ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2020.05.13

影響を受けたレコード⑤「勝手にしやがれ‼/セックス・ピストルズ」

影響を受けたレコード第5弾はコレです。

1977年10月28日発売。当時は受験を控えた高校3年生。

「Never Mind the Bollocks(邦題:勝手にしやがれ‼)/セックス・ピストルズ」

この邦題は、もっと何とかならなかったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1976年ころのロックシーンは明らかに行き詰っていました。

この年、大ヒットとなったのはピーター・フランぷトンの

2枚組ライブアルバム「フランプトン・カムズ・アライブ」。

2枚組ながらビルボード200で10週連続1位を記録し、

空前の大ヒットになりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爽やかなルックスと、ポップなメロディーが満載で

幅広いリスナーの支持を得たと思われますが、

当時、このレコードを何回聴いても、

どこがいいのかちっともわかりませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて、彼が在籍していた「ハンブル・パイ」のほうが

100倍もカッコイイじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中学時代からの愛読誌ミュージックライフは、

1975年にデビューした「ベイ・シティ・ローラーズ」の大人気で、

ミーハー女子中高生にのっとられ、

完全に「明星」「平凡」化しており、

もはや読むに値しない雑誌になっていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足利高校の同級生で組んだバンド「アースバウンド」も

高校3年の2学期、学園祭での演奏を最後に解散することに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の練習のあと、喫茶店でメンバーとしばしロック談議。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディープパープルのカム・テイスト・ザ・バンドもイマイチだね。

リッチーブラックモアズ・レインボウのファーストも期待外れ。

どちらも第2期パープルには遠く及ばない。

いったい、このあとロックはどこに行くんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこでギターのエビハラくんは、

オレはねー、ボストンとか、あの辺に行くと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1976年に「幻想飛行」でデビューしたボストンは

リーダーのマサチューセッツ工科大学出身の

トム・シュルツが作り出す、緻密で耳触りの良い

プログレハード~ポップ・ロックで人気を博し、

以後、ジャーニー、TOTOなどがこの路線の音楽で

次々とヒット曲を連発していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボストンかー、オレは違うなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワタシとしては荒々しさや、不良的なカッコよさのない、

きれいにパッケージされた「製品」のような音楽は、

もはや「ロック」ではない、という違和感を感じていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、じゃあ、なにか、といわれると困ってしまうのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなロックシーンに、

半ば必然的に「発生」したのがパンクロックでした。

ロックの初期衝動と反体制という姿勢を明確にし、

若者の行き場のないエネルギーを救い上げる音楽です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンクロックという言葉は、

当初ラジオや雑誌などのメディアを通じて入ってきていましたが、

その音を初めて聴いたのは、

1976年4月に発売された「ラモーンズの激情」でした。

むろん、ラジオです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これが、全然「来なかった」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ロックは猛々しいボーカルだ、との信念があったワタシには、

ラモーンズのボーカルはまるきりへなちょこに聞こえ、

演奏の方もそれまでディープパープル、レッド・ツェッペリンを聴いていた耳には

ギターもドラムもベースもテクニックのなさにがっかりしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンク、ダメだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このとき、ラジオ番組のパーソナリティー

(当時はディスクジョッキー)をしていた

ロッキング・オン編集長の渋谷陽一氏は、ラモーンズを

「革ジャンを着た、ベイシティ・ローラーズ」

と評しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続いてパンクロックのバンドとして日本に紹介されたのは

当時としては大変珍しい

オール・ガールズ・バンド「ランナウェイズ」でした。

1976年のデビューアルバム「Runaways」の邦題は

「悩殺爆弾~禁断のロックンロールクイーン」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これがまた、ワタシのパンクロックに対する認識を

誤らせることになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

若い女の子がセクシーな衣装で歌う姿は、

マスコミに格好のネタとして大々的に取り上げられ、

1977年セカンドアルバム発売後に初来日しますが、

話題の中心は音楽ではなくボーカルの

シェリー・カーリー(当時はチェリー・カーリー)の下着姿でした。

彼女は篠山紀信氏の「激写」で男性雑誌「GORO」のグラビアも飾りました。

〔たぶん、一応、買いました(^^;))

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、演奏の方は、当然ながらアレで、

ワタシに対してはパンクロックへの負のイメージを

さらに増強させるものになったのです。

そもそも彼女たちはニューヨークのパンクシーンから

頭角を表したわけではなく、

レコード会社の企画的に生み出されたバンドだったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのうち、ニューヨークだけでなく、

ロンドンでもパンクが盛り上がっている、

というニュースが伝わります。

音楽評論家の大貫憲章氏が中心となって、

ダムド、ザ・クラッシュ、

そしてセックス・ピストルズというバンドの噂を耳にします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただし、ライブが話題になっても、

肝心の音源の方はロクに日本に入ってきませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、自分の方もパンクロックを扱ったラジオを

積極的に聴かなかった側面もあります。

ザ・クラッシュのデビューアルバム「白い暴動」は

1977年4月8日に発売されていますが、

あまり印象がありません。

のちに聴き直して、多大な影響を受けるのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初期のパンクロックの醍醐味はなんといってもライブでした。

観客と一体に、あるいは敵対しながら繰り広げる、

激しいライブパフォーマンスこそが、パンクロックで、

いざ、レコーディングスタジオに入ると

もともと演奏力のない彼らは、

その荒々しい魅力を10分の1も表現することができなかったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそもザ・クラッシュは

セックス・ピストルズのステージを見たミック・ジョーンズが

楽器の全く弾けなかったポール・シムノンを誘って

結成されたわけですが、

おおもとのセックス・ピストルズのほうは

その過激なステージや、

それに伴って起こった演奏会場のボイコットなどで

メディアの注目を集めて、さまざまなニュースは流れてきていたが

肝心の音のほうが、ほとんど入ってこない。

レコードデビューに関しては、EMIと契約し

「Anarchy in the U.K.」でシングルデビューするもののすぐに契約破棄、

A&Mからセカンドシングル「God Save The Queen」をリリース予定であったが

またも契約を破棄されてしまう。

最終的にヴァージンレコードから発売されたこの曲は、

本国イギリスでは日中は放送禁止、

日本ではなんと一切放送禁止のAランク指定になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、1977年10月にリリースされた

アルバム「Never Mind the Bollcks」(邦題:勝手にしやがれ!!)

を、聴いたとき、ワタシは衝撃を受けるのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何に衝撃かといえば、まずはその音です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それまでのパンクロックのレコードといえば、

例えばザ・クラッシュのファーストがそうであるように

チープで薄っぺらくスカスカの印象でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ところがこのレコードをプロデュースしたのは

大物プロデューサーとして超有名なクリス・トーマス。

スティーブ・ジョーンズのギターを何重にもオーバーダビングして

分厚い音を作り上げ、

新加入のシド・ヴィシャスはあまりにもヘタクソなので、

ベースはギターのスティーブ・ジョーンズに演奏させた。

まあ、この辺の裏話は、当時は知る由もなかったわけですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次に驚いたのは楽曲の見事さ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それまで、パンクロックというと直線的で平板な曲ばかり

(それがそもそもパンクロックなのですが)

でしたが、このアルバムの楽曲はストレートなインパクトを貫きながら、

曲の個性が際立ち、抑揚をみせています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは。主として作曲を担当した

ベースのグレン・マトロックの才能なのですが、

彼はこのアルバムのレコーディング前に脱退していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、このアルバム最大の魅力は、

圧倒的なジョニー・ロットンの歌唱です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガーゼのシャツに安全ピン、ツンツンのパンクヘアーが

パンクロックのアイコンにもなった彼のボーカルは、

巻き舌のコックニ―なまりの激しいシャウトで、

スピーカーからも唾が飛んできそうな迫力でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それまで、聴いたことのないような、

その下品さ、わいせつさが、歌詞の過激なメッセージとともに

ストレートに耳に飛び込みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だいたい「God Save The Queen」なんていう

イギリス国歌と同名の曲で、女王のことを

「アンタは、人間じゃねえ」

なんて喚き散らす歌詞が、よくレコードになったもんだ。

ちなみにこの曲は放送禁止になっていたのに

全英シングルチャートで初登場11位、

翌週には2位まで上がりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんていうことで、

ワタシはパンクロックに対する考え方を大いに改めるわけですが、

いきなりハードロック野郎から、すんなりパンク小僧になったかといえば

さにあらず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この間まで学園祭でベルボトムにロンドンブーツで

「スペース・トラッキン」を演っていた身としては、

従来のロックをすぐさま否定することはできず、

果たして、どちらに進むべきか、と思いあぐねていました。

そんな中、もやもやしながら大学受験に失敗し、

浪人生活に身をやつすこととなったのでした。

(これは単に学力不足でパンクロックとは無関係ですが・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 来年、大学に入ったら、バンドやるぞ。

と思いながら、予備校に通い、朝から深夜まで受験勉強。

だが、その未来のバンドはまだその時点では

従来型のハードロックバンドを考えていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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