ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2021.11.09

Bスポット療法とIgA腎症

 さて、ほぼプラセボ効果なのではないか

との仮説を立てたBスポット療法ですが、

ひとつ、IgA腎症に対する効果については、

どうなんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 IgA腎症は慢性腎炎の半数を占める,

もっとも多い腎臓の病気です。

顕微鏡的血尿は必須で持続し,

上気道炎,扁桃炎,腸炎(下痢,腹痛)などで

38.0℃を越える高熱を伴うとき

コーラ色の肉眼的血尿がみられることが特徴的です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IgAとは抗体の一種で

血漿中に存在して全身をめぐるIgGに対し、

主として気道や腸管などの粘膜の表面に存在します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 病原体が来るとこれに取り付いて破壊したり、

白血球に貪食されやすくしたりしますが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、このIgAと病原体が合体した免疫複合体が

血中に入り腎臓まで流れ着いて、

腎臓のフィルター状の膜に引っかかると

そこに白血球などが集まってきて慢性的な炎症を起こします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 扁桃は多くのIgAが局在するため、

慢性扁桃炎がIgA腎症の増悪因子として重要で、

IgA腎症の治療のために扁桃摘出術を行うことは

昔から行われており、

ワタシも勤務医時代は内科、小児科からの依頼で

扁桃腺とったことは数知れず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Bスポット療法を行う上咽頭も

アデノイド(咽頭扁桃)のある場所であり、

IgAの局在する場所ですから、

そこの炎症がコントロールされれば

IgA腎症の症状が改善する可能性はあると考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただし、ここで重要なことは

IgA腎症を起こす免疫複合体がすべて扁桃由来ではない、

ということです。

むしろ、腸管由来のIgAが関与する場合の方が多いとも言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういえば、扁桃腺とってくださいといわれ

たくさん手術しましたが、

結果IgA腎症がどうなったかという返事って、

もらった記憶がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 扁桃が病巣ではない場合に扁桃摘出術が奏功しないように、

上咽頭に病変がない場合は

Bスポット療法も無効であると考えられ

IgA腎症に対するBスポット療法の効果は

限定的であると考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただ、扁摘術は全身麻酔でコストもリスクもある手術であるのに対し、

Bスポット療法は、手軽にできるので

難病であるIgA腎症に対し

試し」にやってみるということはアリでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 効果の方も尿蛋白や血尿の程度で客観的に評価できるので、

データを見ながら継続か中止かを決める、

ということが出来ます。

この辺の「治験」は比較的容易だと思いますので

ランダム化比較試験としてぜひやってほしいです。

耳鼻咽喉科の病気ではないので

このためにBスポット療法を始める予定はないけれど、

有効性が実証されれば耳鼻科に治療を依頼する、

という関係ができるでしょう。

何回やるのか、いつまでやるのか、

何回やって効果が無かったらやめるのか、

その辺のガイドラインができるといいですね。

 

 

 

 

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