ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

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2012.02.06

うがいと手洗い


 風邪の季節です。
 外来に来る子供の患者さんのお母さんに、
「じゃあ、これで、中耳炎も治ったから、なるべくこの後風邪ひかないように。
風邪ひいたら受診してください。」
 などと、話をし、子供に
「○○くん、風邪をひかないようにするのは、どうすればいいですか?」
 と、尋ねると、
「うーん、うがいと手洗い。」
などと答える賢い子もいる。
 そう、手洗い、大事ですね。
 風邪のウイルスは通常皮膚からは侵入しないが、
手指を介して、のどや鼻の粘膜から感染することは多い。
 だから、流水で(特に消毒薬でなく)まめに手を洗うこと は大変重要です。
 じゃあ、うがいは?
 医学的にはうがいの効果は疑問です。
 粘膜についたウイルスは速やかに侵入してしまうと考えられるため、
うがいで除去できる可能性は低いと思われます。
 まして、消毒薬のポピドンヨード(商品名イ○ジ○)ですが、
消毒薬はそもそも一定時間病原体に接してないと殺菌作用を発揮しません。
 ガラガラ、ッぺ、では意味無いでしょう。
 昔は、手術中に、じゃあ、ここイ○ジ○で洗っとくか、
などといい、希釈したもので術野をじゃぶじゃぶ洗浄したものですが、
意味のないことが分かり今はやられていません。
 以前、京都大学の調査では、
水道水でうがいする群、うがいしない群、ポピドンヨードでうがいする群、
で調べたところ、水うがいはやや効果があったが、
うがいしない群と、ヨードうがい群ではあまり差が出なかった。
 ポピドンヨードがのどの粘膜の正常細菌叢や線毛を傷害して、
ウイルスの侵入を容易にするのでは、という考察もある。
じゃあ、水うがいはいいのか?という点についても
うがいする時結構手を洗う事が多いので、
こっちが効いてんじゃないの、という意見もあるらしい。
 最近浜松医大で、お茶のうがいがイイというデータが出ましたが、
専門家の間ではまだコンセンサスが得られてはいないようです。
(静岡県では水道の蛇口ひねるとお茶が出る地方があるらしい。ホントかい。)
 
 そもそも「うがい」は日本独特の風習で、
諸外国ではあまりやられてないと言われます。
 風邪の予防にはマメに手洗いを、
うがいはどうでもいいけど、まあするなら水道水でテキトーに、
と思います。
 あ、あと、良く訊かれる鼻うがい
 のどに比べ鼻の粘膜ははるかに繊細です。
水道水ですと、鼻の粘膜の線毛を傷害しますので、
風邪ひきやすくなりますからご注意を。
 やり方失敗すると鼻のバイキンが耳に行って中耳炎になるし、
これは、やめときましょうね。
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3件のコメント
2012.02.03

小児急性中耳炎の抗生剤選択


 急性中耳炎の薬物療法についてコメント欄にいただきましたので、
せっかくですから、ここでご説明しましょう。
 といっても、急性中耳炎には日本耳鼻咽喉科学会が主導してつくった
「小児急性中耳炎ガイドライン」なるものがありますので、
それを、ご覧いただければいいわけなんですが。
 などと言っちゃあ、ミもフタもないんで・・・・。
 まず、第1選択薬は「アモキシシリン」。
いわゆるペニシリン系の薬で商品名は
「パセトシン」「サワシリン」「ワイドシリン」等。
 みな同じ薬ですが、もともと体重当たりのグラム数が多く、
耐性菌を考えさらに高用量で使う場合が多いので、
2倍力価の製剤のある「ワイドシリン」を使う先生が多いです。
(要するに同じ強さの薬としてはワイドシリンはサワシリンの半分量でOK)
 ただ、ここで問題となるのは耐性菌の存在。
 小児急性中耳炎の3大原因菌といえば
1.肺炎球菌
2.インフルエンザ菌
3.モラクセラ・カタラリス
ですが、このうちモラクセラはほぼ100%アモキシシリン耐性です。
 そこで、第2選択としては
「クラバモックス」「メイアクト」が推奨されています。
 クラバモックスはアモキシシリンの高用量に、耐性菌の出す
βーラクタマーゼという酵素を阻害する物質が含まれています。
 メイアクトはセフェム系といわれる抗生物質のグループに中では、
もっともバランスのとれた抗菌力を持つ薬剤です。
 セフェム系は、抗菌力が強く副作用の少ない使いやすい薬ですが、
近年その大量使用により耐性化が進み、
同じセフェム系でも「ケフラール」や「ラリキシン」などの古い世代では、
今日日の中耳炎にはほぼ対抗できません。
(多くは飲まない方がマシ、です。)
 おいしい味で一世を風靡した「セフゾン」も最近は耐性化が進んでいます。
 ご質問の「トミロン」ですが、セフェム系で現時点でもかなり抗菌力を発揮する薬剤です。
 特に、先の原因菌のうちインフルエンザ菌に関しては、
メイアクトを上回る抗菌力を持っています。
 ただし、グラム陽性菌にやや弱く、
特に黄色ブドウ球菌(トビヒの菌ですね)には
抗菌力を期待できません。
 トミロンは、だから中耳炎には効くと思いますよ。
 ワタシも耐性化の進んだインフルエンザ菌による
急性中耳炎の時にはトミロンを高用量で出します。
 一方、マクロライド系の抗生剤は、耐性化が進んでおり、
特に中耳炎の最も多い原因菌である肺炎球菌に対しては、
7割以上が耐性化しており、
中耳炎の治療薬としては不適切です。
 もちろん急性中耳炎のガイドラインにはどこにも出てきません。
 それでも、「クラリス」や「エリスロマイシン」が好きなセンセイ多いんだよなあ。
(最近はマイコプラズマにも半分以上が効かなくなってるのに。)
 さて、それでもだめならの最終選択の薬剤として
「オラペネム」「オゼックス」があります。
 これらは、難治化のすすむ小児急性中耳炎の切り札として、
耳鼻科医が製薬会社に頼んで開発してもらったという、
異例の生い立ちを持っています。
 確かにキレ味はいいのですが、これが効かなくなっちゃうと、
次の手がないので、なるべく使わずに済ませたい薬剤で、
製薬会社もそんなプロモーションをしています。
 もちろん、この種の薬が使われるような状況では、
当然「鼓膜切開」のような外科的処置が講じられるわけです。
 くれぐれも安易に、漠然と使わないように、という薬剤です。
 今日も午前中だけで鼓膜切開が3件。
 まだまだ中耳炎の季節は続くのだ。
 カテゴリの「中耳炎」をクリックしていただくと
他にも中耳炎の話がまだありますのでどうぞ。
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7件のコメント
2012.02.02

今は香港

 年明けからじわじわ増えてきたインフルエンザ。
 今のところA型がほとんどです。
 B型は20~30人に一人くらいの割合かと。
 で、このA型、国立感染症研究所の解析によると、
ほとんどすべてがH3N2の「A香港型」です。
 つまり、昨年、一昨年のいわゆる「新型」と言われた
H1N1pdm2009ではナイ。
 今後、このH1N1の流行があるのか、
または今シーズンは現れないのか、
はたまたH1N1は「ソ連型」のように潜伏あるいは消滅してしまい、来シーズン以降ももう出ないなのか、
等々、気になるところではあります。
 おさらいですが、抗インフルエンザ薬は現状では
内服のタミフル(カプセル、ドライシロップ)、
吸入のリレンザ(1日2回5日間)、イナビル(1回のみ吸入)、
があります。
 この他に、点滴注射剤のラビアクタがありますが、
入院以外で使うことはまずないでしょう。
 いずれも発症後48時間以内、早いほど良く効きます。
 ところで、最近はインフルエンザ診断キットの品質が上がったのか、
ワタシの調べ方がうまくなったのか、
かなり診断精度が上がった印象です。
 熱が出てあまり時間がたっていなくても、これはアヤシイ、というヒトはまず必ず陽性に出ます。
 治療開始が早くなり治りもいいわけです。
 今のところ、検査は陰性だがタミフル出します、という事例はありません。
 やはり、まず鼻汁を良く吸引清掃してから、
上咽頭まで綿棒の長さいっぱいに突っ込んで
ぐりぐりする、ってのが大事でしょうね。
 また、今流行ってるのが下気道(気管、気管支)でも増える「新型」でなく、
上咽頭に多くウイルスを出す「旧型」の「香港型」であるのも診断率の向上に関係してるかも。
(むしろ、こっちか。)
 今日も、熱は36.7℃だが、全身倦怠感が強い患者さんが来院されたが、
検査するとうっすらだが、確かにA型陽性であった。
 ところで、インフルエンザ、流行っちゃいるけど、
爆発的、というほどではない。
 これは、学級閉鎖が功を奏しているとワタシは見ています。
 以前は、インフルエンザでクラスの半数近くが休んでも、
なかなか学級閉鎖の措置が取られなかった。
 給食の関係なんかもあるんだろうが、
1時間遅く登校とか、
感染制御にほとんど意味のないことしかしてなかった。
 ところが2009年の「新型」インフルエンザの時に、
「新型」ということでどんどん学級閉鎖が行われた。
 大体、学校とか、お役所とかの偉い人はアタマかたいので、
何より「前例」が大事なわけだ。
 で、この新型インフルエンザ騒ぎが良い「前例」になり、
最近は学級閉鎖がスムーズに行われるようになった、
とワタシは感じているんですが、どうでしょう?
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4件のコメント
2011.12.13

それで、マイコプラズマはどうするの。

 先日のマクロライド、マイコプラズマの続きですが。
 じゃあ、マクロライドが高度耐性化したマイコには何を使えばいいか?
 前回紹介した、国立感染症研究所のレポートには「ミノマイシン」の事が書かれてました。
 ミノマイシンは古い薬ですが、
「テトラサイクリン系」という、また違うグループの抗生剤で、
独特の効き方をします。
 効く菌種も広いのですが、副作用も多く、
特に小児の場合歯牙着色やエナメル質形成不全、一過性の骨成長障害などがあり、
使いにくい薬です。
 一方、もう一つ「ニューキノロン系」の抗菌剤も
マイコプラズマに効きます。
 こちらは、マクロライド系と違って、
肺炎球菌をはじめとする一般細菌にも充分な抗菌力があります。
 そのため、成人の市中肺炎では、よく用いられる薬です。
 長らく、小児用製剤が無かったため、
内科や耳鼻咽喉科の先生は使い慣れていますが、
小児科の先生は使う機会がありませんでした。
 先ごろ、初めての小児用ニューキノロン剤「オゼックス」が発売されています。
 じゃあ、これでいいじゃん、肺炎球菌だろうとマイコプラズマだろうと
まとめて面倒見るぜ、みたいな。
 しかし、それはダメなのだ。
 そもそも、このオゼックス細粒はほぼ同時に発売されたオラペネム細粒と同じく
ある目的を持って開発、発売された薬なのだ。
 それは、難治性中耳炎の治療。
 近年の耐性菌の増加により急激に治りにくくなった幼小児の中耳炎の
いわば切り札として、耳鼻科医会が中心となって、
頼んで作ってもらった薬なのだ。
 だからメーカー側も「なるべく安易に使わないでほしい」
と宣伝しない特殊な薬なわけだ。
 これをバンバン使ったらマイコプラズマはもとより、
中耳炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌が、
耐性化して効かなくなってしまう可能性大なのだ。
 だからほっておいても治ることの多い「マイコプラズマ疑い」
ごときに使う訳にいかないのだ。
(もともと保険適応症は通ってないが。)
 当院でも難渋する中耳炎の子に、これでコントロールできなきゃチューブ入れます、
と言って「切り札」的に使用する薬です。
(でも結局外来でチューブ入れることになる赤ちゃんも結構いるんだよなー・・・。)
 まあ、そんなわけで、現時点ではマイコプラズマが強く疑われれば、
やっぱり最初は、マクロライド、
耐性マイコでないことを祈ってまず「ジスロマック」を。
 でも、中耳炎の有無や過去の肺炎球菌の検出の有無に注意して、
っていうところですかねー。
 なんとなく、ハガユイ。
 ともかく、いろんな可能性を想定し、
経過を良く見守るのが一番大事、
ちゅうことはマイコプラズマにかかわらず、
どんな場合にもあてはまりますな。
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2011.12.11

マイコプラズマとマクロライドと肺炎球菌


 ここんところのブログでは、バンドやコンサートやフットサルや宴会で
ちっともお医者さんの話が無いではないか、
オグラは遊んでばかりで仕事してないのではないか、
といわれると困るので(いや、別に困らないけど)たまには専門の話を。
 さて、今期、マイコプラズマが大流行、ということは
マスコミや地域の情報網でもいろいろ耳にされて、
ご存知の方が多いと思います。
 マイコプラズマ感染症とは何か?
 まあ、簡単に言うと「咳の風邪」ですね。
 幼小児の咳の続く風邪は「RSウイルス」が多いけれど、
学童期以降は「マイコ」を考えなきゃならない。
 「マイコプラズマ」は「細菌」ですが、細胞壁をもたず、
そのため細胞壁を攻撃するタイプのペニシリン系やセフェム系の抗生物質は無効です。
 また、一般細菌と違い培養が難しく、
インフルエンザのような迅速簡易検査は診断価値が無く、
PCR検査で確定しますがこれは保険がきかず通常の病院では不可、
診断は血液検査による抗体価の上昇を調べなければなりませんが
2週間以上の間隔をおいて2回採血しなくてはなりません。
 日常的には臨床所見と胸のレントゲン、流行の状況で診断します。
(胸のレントゲンはウチ撮れませんし、いちいち撮ってるところも少ないそうだが)
 一般に症状は長く続く咳ですが、重症化は少なく、自然治癒します。
マクロライド系の抗生物質が有効とされています。
 良く聞く「クラリス/クラリシッド」「エリスロマイシン」「ジスロマック」などです。
 ただ、ここに大きな問題が。
 そのマクロライド耐性の、薬の効かないマイコプラズマが最近急激に増えている、
という報告があります。
国立感染症研究所のHPから
 この「図1」耐性率の急激な増加はスゴイですね。
 でも、それで、みんな入院して重症化してるか、って言うとそうでもないので、
マイコプラズマと診断されてクラリスが出たヒトの中には、
自然治癒や実はマイコプラズマではなかった人が結構多いんだろうなあ。
 だから、咳が出るから、うーんマイコプラズマかもねー、
といって安易にマクロライド出すのは問題なんだなあ。
 で、その大きな問題は、このクラリスをはじめとするマクロライド系の薬は、
最近、 「肺炎球菌」にかなり効かなくなっているということ。
 

 肺炎球菌はインフルエンザ菌と並んで中耳炎、気管支炎、肺炎などの
主要な原因菌で、重症度はマイコプラズマよりはるかに強い。
 子供の急性中耳炎の原因菌の約4割以上が「肺炎球菌」です。
 こちらは培養、抗生剤の感受性検査が簡単にできるので、
当院でも頻繁に見てますが、ウチの病院では
現時点でざっと7割以上の肺炎球菌は
マクロライドが効きません。
 先日、来院された1歳の保育園児の発熱。
 両側急性中耳炎で、まず培養をとってペニシリンを投与、
3日後発熱は無くなり鼓膜所見も改善してきたので、
もうちょっと抗生剤を続けましょうか、といったところ、
保育園でマイコプラズマが流行っていて咳がひどくなってきたので、
マイコプラズマの薬が欲しい、との親の意見。
 熱も下がってきて、鼓膜所見もいいし、
培養の結果がまだだけど、耐性肺炎球菌と決まったわけではないし、
胸の音は悪くないけどマイコは聴診上はあまり顕著で無いので
マイコを合併してない、とは言いきれないし、
悩んだ末、まあ、いいか、と薬をマクロライドに変えたところ、
翌日、40度の熱、鼓膜所見も悪化し、即、鼓膜切開となりました。
 うー、やはり、マズかったか・・・。
 来院される患者さんも漫然とマクロライドを投与されてる方を
よく見かけますが、良く適応と目的とを考えて、
薬選ばなきゃいかんなあ、と自戒もこめて思います。
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2011.11.18

今日は「風邪に抗生物質を使わないように」の日


 今日、11月18日は「EUROPIAN ANTIBIOTIC AWARENESS DAY」です。
antibiotic_3_1.jpg
 「抗生物質に意識を持つ」ということは「風邪などで抗生剤を安易に使わない」
というキャンペーンで2008年から行われています。
 抗生物質の多用により急激に増えた「耐性菌」に対する警告キャンペーンです。
 マスコットキャラクターもあるみたいです。
antibiotic_awareness.gif
 風邪だろうがインフルエンザだろうが抗生物質を使わなくても良くなるよ、
ということです。
 こっちは、風邪もインフルエンザも抗生物質飲まずに安静に、ということです。
pic3-300x168.png
 このキャンペーンはヨーロッパだけでなく
アメリカCDCも同時期にキャンペーンをやっています。
11月14日から20日まで「Get Smart About Antibitics Week」です。
atibioticsweek01_20111118134733.jpg
 女の子のおでこに
「抗生物質、はたしてホントに必要な時にちゃんと働いてくれるでしょうか?」
と、書いてあります。
 抗生物質の無用の風邪やインフルエンザなどの
ウイルス疾患で抗生物質を使っていると
本当に抗生物質が必要なときに効かなくなってしまう、
ということを警告しています。
 カナダでも同様のキャンペーンを展開しているそうです。
 日本ではこんな動きが無くいまだに
「風邪で熱があるから」
という不可解な理由で安易に抗生物質を処方するお医者さんがいるのは
誠に残念なことです。
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2件のコメント
2011.11.14

RSウイルス迅速検査の話

 最近マスコミでRSウイルスに注意、なんてことがよく報道されている。
 NHKの朝の番組でもやっていた。
 RSウイルスは依然とうブログでも紹介しました。
クリックして参照→「RSは何の略?
 要するに「かぜ」のウイルスなんですが、
報道を見るといかにも新手の感染症みたいな扱いで
やたら国民の不安をあおる内容になってました。
 1018_04_shinsatsu.jpg
(NHKホームページより)
 特にキャスターが
「普通の風邪と見分けがつかないところが怖いですね。」
のにはあきれた。
 だって、普通の風邪でしょうが。
 そもそもこの「流行」実際どうなんですかね。
 NHKのこのデータはどこのデータなんだ。
1018_03_graph.jpg
 風邪ひきが全国で1000人や2000人のワケないから、
定点観測施設のサンプルデータでしょうけど。
 まあ、注意するに越したことないし、
病気の存在を知っておくことは大事ですけど、
RSウイルスかどうか調べてください、って患者さんが増えても困る。
 実はRSの迅速検査キットは数年前に発売され、
3歳以下の入院患者に限って検査が認められていた。
 今回、10月17日から外来でも1歳未満の乳児での検査が
保険適応になったようです。
 そんなわけで、当院でも検査キット導入しましたので、
必要があれば検査いたします。
 どっちかっつーと、この「流行」は、検査キットの普及によるものも多いのでは、
とフト思う。
 風邪で入院した子供さんが、それまでは
お医者さんもRSウイルスだなあと思っても、風邪からの気管支炎・肺炎ですね、
などと言われてたのが
「RSウイルスが原因です」と断言されるようになったわけだし。
 ともかく、みんなかかる病気なんだから、
お母さん方や保育園の先生が過敏になって、
RS,RSと騒がないことを望みます。
 3週間くらいは感染力があるので、3週間保育園来るな、
というのはナンセンスだし。
 また逆に調子に乗ってやたらめったら検査しまくる先生が出ても困るなあ。
 インフルエンザと違って特効薬があるわけではないので、
治療法が変わるわけではない。
 わかったところで、せいぜい
「RSウイルスなので抗生物質は無効なのでいりません、
重症化に注意して、乳児に移さないように。」

って話をするくらいでしょうな。
 ところで、RSウイルスには注射がありますが、
これは低体重出生児、先天性心疾患、慢性肺疾患を持つ子供たちに
流行時に月1回予防的に打つものです。
 商品名「シナジス」ですが、これはワクチンではありません。
 ワクチンとは病原体そのものを弱毒化、無毒化したものを体内に入れ、
それに反応して体が病原体をやっつける「抗体」を産生するのを促すものです。
 「シナジス」は無毒化した病原体ではなく、「抗体」そのものです。
 だから打てば、その日から効果がありますが、
自分で作ったものではないのでいずれ体から消えてしまいます。
 フツーの予防接種とは違いますのでご注意を。
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2011.10.27

日本聴覚医学会に行ってきました


 水、木と休診にして、日本聴覚医学会に行ってきました。
 会場は福岡。
 
 実は、妻の実家が福岡なのでちょっと実家にあいさつ。
ワタシ、6,7年ぶりに福岡の実家にお邪魔しました。
 税務署の人読んでたらおこられちゃうなあ。
 いや、ちょっと寄っただけでこういうのふつーはナイですので・・・。
 聴覚医学会は耳鼻咽喉科学会の分科会の一つで、
実はあまり出たことが無かったのだ。
 耳鼻科は関連学会が多く、
耳関連だけでも「耳科学会」「めまい平衡学会」「聴覚医学会」などがある。
 耳鳴り治療の最前線などを聴いてきました。
(学会のスライドです。)
009_20111027210223.jpg
 結構知らないことも多く、ああ、この分野、もっと勉強せなあかん、
と痛感いたしました。
 いろいろもっと聴きたいのもあったけど、
飛行機の時間があるので・・・。
 017_20111027210223.jpg
 例によって搭乗前に空港で昼食。
今日は「博多もつ鉄板焼き定食」!
019_20111027210222.jpg
 これでスタミナを補給。
 それで、飛行機、地下鉄、東武線と乗り継ぎ午後6時半に足利市駅に着き、
タクシーで自宅に帰ってその足ですぐに、今度は自分の車で
7時から足利医師会館で開催された「小児科診療医師研修会」に参加してきました。
 ああ、今日は勉強しすぎじゃ。
 さすがに疲れましたわ。
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2011.10.25

今週は休診でご迷惑をおかけします。

 誠にご迷惑をおかけしますが、今週、水曜日と木曜日、そして土曜日が休診です。
 26日、27日は日本聴覚医学会のため。
 そして、29日は、もちろんナビスコカップ決勝のためです。
 前者は前から行く予定だったのですが、
後者は浦和レッズのまさかの決勝進出で臨時休診になってしまいました。
 そんなわけで、医院の待合室には張り紙がしてあります。
 学会による休診のお知らせ。
002_20111025133044.jpg
 ナビスコカップはちゃんとその旨を明記。
001_20111025133045.jpg
 全部サッカーだと誤解されないように
院長の指示により、学会編には「注意書き」が加えられています。
004_20111025133043.jpg
 ご迷惑おかけしますが何とぞ御容赦ください。
 頑張って応援してきますので。
(いや、もちろん、学会の方では「勉強」してきますので。)
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2011.10.07

2011-12シーズンのインフルエンザ予防接種

 CRPの前原先生のブログによると太田ではインフルエンザB型が出たらしい。
 今のところウチの近辺ではそれらしい患者さんはいないし、
他に出たという話も聞かないので、
散発的なものでいきなり流行期に入ることはないだろうが、
今シーズンはどうなるんでしょうね。
 そんなわけで、来るシーズン到来に備えて、
今年も予防接種の予約をそろそろ受け付けます。
 今シーズンから接種量の見直しが行われ、
昨年までとは少し変わっています。

 6か月~3歳未満の方は1回0.25ml2回接種。
3歳以上~13歳未満の方は1回0.5ml2回接種。
13歳以上の方は1回0.5ml1回接種。

 全体として小児の接種量が増えました。
 これは、我が国の接種量がもともと海外に比べて少なすぎるといわれていたので、
その分が是正されたと思います。
 でも、0.5mlを3歳の子に打つのはちょっと痛いかもね、
ガマンしてね、スマン。
 料金は
 6か月~3歳未満は1回2000円
 3歳以上は1回2500円
 65歳以上の方は市からの助成がありますので1000円

 2回接種の意味については過去のブログで説明しています。クリック⇒「2回目の接種
ただしこれは2009年、「パンデミック2009」がまだ「新型」と言われてた頃で、
インフルエンザが流行中に予防接種をするという異常事態だった年です。
 過去のメモリーを考えれば13歳以下でも昨シーズンしっかりA型にかかった人は、
一回でも何とかなる、という考えもあります。
 今年のワクチンは「A型pdm09(H1N1)」「A型香港(H3N2)」「B型」のブレンドです。
(昨年と同じ)
 あんまり早く打って、効果が切れちゃっても困るので、
インフルエンザの流行は1~2月ピークが多いことを考えると、
通常は2回接種は10月下旬と11月下旬、
1回接種は11月中旬以降が一応のお勧めです。
 インターネット受け付けはできませんので、
お電話か直接窓口で予約してください。
 ああ、オレも打つのか、
注射、やだなあ・・・・・。
 
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