ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2019.02.15

当直

 今朝の朝日新聞の見出しを見て

「マジか、ウソだろー。」

と思ったヒトは多いかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『勤務医「当直後も通常勤務」7割。』

ひょっとして、一般のヒトは、えー、7割も通常勤務、と思ったかもだが、

ワタシを含めた一定年代以上の医者は

えー、当直後に休める病院があるんだ、それも3割も、

と、そっちに驚愕したに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ムカシから思っていたが、医者の労働環境というのは

「労働基準法」なんて全く関係ナイ、という感じであった。

大学病院に研修医として勤務しても、社会保険にすら入れず、

ボーナスも時間外手当もなし。

勤務時間はあってないようなもの、というか

今思い返せば、そもそも勤務時間の規定はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそも入院患者がいる病院は

夜でも医者が病院にいないとまずいので、当直はどんな病院にもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大学病院の場合は、当直医は、

夜の回診をやったあとは、基本的にはいるだけでいいのだが、

入院患者さんが急変したりすると、その対応をしなければならない。

点滴が外れた、とか腹痛を訴えています、とかでもちょこちょこ呼ばれたりする。

また、耳鼻咽喉科の場合は、市中病院に耳鼻科医が当直していないので

救急患者の対応もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 耳鼻咽喉科だと、末期がんのヒトなんかが多いので、

夜中に、死の看取りが回ってくることが時々ある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ワタシは、「当たる」ほうだったので、

一晩に二人も看取っちゃって、死亡診断書を一晩で2通も書いたことがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう、末期で延命治療をしない場合でも、

あと30分で家族がそろいます、なんてときは

30分近く心マをして、くたくたになったこともあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、そのまま朝からオペ室に入って、出てくるのは消灯後、

なんて、若かったからだが、よく身体がもったもんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 市中の総合病院では、全科の医師が「内科系」「外科系」に分かれ、

各1名ずつ当直することになっていた。

耳鼻咽喉科は「外科当直」をする。

これは、けっこう救急患者が多く、運が悪いとロクに寝られない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当直室のベッドで寝てると、遠くの救急車の音で目が覚めて、

「内科でありますように・・・」

と心の中で祈っていると、トナリの内科当直の電話が鳴る音がして、

ホッとして、また寝る、なんてことがよくあった。

ナツカシイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 当たり前のことだと思っていたが、

時代が変わって、こんなことがニュースになるようになったんだなあ。

 

 

 

 

 

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