ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2019.11.07

オペの手袋

 外科医は手術の時はラテックス製のいわゆる「ゴム手」をはめます。

ちなみに呼び方は「ゴム手」でも「オペ手袋」でもなく単に「てぶくろ」です。

一個一個滅菌されて包装されており、使い捨てです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 滅菌された手袋が2重の紙のパックに入っており、

中の紙は装着時に清潔が保たれるよう特殊な畳み方をしています。

これを開き、自分ではめるわけですが、

手袋も手首のところから折り返しになっており、

一人でも手袋の外側に一切触れずに装着できるようになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この畳み方は、メーカーに限らず共通で、

おそらく地球上どこに行ってもオペ用の手袋はこの包装になっているのではないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 外科医はまず医者になると、この手袋の装着法を習います。

ちょっと特殊なはめ方なので、

これが、正しく、スムーズに、はめられない医者は「もぐり」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシが最初に勤務した大学病院などでは、

朝9時に各科の手術が一斉に始まりますから、

手洗い場のところに、ずらっと手袋が並べてあり、

それをつけてオペ室に入ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 手袋にはサイズがあり、

6半、7、7半、など自分に合ったサイズを用います。

これが、だぶだぶでは糸結びができません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1年目の研修医のころ、何回目かにオペ室に入ったとき

手袋を準備してくれるオペ室の看護助手のオバサンが、

「あ、センセイはロクハンだったね、そこ置いといたよ。」

と、ワタシの顔と手のサイズを覚えていて、声をかけてくれたときには、

ああ、オレも医者になったなあ、と感激したものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 病院によっては看護師さんが手袋をはめてくれます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシが開業前に勤務していた群馬中央総合病院では、

手洗いをしてオペ室に入ると、器械出しの看護師さんが、

手袋をもって広げてくれて、そこに手を突っ込んではめてもらいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、決まるとカッコいいのですが、

慣れないと、他のところに指が入ったり、

ひとつの穴に指が2本はいったりして、

極めてカッコ悪いことになります。

最初のうちは何回か失敗しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コツは指を広げて一気にツッコむことで、

これがキマると、よっしゃあ、手術やったるぜ、という気分になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 医者になってこのかた、いったい何千回、

この使い捨て手袋をはめたことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開業してからは、オペ室は無いが、

鼻内手術や、鼓膜チューブ留置術では、

いまだに手袋をはめて行います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も、午前中に8カ月の男の子の鼓膜チューブ留置術。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 手術が終わって、または術野から離れるため手袋をはずすことを

「手をおろす」といいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今も昔も、手術が終わって、手袋を引っ張って、

パチンパチンと外すときの快感は、たぶん外科医にしかわかりませんね。

 

 

 

 

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