インフルエンザ増加
下野新聞の記事です。
インフルエンザは、本県だけでなく全国的に出ています。
当院でも、ちょっと前に書いたように、
コロナに交じってインフルエンザの陽性者が出ているので
要注意です、と書きました。
しかしこの記事で増加の背景について「分からない」と書いてるが、
大体分かっています。
マスク生活の解除や、過去インフルエンザが流行しなかったための
集団免疫の低下も要因の一部だとは思いますが、
一番の要因はインフルエンザの検査件数がケタ違いに多いため、
に間違いない。
昨冬以降、厚労省はコロナとインフルエンザの同時流行を警戒し、
医療機関にその検査を進め、
このような新型コロナとインフルエンザを同時に検査できるキットを
大量に流通させたのです。
Cはコントロールライン、SはSARS-CoV-2でここにラインが出ると新型コロナ、
A、BはそれぞれインフルエンザのA型、B型で、
この写真ではインフルエンザA型陽性を示しています。
季節性インフルエンザは冬に流行しますが、
夏場にもいないわけではありません。
ただインフルエンザウイルスは寒冷、乾燥の環境で活性化し、
夏場には症状も、感染力も冬よりは劣るので、
大流行には至らない、というか
インフルエンザと認識されないのです。
おたふくかぜや、麻疹、風疹、水ぼうそうなどと違って、
インフルエンザの症状は風邪に準じた発熱、頭痛、全身倦怠感、などなので
軽症の場合は検査をしない限り風邪との区別は不可能です。
熱が出て、頭痛、倦怠感があったけれど、
1日寝てたら落ち着いた、
またはロキソニン飲んだら楽になった、
などという時には
以前なら医療機関にかかる人は少なかったでしょう。
それが、今では「コロナかも知れない」と、
医療機関を受診しますが、多くの医療機関では
インフルエンザとの同時検査キットを導入してるため、
そこでインフルエンザと診断されるのです。
当院でも、発熱の人が来ても
8月、9月の時期にインフルエンザの検査をしたことは
ありませんでした。
ともかく今、新型コロナの患者数が半端なく多いので、
そのおこぼれ的にインフルエンザの患者が引っかかってくるのです。
いったん1人がインフルエンザと診断されれば、
その情報を知った周囲の人は軽微な症状であっても
医療機関にインフルエンザの検査を受けに来るので、
かくれインフルエンザまでくまなくあぶりだされてくるという構造です。
厚労省の発表によれば今月3日までの1週間に
全国およそ5000の医療機関から報告された
新型コロナの患者数は、約10万人、
季節性インフルエンザの方は約1万人くらいらしい。
10:1だが、これがその後の1週間では5:1になっているという。
もちろん、全国的にはこの何10倍もの患者数がいるわけだ。
コロナの方は市販キットが出回っており、
インフルエンザと違ってタミフルやリレンザのような薬がないから、
自分で検査して病院に行かないケースも多いと思われ、
コロナの方が実数はもっと多いと推測されます。
じゃあ、今までこの時期のインフルエンザ患者数がどれくらいあったかというと、
データはあるはずだけれど
検査件数が違うので単純に比較ができないでしょう。
当院の検査では
9月前半は新型コロナ:インフルエンザの比率は20:1だったのですが
この1週間では4:1になり、
まだまだコロナの方が圧倒的に多いものの、
新型コロナは減少傾向、インフルエンザは増加傾向にあるようです。
実は検査件数はかなり増えていて、
検査例でのコロナの陽性率は減少傾向です。
これはインフル、コロナ以外の発熱患者さんも増えてる、ということ。
さらに当院は耳鼻咽喉科のため、
ノドが痛いコロナの人は受診が多いが、
上気道症状に乏しいインフルエンザの人は少ない、
などといろいろなファクターが重なり何とも言えませんが。
データの解釈はなかなか難しいですが、
ともかく、具合が悪ければ仕事や学校を休んでください。

