2011.03.11
やすらはで寝なましものを さ夜更けて
かたぶくまでのティッシュを見しかな
【解釈】(こんなことなら)さっさと寝てしまったのに、
鼻をかみ過ぎてゴミ箱に山と積もったティッシュが傾くまで
(ずっと鼻をかみながら)夜を明かしてしまったよ。
【解説】「寝なましものを」「まし」は反実仮想(現実には起こらなかったことを、
もし起こればと想像すること)の助動詞で、「ものを」は逆接の接続助詞。
「さ夜ふけて」 「さ」は言葉の調子を整えるための接頭語で、
全体で「夜は更けて」という意味になります。
「ティッシュをを見しかな」「かな」は詠嘆の終助詞で
「ティッシュの山を見たことですよ」という意味。
(用例)「のどけからまし」⇒「のどかであろうに」
「うれしからまし」⇒「うれしかったであろう」
「無いよりはまし」⇒「スギ花粉の時のガ-ゼマスク」
「無いほうがまし」⇒「小学生がアゴにかけてる花粉用マスク」
今年も例年通り当院の玄関にはしばらく前から張り紙が。
近づいてみるとこう書いてあります。
皆さん、よろしくお願いします。
気温もだんだん上がって来ましたが、
もちろん病院の窓は開けるわけにはいきません。
今年は花粉が特に多いので、大変です。
しかも、本番はまだまだこれからです。
過去最高だった平成17年に迫る勢いです。
幼稚園生は外遊び禁止、小学生もお昼休みに外に出てはダメです。
学校や幼稚園の先生にも事あるごとに言っています。
卵アレルギーの子に無理やり卵食べさせますか?
光化学スモッグ注意報が出たら子供を教室に入れますよね?
花粉症に関して、まだその辺をよく理解していない先生がいらっしゃるのが嘆かわしいです。
被害者は子供です。
これを読んだ教育、保育関係のセンセイ方は速やかに適切な処置をとってください。
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2011.03.02
あしひきの山鳥の尾のしだり尾の
長々しハナを一人かむなむ
【解釈】(花粉症で)山鳥の尾のように長い長いハナ水がいつまでも切れず一人かむのだなあ
【解説】「あしひきの」は「山(山鳥)」にかかる枕詞
「山鳥の尾の」山鳥」はキジ科の鳥で雄の尾が非常に長いと言われ
「長いこと」を表す時に使われる。
「の」は連体格助詞で「…で」や「…であって」の意味。
全体で「山鳥の尾であって」のような意味になります。
「しだり尾の」「しだる」は「下に垂れる」という意味の動詞で
連用形「しだり」に「尾」が付いた名詞。
「の」は「のような」の意味の格助詞で「下に垂れる尾のような」の意味。
最初からここまでが、「長々し夜」を導き出す序詞になります。
大変くどい言い回しですが、
それが、花粉症のかんでもかんでも出てくるハナの忌まわしさを
強調した形になっています。
枕詞は次の語句を引き出すもので決まっています。
<用例>「あしひきの」⇒「山、峰」
「あおによし」⇒「奈良」
「ぬばたまの」⇒「髪、黒、夜、夢」
「おぐじびの」⇒「ロックな耳鼻科」
「むなげぶる」⇒「ガッツなベース」
先週木金あたりから、この地方でも花粉の本格飛散が始まり、
いよいよ来た、という感じであるが、
やはり飛散開始は「平年並み」だったので、
2月の中旬くらいだと思うから、その辺から薬始めてねー、
と呼びかけてた患者さんたちはちょうど良かったことと思います。
さて、バンドの話ばかりでは申し訳ないので、
少しためになる話を。
病院に行くと血液をとってアレルギーの検査をすることが多いと思います。
これは
IgE という物質を測定しています。
IgEは免疫グロブリンの一分画で本来体を守る免疫系のパーツなのですが、
体の「誤解」により、無害な物質を攻撃してしまう物質です。
この「無害な物質」がスギ花粉だったりヒノキ花粉だったり、
ハウスダストやイエダ二などで、これらは「抗原」と呼ばれます。
「抗原」なんて言うと「悪の元凶」みたいなイメージですが、
被害妄想に陥った人体が誤解のもとに
「くしゃみ」「鼻水」「鼻詰まり」「流涙」で「攻撃」を加えるものなので、
花粉側にしてみれば迷惑千万な話です。
さて、ここで今回言いたいのは、
スギIgE抗体価が高い≠スギ花粉症
ということです。
スギ花粉の侵入によって体がIgE抗体を作っても、
まだそれだけでは花粉症になったとはいえないのです。
完全に解明されてない面もあるのですが、
アレルギー発症のためには、もうワンステップが必要です。
多くの方は抗体上昇から速やかに発症しますが、
抗体が陽性のまま発症しないヒトもいます。
だから、血液検査で「スギ花粉症です」といわれても
今まで花粉症の症状が出たことが無ければ、
花粉症の薬を飲む必要はありません。
そのかわり、さらなる花粉の吸入によって、すぐにも発症する可能性があるので
花粉症のヒトと同様に、マスク、コート、帽子、眼鏡などの
「花粉防御」は厳重にすべきです。
一旦発症しちゃうともう、戻れませんから。
その最後のステップにインターロイキンという物質がかかわってるという説があるので、
これをブロックする「アイ・ピー・ディー」という薬は、
この時点の患者さんにひょっとして有効ではないかと個人的には考えているんですが、
確証が無いので特にお勧めしていません。
(高い薬だし、マスクの方がゼッタイお勧め)
この間聴いた講演では、
抗体陽性者のアレルギー発症は50歳を境にぐっと確率が減る、そうです。
実は、家族内で唯一花粉症の無い私、
今、51歳なので、もはや、逃げ切ったか?
(そりゃもうトシだってことで、ちょっとサビシイ面も・・・・。)
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