「鼻がたれる」
初診の患者さんには問診表を書いていただいていますが、
まず最初の、本日はどのようなことで受診しますか、
という趣旨の設問に対し、このところ花粉症のシーズンですので
「鼻が詰まります」「鼻が出ます」「鼻がたれます」
といった記載が多い。
実は「鼻が詰まります」は正しい表現ですが、
「鼻が出ます」「鼻がたれます」
は誤りで、正しくは
「洟が出ます」「洟がたれます」
となります。
「鼻」とは顔の中央部に隆起する部分の名称で、
その部分は解剖学的には「外鼻」ですが
通常はその内部のキャビティである「鼻腔」を含んだ部分を指します。
さらに耳鼻咽喉科的には
鼻腔に連続する空洞である「副鼻腔」も含めて
「鼻」と総称します。
これらは人体の構造物ですが、
たれてきたり、かんだりする「ハナ」は、
「鼻」ではなく「洟」という字を書きます。
だから、「鼻が出る」というとピノキオみたいな状態だし、
「鼻がたれる」というのは
芥川龍之介の禅智内供(ぜんちないぐ)のような状態になってしまう。
なので、そのような場合は
「はなが出ます。」「ハナがたれます。」
と、カナで書くか、
「鼻水」「鼻汁」といった言葉を使うのがよろしい。
まあ、いちいち患者さんに
「いや、見たところ、全然たれてないですよ、普通の形です。」
などという、大人気ないツッコミはしませんけど。(^^;)
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