です。
 まあ、開業医には救急車で搬送されるような重症例が少ないので、
全体としてはこんなものかもしれませんが。
 確実に言えることは、
発症から治療開始が早いほど治る確率が高く、
逆に1ヶ月以上経過したものは一般的には治りません。
 植木鉢のお花がしおれた時点で水をやると復活しますが、
完全に枯れてしまうと戻らない、
という感じです。
 めまいを伴う例もあり、
めまいにとらわれて内科、脳外科などで治療を行い
耳鼻科的な診断が遅れると難聴が残ってしまう場合があります。
 もちろん当初の内耳のダメージが強く、
早期からきちんとした治療をしても
聴力が戻らない方もあります。
 人間の体の様々な組織は再生能力がありますが、
神経細胞は再生しないので
一旦死んでしまうともう戻らないのです。
 ステロイドが奏功しない場合は高圧酸素療法や
星状神経節ブロックなどの補助的療法を追加することもありますが、
あくまで補助的療法であって、
これやれば絶対治る、
という治療法は今のところありません。
 浜崎あゆみさんや元ウインクの相田翔子さんも
突発性難聴だったときいています。
 ただ、今回のエレファントカシマシの方は
入院して手術までされたとか。
 突発性難聴の手術ってあまり聞いたことないのだけれど、
何やったんでしょうか?
 ワタシが不勉強なだけなのか?
 ともかく、お大事に。
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2012.09.30

優勝争いをする資格


 フュージョンバンドのライブと同時刻、
東京国立競技場では、重要な試合が行われていた。


 2012年J1第27節
  柏レイソル    1-2    浦和レッズ  (国立霞ヶ丘競技場)
      (前半   1-1)
      (後半   0-1)


 前節ホームで降格圏のガンバ大阪相手に
0-5と屈辱的な大敗を喫したレッズ。
 残り試合数、同日昼間のゲームですでに
勝ち点3をモノにしている首位広島との勝ち点差を考えると、
ここで引き分け以下だとかなり優勝は遠くなる。
 選手もそこら辺はよーく理解していたと思われる、
非常に密度の濃いゲームになった。
 
 最終ラインからビルドアップし
サイドチェンジを交えたパス交換から
相手ゴールに迫るレッズ。
 前線、中盤からプレスをかけ早い展開からシュートに持ち込むレイソル。
 お互いのスタイルがくっきりと表れた
見ごたえのある試合だった。
 くしくも前節、終了間際の決勝点で勝ち点3をモノにした
首位広島と2位仙台のゲームを見て、
優勝を目指すチームはこの執念が必要だ、と言ったが・・・・・
 同点で迎えたロスタイム、
GK加藤のフィードから矢島が競り勝ったところに、
ポポがまさに「執念の」ゴールを決めた。
 そう、これ、これだって!
 このゴールによって、再び優勝争いの資格を取り戻したレッズ。
 やっぱり、こっち見に行けば良かった?
(いや、ウソです、前原センセイ。でも、ちょっとホント。)
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2012.09.30

フュージョン、フュージョン♪


 昨夜ははるばる高崎までとあるフュージョンバンドのライブを聴きに行ってきました。
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 フュージョンといえば、ある意味ワタシの音楽的指向からは
もっとも遠い方向にあるジャンルである。
 何ゆえ、フュージョンと思われるでしょうが
このバンド、我がCRPのべーシスト前原センセイがギタリストとして参加してるのだ。
 故に参加メンバーはこの3人。
006_20120930100243.jpg
後で、前原先生の奥様とまえはらクリニックのスタッフが合流。
 ゆく道々話したのだが、オレはフージョンは
ほとんど知らないがある一つの法則を知っている。
 それは
アマチュアのフージョンバンドは最初か最後に
必ずスクエアの「Truth」(いわゆるF1のテーマ)を演奏する。

 いままで、いろんなアマチュアバンド大会に出たが、
フュージョンのバンドでこの曲をやらなかったバンドは無い。
 えー、でも、こないだはやらなかったよ。と、アヤちゃん。
 アヤちゃんは数か月前このバンドの最初のライブに行ってるのだ。
 なーんだ、残念。
 そして、バンドの演奏が始まった。
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 おお、イキナリ「F1のテーマ」!
 ほら見ろ。
 という事で、やはりワタシの法則は正しかったのだ。
 バンドは(バンド名が長くて覚えられない。前原センセイも覚えてないらしい。)
サックスのヒトをリーダーにベースとドラムと前原センセイを含めた4人がお医者さん。
キーボードの女の子とサックスの女の子が看護婦さんかなんかである。
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 中年ドクター4人という点ではCRPと同じだが、
ずいぶん雰囲気が違うなあ。
(ドラム、モヒカンじゃねえし。)
 お客さんもやや上品な感じ?
(いや別にCRPのお客さんが下品という訳ではアリマセン。)
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 ブラジルやらスペインの旗が下がっているがここはもともと「ピッチ」という
サッカー・カフェなのだ。
 ホントは同時刻に行われている
浦和レッズ対柏レイソルの試合をこのモニターで見たいのだが。
 それにしてもさすがこのバンドはウマイ。
 そもそも楽器が上手くなければ
フュージョンをやろうなんて気は起きないだろうなあ。
 前原センセイの足元もスゴイ。
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 オレなんかディストーション1個だけだっちゅうに。
 知らないと思ってたフュージョンも「傷だらけの天使」「太陽にほえろ」など
お馴染みの曲があり楽しめました。
 途中プロ(?)の女性ボーカルも入ったり。
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 しかし、前原センセイ、ずっと譜面とにらめっこですな。
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 ライブのあとはちょうどその日誕生日だった
アヤちゃんの誕生会をみんなでお祝いしました。
年齢は企業秘密です。
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 ローソク、ちゃんと○○本立ってる?
だいぶ少ないのでは?
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 ライブを見ると、また自分たちもやりたくなりますね。
 今度は、CRPじゃ。
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