ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

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2010.04.03

「メス系」

 メス系という言葉をご存知でしょうか。
 オス、メスのメスではなく手術で使うメス。
 いわゆる「外科系」の診療科を「メス系」の科といいます。
 医者の間ではメスザイテなんて言ったりした。
 「ザイテ」はドイツ語で”seite”、英語で言うと”side”ですな。
 ただし「メス」は実はオランダ語でドイツ語では「Messer」だから
「Messerseite」なんだが、これは和製ドイツ語らしい。
 ちなみに「メス」は別に手術用に限らず「小刀」を指し、
英語では「Knife/ナイフ」です。
 まあともかく、「メス系」とは「外科系」、「手術をする診療科」の意味ですね。
「外科」「整形外科」「産婦人科」「泌尿器科」「脳外科」「形成外科」「眼科」「皮膚科」
そしてわれらが「耳鼻咽喉科」も「メス系」です。
 一方「内科」「小児科」「放射線科」「精神科」などは「内科系」ですが、
特にメス系に対応するような呼称はないと思います。
「聴診器科」とかね。
 まあ、切らないで治せるんならその方がエライ、という意見もありますが、
いざとなれば「手術」という手段のある外科系が私は性にあってます。
 卒業時進む科を選ぶ時、
ともかく「手術をする科」をやりたい、と思ったものです。
 群馬大の当時の「第1外科」と「耳鼻咽喉科」のどちらにするか、
最後の最後まで迷い「耳鼻咽喉科」に入局しました。
 勤務医時代はそれこそ朝から晩まで手術してましたが、
開業後もできる範囲の手術は必要に応じてなるべくするようにしています。
 まあ、日常一番身近な手術は鼓膜切開。
 うーん、どうしようか、鼓膜、切っちゃおうか。
 毎日、悩むわけです。
 患者さんにとっていちばんいい治療法が「内科的治療」か「外科的治療」か、
自分の経験と技量で決められるとこが「外科系の魅力」ですね。
 鼓膜切開もろくにしない
「草食系男子」ならぬ「内科系耳鼻科医」では耳鼻科医の意味がないですからね。
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1件のコメント
2010.04.02

似て非なるもの

 眼科と耳鼻科って、よく並べられるけど。
 外科系でマイナーで細かいし、首から上の感覚器を扱うってことで。
 まあ、眼(め)医者、歯医者、耳(みみ)医者なんて。
 んで、今日は「点耳薬」のお話。
 眼科では「点眼薬」を多用します。
 ひょっとして、内服薬より多いのでは。
 それで、世の中には「点耳薬」なんてのがあってすごく似た存在に思われてる。
 「中耳炎だから点耳薬」みたいな。
 間違いです。
 急性中耳炎では通常、点耳薬は治療に用いません。
 なぜか。
 それは鼓膜が基本的に防水だからです。
 目の結膜は「粘膜」ですから、薬の吸収はいいです。
 だから眼薬はよく効くわけです。
(白内障の点眼はちょっとどうかと思ってますが・・・。)
 ところが鼓膜は「皮膚」なので、外から薬たらしても中にはいかないのだ。
 「中耳炎」は鼓膜の向こう側で細菌が繁殖していますから、
外からつけても意味がない。
 点耳薬は「外耳炎」「(鼓膜穿孔のある)慢性中耳炎」「チューブ留置や鼓膜切開後の中耳炎」には有効ですが、
「痛がってる中耳炎」には無効です。
 痛いってことは鼓膜が腫れてるわけで、ということは穴開いてないわけだ。
 チューブ留置耳や、鼓膜切開後も耳だれが多ければ、その上からつけても意味ありませんから、
実際には急性中耳炎における点耳薬の出番ってほとんどないわけです。
 さらに、点耳をつけてると鼓膜が自壊した時に、
耳だれなのか点耳薬なのかわからないので、診断の妨げになります。
 漫然とつけると外耳道に「耐性菌」や「カビ」がはえてしまい、
またこれが治療に難渋します。
 そんなわけで、8カ月の子供が耳だれ出たといって、
耳も見ないで(もっとも耳垢充満で見ても見えなかったと思うが)
タリビッド点耳出す先生、やめてほしいなー。
 確かに1歳未満の子で耳だれっていうと外耳炎が多くて、
そーゆーのは点耳ですぐ良くなるんですけどね。
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2010.03.30

地域医療貢献加算?

 4月になるとまた保健改定があってメンドクサイ。
 といっても、私は事務にお任せだし、
何が何点ってのもほとんど把握してないので、
薬屋さんが持ってくる「点数早見表」を見てもどこがどう変わったかじぇんじぇんわかりましぇん。
 事務員の話によると今回は「地域医療貢献加算」なんてのがあるそうだ。
 彼女が「ウチ、該当しますかねえ、」ってんで調べてみてと言っておいた。
 これは、夜間や休日、電話連連絡を受けたり、
急患診療をしてる施設が対象になるようだ。
 確かに当院は病院と同じ番号の電話が、
自宅のリビングと、私の寝室にあるので、
24時間対応ではある。
 食事中でも出ますが、外に食事に出たり、トイレやお風呂ん時は出られませんが。
(時々、トイレで電話の音が鳴ってあわてて出ると切れてたりする。)
 急患もそんなわけで随時診てる。
 足利市の消防署では小倉先生んとこは診てくれるって噂になってるらしく、
よく救急隊から急患の電話がかかってくるし、
中には、119番できいたんですけど、っていう電話が患者さんから直にきたりする。
 大晦日もお正月も必ず何人か診るはめになります。
 元旦に明治神宮で初詣の時、救急隊からの携帯が鳴ったこともあったし。
 でも、今回の算定基準は、
「必ず」24時間連絡が取れ、
留守番電話も携帯等にすぐ転送されるようになっており、
必要に応じて診察または往診ができる体制をとっておくこと

なので、こりゃ全然できませんね。
 っていうより、こんなことできる開業医っているんだろか。
 1年中どこも行けないじゃん。
 埼玉スタジアムで携帯なったら、帰んなきゃいけないの?
 アウェイの時は代診頼まなきゃなんないし。
 そもそもオレ、家にいれば休日でも夜中でも枕元でなる電話は出るが、
たとえば土曜の午後とか
 レッズの試合テレビ観戦中は、たとえリビングにいても電話出ませんから。
 そんなわけで、この件に関しては今まで通り当院は加算なしです。
 以前にも書きましたが、かつてレッズサポのSさんは子供の急変に
浦和の試合の前半終了まで待って電話をかけてきた。
「もしもし、先生、ハ-フタイムになるまで待ってたんですけど・・・。」
 さすが、よくわかってらっしゃる。
「・・・じゃあ、後半終わったら来てください。」
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3件のコメント
2010.03.29

突発性発疹かも。

 1歳前後の赤ちゃんが発熱で来院。
 39度を超える熱で昨夜夜間救急にかかったという。
 担当の先生は
「うーん、耳が赤いかなー。」
といって、中耳炎の診断で抗生剤が出たという。
 今朝になっても全然熱下がりません。
 じゃあ、診てみましょうかね。
 鼻水も咳もない。
 熱は39度を超えかなり高いが、その割に機嫌は悪くない。
 で、鼓膜を診ると何ともない。
 胸部聴診も異常なし。
「風邪かねー、突発性発疹かもなー。」
 ということで、お母さんに説明し経過を見ましょうと。
 薬はなにもなし。
 鼻も咳もないし、出す薬が無い。
 抗生剤なんてもってのほかだ。
 担当の先生はよくわからないので
「中耳炎だといいなあ。」
と思ったに違いない。
 鼓膜が見えたかどうかわからないが、
「鼓膜が赤いといいなあ。」
と思ったに違いない。
 すると、何となくそう見えてくる。
 でもその気持ちはわからないでもない。
 オレだって鼓膜所見よくとれないころは、そーいう時期があった。
 まあ、熱があってぎゃあぎゃあ泣いてればフツー鼓膜は赤いし。
 でも、たとえホントに「急性中耳炎」で鼓膜が赤くて熱があっても、
それだけでは抗生物質は使わず、数日経過をみる、
というのが今日(こんにち)の急性中耳炎のガイドラインですけど。
 突発性発疹は4カ月~1歳前後の子がかかる感染症で、
ヒトヘルペスウイルス6型7型の感染であるということがわかっています。
(私が学生のころは「原因不明だがウイルスと思われる」と教わった。)
 高熱が2~3日続き下がると全身に発疹が出る、
ということなので、
「診断がついたときには治ってる」というとこが厄介ではある。
だから「突発性発疹かも」としか言えないわけだ。
中には発疹が出ない子もいるので、これに至っては診断不能だ。
(おたふくもあるでしょ、腫れたことないけど調べたらかかってた、ってやつ。)
 どっちにしろウイルス性の「風邪」なので治療は抗生剤など使わず、対症的でいいわけだ。
まあ、症状あれば、鼻水の薬とか、整腸剤とか。
 まあ、赤ちゃんが最初に熱出すのはこれ、ってパタ-ンは多い。
 薬は必要ないが下痢とけいれんに注意。
 さて、この子も数日高熱がありましたが、
救急でもらった薬、どれも飲まないでいいからと説明し、
その後、無事に(?)発疹が出て治りました。
(実はこの子、半月前にも高熱で受診し、
「突発性発疹かもねー。」といって、
なにも薬ださず熱も下がったが、そん時は発疹出なかった。)
 夜、4か月~1歳前後の赤ちゃんが熱を出したら、
全身状態を観察して 翌日に、医療機関(なるべく耳鼻科)を受診しましょう。
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2010.03.26

8年ぶりの鼓膜

 長いこと同じ場所で開業医やってると、
久しぶりに来院する患者さんがいる。
 今日来た女性は、24歳の方。
 カルテを見ると8年ぶりの受診で、その時は当院で手術をしていた。
 滲出性中耳炎で小学生の時、総合病院で鼓膜にチューブを入れる手術をして、
その後、チューブが脱落したのだが、
大きな鼓膜穿孔が残ってしまった。
 8年前のその時、当院には花粉症でかかったのだが、
その話を聞いて、じゃあ、鼓膜塞いでみようか、と手術を持ちかけたのでした。
 外来手術で鼓膜は無事塞がり、その後ずっと来院してませんでした。
 まあ、手術がうまくいけばその後は耳鼻科に通う必要はないので、
そういう方の経過ってその後あまり見る機会がありません。
(逆にうまくいかなかった人は時々受診するわけだが・・・)
 もちろん、そんな手術した方はいっぱいいるので、
その子も全然記憶になかったのですが、
ついでに8年ぶりに鼓膜を見てみました。
 癒着も石灰化もなく穿孔の痕跡すらないきれいな鼓膜になってたので、
ホッとするとともに嬉しかったですね。
 その後は耳だれもなく聞こえもよいとのこと。
 うーん、医者やっててよかったと思う瞬間ですね。
 ついでにジャージ姿だった高1の女の子はすっかりきれいなお姉さんになってました。
 
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2010.03.24

「殺菌」と「静菌」


 花粉症も多いのですが、季節の変わり目なのと、
冬の風邪シーズンの最終盤なのでここのところ中耳炎の方が多いですね。
 内科小児科で風邪といわれて薬を飲んでいたが、
急に耳が痛くなって来院、というケースが多い。
 大概の方が「風邪薬」と称して抗生剤を処方されているのには、
今更ながらあきれます。
 「風邪のときには抗生剤は無効」というのが今の常識なんですが。
 もう一つ気になるのが「抗生剤の併用」です。
 βーラクタム系の抗生剤とマクロライド系の抗生剤を同時に処方されてることがあります。
 これ、ちょっと疑問です。
 確かに抗菌スペクトル(対象とする細菌)が異なるので、
原因菌がはっきりしない時には「守備範囲」が広くなるような気がします。
 しかし、これらは同時に使うと効果を打ち消しあう恐れもあります。
 抗生剤はその作用機序から大きく分けて「殺菌的」な薬と「静菌的」な薬に分かれます。
 「殺菌的」な薬の代表はペニシリン系、セフェム系で、薬の名前だと
「メイアクト」とか「トミロン」「フロモックス」「セフゾン」「パセトシン」などが多く使われています。
 細菌の細胞壁の合成を阻害し溶菌させます。
 動物細胞には細胞壁がないため細菌への選択性が高く有効です。
 しかし、それゆえ細胞壁をもたない病原体、具体的には「マイコプラズマ」には無効です。
 一方「静菌的」なくすりの代表としてはマクロライド系、薬としては
「クラリス」「クラリシッド(これはクラリスと同じ薬です)」「エリスロシン」などがあります。
 これらは細菌のタンパク合成を阻害し増殖を抑えます。
 菌を殺すわけではありませんが、体の免疫、菌の寿命によって治療につながります。
 細胞壁をもたない「マイコプラズマ」にも有効ですが、その作用機序から
切れ味はやや悪いです。
 で、これらを併用するとどうなるか。
 ペニシリンやセフェムは細菌が細胞壁を合成する「増殖」の時に効果を発揮します。
 ところがマクロライドが増殖にストップをかけるとその効果を発揮する機会が無くなります。
 それで、実際より効果が弱くなってしまう可能性があります。
 ただしこれは、「試験管内」ではその作用がはっきり確認されてますが、
「生体内」では確かめるのがなかなか難しい。
 専門家は「薬を飲む時間をずらせば大丈夫」としていますが、
どれだけずらすかも、なかなか難しいですね。
 ただでさえ、子供さんにお薬飲ませるのは大変ですし。
 まあ、われわれ医者としては、なるべくデータを集め、所見を検討して
病原菌を想定した上で薬を処方すべきでしょう。
 これだけ出しときゃ、どれか当たるだろう、では困りますからね。
 
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2010.03.19

ひさかたの光のどけき春の日に

ひさかたの光のどけき春の日に しずくとばしてくしゃみするらむ
【解釈】こんなに日の光がのどかにさしている春の日に、
    なぜ私はしずくが飛ぶほど激しいくしゃみをしてるのだろう。
【解説】「ひさかたの」は天、雨、月などのかかる枕詞。ちなみに「久しぶりの」という意味はない。
    「するらむ」の「らむ」は推量を表す助動詞で「どうして~だろう」という意。
   <用例>「思ふらむ」⇒「どうして、思うのだろう」
      「知らむ」⇒「どうして、わかるのでしょう」
      「あぐねすらむ」⇒「どうしてあぐねするのでしょう」


 今年は花粉が少ない少ないといいながら、患者さんが多いらむ
 ポイントは花粉の本格的飛散が遅かったこと、
雨や雪が多く、飛ばない日が多かったので飛ぶ日に集中して多くの花粉が飛んでるため、
でも、一番は患者さんの油断だろうなー。
 マスコミが騒がないので、なんとなくその気にならないまま
漫然とシ-ズンに突入してる人が多いような気がします。
 きちっと準備して臨んだ方はそれなりに良い春を迎えてるはず。
 もう一度、注意事項をおさらいして残りのシーズンを正しく過ごしてくださいね。
 それにしても、
「花粉症がひどいです。」
とか
「他の病院でもらった薬が効かないです。」
といって受診する患者さんの服装を見てがっかりするコトがしばしばあります。
 親子してモコモコ、フワフワの フリース 着てたりして。
 それで、この間の日曜日子供のサッカーでマスクなしで一日外いたんです、とか。
 昨日天気がいいんで布団干してから薬が効かなくなって、とか。
 まるで、外来でくわえタバコで椅子に座って
「毎日40本タバコ吸ってるんだけど、ずーっとタンが絡んで咳がとまらねんで。」
という患者さんに説明する時のようなむなしさを感じます。
 花粉症の時に家族に花粉症の方がいれば、たとえ本人がそうでなくても
フリース、ニットでの外出はやめてくださいね。
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2010.03.04

春は悲しき

 奥山にスギを踏みわけ入る人の くしゃみ聞くときぞ春は悲しき 
【解釈】山の奥のスギの中に分け入っていく人が(スギ花粉症があるので)大きなくしゃみをして山に響き渡る。
その音を聞くとああ、春が来てしまったんだなあと悲しくなるのだ。
【解説】静かな山に響き渡る花粉症患者のくしゃみ。
その音に作者は、春が来たこと、花粉症の季節が来たことを実感している。
悲しい思いになるということは、作者自身が花粉症患者、あるいは耳鼻科医であることをしのばせる。
「春ぞ悲しき」は「~ぞ…しき」の係り結びである。
係助詞「ぞ」は意味を強める言い回しで連帯形の「しき」にかかる。
<用例>君ぞ恋しき⇒あなたが(特に)恋しいのだ
   散るぞ悲しき⇒散ってしまうことが悲しいなあ
   鼻ぞ苦しき⇒鼻が苦しいよう
   でぞめしき⇒でがめしいなあ


 結局今シーズンは私の予想通り季節性インフルエンザは流行しないまま、
春を迎えましたね。
 スギ花粉も昨年より約1週間遅くシーズンインしました。
 外来も発熱者より、花粉症疑い&急性中耳炎が多いですね。
 特に花粉症は、マスコミが今年は軽い、といって話題にしなかったせいで
油断した人たちがあわてて薬を取りに来ています。
 耳鼻科医は苦しい季節だ。
 午前中も遅くまでかかるが昼休みは午後の外来に備えてひたすら寝ている。
 しかし、まだ「花粉症の注射」をしてる施設があると聞いてビックリ。
 以前も書きましたけど「シーズン前に一本打っとけばOK」ってのは
ステロイドの筋肉注射だから、絶対打ってはダメよ。
 免疫抑制されて、花粉症も出ないけど他の病気に対する抵抗力もなくなっちゃう、
「人工エイズ」 みたいなもんだからねー。
 まあ、花粉症のシーズンは始まったばかり。
 皆さん、くれぐれもマスクなしで奥山に入らないように。
(それよりわざわざそんなとこ行くんじゃねー)
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2010.02.23

眠くならない薬

 君がため春の野にいでて若菜摘む、わが衣手で鼻をかみつつ
 【解釈】あなたに差し上げるために春の野に出て草を摘んでいると(花粉が飛んでいるので)私の着物の袖でしきりにハナをかみつづけている。
 【解説】作者は意中の人のために野草(通常春の七草の類)を摘んでいるのだが、花粉症を持ってるため
鼻水が出て、大変つらいさまをわかってほしいな、との思いを込めている。
  「きみがため」:「きみ」とは意中の恋人と考える。あなたのために。
    <用例>わがため⇒わたし(自分)のために
       子がため⇒(我が)子のために
       回転エビがため⇒回転エビのために
    <比較>きみかため、白身とろとろ温泉たまご
 衣手に降っていた雪も上がり、そろそろ花粉症に季節が来そうです。
 今週から、花粉が飛びそうです。
 花粉症の薬というと眠くなる、という人が多く、これで治療をあきらめてる人もいるようです。
 実際、かつては花粉症の第1選択である「抗ヒスタミン剤」は眠いものが多く、
今も市販の薬はほとんどこの眠くなる古いタイプ
(分類上は第1世代の抗ヒスタミン薬)ですが、処方される薬は
いわゆる「第2世代の抗ヒスタミン薬」と効き目が強く、眠気の少ない洗練された薬です。
 中には全く眠気のでないタイプの薬もあります。
 一般には薬の注意書きに「自動車等の運転に対する注意」が記載されているのですが、
この薬に関してはそれが無く」、一応航空機のパイロットの人が飲んでもいい、となってます。
 まあ、効き方と眠気の出方はある程度比例関係にありますので、
耳鼻科医と相談して「自分にちょうどいい薬」を見つけることが大事です。
 まあ、花粉の飛ぶ時期はあったかくてネムイので、
「眠気」が必ずしも薬のせいでない場合も少なからずあるのでご注意を。
 さて、以前こんな話がありました。
 患者さんは花粉症ではなくハウスダストなどの通年性アレルギーのご年配の女の方なんですが。
 ある薬を出したところ、効果はいいけどちょっと眠い、というお話だったので、薬を変更しました。
「じゃあ、こっちの薬にしましょう。この薬は全然眠くなりませんから。」
 と、先ほど述べた薬を処方しました。
「本当に眠くならないんですか?」
「ゼッタイ、眠くなりません。」
 ・・・2週間後、
「どうでした。眠くならなかったでしょう。」
「先生、やっぱり前の薬にしてください。」
「効果が弱かったですか?」
「いえ、それはいいんですけど、
この薬、眠くならないという薬なので、これ飲むと夜眠れなくなっちゃうんです。」
 いや、眠くならない薬って、コーヒーとか覚せい剤みたいに
眠くならなくする薬じゃないんですが。
 ゼッタイ、眠くならない、ってそーゆー意味じゃ無かったんだがなー。
 なんか変な暗示がかかっちゃったみたいだけど、
患者さんのご希望で元の薬に戻しました。
 うーん、日本語、難しいです。
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2010.02.07

いまどきの点鼻薬


 小倉さん、小峰の薬局も心あらば、なるべくよく効く薬をくれなむ
 【解釈】小倉先生も、薬局の小峰さんも人の心があるならなるべくよく効く(花粉症の)薬をくれて欲しい
 【解説】小倉さんは「小倉山」、小峰の薬局はその「山の峰」をかけてある。(参考:小倉山 峰のもみぢ葉心あらば)
     花粉症の薬はいろいろな種類があるが、よく効く薬をもらいたいなあ、という作者の願望が表現されている。
     「くれなむ」の「なむ」は未然形動詞との組み合わせで(他者への)願望を表す終助詞。
 {用法}梅咲かなむ⇒梅が咲いてほしい
     待たなむ⇒待っていてほしい
     きむじょんなむ⇒きむじょんしてほしい
 なわけで、花粉症の薬を取りに多くの患者さんが来院されてます。
 みなさん、検査結果に合わせて「スギ」の人は2カ月分、
「スギ+ヒノキ」の人は二ヶ月半から三ヶ月も薬を持ってくわけで、
年末の買い出しみたいだ。
 いやでも、ほんとに「冬籠り」ならぬ「花粉籠り」をしてもらうのが一番。
 初期療法が2週間前でなくてもいい、というのでその説明が多少違いますが、
ポイントは毎年同じ。
 ともかく、花粉を家に入れないこと。
 患者さんからのコメントで一番困るのは
「薬が効きません。」 だ。
 そんなはずはないんだがなー、とよく訊くと、
子供のサッカーで一日河原にいた、とか、
マスクをしないで買い物に行った、とか、
天気がいいので洗濯物を外に干した、とか・・・。
 そりゃ、無理 です。
 傘をさしても、台風の暴風雨の中に出りゃびしょぬれです。
糖尿病の薬飲んでても三度三度ケーキ食べてりゃ血糖値は下がりません。
 今年、花粉が少なめといわれてますが、
くれぐれも油断しないように。
 さて、初期療法について、考え方が変わってきたことは
お話しました。
 今回は「いまどきの点鼻薬」の話です。
 以前「花粉症の市販薬(点鼻薬編)」でも触れたように、花粉症の点鼻薬といえば「ステロイド」です。
 最近、この「局所ステロイド」はずいぶん見直され改良が進みました。
 以前は「つまった時に使う」というイメージがありましたが、
それは間違いです。
 ステロイド剤は、 「花粉症の初期から毎日使いましょう」。
 ステロイドの持つ「抗炎症作用」で、粘膜の状態を正常に保つことが、ステロイドの狙いです。
 この点、近年の喘息治療がテオドールなどの「気管支拡張剤」の対症的治療から、
「抗ロイコトリエン剤」と「吸入ステロイド」の抗炎症治療に変わってきたことによく似てます。
 「一日一回」の点鼻ステロイドの新薬が最近相次いで開発されました。
 全身に対する影響もほとんどなく、シーズンを通して使って何の問題もないことも
データで証明されています。
(そういえば、いまだ「ステロイド注射」をやってる悪質な病院もあるみたいなのでご用心)
 薬飲んでるんだけど、毎年ダメ、という方は、
今年はステロイド点鼻の併用をお勧めします。
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医療系をまとめました。
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