新型コロナウイルスワクチンは変異株に効くのか
予防接種の効果というものは、
獲得している免疫の量と、
侵入してくるウイルスの量の競争です。
つまり、抗体が侵入するウイルスを次々に駆逐しても、
その処理スピードを上回る速さでウイルスが増殖すれば、
感染し、発症してしまいます。
インフルエンザの例で考えてみます。
ワタシは仕事柄、インフルエンザの患者さんに多く接するため
免疫が相当ついて、通常の接触ではまず感染しない。
毎日インフルエンザの患者さんを診察してても
うつらなかったワタシが
2004年にインフルエンザに罹りました。
そのときは、土曜日に娘が発熱したが
その時点で娘の迅速検査結果が陰性だったので、
「インフルエンザではない」と判断して
土、日とずっと同じ部屋にいたために、
感染っちゃったのでした。
つまり持っている抗体の処理能力を上回るウイルスが来たため、
ウイルス退治が追い付かなかったのです。
なので、ワクチンの効果はある、ないの絶対的評価ではなく、
その状況における相対的評価で測られるものです。
新型コロナウイルスのワクチン接種が完了しても
きわめて大量のウイルスに襲われれば
感染、発症することもあるわけです。
ただし、現時点でファイザー社のワクチンの有効率は
インフルエンザワクチンに比べて
かなり高いので、その可能性はかなり低いといえます。
逆に変異ウイルスに対して、有効性が落ちるといっても、
その落ち方はさまざまですが、ゼロになるわけではなく、
ワクチンは感染、発症予防、重症化阻止の助けになるでしょう。
一般にインフルエンザワクチンの有効率が30%台と言われていますから、
従来型新型コロナウイルスに対し
90%以上効果のあるファイザー社のワクチンの場合
イギリス型変異株、ブラジル型変異株には従来型と同等だが、
南ア型変異株には1/3に効果減弱と言われてますので
その効き目がインフルエンザワクチン並みになる
ということでしょうか。
今後のウイルスの変異の仕方によって、
ワクチンの効果は変わってきます。
ワクチンの効果がいつまでもつかは
まだ確実なデータが提示されてませんが、
これから新たに製造していくワクチンは、
主流となった変異株をモデルとして
デザインされるようになると思います。
今後、インフルエンザワクチンのように
その時点での流行の型のワクチンを
年1回程度の接種が必要になる可能性はあります。
ワクチンが感染拡大を制御できるか否かについては、
ウイルスの変異がどれくらい早く起こるか
ということはカギになるでしょう。
ウイルスの変異を遅らせる、ということは
今後もヒトーヒト間の密な接触を避ける、
という措置をとり続ける必要があります。
何かの具合で感染性が極めて高く、
病原性の極めて低いウイルスが現れ、
これが主流になってくれるとワクチン要らなくなるんだがなあ。
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