新型コロナウイルスは撲滅できるか
昨日のブログで新型コロナウイルスは流行性疾患になるか、
というお話をしました。
新型コロナウイルスが完全に消滅することはあるのでしょうか。
ここで思い出されるのは
20世紀における医学生理学史上の金字塔である
「天然痘の撲滅」です。
かつて感染性も致死率も高く、
20世紀までに最も多くの人間を死に至らしめたといわれる天然痘は、
そのワクチンと防疫の努力によって1980年に撲滅宣言が出されました。
ただ天然痘ウイルスを地球上から駆逐できたことの背景には
いくつかの重要な要因となるこの病気の特徴がありました。
それらは天然痘は
①終生免疫が獲得されワクチンの効果が非常に高いこと
②ウイルスに1つの型しか存在しないこと
③自然宿主となる動物が存在しないこと
④感染の潜伏期間が12日と短いこと
⑤感染すると必ず症状が現れること
でした。
これを新型コロナウイルスに当てはめてみると
①ワクチンの効果はそれなりに高いようだが、終生免疫はどうもなさそうだ
②ウイルスは現時点でも次々と変異し新種が出てきている
③自然宿主としてはコウモリが想定され、他の動物への感染の報告もされている
④潜伏期間は数日から2週間程度でエイズなどのように数年に及ぶことはなさそうだ
⑤感染しても無症状の人が感染源になることがわかっている
①と④は不確定ですが、仮にこれがクリヤーできても
②③⑤は完全にアウトです。
なので、ここまで世界じゅうに広がった新型コロナウイルスが
撲滅される可能性は無いでしょう。
ウイルスの変異が弱毒化につながれば、
変異株が従来の新型コロナウイルスを駆逐して、
より感染力の強い、そしてより軽症のウイルスが
主体になってくれるといいのですが。
これはウイルスパンデミックでしばしば起こる現象ではありますが
今のところは何とも言えません。
期待されるのはワクチンの普及による集団免疫の獲得が、
ウイルスの変異のスピードを上回れば、
従来の風邪やインフルエンザと同じような存在になることです。
現時点ではファイザー社のワクチンに最も期待がかかりますが、
なかなか供給が追い付かないようです。
いっそ、ファイザー社がワクチンのレシピを世界に公開して
世界中のワクチン会社がそれを生産する、
という体制はできないのでしょうか。
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