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2023.10.15
新型コロナもインフルエンザも途切れることなく続いています。
今後、どういう経過になるかちょっと想像がつかないです。
急に寒くなったせいで風邪の患者さんが増えたのですが、
その中にインフルエンザ、新型コロナの患者さんが紛れており、
しかも当の本人は、自分がコロナやインフルであるとは
全く思わずに受診してくるので、
毎日、緊張して診察をしています。
特に熱がちょっと出たけど今日は下がっている、
周囲にインフルやコロナを疑う発熱者はいません、
という患者さんから多くの陽性者が出ていますので、
風邪症状、体調不良があった方は、
まず、自分はひょっとしたらコロナ、インフルエンザかも知れない、
という考えのもとに行動していただきたく思います。
あと、熱はないけど、猛烈にのどが痛い、
という人はコロナである確率が非常に高いので、
ご注意ください。

2023.10.01
医者を長くやってると
思いもかけない症例に遭遇することがあります。
奇病、難病というものもありますが、
えっ、こんなことがあるのか、
というような教科書や論文にも載らないような、
症例報告にもならないような患者さんが来ます。
先日来た女子小学生。
主訴は髪の毛が舌に絡まった?
何のことかと申しますと、
舌の表面はざらざらしています。
細かく見ると乳頭といって小さな突起が表面に無数にあります。

状況はよく分かりませんが、
髪の毛が舌にはりついて、
いじってるうちにとれなくなってしまった、とのこと。
顕微鏡で拡大して観察すると、
糸状乳頭に細い髪の毛がちょうどダンゴ結びのようになっています。
拡大図で書くとこんな感じ。

抜糸の要領でハサミを使いますが、
いかんせん髪の毛が細く、きっちり結ばれてるので
ハサミの先端が入りません。
そこでスタッフが気付いて、
耳の手術用の剪刀を出してくれました。

顕微鏡下手術用のハサミなので、
先端は非常に小さい。

これを使って、顕微鏡で見ながら
無事「抜糸」できました。

こんな小さいモノ、顕微鏡とこの剪刀がなければ絶対取れなかったでしょう。
出血もなく良かったです。

しかし、こんなマニアックなハサミ、
外来に常備してる耳鼻咽喉科クリニック、
どれくらいあるだろうか。

2023.09.30
金曜日の学会の朝、日赤のS先生に会ったとき、
学会は明日までですか、と訊ねられ、
いえ、土曜日はそう簡単に休診にできないので帰ります、
と答えたが、
この辺、勤務医と開業医では
大きく認識、事情が異なっているんだなと思った。
土曜日には「土曜日しか通院できない患者さん」というのが、
数多くいらっしゃるのであるが、
その方々も命にかかわる病気、となれば
平日だろうが関係なく病院に行くのである。
すなわち、土曜日の開業医の外来には、
昨日から高熱で体の節々が痛い、という方や、
未明から子供が耳痛で泣き止まない、
などという患者さんもいるが、
アレルギー性鼻炎で定期的に薬を取りに来たり、
月曜日からのどがちょっと痛いけど熱はない、
などという患者さんから、
ちょっと気になるので耳垢を取ってもらいたい、
子供の鼻が詰まるので鼻汁を吸ってほしい、
などという患者さんまでいろんな患者さんがやってくるのだ。
ことに今回は前の週の土曜日が「秋分の日」で休みだったので
学会休診明けの30日土曜日はかなりの混雑が予想された。
150人くらい来るのでは、と恐れていたが、
実際には130人弱で済んだが、
それでも朝から始めて、午後2時過ぎまでかかった。
今年は今後、土曜日の祝日はありませんが、
11月の18日土曜日が、
日本耳鼻咽喉科学会秋季大会という、
耳鼻咽喉科医にとっては参加必須の学会がありますので
そこは恐縮ですが休診にさせていただきます。
あとひとつ💦
もし、浦和レッズがルヴァンカップで決勝まで行った場合、
11月4日土曜日13時5分キックオフなんですが、
休診にしちゃあ、マズイかなあ。
いや、準決勝で負けちゃえば、
どうってことない話なんですけど・・・

2023.09.16
下野新聞の記事です。
インフルエンザは、本県だけでなく全国的に出ています。

当院でも、ちょっと前に書いたように、
コロナに交じってインフルエンザの陽性者が出ているので
要注意です、と書きました。
しかしこの記事で増加の背景について「分からない」と書いてるが、
大体分かっています。

マスク生活の解除や、過去インフルエンザが流行しなかったための
集団免疫の低下も要因の一部だとは思いますが、
一番の要因はインフルエンザの検査件数がケタ違いに多いため、
に間違いない。
昨冬以降、厚労省はコロナとインフルエンザの同時流行を警戒し、
医療機関にその検査を進め、
このような新型コロナとインフルエンザを同時に検査できるキットを
大量に流通させたのです。
Cはコントロールライン、SはSARS-CoV-2でここにラインが出ると新型コロナ、
A、BはそれぞれインフルエンザのA型、B型で、
この写真ではインフルエンザA型陽性を示しています。

季節性インフルエンザは冬に流行しますが、
夏場にもいないわけではありません。
ただインフルエンザウイルスは寒冷、乾燥の環境で活性化し、
夏場には症状も、感染力も冬よりは劣るので、
大流行には至らない、というか
インフルエンザと認識されないのです。
おたふくかぜや、麻疹、風疹、水ぼうそうなどと違って、
インフルエンザの症状は風邪に準じた発熱、頭痛、全身倦怠感、などなので
軽症の場合は検査をしない限り風邪との区別は不可能です。
熱が出て、頭痛、倦怠感があったけれど、
1日寝てたら落ち着いた、
またはロキソニン飲んだら楽になった、
などという時には
以前なら医療機関にかかる人は少なかったでしょう。
それが、今では「コロナかも知れない」と、
医療機関を受診しますが、多くの医療機関では
インフルエンザとの同時検査キットを導入してるため、
そこでインフルエンザと診断されるのです。
当院でも、発熱の人が来ても
8月、9月の時期にインフルエンザの検査をしたことは
ありませんでした。
ともかく今、新型コロナの患者数が半端なく多いので、
そのおこぼれ的にインフルエンザの患者が引っかかってくるのです。
いったん1人がインフルエンザと診断されれば、
その情報を知った周囲の人は軽微な症状であっても
医療機関にインフルエンザの検査を受けに来るので、
かくれインフルエンザまでくまなくあぶりだされてくるという構造です。
厚労省の発表によれば今月3日までの1週間に
全国およそ5000の医療機関から報告された
新型コロナの患者数は、約10万人、
季節性インフルエンザの方は約1万人くらいらしい。
10:1だが、これがその後の1週間では5:1になっているという。
もちろん、全国的にはこの何10倍もの患者数がいるわけだ。
コロナの方は市販キットが出回っており、
インフルエンザと違ってタミフルやリレンザのような薬がないから、
自分で検査して病院に行かないケースも多いと思われ、
コロナの方が実数はもっと多いと推測されます。
じゃあ、今までこの時期のインフルエンザ患者数がどれくらいあったかというと、
データはあるはずだけれど
検査件数が違うので単純に比較ができないでしょう。
当院の検査では
9月前半は新型コロナ:インフルエンザの比率は20:1だったのですが
この1週間では4:1になり、
まだまだコロナの方が圧倒的に多いものの、
新型コロナは減少傾向、インフルエンザは増加傾向にあるようです。
実は検査件数はかなり増えていて、
検査例でのコロナの陽性率は減少傾向です。
これはインフル、コロナ以外の発熱患者さんも増えてる、ということ。
さらに当院は耳鼻咽喉科のため、
ノドが痛いコロナの人は受診が多いが、
上気道症状に乏しいインフルエンザの人は少ない、
などといろいろなファクターが重なり何とも言えませんが。
データの解釈はなかなか難しいですが、
ともかく、具合が悪ければ仕事や学校を休んでください。

2023.09.15
ここ最近、毎朝調剤薬局から情報が入る。
ワイドシリン細粒があと何g、メイアクトドライシロップは何g、
セフゾン細粒はまだそこそこありますが、
オラペネムはあと約1人分、オゼックスの在庫はありません。
みたいな感じ。
2か月前に書きましたが、
小児用抗生物質の薬剤不足は今も続いています。
いや、さらにひっ迫した状況になってきています。
いったいどうなってるんだ。
毎日在庫をチェックして処方をしなければならなくなっている。
まるで、鮮魚店かお寿司屋さんみたいだ。
あー、奥さん、今日は活きの良いメイアクトが入ってるよ。
あら、こないだ欲しかったけど、今日は入荷したのね。
じゃあ、4日分いただこうかしら。
へい、まいど。
などと、冗談を言ってる場合ではない。
オゼックスなど、子供の中耳炎で耐性菌が出た時など、
これしか効かない、ということがある薬なので
無いと非常に困る。
そもそも、オゼックス細粒小児用は
子供の中耳炎で耐性菌が増加したため、
耳鼻咽喉科学会が製薬メーカーに依頼して
わざわざ製品化してもらったという薬なのである。
先日の外来での話。
子供の熱で小倉先生のとこ休診日だったので
コロナだと困ると思って小児科にかかったら、
インフルエンザとコロナは陰性で
風邪薬出されましたが、抗生物質が入ってました。
風邪の時には抗生剤いらないと聞いてたので、
飲ませませんでした。
熱はすぐ下がったのですが、まだハナセキ出ます。
抗生物質飲まなくてよかったんですよね。
そのとおりです。
こんな風邪で抗生剤のんじゃダメです。
ただ、この抗生物質、オゼックスかあ。
この子には必要なかったけれど、
世の中にはこの薬が本当に必要な子がいるんだよなあ。
うー、モッタイナイ。

2023.09.12
休み明けは発熱の嵐。
9月4日月曜日はコロナ16名、7日木曜日はコロナ12名、11日月曜日はコロナ12名。
その他、溶連菌、扁桃周囲膿瘍、急性中耳炎、
ヒトメタニューモ、アデノ、何でもあり。
高校生、38度の熱。
周囲に発熱者はいるが、コロナの連絡はありません、
とのこと。
陰性なのか、調べていないのかは不明。
検査をすると、インフルエンザAが陽性であった。

当院は原則、インフルエンザ、コロナの同時検査キットを使っていますが、
インフルエンザA型もぽつりぽつりと出ますので、
要注意。
両方検査しておいた方が良いみたいです。

2023.09.02
度々ブログを読ませていただいています
耳鼻科医の小倉先生に質問なのですが、
小2の子供の持久力をあげるためにスイミングを考えています。
ですが、息子は花粉症もハウスダストなどのアレルギーも強くあり、
スイミングにより悪化することもあるとネットの記事で読み心配です。
現在も風邪を引くとアレルギーが強く出て完治までものすごく時間がかかります。
先生はアレルギーのある子のスイミングについてどうおもわれますか?
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コメント欄にこのような質問をいただきました。
実際に診察もしていないし、
検査データもありませんので、
あくまで一般論としてのご回答です。
結論から言えばアレルギー性鼻炎、花粉症の子にスイミングをやらせるのは賛成です。
屋内プールの環境は温度は一定で湿度も高く、
ハウスダストやダニはもちろんスギ花粉症シーズン中であっても
花粉の飛んでいない空間です。
プールの水の塩素が鼻粘膜を刺激する可能性もありますが、
鼻からプールの水を吸引するわけでもなく、
塩素そのものは刺激物質ではありますがアレルゲンではありません。
水泳の上達につれ反応は少なくなることが考えられます。
冬場はプール内外の気温差が大きくなり、
これにより鼻炎症状が惹起されることがありますが
多くは一過性です。
呼吸機能の訓練、免疫機能の改善については、
特に喘息ではその効果が認められ、
小児喘息についてはスイミングの有効性が示されています。
アレルギー性鼻炎、喘息と並ぶ
3大アレルギー疾患のもう一つアトピー性皮膚炎に対しては、
皮膚への直接的な侵襲から、
スイミングは推奨されていないようですが、
ワタシはアレルギー性鼻炎に関しては、
プラス面、マイナス面を考えると
トータルではメリットの方が多いと考えます。
少なくとも、花粉症シーズンに
屋外でサッカーや野球をやらせるよりは
はるかにいい、ということは確実です。
免疫能、呼吸機能の改善により風邪をひきにくくなれば、
それも鼻炎症状の改善につながると思います。
まあ、本人の意思がもっとも重要で、
やりたくないものを無理にさせることはないですが、
本人がやってみたい、というのであれば
アレルギー性鼻炎を理由にスイミングをあきらめさせる理由はないでしょう。
以上、ご参考までに。

2023.08.28
休み明けの月曜日は発熱の人が多いのだけれど
本日8月28日は次々にコロナ陽性が出て
最終的に午前、午後合わせて11人の陽性者になり、
スタッフの言うには「コロナ祭り」。
中には熱のない、のどの痛みだけの人もいて
多くの陽性者は感染経路不明なので、
市中の「野良コロナ」はいかほどかと思う。
ここにきて、コロナのときの咽頭炎の所見がだいたい分かるようになった。
溶連菌や、アデノウイルスの時は口蓋扁桃、
いわゆる扁桃腺が独特の腫れ方をするのだが、
コロナの時は咽頭痛、嚥下痛が強いわりに口蓋扁桃の腫れはなく、
咽頭側索の上方がやや赤みを帯びて腫れるようだ。
なんで、今頃になって分かったのかと思ったが、
よく考えたら以前は検査だけしてノドを見ていなかった。
5類移行前は、みんな駐車場でまず検査をしていたので、
検査で陰性の人は診察室に呼んで診察するが、
検査でコロナ陽性が出ちゃうと、
その人のノドを見ることはなかったのだ。
5類になった以後は診察室で検査前に全員ノドをしっかり診るようになったので、
視診の所見と検査結果の答え合わせの積み重ねから、
コロナの所見がイメージできるようになった。
これはAIの学習と同じ仕組みで、
たくさんの所見の積み重ねから得られるものだ。
おかげでこいつは(陽性に)出るな、というものが
かなり当たるようになった。
やはり、風邪や発熱の診察は
リモート診療なんかですべきではないということだな。

2023.08.19
木、金、土曜日と連日多くのコロナ患者さんが出ております。
気づいたことの中に新型コロナの療養機関について
間違った認識を持った方がいるのではないか、ということ。
土曜日にかかった患者さんは、
水曜日、木曜日と発熱があったが、
金曜日には下がり、昨日今日と平熱だが、
のどの痛みがとれません、とのことで受診されました。
順番までは駐車場で待機いただき、
診察室でノドを診たところ、
咽頭側索の発赤はありましたが、
痛みの強さのわりに扁桃腺の腫れはほとんどないので、
コロナウイルス感染が強く疑われる所見でした。
問診してみると、お盆休みに孫が来て泊まっていった。
その孫はコロナに罹っていたが、
家に来た時には、もうすっかり治って療養機関も過ぎていたので、
自分が熱が出てもコロナだとは思わなかった、
とのことでした。
抗原検査の結果は新型コロナが強陽性。
5月8日の5類相当移行から、コロナの療養機関は
発熱日を0日として5日間、とされました。

間違ってはいけないのは、
この5日間の療養機関を過ぎれば、
もう人にコロナをうつすことは無い、
というわけではないということです。
感染力となる排出されるウイルス量は時間とともに減少しますが、
6日以降もゼロになるわけではありません。

感染の成立は「ウイルス量×暴露時間」によりますから、
一緒に同じ空間に長くいれば
ウイルス排出量が少ない人からも
当然、うつってしまうということになります。
新型コロナの療養期間が過ぎても、
クーポン券や定期券の有効期限と違って、
急に感染力がゼロになるわけではない、
ということをよく理解しておく必要があります。

2023.08.17
お盆の夏季休暇明けの木曜日。
外来は当然混雑が予想されました。
まあ、休み前は、休み中に何かあると、
ということで来院する方が多いのに対し、
休み明けちゃえばいつでもかかれるから、
ということだったり、
そもそも保育園に通う0~2歳児なんかは
保育園が休みで登園しなければそれだけで治っちゃう、
なんてことはよくあるので、
休み明けの外来は休み前に比べれば落ち着くものですが。
木曜日の来院者数は198人と、ギリギリ200人を割りました。
しかし、コロナが7人、インフルエンザが3人、
これはいつもの夏休み明けとは違うところ。
このあとお盆休み中のコロナ感染が増えるのかなあ。
